○渡辺委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 改革結集の会、重徳和彦です。
まず初めに、育休関連の質問をさせていただきます。
私自身、そして改革結集の会は、子供の数が減っていく少子化社会に対して、子供の数がふえていくと書いて、増子化社会を目指そうということを申し上げております。地域が本当に温かみのある地域になって、若い人たちが子供を産みたい、育てたいと自然に思えるような、そんな社会をつくっていこうじゃないか、こういうことを申し上げております。
昨日も、高校生の子たちが私の事務所を訪れまして、そのときにこの話をしたら、もう目をきらきらさせて、そんな社会になったらいいですねということを言ってくれるわけですね。やはり、こういうわくわくするような、社会に出て働くこと、そして結婚して子育てを楽しむこと、こういう両立できる温かい社会というのは、本当に若い人たちにとっても希望だというふうに私は認識をしております。
そういう前置きをしまして、育休法の二十三条、先ほど高橋委員からも質問ございました、所定労働時間の短縮措置、いわゆる時短、短時間勤務について質問させていただきます。
現行制度は、三歳に満たない子が対象なんですね。そして、未就学児、六歳までが努力義務となっております。しかし、三歳になったら親の手を急に離れる、自立するというわけではありませんので、まず六歳までも義務化すべきではないかと思いますし、もっと言いますと、六歳になったら一人で遊べる、一人で留守番できるかというと、これも通常は、その子によって違うかもしれませんが、小学校三年生ぐらいまでは、つまり九歳ぐらいまでは、一人で家に置いてくるとか、一人で子供を外で遊ばせるというのは、なかなか難しい年齢だと思います。
しかも、学童保育も小学校三年生までという扱いのところが多いわけですが、制度的に、保育所は結構、七時とか八時まで延長保育をしてくれるところもありますが、学童保育は基本的には六時ごろまでということで、むしろ小学校に入ってからの方が時短のニーズは高いという側面もあるんじゃないかと思います。
こういうことで、先ほど、香取局長の御答弁では、私、資料一で添付させていただいておりますが、これは去年の十二月二十一日の労働政策審議会「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」という建議なんですけれども、ここの二行目の終わりから、「短時間勤務制度を利用している労働者の多くが女性となっている現状を踏まえると、」とありますね。つまり、女性が時短制度を使っている、これ以上時短制度を充実させると女性のキャリア形成にかえって支障が出てくるんじゃないかというような指摘だと思います。これはこれで一面としてわかるんですが、ではどうすればいいかということで、ここの建議に書いてあるのは、「男性の育児への関わりを促進していく」とか「延長保育等の保育サービスの充実を図っていく」、そっちが先じゃないかということを言っているわけなんですね。
しかし、男性の育児参加とずっと言われておりますけれども、これを待ってから時短制度を充実させるとか、それから、延長保育でさらに子供を外に預ける制度を充実させるべきだというのは、さっきの高校生がわくわくする社会とは、私はちょっと、必ずしも一致しないんじゃないかなと。やはり、仕事を早く切り上げて、そして子供と過ごす時間をちゃんと持てる、この方がよっぽど、私、わくわくする社会だと思います。
その意味で、一応の厚労省の御答弁というか立場は、先ほどの高橋委員への香取局長の御答弁で大体わかったんですが、大臣にあえて政治家としての思いを述べていただきたいんです。
この基準、労働法制というのは最低基準ということですから、なかなか厳しい基準は設けられないと言いますが、結局は会社任せにするということですから、ここの部分はもっと政府がかかわるべきじゃないかと私は思います。
今、賃上げ要請というのが、経済界、労働界に政府がかなりコミットされておりますが、それは別に法律に何も位置づけられておりません。そういった政府の役割、権限というのは位置づけられていない。むしろ、本来的な政府の役割というのは、こうした、法制度でさまざまな労働上の規制といいましょうか基準を設けることの方が本来の政府の役割じゃないかと思います。
そういうことを、私の今申し上げました意見も踏まえまして、塩崎大臣、この三歳までに限定されている時短制度、義務づけが限定されている時短制度、さらに年齢を引き上げるべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○塩崎国務大臣 一つのお考えとして、先ほど共産党の高橋先生からもお話が出ました。
確かに、労政審の中では、労働側の御主張は、やはり年齢引き上げということであったようでございます。そして、最終的には、きょうお配りをいただいたようなことで建議がなされているというのが、労政審の、労使の話し合いの結果だというふうに思います。
いろいろ考えなければいけないことがたくさんあると思います。この建議にも書いてありますけれども、やはり、子育ては男女両方がほぼ平等にその負担をしょっていくべき時代だろうというふうに思います。
ですけれども、今回の労政審の結論は、この時短については、所定労働時間の短縮措置については三歳まででありますが、同時に、就学までの努力義務というのも課しているんですね。したがって、そこは、義務にするにはなかなか、結論に至るところまでいかなかったなということだったんだろうと思います。
今申し上げたように、やはり、誰が育児の負担を負っていくかというのは、男性が背負うべきことでありますし、それが実現するまで待っていられないというお考えも、気持ちもわかりますが、しかし、ではいつまで待っていたらできるのかというと、多分、二十年とか三十年とか五十年とかかかっちゃうかもわからない。むしろ、それはやはり、こういう形で合意の得られた、三歳までは権利として少し短縮することができるということにしていく。
と同時に、ここで大事なのは、やはり、これは安倍総理が、これから三年間、自分たちの安倍内閣にとっては働き方改革が最大のチャレンジだ、こう言っているように、まさに、働き方というのは、暮らしそのものであり、仕事そのものであり、それをどう変えていって子育てをしっかりと御夫婦でやるか。あるいはお一人の家庭ももちろんありますけれども、そういうときには別途また考えなきゃいけない追加的な要素はあります。
いずれにしても、私は、今回こういう形で三歳まで、そして就学までは努力義務、さらに、さまざまな子育て支援策というのは、放課後児童クラブについてもまだまだ十分じゃない、三年生まで行けるはずが、私の地元でも二年までという学校がまだ幾つもあります。そういうことを考えてみると、やはり総合的に資源配分もし、そして働き方も変えていく、そしてまたそれぞれの地域も変わっていかなきゃいけない、そんなふうに思いますので、とりあえず、今回のことにつきましては、こういう形でお願いを申し上げるということでございます。
○重徳委員 大臣、とりあえずというふうに、とりあえず今回はこういうことだという、そのとりあえずをちょっと深読みしまして、今後の可能性には大いに期待したいと思います。温かい増子化社会を目指して取り組んでいただきたいというふうに思います。
続いて、介護休業なんですが、介護休業、介護休暇、なかなか、取得率が低いということが見てとれます。
資料の二をごらんいただきますと、この左側の数字、先ほどから出ておりますけれども、介護休業は三・二%、介護休暇は二・三%しか取得されていないということがよくわかります。
これは原因はいろいろあると思いますが、ちょっと順番を飛ばしますが、大臣にまず一つお尋ねしたいと思います。
介護休業は基本的に無給の休業でありまして、そこには介護休業給付というものが一定割合で支給されるということで、その支給率も今回引き上げられるということでございますが、その上で、育児休業と比べますと、社会保険料が免除されていないという大きな違いがあります。育児休業は、三年間とれば三年間丸々、給付の方は途中で打ち切られていきますけれども、社会保険料は免除されている、平成十二年からは事業主負担も免除されている、こういうことであります。
何でもかんでも免除していたら財政がもたないとか、いろいろな御意見はあると思いますが、しかしながら、資料四をごらんいただきますと、まず取得者で比べますと、育児休業を取得している人は八十四万人、介護休業はまだ七・六万人なんですよね。そういう数字を見ても、財政負担がどこまで重いかというのも、育児休業と比べても随分、まだまだ軽いということが言えるかと思います。まして、政府の最重要政策目標の一つが介護離職者ゼロということであれば、こういった取り組みも、つまり、社会保険料を免除するということも考えるべきじゃないかと思いますが、このあたりはいかがお考えでしょうか。
○塩崎国務大臣 社会保険においては、保険料の納付に応じて給付を行うというのが原則でございます。
育児休業期間中の今御指摘のあった社会保険料の免除、これは大体一千億円、年間でございますが、一方で、免除する期間についても保険料の納付があったものとして、その期間に基づく給付も行うということで、特例的な扱いをしているというふうに考えるべきかなと。つまり、反対給付がちゃんと、本来は両方あるというのが原則だということでございます。
これは、育児休業が、将来の制度の支え手となる、つまり、社会保障制度の支え手となる次世代の育成につながる、こういうことでありまして、免除した期間に係る給付の財源を被用者保険全体で負担することについて、他の被保険者の方々あるいは事業主の御理解、つまり、拠出者の皆さん方の御理解が得られるということで、これまでこのような形で扱ってきたわけであります。
一方で、介護休業期間中の保険料の免除につきましては、今申し上げた次世代育成という育児休業と同様の意味合いは少し乏しいわけでございまして、また、特に年金については、保険料の上限を固定してマクロ経済スライドによる給付水準の調整を行っている中で、介護休業者の保険料を免除した上で給付を保障するところまで行うことが、さっき申し上げた、拠出者、他の拠出者、つまり他の被保険者や事業主、この理解を得られるかどうかというのがございまして、年金財政への影響も含めて、慎重にこれはまだ考えていかなければいけないことじゃないか。
しかし、今御指摘のお気持ちは大事なことでありましょうから、この介護休業期間中の所得保障という観点からは、雇用保険から介護休業給付が支給をされるということで、今回、四〇%から六七%に上げて、介護休業をとっても所得保障は以前よりもはるかに厚遇されるようになるということでございます。
○重徳委員 今後、介護休業がどのぐらい取得率が上がっていくかということも見ながら、この点も私は大事な制度設計の一つだと考えております。よろしくお願いします。
それからもう一つ、介護休業はなぜとりにくいか。制度を見ていくと、資料の三をごらんいただきたいんですが、そもそも介護休業をとる場合の対象家族、法律上は、配偶者、父母及び子並びに配偶者の父母、ここまでは明記されているんですが、このほかに、省令で、この資料三が省令なんですけれども、省令で定めるものを含むというふうになっているんですね。
この省令、施行規則ということですが、まあ、省令ですね、この第二条を見ますと、「労働者が同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫とする。」というふうに書いてあるんですね。つまり、おじいちゃん、おばあちゃんたちをお世話するときに、その働いている方が同居していて、かつ、扶養もしている、これが条件だということなんです。
最近は本当にいろいろな介護の実態というのがあります。遠いところに離れているけれども、時々訪れて介護をするということもありますし、それから、たくさんの要介護者を一人で抱えている、必ずしも同居しているとは限らない、扶養しているとも限らない、こういうこともあります。
こういういろいろな実態を見ますと、「労働者が同居し、かつ、扶養している」とまで限定させるような内容の省令は、ここの部分は削除すべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 今御説明いただいたように、現在の介護休業等の対象家族には、配偶者、父母、それから子、配偶者の父母に加えて、同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫というのが含まれているわけでございまして、この点について、三世代から成る世帯の減少に伴って、同居し得ない親族の介護を行う事例も見られるわけでございまして、そういうことを踏まえて、今回の改正法について御議論をいただいた労政審の建議では、祖父母、兄弟姉妹及び孫について、同居し、かつ、扶養というこの要件を外すということで合意を見られたというふうに理解をしております。
今後、この同居、扶養要件を定めている省令がございますから、これを改正する方向で、今回の法案を成立させていただいた暁には、労政審においてその方向で御議論いただくということでございます。
○重徳委員 わかりました。これは大きな前進だと思います。
今回のテーマは、本当に、要介護者はもちろんしっかり支えなくちゃいけないんですが、介護する側が、働きながら、離職することなくということでありますので、こういった、一つ一つ、制度には、法律上のレベルだけじゃなくて、政令、省令、さまざまなレベルがあります。さらに、この分野は、企業、経営者側への指導というようなことで厚労省が大きな役割を果たしている部分もあります。こういったことを総合的に行って、取り組んで、育児、介護の環境をしっかりと整えていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。