次に、重徳和彦君。
○重徳委員 改革結集の会の衆議院議員重徳和彦です。
改革結集の会、昨年、維新の党を離党しました衆議院議員五人で結成をしました。十二月に立ち上げたばかりの新党であります。
私たちは、もちろん与党ではありません。そして、野党でもないとは一言も言っていないんですが、きょうはなぜか質問の時間が大幅に削減をされておりまして、この分はいずれ取り返していかなければならないと思っております。これはまさに委員会の常識としてやってまいりたいと思っております。
さて、一方で私たちは、自民党に対抗できるもう一つの勢力をつくる、改革勢力を結集するんだ、こういう思いで結党いたしております。その意味で、責任政党、そして、これからしっかりと政権政党を担えるような、そういう政治グループとして展開していきたい、こう思っている次第でございます。
小さな政党でありますけれども、小さいことは言いません。きょう、これから質問に入りますけれども、一つ目、まず、総理、通告しておりませんけれども、大局的な視点で一つお聞きしたいと思います。
安倍総理、これから数十年後を見通して、我が国最大の構造的課題とは一体何か。いろいろあるかもしれません。しかし、一つ挙げるとすれば何か。安倍総理の御見解をお聞かせください。
○安倍内閣総理大臣 最大の課題は、人口問題、また人口構成が大きく変わっていくことでありまして、これに対応できなければ社会保障制度の仕組み自体が危うくなっていくわけでありますし、まさに我々の経済的な豊かさを維持していくことが厳しくなっていくとも言えるんだろう、こう考えております。
○重徳委員 この点、まさしく私自身の問題意識と完全に一致しております。
人口問題、これは、本当に国の活力を奪う、日本国にとって最大の問題だと思います。間違いなく、人口問題に正面から取り組むことがこれからの最大の政治家としての仕事だ、そう任じて、私、初当選から三年少々でありますが、常々この問題に言及をしてまいりました。
この週末も、地元、私は愛知県の岡崎市、西尾市、幸田町というところなんですけれども、成人式が行われました。新成人の晴れやかな姿を見ながら、また成人の新たな門出をお祝いしながらも、改めて、やはり、若い人たちが子供を産みたい、育てたいと自然に思えるような、こんな温かい地域社会づくりをしていかなくちゃいけない、こういう思いを新たにいたしました。
問題は少子化対策なんという言葉に表現されておりますけれども、少子化対策なんという、先細りの少子化、これをぎりぎり支えるだけのこんな政策じゃいけないということで、常々私は、子供がふえる社会をつくろう、増子化社会をこれから目指していこうじゃないか、こういうことを提案させていただいております。この増子化社会づくりに全力で取り組まなければ国が滅んでしまう、私はそう思っております。
そして、少子化の最大の要因は、統計的にも、やはり晩婚化、非婚化という現象にあると言われております。理由はさまざまですし、個人個人の人生の選択、あるいは選んでそういうことになっているわけじゃない方ももちろん大勢お見えになることは重々承知をしておりますが、やはり大事なことは、私たち政治家が思いをいたさなきゃいけない。これは、若者が将来への希望を持てない状況になっている。そして、その大きな要因の一つが、将来に対して無責任な政治だと私は思っております。その最たるものが、莫大な累積赤字を抱えている、抱えていてもなお税金の無駄遣いを続ける政治だと思います。
このパネルも、いろいろポイントを並べておりますが、四つ目にあります「将来世代の一人あたりの債務負担の軽減」、将来の人がふえれば、当然一人当たりの債務負担というのは軽減されるんです。若い人たちは、知ってか知らでか、こういったことにも敏感です。ですから、若い人と話していると、決して、巨大な道路をつくってくれとか大きな橋をかけてくれとか、こんなことを言う若者はほとんどいません。それだけ彼らは、彼女らは、将来に対する不安を抱いておられるんだと思います。
そこで、それなのに、今回の補正予算、非常に大きな問題があると思います。臨時給付金、何度もこの委員会でも取り上げられました。一千百万人もの低所得と言われる高齢者の皆さんに三万円ずつ現金をばらまく。これで三千六百億円です。
それは、お金をもらってうれしくない人はいませんよ。ですから、だからこそ、これは選挙対策と言われるのであります。アベノミクスの果実という表現がありますけれども、私は禁断の果実だと思いますよ、これは。
安倍総理、この補正予算三千六百億円、撤回をして、私が提案をしております増子化社会を目指す、そういう若い皆さんへの先行投資をするか、あるいは、どうしてもというんだったら、むしろ将来世代への責任として借金の返済に充てるべきだと私は思います。
いかがですか、総理。これはもうイエスかノーかで、制度の内容、趣旨などは、もう十分委員会で聞いております。イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 子育て世代への支援については、我々は七千億円を使っているわけでございます。そして、低年金の方々、年金生活者の高齢者の低所得の方々につきましては、まさに私たちの経済政策の恩恵を受けない方々でございまして、そして消費性向が高いということでございますので、この方々に今回三万円を給付させていただくということでございます。そして、消費税が一〇%に上がる際には、八十七万円以下でありますが、大体同じような政策を、六万円ということで、倍額で行っていくわけでございます。
ですから、一年早く、これは私たちの政策の果実として行わせていただく。住民税非課税ということで、これは事務上も可能だということで実施をさせていただく。ミクロ政策としてもマクロ政策としても正しい政策であると考えております。
○重徳委員 お言葉ですが、一千百万人の高齢者、低所得と位置づけられています。でも、高齢者、六十五歳以上の方というのは三千三百万人。三人に一人は低所得者で、だからお金を渡すんだと。これは渡し過ぎだと思いますよ。そして、現役世代は賃上げの恩恵を受けているから渡さないんだと。賃上げの恩恵を受けている人ばかりじゃありません。そういう状況から目をそらして、こういう三千六百億円、また来年度から続くんだという、来年度以降は消費税がありますから、今年度だけで三千六百億円。これは巨額です。
若い世代に対して後ろめたいような気持ちというのは全くありませんか、総理。
○安倍内閣総理大臣 我々は、私たちの経済政策によって、二十一兆円、国、地方税収はふえたわけでありまして、アベノミクスの果実と言えるんだろう、こう思っております。
そして、その果実を、高齢者の方々に、あるいはまた子育て支援のために使っていく。
例えば、一人親家庭の支援も行っていきます。児童扶養手当についても、二子、三子の増額をさせていただいております。五千円を一万円へ、三千円を六千円へと。これは所得に応じていくわけでありますが、モデルケースとしてはそういう対応をしていくわけでございますし、そしてまた幼児教育の無償化についてもしっかりと進めているわけでございます。
そういうことはしっかりと手当てした上において、高齢者の方々の消費性向が高いのは事実であります。消費の落ち込みが懸念されるのも事実でありますから、マクロ政策として正しいと言ったのはそういう意味でございますが、それとともに、先ほど申し上げましたように、やはり、私たちの経済政策において恩恵が行き届いていないところ、全部というわけにはいきませんが、できる限りのところで今回それを実行させていただいているところでございます。
○重徳委員 今、総理は何度か、アベノミクスの果実、あるいは消費性向の高い高齢者に配ることによって、これは消費を喚起する、そういう意味でおっしゃったんだと思いますが、気になるのが、今回の補正予算から、アベノミクスの果実の活用とか均てん、均てんなんて役所言葉でわかりにくいんですが、そういう言葉が随分出てきたなと思うんですね。
つまり、税金を直接個人個人に配って、いわば景気対策なわけですね。こういう政策というのは、本来常に行われるべきことではないと私は思います。
税の再配分というのは、基本的には、社会保障、すなわち所得格差の是正とか福祉政策とか、こういったことに充てられるのが王道であります。
ですから、今回も、趣旨の説明、制度の説明を聞くと、この給付金というのが、年金生活者支援給付金、六百万人対象の、これの前倒し的なものなんだというふうに、社会保障的な政策だという説明が行われる一方で、この三千六百億円は、GDP六百兆円の実現、個人消費の下支え、経済の下振れリスクへの対応、そして消費性向の高い高齢者に配るんだ、こういうことなんです。
私、アベノミクスというのは、もともと、いわゆるトリクルダウンといいましょうか、いろいろな説明がありますが、民間の間でお金が回っていく、そういう好循環を目指すというのが本来の目指していた、この三年間ずっと総理が目指されていたことなんじゃないかと思うんですが、ここへ来て、民間同士のお金の回りじゃなくて、一旦税収として入ったものを再分配する、そういう政策に特に今回の補正予算から大きく転じたんじゃないか、こう思うんですね。
アベノミクスの本来は民間の経済の活性化でありまして、そのような官製の、役所が一回、集まった税金を三万円ずつ一千万人以上の人に、これは社会保障じゃありません、本来の低年金対策は六百万人が対象のところを一千百万人に広げて、事務的な理由とか一回だけだからとか、そういうことをおっしゃいますが、そういう問題じゃないと思います。
先ほど申し上げました、若い世代への責任を考えれば、将来のことを考えれば、安倍総理も最大の課題だというふうにおっしゃった人口問題に対応するためにも、一過性の三千六百億円、このようなものをアベノミクスの果実として分配するのは大きな政策の転換のように私は受けとめるんですが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 まさに、私たちは、将来を考えているからこそ機動的な運営をしているわけでございます。
このように私たちのアベノミクスの果実を有効に生かした例はほかにもあるわけでありまして、消費税後の反動減の緩和を図る観点から、一般の住宅取得に係る給付措置、これは千六百億円を実施いたしました。また、プレミアム商品券などを対象とする地域住民生活等緊急支援のための交付金、これは二千五百億円でありますが、こうしたものを実施しております。
これは、その給付が行き渡る人たちプラス、やはり消費にいい影響を与えていく、経済にいい影響を与えていって経済が腰折れしないようにしているわけでございます。
経済が腰折れしたら、これは元も子もないわけでありまして、我々は、腰折れしなかったからこそ、この二十一兆円という果実を得ることができた。こうしたことは、ちゃんとマクロ経済管理をしながら正しい支出をしていけば、また新たな果実を産み落としていくということではないかと考えております。
○重徳委員 これで終わりますけれども、いかに言っても、一人三万円ばらまくというのは、文字どおり、ばらまきだと思います。また、上振れ分、あるお金は全部使ってしまえ、こういう発想じゃなくて、財政再建を少しでも前倒しするという気概がなければ、今の若者たちの希望に応えることはできません。
こんなことを申し上げまして、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○竹下委員長 これにて重徳君の質疑は終了いたしました。
これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。
次回は、明十三日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時散会