○渡辺委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 民進党の重徳和彦です。
今、荒井先生から、過去のこれまでの経緯も含めた、社会を変えるというのはこういうことなんだということを本当に実感させていただけるような質疑、大変感動的な気持ちを持って拝聴しておりました。
障害者は、英語でチャレンジドという言葉があるように、やはり我々自身がこの日本社会を大きく変えていく、チャレンジをしていくという意味においても、本当にこの障害者施策は、私たち政治家が、これは与党も野党もなく、社会を大きく変えていく重要なテーマだというふうに思っております。
昨日の参考人で、竹中ナミさん、プロップ・ステーションの理事長さんが来られて、障害者の皆さんにタックスペイヤーになっていただけるような取り組みを求めるというお話がありました。障害者は働けないものなんだ、働けと言ってはいけないんじゃないかという根強い意識がある、これを変える必要がある、こういうお話もございました。
もちろん、障害の特性や程度によって働くどころじゃないという方も大勢おみえになることは重々承知をいたしておりますが、しかしながら、ノーマライゼーション、多くの皆さんが当たり前のように社会で活躍をしていただけるような、そういう施策をどんどんと推進していけるように私たちも取り組んでいきたいと思っております。
そういう意味で、就労定着支援というものが今回サービスの一つとして創設されるということであります。きょうは、この就労定着支援について初めに質疑をさせていただきたいと思います。
障害者の方が一定の訓練を受けて、あるいは特別支援学校を出て一般就労するということ、これに対するその後のサポート、定着を支援するということ、これが平成三十年四月から本格的に制度化されるということであります。生活のリズム、体調の管理、給料の浪費等、生活面の課題に対応することを想定しているということなのであります。
まず最初に確認をしたいんですが、これは初鹿委員からも質問がありましたが、基本的には、就労系三事業といいましょうか、就労継続A、Bそして就労移行支援事業、ここを経由した方だけが対象というようなことが言われておりますが、そうなんでしょうか。また、なぜそうなんでしょうか。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
就労定着支援の対象者につきましては、先ほど来質疑もございましたが、就労移行支援あるいは就労継続支援といった総合支援法の事業の利用を経て一般就労へ移行した障害のある方々で、就労に伴う環境変化により生活面の課題が生じている方を想定してございます。
先ほども、これも質疑がございましたけれども、特別支援学校から直接というような方につきましては、これはまた一方で、雇用政策におきましても、就労定着の支援に資するようなそういったサービスがございますので、そうしたところとしっかり連携、役割分担を図りながら、全体として就労の定着支援をしっかりと進めてまいるようにしていきたいと考えております。
○重徳委員 もう一つ確認ですが、この資料によりますと、事業所、家族との連絡調整等の支援を一定の期間にわたり行う。つまり、期間が限定されているということだと思うんですが、この期間はどのぐらいの期間を想定されているんでしょうか。また、それはなぜそのような期間になっているんでしょうか。
○藤井政府参考人 この一定の期間でございますが、申しわけございません、まだ具体的な議論をしてございません。今後、関係者の意見をしっかり聞きながら検討してまいりたいと考えております。
○重徳委員 それはまだ全く白紙ということもないと思うんですけれども、例えば数カ月とか数年とか数週間とか、どのぐらいの単位を、単位というか期間を想定しているんでしょうか。全く何もないんですか。
○藤井政府参考人 基本的には、やはり障害のある方々というのは状態像が多様だということはもう皆さんよく御理解いただいているところだと思いますので、数カ月の場合もあればもっと長い場合もあるというふうに考えております。
ただ、今何が申し上げられるか、まだ本当にこれから検討するというところでございますけれども、例えば何がしか一定の期間を設けるといたしましても、そこで全てを、もうそこで必ず終わりになるとか、そういうことにはなかなかできないと思いますので、さらに必要に応じてまた更新をしていくようなことも考えながら、これはしっかりと検討してまいりたいと考えております。
○重徳委員 では、まだいかようにもなるというふうに受けとめましたので、しっかりこの点は議論させていただきたいんですが、まず一つ目の、対象者限定という点です。
これは、当然、企業側も法定雇用率がありますから、二%を満たすまでいろいろなチャンネルで障害者雇用をするということになると思うんですけれども、大臣、ちょっとお聞きしたいんですが、まさしく初鹿委員のときにもやりとりがあったとおりなんですが、特別支援学校とかハローワークとか、いろいろな形で障害者の方々は一般就労されるわけですから、それらの方々に対して、せっかくつくるこの制度、定着支援ということの対象外に最初からしちゃう必要はないんじゃないですかね。あるいは、最初はそこからスタートするけれども、これから広げていくという、百歩譲ってそのぐらいのことは考えていいんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 今回のこの就労定着支援というのは、就労移行支援等の利用を経て一般就労に移行した障害者で、就労に伴う環境変化によって生活面でのいろいろな問題が起きる、そういう人たちにしっかりとサポートをしていこう、こういうことなんだというふうに思います。
障害のある方で障害福祉サービスである就労移行支援事業所による支援を受けずに就職をされた方、この方々については、雇用施策として職場定着を支援しているということで、具体的には、事業主と障害のある方の双方に対して、まず職場に専門スタッフが出向いて、障害のある方ごとに個別に助言指導を実施するジョブコーチの支援による支援、それから、身近な地域ごとに設置をされる障害者就業・生活支援センター、ここにおける相談支援や助言などを実施しているという形になっているわけでございまして、これらの雇用施策と福祉施策が両々相まって、障害のある方の就労定着が全体として進むことを期待しているというのが今回の基本的な考え方であるわけでございます。
もちろん、新たに創設をするわけでありますから、いろいろな使い勝手の問題等々あろうかと思いますので、そういうことについては柔軟にやはりしっかりと見ていくということが大事だろうというふうに思っております。
○重徳委員 ぜひ柔軟に見ていっていただきたいと思います。
雇用施策と福祉施策、余り別々に切り離すと、この後ちょっと議論しますが、いろいろなふぐあいが出てくると思います。それは、先ほど藤井部長の御答弁がありましたけれども、期間との兼ね合いも出てくるんですよね。
といいますのは、一般就労、働くこと、これは何よりも大事なことではありますけれども、もう一つ大事なことは、働きながら、そして住まいだとか生活とかそういったことをきちんと皆さんが確保できるかどうか、維持できるかどうかということだと思うんです。
いろいろな調査がありますけれども、ホームレスになってしまう方の多くは障害者の方だという調査もあります。つまり、一般就労が切れた、離職をした途端に福祉施策も完全に切れて、収入ももちろんないわけですから、いろいろな意味で完全に、住まい、住む場所すらなくなってしまうというようなことすらあるわけであります。
障害者の方は、一般就労しても、健常者と同じように六十歳までとか六十五歳までばりばりと働ける方というのは必ずしも多くありません。むしろ、四十代、五十代、どこかで、必ずしもいわゆる職場の人間関係とかトラブルとかそういうことだけではなくて、やはり肉体的な面でも一般就労というものが難しくなる方も相当多いわけでありますし、そういう意味で先ほど期間の話をお聞きしたんですけれどもね。二十代で就労しても、今、健常者の若者も三年以内に三割の人がやめるとかそういう話になっていますけれども、そういうこととは違う事情が障害者の一般就労にはあるわけであります。
その意味で、一定期間、これは部長も全然お答えにならないので、数カ月なのか数年なのかも全然わかりませんけれども、この定着支援のサービスをして一応定着をしたというふうに見ても、これは健常者のケースと違って、そのままずっといけるとは限らないわけでありますし、年齢的な限界も早く来るという方も多い。ましてその際に、福祉とのつながりが全く切れてしまっていると、路頭に迷ってしまう方も出かねないということであります。
それから、企業側からすれば、法定雇用率を満たすということは事実上の義務になっているわけですけれども、しかし、それも、離職する障害者の方がいたら、それはもうやめてもらって新しい人を迎えるというだけの話であって、やめた後のケア、サポートなどというところまでは全く何の義務もないわけでありますから、そういう意味でも、障害者の方の仕事だけではなくて、福祉とのつながりもきちんと持って、維持する必要があるのではないかと思います。
こういうことを通じて、やはり障害者、障害のある子を持つ親も、自分がいなくなった後この子は大丈夫なんだろうか、こういうことについても本当の意味で安心できる制度、社会、国になるんじゃないか、私はそう思っております。
そこで、大臣にお尋ねしますけれども、今回、就労の定着支援ということが制度化されるわけですが、就労がとりあえず一旦定着したかのように見えても、今言ったようにいろいろな事情でまた途切れてしまうことがある。その際の福祉的なサポート、特に住む場所の提供、グループホーム、ありますけれども、そういうつながりが途切れることのないような制度であるべきだと思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○塩崎国務大臣 おっしゃるように、障害を持っていらっしゃる方が就労したとしても、それぞれいろいろな条件がございますので、一定程度の期間、今、何年かというのははっきりしないじゃないかという話でしたが、五年も十年もということはないにせよ、一年とか三年とか、そういうような単位で考えて支援をこの就労定着支援でやった後、もしまた離職をされるようなことがあった場合にも、必要な障害福祉サービスが受けられないということでは困るんだろうと私も思いますので、そういうことがないようにしなければいけないというふうに思っております。
就労定着支援は、一定期間にわたって、障害のある方との相談を通じて、課題を把握し、そして企業や医療機関など関係機関との連絡調整もしっかりやる、そういう中で課題の解決を行って、就労を続けていただくということが大事なわけでありまして、もし利用期間終了後にやむを得ず離職をされた場合には、福祉サービスを利用しながら再就職を目指す場合は、まず再度就労移行支援を利用してもらって、また、加齢等によって一般就労の継続がもうなかなか難しいなというような場合には就労継続支援を利用していただくということが可能であるわけであります。
なお、一般就労を再チャレンジしたいというような場合に、ではどういうことができるのかということについても、原則としてはやはり必要な障害福祉サービスが受けられるようにしていくという体制を組まなければならないというふうに思います。
○重徳委員 大臣、ですから、その御認識はそれでいいと思うんですが、ただ、実際離職をしてしまったときに適切な障害福祉サービスを受けられる状況になるかどうかということが問題だと思うんです。
ですから、先ほどからこだわるようですが、就労支援の事業所から行った場合はそこに戻るというような発想にすぐに思い至るかもしれませんが、特別支援学校から就労したとかハローワークから就労したというような場合に、離職をして一体どこに行けばいいのか、どうすればいいのか全然わからない、こういうようなこともあると思うんです。
ですから、障害者の一般就労に対しては、やはり常にそういう意味でのセーフティーネットがきちんとあって、仮に何らかの事情で離職をすることになっても、そこはすぐに福祉的なサポートが受けられて、そして、いま一度就労のための訓練あるいは継続支援といったものを受けられるような、そういった万全の対応をとっていかないと、結局怖くて一般就労できないというか、一般就労してしまったがゆえにその後の人生が狂ってしまうようなことにもなりかねないというふうに思うんです。
今、グループホームというものも必ずしも数的に足りておりませんし、その意味で、住居、住まいの確保ということも、福祉的な観点から非常に重要だと思っております。一般就労したんだからもういいよ、働けるんだから大丈夫だといっても、必ずしも最初からいい条件で、本当の意味で自立できるほどの賃金がもらえない方も当然多いわけでありますから、そういう意味で、雇用政策と福祉政策というのは常に一体となって障害者の就労を支えるべきではないかと思うんです。
いま一度大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○藤井政府参考人 大変重要な問題提起だと私どもも考えております。
確かに、一般就労されて、ある意味十分自立をされて生活をされているような方につきまして、自治体であれ、あるいは福祉事業者であれ、誰かずっと寄り添い続けることが適切か、あるいは必要があるかというところは、なかなかこれは難しい問題だなと思って私も聞いておりました。
ただ、そういった場合の地域全体の支援といたしましては、今、私ども総合支援法の支援体制の中では、やはり相談支援事業者というのが核になるべきだと思いますので、一般就労として一旦福祉の事業から離れた方でありましても、離れる際には、では何かあったときにどこに相談に行けばいいのかというようなところは、御本人ももちろんですけれども、例えば、就労であれば事業者もそうだと思いますし、そういった御本人それから周囲にいらっしゃる方々に対してそういうことをきっちりお知らせしておくとか、どこの相談支援事業者だとか、あるいはどこの就労移行支援事業者だとか、そういったことをしっかりとお知らせしていくということは、少なくともできることであるし、やらなければいけないことなのかなというふうに考える次第でございます。
○重徳委員 ですから、その意味で、やはり就労支援の事業者につながってくるわけなんですよね。ハローワークから行った人にしても、特別支援学校を出て新卒で就職した人にしろ、その後、会社生活、社会人生活をする中で、健常者と全く同じような自立した社会人生活を送るというよりは、やはり何か起こった場合には、一般就労の就労先の方にも、職場の方にも、何かあったときにはそういった福祉的サポートを受けるということを周知していく必要があるわけですから。
やはり、これは最初の問いに戻りますけれども、今回の就労定着支援というものが、いわゆる就労サービスを、就労継続支援、就労移行支援を行う事業所を経由して行った方に限るとか、何か枠をはめるべきではないと思うんです。そうすることによって初めて、全ての一般就労をしている障害者の方が安心して、そして職場の方も安心して障害者を雇用できるようになるわけですから。
その意味で、せっかくの定着支援なわけですから、一つは、定着を支援することだけじゃなくて、その後の、常に福祉とのつながりというものをちゃんとセーフティーネットで維持するということと、それからもう一つは、就労支援のチャンネルですよね、それも、いろいろなところから一般就労した方を、全てをできるだけ広く定着支援の対象とすべきじゃないか、こういうことを改めて申し上げたいと思います。
そして、その意味で、就労支援の事業所というのは今後ますます重要な役割を果たしていくということになると思うんですが、事業所が大変ふえていますね。障害福祉事業所全体の数が、資料によりますと、この五年ほどで二倍近くになっている。平成二十二年四月には四万八千三百の事業所だったのが、平成二十七年四月には九万九百九十と急増しております。
これは、大きな要因は、一つは、放課後デイサービスであります。子供たちなんですけれども。もう一つが、就労支援の事業所が大幅にふえているということであります。
これは本当によくない話なんですけれども、放課後デイサービスについても、たくさん出てくれば、やはりちょっと怪しい事業所も出てまいります。
それから、きょうは就労支援がテーマでありますので、就労支援事業についても、一般就労に向けて積極的に職場の開拓をどんどんして企業とつなげていく、あるいは訓練を行う、そういう事業所がある、こういうところがほとんどでありますけれども、中には、ブラック事業所と言われて、意図的に関連する企業に就労させて、しばらくしたらまた戻らせるとか、そんなようなことも行われているやに聞きますし、その本人の状況がどうだろうと、例えば体調が悪くてもとにかく出勤せよというようなことを強いたりだとか、そういう話も聞くわけであります。
急激にこういうふうに事業所がふえれば、さまざまなものが混在するというのは世の常ではありますけれども、しかし、せっかく一生懸命やっているところにとっては本当に迷惑な話なんですよね。
ですから、今、政府の方で、増大する就労支援の事業所、現状、どのように分析をされているか、そして、そういった不適切なことをされているようなところに対してはどのように対応していくのか、このあたりをお聞かせください。
○藤井政府参考人 御指摘の件、就労継続支援の特にA型の事業所ですね。
このA型事業所の中には、例えば、就労機会の提供に当たりまして、収益の上がらない仕事しか提供せずに、A型事業の収益だけでは最低賃金を支払うことがそもそも困難であるというように考えられる事例ですとか、あるいは、サービスの提供に当たりまして、利用者の意向とか能力等を踏まえた個別支援計画、これは策定して当然なんですが、こういったものを策定していない事例ですとか、あるいは、長く働きたいという利用者の意向にかかわらず、全ての利用者の労働時間を一律に短時間としているような事例ですとか、こういった不適切な事例が指摘をされておりまして、率直に申し上げまして、私どもも大変苦慮をしております。
いろいろな対応もしてきてございますが、例えば、昨年九月には、不適切と考えられるA型の事例をまとめまして、適正な事業運営に向けた指導に関する通知を都道府県等に発出いたしました。また、全国会議等におきまして、事業所に対する指導監査の徹底もお願いをしてございます。
今後も、都道府県等の現場の意見も聞きながらでございますけれども、このA型を利用される方の就労の質を高める、また適切な事業運営が図られますように、私ども、障害福祉サービスの指定基準の見直しも視野に入れて、必要な措置を検討してまいりたいと考えております。
○重徳委員 非常に重要な役割を担うがゆえに、ぜひとも適切な指導、対応をお願いいたします。
ちょっと話はかわりますけれども、大臣にお尋ねしたいんです。
障害者施策に関する、きのうも参考人の御意見を伺っていたんですけれども、あるいはこれまでも党の方で各団体からのヒアリングを行ってまいりましたが、そういう中で、ちょくちょく言われるのが、日本における障害者施策に充てる予算の規模というのがOECD諸国の中で低い方にある、もっとふやさないといけないというような御指摘を受けるわけですが、実際、これはどのように認識をされていますか。
○塩崎国務大臣 一昨年の年末に、介護報酬と障害者の報酬を財務省と議論した末に、障害についてはプラス・マイナス・ゼロということになりました。
その際に、私からも強く申し上げたのは、やはり、これまでの日本の障害者の施策は、世界的に見れば、特にOECDの中で見ても、平成十二年のときに三十四カ国中三十一位、今一番近い統計で平成二十三年、ですから今から五年前、このときでもまだ三十四カ国中二十八位、こういう状況でありますから、これからさらにしっかりとした対応をしていかなければいけないんじゃないかという中で、財務省とやりとりを激しくしながら、あのような形に落ちついたということでございます。
やはり、各国もちろん、経済規模とか社会保障制度あるいは給付と負担のあり方などが違うので、一概に比較することは難しいといえども、日本が今申し上げたようにOECD諸国の平均より低いという指摘は、もうそのとおり認めないといけないんだろうというふうに思っています。
ですから、関連予算につきましても、利用者の増加に対応して、毎年、今着実に増加をして、この十年間で二倍以上に国費ベースで増加をしております。制度の持続性にももちろん留意をしなければなりませんので、それは留意をしつつも、引き続き、毎年度の予算編成において、やはり先進国と呼ばれるのにふさわしい予算を確保していかなければならないというふうに思います。
○重徳委員 障害者の皆さんが暮らしやすい国というのは誰が暮らしても暮らしやすい国だと思いますので、大臣お認めになるように、そのための予算の規模が少ないということでありますので、このあたりはそういう認識もあわせ持って、これから私もこの障害者施策には力を入れてまいりたいと思います。
その話を聞いたから言うわけじゃないんですけれども、これは具体的に、公益社団法人全国脊髄損傷者連合会の方からの意見として、重度訪問介護に関する移動の支援といいましょうか、ここをきちんと手当てしてもらいたいという意見が出ております。
つまり、障害者本人の自家用車とか障害者本人が借りてきたレンタカーとか、こういったものをヘルパーさんが運転する、この移動中の時間帯についても重度訪問介護の見守りとして報酬算定の対象とすべきである、こういう御意見なんですね。
これはもう、移動が思うままにならないというのは、本当に、日常生活、さらには、先ほどからの話、就労した場合にも、自由にならなければ就労生活の大きな支障になります。
この点は、障害者施策としてもそうですが、介護全体の話でもありまして、やはり、今民間でも介護タクシー、全国で各地でみずから民間事業者として介護タクシーを運営している団体がありますけれども、そういう障害者、介護が必要な皆さんが自力で通勤できなきゃ、やはり働けないですね。本来働く能力があっても、通勤する能力がないというか、サポートがされないと、就職を諦めてしまう。だから、タックスペイヤーになれる人までなれずにいるという状況も往々にしてあるわけですね。
バスに乗るといったって大変なことだし、公共交通機関はやはり利用しづらいです。それから、介護タクシーをやっている事業者に聞いたら、お一人だけじゃ大変なので、二人、三人相乗りで運ぶことができないかと言ったら、これはこれで乗り合いバスの免許がないとだめだとか、いろいろなことで隘路があるわけなんですね。
一応通告をさせていただいていたのは、この全国脊髄損傷者連合会からの御意見に対してどのような御回答なのかということでありますが、私の趣旨としては、そういった移動する自由というものを基本的に全ての皆さんに保障できるような社会でなければ、これは本当の意味で、それこそ一億総活躍とは言えないような状況になるわけでありますから、こういった声にもきちんと応えていく必要があるんじゃないかなと思うわけでありますが、いかがお考えでしょうか。
○藤井政府参考人 いわゆる移動支援につきましては、御指摘のように、大変重要な施策であると考えております。私ども、地域生活支援事業等でできるだけのことは手当てをしておるところでございますけれども、そこは今後とも引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
脊損の皆さんの御要望は私どもも承知をしておりますが、この点につきましては、重度訪問介護とか居宅介護のヘルパーが、障害のある方々に対して見守り等の支援を行いながら運転を行うということにつきましては、これはやはり、安全の確保ですとか、何かあったときの責任の所在の問題等の課題もございますものですから、そういったことで、私どもは、運転している時間を障害福祉サービスの報酬で評価するということにつきましては慎重に検討すべきものというふうに考えております。
○重徳委員 ちょっと今、理屈がよくわからなかったんですけれども、運転しながら見守ることが困難であるからこれはサービスの対象とはしがたいというのは、何かよくわかりませんね。結局、事業者からすれば、運転をするといったって、それはちゃんとヘルパーさんの時間を使って、労力を使って行っているサービスだから、それに対する報酬があってしかるべきじゃないかということであります。
どこまでを、どれだけ遠出しても全部認めるのかとか、そのあたりはいろいろな考え方があると思いますが、移動をサポートすることは全く何にも勘案されないというのは、それは、今のような理屈は全然おかしな理屈だと思いますが、大体おっしゃりたいことはわかりましたので、とりあえずこの件はこのぐらいにしておきますけれども、障害者施策の一環でもある、そして予算規模的にも、こういったところにももっと力を入れるべきじゃないかということを申し上げておきたいと思います。
最後に、社会モデルというワーディングが最近よく出てきますね。
医学モデルに基づく障害者の皆さんの心身の状態だけを見るんじゃなくて、その当事者の生活の状況、環境、こういったものを含めた総合判断が必要である、社会モデルというものでありますけれども、障害者基本法にはその概念も盛り込まれたわけでありますが、現実に給付を伴う障害者施策の制度設計、これは具体的にはなかなか難しい、限度がある部分もあると思うんですが、社会モデルというものに対応して、現状、今どこまでのことができていて、どこから先はさすがに難しいとか、ある程度総論的でもいいんですけれども、今の現状と課題について認識をお答えください。
○藤井政府参考人 障害の捉え方につきましては、医学モデルや社会モデルなど、いろいろな考え方がございますけれども、私ども、これらを総合的に勘案していくということが重要ではないかというふうに考えてございます。
例えば、現行の制度の中でも、身体障害者手帳は、一定の客観性、明確性を確保するという趣旨から、主として医学的な観点から身体機能の状態を基礎としつつ、日常生活における制限の程度も考慮して、認定基準に基づいて判断をしてございます。
一方で、福祉などの、障害のある方々を支援する制度につきましては、手帳の有無のみならず、それぞれの趣旨、目的を踏まえつつ、支援が必要な対象者の範囲が定められてございます。
具体的に、くだんの障害者総合支援法におきましては、基本理念の中で社会モデル的な要素も盛り込んだ上で、手帳の等級ではなくて障害支援区分によって支援の必要性を判断することとしたり、あるいは難病患者ですとか、これは児童福祉法ですが障害児につきましては、手帳の有無を問わず制度の対象としてございます。
今後とも、それぞれの制度の趣旨、目的を踏まえまして、必要な見直しを不断に検討しつつ、障害のある方々に適切な支援が個々のニーズに応じて提供されるように取り組んでまいりたいと考えております。
○重徳委員 済みません、ちょっと質問の仕方がまずくて、総論的でいいと言ったら総論的過ぎて、やはりよくわからない御答弁で、わからないというか、総論に過ぎる御答弁だったんです。
私は、相談支援というもの、ここがやはり非常に重要なポイントになろうかと思うんですね。今、相談支援専門員の方が一生懸命やっておられますけれども、医学モデル、社会モデルといったときに、やはり心身の状況だけじゃなく、その当事者を取り巻く環境も含めて、通学している人だったら学校との関係、通勤している人だったら職場との関係、こういったものも全て考慮し、そういうものをアセスメントして、そのニーズに応じたサービス、支援を行って、本来の意味での自立した生活を営めるように、こういうことでありますので、この相談支援専門員は極めて重要だと思うんですね。
まず部長に、現在、相談支援専門員は一体どういう資格要件とか経験を持つ方が多いのか、どういう方が今されているのかということをお聞きした上で、大臣に。
これは介護の分野でいえばケアマネさんですよね、非常に重要な役割を果たす位置づけだと思います。介護職員とか障害者福祉の従事者の処遇を全般に上げることが必要だと言われておりますが、とりわけそういったステータスをきちんとつくって、重要な役割であり、またゼネラリストというか幅広い視野や調整力、さまざまな能力が必要な役職であるということも鑑みると、高いステータス、処遇というものも与える必要があると思うし、そういったことを含めたキャリアパスというものを福祉従事者の皆さんに描いていただく必要があるんじゃないかと思うんですが、この点を大臣に最後にお聞きして、終わります。
○藤井政府参考人 相談支援専門員の要件でございますが、まず、障害福祉関係施設のほか、保健所や老人福祉施設、医療機関といった保健、医療、福祉、就労、教育の分野における直接支援あるいは相談支援などの業務における実務経験、これは原則五年から十年でございますが、こういった実務経験に加えまして、相談支援従事者初任者研修を修了していることといったことが要件になってございます。
○塩崎国務大臣 今回、昨年の審議会で、相談支援専門員の確保と資質の向上に向けて、実地研修の実施を含めた研修制度をしっかり見直す、それから、指導的役割を担う人材をしっかり育てるということ、それから、人材の適切な活用を図っていくというようなことが指摘をされておりました。
こういうような指摘を踏まえて、厚生労働省としては、今先生御指摘のように、相談支援専門員が、まさにケアマネの役割を果たすというか、一人一人、それこそ障害のあり方もそれぞれ異なる、置かれた環境もそれぞれ異なる中で、こういった方々に、しっかり研修をしていただきながら、指導的な役割をリーダーとして発揮できるような、例えば主任相談支援専門員とか、そういうような制度をつくって、まさにキャリアパスをつくり上げていくことによって、高度なケアマネ的な支援ができるようになっていただくような人材をしっかり育てるということが大事なんだろうというふうに思います。
また、地域の相談支援体制、先ほど、就労定着支援が終わった後もし離職した場合どこへ行くのかみたいなことで、しっかりしていないということではいけないので、そういった相談支援体制の充実をやはり我々はやっていかなきゃいけない、そういうときの中核的な人物として、今先生御指摘のような相談支援専門員の方々になってもらうようなことを私どもは今検討しておりまして、相談支援専門員の資質の向上に向けていろいろな手だてをしっかりと組んでいかなければならないというふうに思います。
○重徳委員 ありがとうございます。
財源も含めて、しっかりと手当てをよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。