平成26年4月2日 厚生労働委員会
「医療と介護の連携を!」
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○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦でございます。
きょうは、私は、認知症について質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、認知症の要介護認定について御質問をさせていただきます。
まず、認知症の要介護度の判定においては、一般論として、心身の状況調査や主治医意見書に基づいて介護の必要量や時間が判断されるということになっておりますが、認知症の場合は、実際の介護現場では四六時中様子を見なきゃいけない、そういう方もいらっしゃって、どうも介護に要する労力だとかコストに介護報酬が見合わないんじゃないか、こういうケースが多発しているというふうに多くの関係者から声が聞こえてまいります。利用者や家族側から見れば、要介護度の低い認知症の方を施設がなかなか受け入れてくれないということですね。事業者側からすると、そのコスト、労力に見合わないということになると思うんです。
この認知症に係る介護のコストをもっと適切に要介護度の判定に加味するべきではないかと考えますが、認知症について、要介護度の判定は適切に今行われているとお考えかどうか、大臣に質問したいと思います。
○田村国務大臣 委員もおっしゃられましたとおり、一次判定においては、七十四項目の基本調査それから主治医の意見書、こういうもので機械的にコンピューターで判定をしますが、二次審査は、判定審査会において、主治医の意見書や特記事項、こういうものを踏まえて判定するわけでありまして、そのような意味では、申請者の状態といいますか、そのようなものも勘案しながらと。
以前からこの議論はずっとあったわけでありまして、前回、この審査方法を見直すときにも、認知症に対してどのような形でしっかりとした審査ができるかということも踏まえてやってきておるわけでございまして、そのような意味では、認知症に対しても一定の、要介護という意味からいたしますと、判定においての対応といいますか、それはしてきておるわけであります。
一方で、それぞれ審査を受けるためには当然のごとく認定調査員が調査をするわけでありまして、そこの能力というものをある程度そろえなきゃいけないわけであります。これは、しっかり研修をやりながら、全国一定のレベルでしっかりと調査ができるようにということも引き続きやってまいってきておるわけであります。
○重徳委員 今大臣から認定調査員の能力向上について言及がございましたけれども、やはり認知症の判定というのはなかなか難しいと言われておりまして、その時々によって調子がよかったり悪かったりもちろんしますし、それは見た目にもわからないというようなこともありまして、それが軽目に判定されてしまった場合に、先ほど私が申し上げたような問題が出てきてしまうということであります。ですから、おっしゃるように、重要なのは、認定調査員が、きちんと調査をする、把握をする能力と経験を備えることができるかどうかだと思います。
認定調査員は、ケアマネの方なんかがやっておられますけれども、バックグラウンドが医療系の看護師さんだったりする場合もありますし、また介護施設での一定期間の経験を持っておられる方の場合もあります。いろいろなバックグラウンドがあるものですから、それぞれもちろん強みもあると思いますし、そこがうまく強みが発揮できない場合に、いろいろな問題が出てくるということだと思います。
それで、ちょっと一つ、先ほど大臣から一次判定、二次判定というお話がありましたので、一次判定でコンピューター、機械的に見抜けなかった部分を、二次判定においてどの程度それを補正して適切な判定ができているかどうか。この点について、数字的に把握ができていれば、一次判定の結果どれだけの判定があったものが二次でどのぐらい変わったものがあるかというようなことも含めまして、二次判定が一体何のためにあるのか、このあたりを御答弁いただければと思います。
○原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。
要介護認定審査の二次判定におきましては、先ほど大臣の方からも御答弁がございましたように、認知症の方を含む申請者の固有の介護の手間、こういったことも審査会で十分に加味しながら判定をさせていただいているわけでございます。
実際どのくらい一次判定と二次判定で変更があったかという御質問でございますけれども、これは平成二十四年度の保険者からの報告を単純に集計したものでございますけれども、要介護認定データをもとに集計したものでございますが、要介護認定の一次調査の結果は、要介護認定審査の二次判定において全体で一三・五%変更されているという数字が一つございます。
○重徳委員 全体で一三・五%という数値で、これを多いと見るか少ないと見るのか。多ければいいという話でもまたないとは思っておりますけれども、現場の方の感覚ですと、一次で通ったものがそのまま二次で通っちゃって、ただの二度手間じゃないかという感覚をお持ちの方もやはりいらっしゃるわけですね。
それは何でそうかというと、適切な結果が出ていればいいんだけれども、一次でちょっとおかしいなと思われる判定が二次でそのままするっと行っちゃっているんだったら、何の意味もないじゃないかというふうな厳しい声も上がっております。
この点、ぜひとも、保険者からの報告を受け取って集計したらそういう結果だったという今の御答弁だと思いますけれども、ずっと大臣もこれまで言われ続けてきたことだという御認識もあるわけですから、ここは、現場がどう受けとめているのか。これは事業者側もそうですし家族側もそうですし、なかなか受け入れてくれないんだという家族の声も聞きますので、そういった実態をきちんと把握して適切な運用、場合によっては、認知症の場合のもうちょっと特例的な要介護度の判定の仕方というもの、もう少し改善する必要があるんじゃないかと思うんですが、そのあたり、今の話を受けて、いかがでしょうか、大臣。
○原(勝)政府参考人 公平公正な要介護度認定調査というのが必要だと思いますので、一次判定における認定調査員の研修の充実によって技術を上げるとか、あるいは、御案内ございましたように、やはり私たちも、各都道府県で具体的にどういうような認定の状況にあるのかの情報も十分収集しながら、きちんとした認定調査ができるように努力をしてまいりたいと考えております。
○重徳委員 情報も収集してきちんと対応されるということでしたので、これは期待しております。ぜひよろしくお願いいたします。要望いたします。
それでは次に、認知症への医療と介護のかかわりについて質疑をしてみたいと思います。
認知症というのは、基本的には、手術をして治すとか薬でぱっと治るとか、そういうことではないものだと考えられます。したがって、基本的には、介護でしっかりとケアをし、サポートしていくというのが認知症だと思うんですが、その一方で、その時々の症状によっては、投薬、医療的な措置が効果があるという場合もあると思うんです。
そこで、まず確認なんですけれども、認知症への対応におきまして、どういう場面で医療行為、医療的な処置というものが必要になってくるんでしょうか。
○原(勝)政府参考人 まず、認知症というのは実は介護保険法で一応定義がございまして、「脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態」である、これが法律上の定義でございます。
このように、実は認知症というのは、そういう状態を言っているので、いろいろな原因であったり、さまざまでございます。
したがって、その医療というものも一律にこうだということはなかなか申し上げにくいんですが、大きく認知症と医療との関係で申し上げますと、一つは、やはり何といっても早期に認知症という鑑別診断をしていただく必要がありますから、そういった意味での適切な診断という面で医療がかかわってくる。
それから、次に出てくるのは、そういう認知症の診断ができたときに、認知症の行動、心理症状といいまして、いわゆる記憶の認知機能低下といったような中核症状に加えまして、例えば抑うつですとか興奮ですとか、徘回とかあるいは妄想でございますとか、そういう行動、心理症状というのが出てくるのが認知症の特徴でございます。
したがって、そういった認知症の行動、心理症状を低減するための薬物療法、あるいは、残念ながら、認知症というものについては、これを完全に治すという薬もまだございませんけれども、そういった進行をおくらせるといったような効果のある医薬品も出ておりますので、そういった認知機能の維持向上というんでしょうか、こういうもののために薬物療法をするということがあろうかと思います。
さらには、認知症そのものではございませんが、糖尿病だとかいろいろな病気を持っておられる高齢者の方で、あわせて認知症も患っておられるというような場合に対しては、当然、認知症のことを十分踏まえた上での本来のふさわしい医療の提供、糖尿病等の合併症の治療ということが必要になってくるというふうに考えております。
○重徳委員 ですから、介護に加えて、さまざまな場面で医療の出番もあるというようなことだと思うんです。
こうした認知症の方々というのが今、日本国内全体で、いろいろな数字はあると思うんですが、厚生労働省としては、何人いて、その方々は、御自宅にいらっしゃる方が多いのか、病院なのか介護施設なのか、一体どこに実際いらっしゃるか、このあたりを把握しておりましたらお願いします。
○原(勝)政府参考人 認知症の方の数につきましては、いろいろな捉え方がございまして、昨年度末には、いわゆる有病率に基づいた推計というものもございまして、これだと四百四十万人いるというような推計、六十五歳以上人口の一三%というような数字もございます。
私ども、一応、確実に把握するという意味で、平成二十二年、二〇一〇年の時点で、要介護認定申請をした方で、認知症高齢者の日常生活自立度という判定基準がございますけれども、この二、二といいますのはどういう基準かと申し上げますと、日常生活に支障を来すような症状、行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる、こういった基準以上の重い方について、要介護で認定された方について調査をしたところ、二百八十万人という数字がございます。
また、居場所でございますが、その同じ調査の中で、認定を受けた方がどこに居場所があるかということもあわせて調査をして推計しておりまして、これによりますと、二百八十万人の中で、居宅で百四十万人、半分でございます。それから、介護老人保健施設で四十一万人、医療機関で三十八万人といったような状況になっております。
○重徳委員 ありがとうございます。
在宅の方が半分ということでございますし、それはそれで御家族もいろいろな御苦労があったり、御心配されている方も多いと思いますが、一方で、介護施設、さらには医療機関に入院、入所されている方が四十万人ぐらいいるということなんです。
ここで、ひとつ話題を介護療養病床に転じてみたいと思うんです。
もちろん、介護療養病床にいらっしゃる方も、認知症の方はそれなりに大勢いらっしゃると思うんです。この介護療養病床ですが、廃止するという方針になりまして、平成十八年には十二万病床あったのが、今は七万というところまで来ている。これは、減ったといえば減っているんですけれども、もっと減らす予定だったところ、なかなか減っていないということで、目標の年次を六年間延長して、今またこの取り組みを続けておられるわけなんです。
認知症の方、すなわち介護も必要、医療も必要というような方に対しまして、介護療養病床の機能というのが、現場の方々の感覚的なものも含めて、本当にこれは必要ないのか、廃止しちゃって本当にいいのかという思いを持っておられる方が医療関係者でもいらっしゃいますね。要は、ほかにきちんとした居場所がない方がいて、やはり介護療養病床が居場所として一番ふさわしいのではないかというようなことを感覚としてお持ちだというのがあるわけなんですね。
この介護療養病床について、後ほどまた老健施設との関係について取り上げたいと思いますので、このあたりは後ほど少しお話をします。
介護療養病床において、これもちょっと中途半端といえば中途半端なものですから、本来、医師と看護師はそれぞれの役割があるはずなんだけれども、医療行為に携わるために置かれているはずの看護師さんが、例えば患者さんの下の世話ばかりせざるを得ない状況になったりとか、もう少し介護職員の配置をふやすべきではないかという指摘があるんです。
この点について、つまり介護職員の配置の基準をもっと上げるべきじゃないかという指摘があるんですが、厚労省としてはいかがお考えでしょうか。
○原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。
答弁に入る前に一点、私、先ほどの答弁で、認知症の方がどこにいらっしゃるかということで、介護老人福祉施設四十一万人というところを、介護老人保健施設と申し上げてしまいまして、申しわけございません。特別養護老人ホーム等の介護老人福祉施設が、全部合わせたものが四十一万人ということでございます。失礼しました。
御質問でございますけれども、認知症を有する者の介護に当たりましては、特有の行動、心理症状等に対応する必要がございます。このために、介護療養型医療施設におきましては、日常生活に支障を来すおそれのある症状もしくは行動が認められる認知症の者が一定割合以上を占めているなどの場合におきまして、専門的なケアを適切に評価する観点から、認知症専門ケア加算というようなもので評価してやっております。
もともと介護医療施設につきましては、配置基準上も、百床当たり看護師で十八人、介護職で十八人というような配置基準になってございますので、さらに介護の対応が必要な場合は、今申し上げました認知症専門ケア加算、こういうようなものを活用していただいて配置を厚くしていただくという対応をお願いしたいと考えているところでございます。(重徳委員「どのぐらいの加算ですか」と呼ぶ)
これにつきましては一定の要件がございまして、先ほど言いました認知症の日常生活自立度ランク三以上の方が入所者、入院患者の総数のうち二分の一以上いるような場合とか、あるいは認知症の専門的な研修を修了しているような方がちゃんと指導するとかいったような要件がございますが、それを満たした場合には、認知症専門ケア加算一として、一日につき三単位でございます。さらに、施設全体の認知症ケアの指導をその専門の研修を受けた方が指導して実施しているとか、あるいは研修計画をつくっているというような場合には、この三単位が四単位ということで、一単位高い単位にしてございます。
○重徳委員 介護療養病床にはがん患者の方もお見えになりますし認知症の方もいらっしゃるということで、医療と介護というものを完全に切り分けようとすることにやはり違和感を感じている現場というものを感じます。このあたりも、後ほどまた議論させていただきたいと思います。
ところで、認知症施策につきましては、厚労省は、平成二十四年の九月に認知症施策推進五か年計画というものを定めまして、これまでの認知症ケアの流れを変えて、状態に応じた適切なサービス提供の流れを構築するんだ、こういう方針を打ち出されました。
これは、特に、危機が発生してからの事後的な対応から、危機の発生を防ぐ早期、事前的な対応に基本を置くということで、認知症初期集中支援チームだとか認知症地域支援推進員といったものを配置する、こういうことが進められているということでありますが、やはりなかなか現場ではうまく連携ができていないということもたくさんございます。
端的に、一例として、例えば、本当は統合失調症である高齢者の方が、精神科医の方に診ていただければよかったんでしょうけれども、必ずしも専門ではない内科の方とか、そういう他の診療科の先生に認知症だというふうに診断をされて、認知症だから介護サービス、デイサービスを受けに来ましたというケースがしばしばあるということでございます。
医療と介護との連携というものがもっとうまく図られないと、つまり、この方は認知症じゃないということを介護の方から言っていく、権限を持って決めることはできないわけなので、ですから、やはり医療機関の方でできるだけ適切な、最初から専門医の正確な診断を受けられるような、そういう体制が必要だと思うんですけれども、このあたりはいかがお考えでしょうか。
○原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。
認知症の方を支えるためには、御指摘のように、まず、可能な限り早期の段階から専門医による認知症の鑑別診断を受けていただいて、その状況に応じた適切なサービスを受けるということが大変大事だろうと思っております。
そのためには、高齢者にとって地域で身近な医療機関であるかかりつけ医や、介護等の相談の窓口である地域包括支援センター等において、まず、専門的な鑑別診断を行う医療機関である認知症疾患医療センターに適切につなげていただくということが重要でございます。
この認知症疾患医療センターでございますけれども、私どもが今年度から進めております認知症施策推進五か年計画におきまして、現在は全国二百五十カ所ほど配置されています。これは、例えば基幹型といって、MRIのようなものを置いたりあるいは空床を確保しておくといったような大きな医療機関から、地域型というようなもの、幾つか種類がございますけれども、こういうものが今全国で二百五十カ所整備されていますが、オレンジプラン、認知症施策推進五か年計画では、これを五百カ所、一応目標という形で整備していきたいというふうに考えているところでございます。
いずれにしましても、こうした取り組みを進めるためには、地域での医療と介護の連携、先ほど言いましたように、やはり地域包括支援センターであったり、あるいは私どもが今年度から取り組もうとしています認知症初期集中支援チームの設置であったり、こういう介護のところからうまく早く医療の方につなげて早期に認知症の鑑別診断をしていただく、そして適切な医療を受けていただくということが大変大事だろうと。
医療と介護の連携につきまして、これからも努力してまいりたいと考えております。
○重徳委員 これから本当に認知症の方が急激にふえてくるという見通しもありますので、このあたり、スピード感を持ってやらないと、やはり地域包括支援センターの実情も、今、地元でいろいろ話を聞きますと、何ともまだまだ未成熟というか、一応そういう名のものはあるんだけれども、きちんと機能しているか、地域にきちんと根差して連携をとるかなめになっているかというと、非常に心もとない状況もまだまだあります。これは本当に力を入れてやらないと、医療、介護がばらばらのまま、それぞれが空回りするような、こういう状況も十分に想定される、既にそうなっている、そういう状況だと思いますので、ぜひとも危機感を持って取り組んでいただきたいと思っております。
それから、早期に鑑別診断を行って対応していく必要性について今局長から話がございましたが、認知症については、認知症を専門にやっているデイサービス、認デイなんというふうに言われるようなんですけれども、ここにスペシャリストがいらっしゃることがあって、認知症の早期対応から重度に至るまでずっとその施設で、施設をかえずに進行に合わせて継続的に対応する、こういう非常に重要な存在だと思うんです。
この認デイというものについて、例えばこのたび提出された地域の医療介護法案の厚労省のいろいろな説明資料を見ても全然登場してこないんですけれども、厚労省として、認知症デイサービスについて、その重要性や意義についてどのように認識をされているか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○田村国務大臣 認知症デイ、認知症対応型通所介護でありますけれども、認知症の進行を緩和させる目標設定なんかをしていただきまして、例えば地域住民の方々と交流をしたりでありますとか地域活動に参加していただきながら、少人数でサービス提供をいただくわけであります。精神、身体、いろいろなプレッシャーを緩和していくという意味では、家族に対しても一定程度の対応ができるわけであります。
基本的に、新聞なんかでも、余り利用されていなくて途中で閉めちゃったなんというような報道もあったような、そんな記憶がありますが、軽い認知症ですと通所デイの方に行くわけですよね。デイサービスの方に行かれるということでありまして、そういう意味では、軽い方も対応できるわけでありますが、重い方々に本来は来ていただいて、一般のデイサービスでは対応できない方々がこの認知症対応型通所介護にお越しをいただいて認知症の重度化というものをある程度緩和していくということ、これは大変重要なことであります。こういうようなサービスがあるから地域包括ケアシステムが成り立つわけでありますので、かなめであることは間違いないわけであります。
まだ十分に周知されていないということがあるのかもわかりません。そのような意味では、我々、ケアマネ協会等々にもこれからもいろいろな形で促していきながら、やはり認知症というものはこれから大きな、日本の介護の中での一つのポイントといいますか重要な問題にもなるわけでございまして、しっかり地域で生活をいただく中においてこれがしっかりと機能していくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○重徳委員 今大臣が言われたように、軽度ならどこの施設も、喜んでというか、受け入れるわけですよね。ですが、やはり重度になると普通のところでは受け入れがたいという問題があり、重度でも対応できる体制をとっているのが認知症デイだと思うんです。しかし、これは矛盾しているんですよね。軽度のうちに、早期のうちに対応するのが一番いいといいながら、やはり重度専門みたいな形に認知症デイがなってしまっている。
本来は、やはり軽度のうちからどうすれば認知症の進行を少しでもおくらせることができるかということのプロフェッショナルが認知症デイにいらっしゃるわけですから、軽度のうちからそこに入るというか、そこでサービスを受けることが一つの理想だと私は思うんです。
やはり認知症デイは単価が高いということで、ケアマネの方がよくよく理解してくださらないとそちらにつないでもらえないとか、もちろん利用者、御家族の方は、どうせなら高いよりも安い方がいいということで安い方に流れていくこともあると思います。
だけれども、一方で、グループホームを活用した場合の認知症デイ、これは共用型というんですね。共用型の場合は通常のデイよりも基本部分が安い設定になっておりますので、これは利用者にとってもメリットがあるはずということで、いろいろな形でこの認知症デイの意義とか価値というものを、もっともっと理解を浸透させることができれば、みんなにとって幸せな状況がもっと生まれてくると思うんです。
今、大臣としても、これは一つのかなめであることは間違いないということもおっしゃってくださいましたけれども、現場においてもっと浸透させるために国としてももっと周知徹底を図っていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○原(勝)政府参考人 大事な御指摘だと思います。
私どもとしては、利用者や自治体のほか、サービスの選択において重要な役割を担っておりますケアマネジャー、介護支援専門員の団体などに対しても、認知症対応型通所介護サービスにより認知症の症状が緩和した事例を紹介するなど、その有効性や役割について周知をしてまいりたいと考えております。
○重徳委員 これも要望なんですけれども、ぜひともしっかりと厚労省として取り組んでいただきたいと思います。
次に、老健の話をしてみたいとも思います。介護老人保健施設ですね。
この老健の本来の姿は、介護保険法にきちんと「入所者の心身の諸機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるため、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを計画的に行わなければならない。」と書いてありまして、「その者の居宅における生活への復帰を目指すものでなければならない。」このように明記されています。
しかしながら、実態は、これは厚労省の担当の方からきのう教えていただいた数字ですが、復帰率五〇%以上の施設は極めて少ない、五%ぐらいしかない。それから、三〇%未満という施設が大半、七五%を占めているということでありまして、本当に、老健が一時的に入所してリハビリを受けて復帰する施設であるという定義とは大きく乖離している実態があるようです。
また、一人当たりの介護報酬の枠、制約があるということもありまして、薬が必要な場合に適切な薬が提供されないとか、いろいろな制約もありまして、一説には、薬が必要になったら老健を一回出されて、病院から薬を大量にもらって、それでもう一回老健に戻ってくるとか、いろいろなことが指摘をされております。
このような老健の姿というのは、本来の姿と違うんじゃないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
○田村国務大臣 おっしゃられますとおり、老人保健施設は、在宅復帰を目指すということが本来の機能であるわけであります。
しかしながら、今委員がおっしゃられたような課題が以前から言われておるわけでございまして、平成二十四年度の介護報酬改定の中において、これは民主党政権の中で行われたことでありますけれども、在宅復帰支援機能に着目しまして評価をするということで改定をしたわけであります。結果、一定程度、在宅復帰率は上がっておりますし、在所日数も短くなっている部分もあるわけであります。
ただ一方で、実態として、言われるように、長期に施設の方に入所されている方々というのは今もおられるわけでありまして、これをいきなり追い出すというわけにもなかなかいかないという部分もあります。
いずれにいたしましても、審議会の方でこれからも御議論いただきながら、老健施設のあるべき姿といいますか役割というものをいろいろと御議論いただいてまいりたい、このように考えております。
○重徳委員 しっかりと機能分化に取り組んでいくというのが今の国のスタンスだと思うんですが、そういう意味では、本来の姿と全然違う姿に今なっていて四苦八苦している、こういう状況を解消していかないと、何が何だかよくわからなくなると思うんですね。
ですから、老健は、ずっと当直のお医者さんがいるわけじゃないので、通常はみとりはしないということになっているので、最期、亡くなるときには、基本的に病院の方に移された形で、病院でみとられるということがそういう意味では本来だと思うんですけれども、最近ではみとりを行う老健施設もふえてきているということですので、これまたやはりおかしいというか、個々人の方には全く何の罪もないんですが、やはりあるべき姿からは離れてしまっている。
一方で、先ほど指摘をしました介護療養病床なんですけれども、こちらは、お医者さんがずっといるわけですから、みとりができる医療機関というか、介護もやっている医療機関なわけですよね。そういう意味で、先ほどの、介護療養病床をこれから廃止するんだということで、これまで七万床まで減ってきているというところなんですが、やはり今みたいに、老健なのか介護療養病床なのか、その役割も実態も本来と違う、そういう姿がある中で、本当にこれから介護療養病床をきれいに、机上の絵としてはきれいかもしれませんけれども、実態はちょっと違和感があるなと思っております。
平成二十年の改正によりまして、老健も、介護療養型老健というものができて、看護師さんも夜間に対応できるようにするとか、みとりもできるようにするとか、さらには特例ができて、本来八平米の床面積のところを六・四でもいいよとか、ベッドの数も減らさない、そういうことを前提にしているので、何でそんなに無理やり介護療養病床から老健に移行させるのか、意味がよくわからないという状況になっているんじゃないかと思っております。
このような意味で、みとりというのは一つの象徴的なことだと思うんです。みとりを老健がするようになったというのは、介護療養病床から転換する、そういう受け皿としての機能をするようになったという意味では前進だと思うんですが、先ほど大臣がおっしゃったように、本来の老健の姿とはまた違うわけでありまして、本当に矛盾だらけだと思うんです。
このみとりをやっている老健の姿について、国としてはどのように評価しておられるんでしょうか。
○原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。
介護老人保健施設は、御指摘のように、本来は入所者の居宅における生活への復帰を目指すというものでございますが、入所者の経過には個人差があり、結果的に、入所期間が長期化し、みとりに至る場合があるというのも事実でございます。
このように、施設が目指す短期での退所と相入れない事態が生じることもやむを得ない場合があるわけでございますので、このような状況から、介護老人保健施設の中には、多くのみとりを実際に行っている施設も一部にございます。このため、平成二十四年度の介護報酬改定におきまして、介護老人保健施設のみとりの機能も評価するといった報酬上の評価もしてございます。
今後の介護老人保健施設のあり方については、このような地域でのみとりの機能の一部を介護老人保健施設が担っている現状を踏まえまして、関連する審議会等において引き続き検討してまいりたいと考えております。
○重徳委員 今の段階ではそういう御答弁だと思いますが、現場も何だかわけがわからない状況になっていますので、ぜひともこれは真剣に御検討いただきたいと思います。
あと五分ということですので、二問いきたいと思いますが、ちょっと認知症とは別の話になります。
これから在宅医療、在宅介護というものを推進していく上で、胃瘻というものについては、胃瘻に流動食を注入するというのは今、医療行為というふうに位置づけられていますので、在宅介護を行う中で、その部分だけはお医者さんなり看護師さんにお願いしなきゃいけない、つまり介護職員では手に負えないということに法律上なっているわけなんです。
この部分、やはりこれから在宅を進めれば進めるほど、もちろん一定のルールというか基準は決めなきゃいけないと思いますが、できるだけ、介護の現場で一部だけ医療行為という場合には、介護職員もそういうことについてはできるようにルールを見直すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○岡田政府参考人 御指摘のように、胃瘻からの経管栄養などにつきましては、医行為だということで、従来、介護職員が行う場合には、当面やむを得ず必要な措置という法律上の解釈として取り扱われてきたところでございますが、介護職員などが事故を起こした場合の責任の所在をどう考えるのか、それから介護職員にとっても法的に不安定であるということで不安だというような御指摘もあったことから、平成二十三年の法改正におきまして、介護職員が業務として行うことを可能とさせていただいたところでございます。この法改正におきましては、経管栄養のほか、たんの吸引もその対象にして、介護職員が業務としてできるような形にしております。
その際、こういった行為は、安全の確保というのが非常に重要でございますので、医療的なコントロールのもとで行われるというようなことで、教育研修をしっかりと受けていただいた介護職員が行うこと、それから医師、看護師などの医療関係者との連携をしっかりするといった安全確保措置を講じた上でこういうことをやっていただくというような形で整理させていただいているところでございます。
介護職員の業務として経管栄養などの医療行為が行われておりまして、安全確保というのは最重要の課題でございますので、今後とも、ちゃんとした研修が行われて、医療関係者との連携がしっかり行われるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○重徳委員 現場にどんどん浸透させていって、あるべき、在宅のみならず、介護現場をつくっていっていただきたいと思います。
最後に、これから在宅介護、在宅医療を推進していくということになっていくわけなんですけれども、これは私も必要なことだと思いますが、相当な社会通念の転換が必要じゃないか、そのぐらい覚悟を決めてやらないと、いろいろな問題が出てくると思います。
もちろん、在宅ということは、おうちで誰かが介護サービスを受けながらも、でも、やはり家族の方がその方を面倒見なきゃいけないということになって、いろいろな負担が増すということは当然想定されることなんです。
これに加えて、昔は、お医者さんが家に来て、御臨終ですというふうに最期を迎える方が比較的多かったように思うんですが、最近は本当に、病院で最期を迎える方の方が圧倒的に多いんじゃないかなと思います、感覚的にですけれども。しかも、病院でも延命のための処置をいろいろとされることも昔よりも当然多いわけですから、なおさらだと思うんです。
そういう中で、家で人が死ぬということに対して非常に、それを敬遠するというか、それは怖いことだ、恐ろしいことだという感覚を最近は社会全体で、若い方々なんかはお持ちなんじゃないかなと思います。
このような意味で、在宅で家族が亡くなり、それをみとるということについてのふなれさ、あるいは抵抗感というものも克服していかなければいけない、克服という言葉がいいかどうかわかりませんが、それも一つの課題ではないのかなというふうに感じているところなんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
○田村国務大臣 みとりも出産も以前は自宅だったんですが、今や割合が逆転をしておるわけであります。
そういう意味で、人が亡くなるということを家族が経験することは、悲しいことではありますけれども、ある意味、人間として、生きるとはどういうことであるか、死ぬとはどういうことであるか、こういうことを理解する意味においては、一定の人生経験だというふうに思います。
急変時でありますとかみとり、こういうときに対応がなかなかできないというのが、家族にとってみれば、やはり在宅でいろいろな医療や介護を受けるということに対しての心配であるわけであります。
これは今般の法案もそうでありますが、都道府県、市町村が中心になって事業の実施計画をつくっていただくということでございまして、そのような意味では、一番近い市町村においてそれこそこの計画等々をつくっていく中において、当然のごとく在宅医療と在宅介護の連携推進というのが重要でありますから、この連携推進事業を地域支援事業に位置づけておりますので、各市町村でしっかりと体制整備を計画にのっとってしていただく。そのときには、やはり地域の医師会等々が大変な大きな役割を果たしていただくというふうに思います。
いずれにいたしましても、今法案の中において位置づけておりますので、どうか御理解をいただきながら、これからこの法案の御審議をいただければありがたいというふうに思います。
○重徳委員 ありがとうございます。
人のやることですから、とにかく現場が一番大事ということで、私自身、これからもいろいろと国の方にしっかりと伝えてまいりたいと思います。
ありがとうございました。