国土交通委員会 平成26年4月18日
「高速道路料金を上限制にすべきではないか?」
○梶山委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 ありがとうございます。日本維新の会の重徳和彦です。
きょうは、太田国土交通大臣に対しまして御質問させていただきますことを、心より感謝を申し上げます。
早速ですが、高速道路について、無料開放の原則について質問させていただきます。
本会議におきまして、坂元大輔議員からの質問に対しまして、太田大臣はこのように述べられました。「道路は、無料開放が原則であり、我が国では、厳しい財政状況のもと、特別措置として有料道路制度を採用しているところです。」ということでありまして、「償還満了後、無料開放する考え方になっています。 高速道路を恒久的に有料にすることについては、利用者を初め広く理解を得られるかという課題もあり、今後も慎重な検討が必要であると考えています。」ということでございました。
坂元委員も先ほど言いましたけれども、無料開放が原則にしては、もう特別措置、有料というのが余りに長期化しておりまして、今度二〇六五年までやるわけですから、私自身が九十五歳になってやっと無料化するということでございます。もはや、そういう意味でも、国内的にもこの原則というものにとらわれる必要はないんじゃないかと思いますし、諸外国の状況に照らしますと、必ずしも無料開放が原則ではないとも言えると思います。日本の高速道路の無料開放というのは、そういう意味で、絶対の原則とまでは言えないのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 諸外国を見ますと、例えばフランスやイタリアでは有料道路制度を採用していますが、期間を区切って料金を徴収する仕組みとなっています。それは、つまり日本と一緒である。期間は若干短いようでありますけれども、そういうことです。
一方、償還主義を基本とする有料道路制度とは異なりますが、近年、ドイツ、ロンドン、シンガポールなどでは、ロンドン、シンガポールは、むしろ都市ということにもなるんですけれども、環境負荷の軽減や混雑緩和ということで、都心部に入るところに有料を課すという、違う目的になりますが、そうしたことで、期限を定めずに料金を徴収するという、こうした考え方も導入されています。
高速道路を恒久的に有料にすることにつきましては、利用者を初め広く理解を得られるかという、私は、ここは長くなっても、みんな、有料は当たり前だというふうに思っている方も大勢いらっしゃるかもしれませんが、しかし、これを恒久的に有料だということを今までの原則と違って決めるということは、なかなか、利用者を初め広く理解を得られるかというようなことについてはどうかという課題もありますし、諸外国のそうした状況も参考にしながら、今後も慎重な検討が必要であるというふうに考えているところです。
そういう意味では、これまでの原則ということをまず貫いていくということをいたしたいというふうに思っているところでございます。
○重徳委員 今回、無料開放の期限が、そうはいっても二〇五〇年からさらに十五年延びた。もともと四十五年間で無償にするというところが、十年たたないうちにさらに十五年延ばすということですから、これは、無料開放を早くやらなきゃという思いがあればあるほど、最初から余り先延ばしすることなく、まずは目標を定め、やはりできないから先延ばしでは、その都度その都度批判にさらされるということもこれまたあるのではないか、このように思いますので、これは相当な発想の転換をしていくべきではないか。
そして、特にランニングコストについては、終局的、永久に利用者が負担するという考え方は、これはおかしなことではないと思いますし、そういうことで、少し償還計画も見直しながら、やや長期的に見ながらさまざまな資金計画を練っていく必要があるんじゃないかと思います。
時間の都合もありますので一問飛ばしますけれども、私は、そういう永久有料に近い形の仕組みをとれば、余裕財源も生まれて、それによりまして、現時点、現世代におきます高速道路の利用者に対してもさまざまなサービスを提供できるようになると考えておりますので、これについても、引き続き国交省、事務方の方とも、その資金計画について、これから一緒になって検討をさせていただけないかということをお願い申し上げておきたいと思います。
続きまして、定額料金制に仕組みを変えられないかという問題提起を前からさせていただいておりますけれども、これについて改めて議論をしてみたいと思います。
まず、今回、これまた大臣の本会議の御答弁でありますけれども、料金の割引について、「これまでいろいろな割引を導入したことから、利用者から、複雑でわかりにくいという指摘があったところです。」このような御答弁がございました。今回は、実施目的を明確にして、高速道路利用の多い車に配慮するように再編をしたとか、それからもう一つは、料金水準についても、これまでは建設費による区間ごとの料金差があった、これを是正するために、あわせて整備重視の料金から利用重視の料金へと転換する、こういったことを大臣はおっしゃいました。
確かに、戦後これまで、整備重視ということで、全国津々浦々に高速道路が整備をされてきました。だから、地方でも、うちの町にも新しくインターができるんだとやはり喜んでいる方は大勢おみえになります。私の地元の岡崎市も、今度、岡崎東インターというのができますので、これを、うちの町にもできた、まず整備されたということを皆さん喜んでおられますが、今度は、まさに利用重視ですよね。これによって何を人は期待するのかということになってくると思います。
利用重視という言葉には、いろいろな意味があると思います。料金体系の話も、料金というか料金の水準の、料金差を是正するということで利用重視ということもおっしゃったわけでございますけれども、利用重視という意味では、これは都市部と田舎では違うかもしれませんが、地方が特に期待する利用のあり方というと、それはもう当然、田舎からも都会に出ていきやすくなる、一方で、都会の人たちが我々の田舎にも来てくれるんじゃないか、こういうことが高速道路をまさに利用するということであります。
地方と都市との交流を進めるには、やはり地方というのは遠いですから、ここで、料金制度として、遠くに行けば行くほどお金がかかるという料金制度を改めて、一時期、麻生政権のころに行われました、あのときは千円でしたけれども、まあ千円がいいかどうか、これはいろいろあると思います。千円か二千円かわかりませんけれども、そういった定額料金、あるいは上限を設ける、こういう仕組みにつきまして、大臣、どのようにお考えでありましょうか。特に、地方からの観点でお願いします。
○太田国務大臣 麻生政権のときは、土日千円というのは、まさにリーマン・ショックをどう乗り越えて、そして交流を促進するかという、ある意味では刺激的なことをやろうということだったというふうに、私もそこにおりまして承知をしています。
現在、国交省として検討しております新たな国土のグランドデザインにおきましても、基本戦略の一つとしてコンパクトシティー・プラス・ネットワークということを掲げておりまして、地方と都市との交流増進というものは極めて重要であるというふうに思います。そのネットワークということで、まさに、道路の果たす役割というものは極めて大きいというふうに思っています。
高速道路料金の定額制ということにつきましては、高速道路ネットワークを有効に活用し、地方と都市間の長距離の交流を進めるためには、これは確かに有効であるというふうに考えますが、逆に、短距離利用の方は高くなるということがありますので、負担のバランスの点などの課題があるというふうに思っています。
高速道路の料金につきましては、さまざま意見があるわけでありますが、これまでも、社会資本整備審議会などにおいて丁寧な議論を進めてきているところです。今後とも、いただいた御提案も含めて幅広く議論を行って、その時代時代に即したものになるように、また先取りをしていけるように努めていきたいというふうに思っているところです。
○重徳委員 ありがとうございます。
こうした提案も含めて幅広く議論をしていただけるということでございますので、ぜひとも既存の発想にとらわれずに議論を政府においてもしていただきたいと思います。
それから、今大臣、長距離の人にとっては定額制はもちろんいいことなんだけれども、いいというか、その利用が伸びる要因になると思いますけれども、短距離利用者にとっては、最初から一区間だけでも千円というのはいかにも高い、要すればそういうことをおっしゃったんだと思いますけれども、これについては、さまざまな方法で短距離利用者向けの割引をすることもできるのではないかと思っております。
それで、確かに、料金、千円がいいのか、幾らがいいのかという設定の仕方によって、今の利用状況、それから料金の設定での採算と、そこから定額制に持っていくことによる収支、採算というものを、やはりよくよく考えていかなければならないことだと思うんです。
去年、予算委員会の分科会の中で、私、短距離向けの方に割引をすればいいんじゃないかということを申し上げましたところ、当時の前川道路局長さんが、「短距離の皆さんが定額制の場合には値上げになる、それに対する対応として、」「割引制度を導入して激変緩和をするということも考えられるところでありますが、そういたしますと、かなり多くの方に割引を適用することになりまして、高速道路全体の料金収入が減少いたしまして、債務の確実な返済に影響が生じるという懸念もございます。」このような御答弁をいただきました。
確かに、短距離利用者の方が全体的には現状は多いんですよね。だから、確かに、そこの部分を割り引くとそういう影響が出る。ここまではわかるんですが、ではその上限を、千円がまずかったら千五百円、二千円にしていくというような方法がまず一つあるということ。
もう一つは、これは計算してみなきゃわからない、あるいはやってみなきゃわからないところなんですが、仮に短距離割引を導入した分だけ料金収入が減少したとしても、先ほどから申し上げています、償還期限を、どこかできるだけ近くを設定して、それでも二〇六五年なんですが、これをもっと先延ばしするとかというようなことによりまして、それでコストが下がる。
それから、そもそも、高速道路の利用者の数が全体的にふえれば、それによって賄える部分も相当あると思うんですが、こういったあたりについての御認識を問うてみたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○徳山政府参考人 御提案のように、高速道路料金を定額化した上で短距離利用者に対する割引を導入する、これは、負担のバランス面に少し配慮できる案になりますし、料金徴収期間を延長することで償還にも影響を少なくする、改善された案にはなると思います。
一方、御提案の内容は、ちょうど平成二十一年から約二年間実施をいたしました休日上限千円と同様のスタイルといいますか、いわゆる上限料金制になるわけでございます。これも、その二年間の経験で申し上げますと、休日上限千円は、地域活性化などの面から、これは一定の有効性は確認されました。一方、非常に激しい渋滞が発生する、あるいは高速バスなどの別の公共機関に影響が出るというような課題も指摘をされたわけでございます。
いずれにいたしましても、高速道路料金には常にメリットとデメリットがあるわけでございますし、大変多くの方の利害が絡んでおりますし、こうした面について幅広く議論を行わせていただきながら、常に時代に即して見直していく必要があると考えております。
○重徳委員 時代に即して議論していくということで、先ほど大臣からもおっしゃっていただきました。ぜひとも幅広な議論をお願いしたいと思います。
最後になりますが、ETCについて、ちょっと一つ指摘をさせていただきたいと思います。
ここ数年間、ETCがなければ高速道路の料金の割引が受けられないということで、悪く言えば、割引を餌にETCをたくさんの人に買ってもらおう、こういうことが、一面合理的であるように見えて、やはり批判もあったと思います。
それから、これは見方によるのかもしれませんが、ETCは、純粋に利用者の利便性を図るというだけじゃなくて、いろいろ指摘がされてまいりました。
国交省の外郭団体、一般財団法人道路システム高度化推進機構、ORSEと言われるんですけれども、そこに対しまして、車載器一台当たり百円、ETCカード一枚当たり百円、ETCを設置するたびに二千円ですか、それからETCゲートを整備するたびに五十三万円、こういうお金がその外郭団体にたくさん入るということで、こういうところと非常に利権癒着の関係にあるんじゃないか、こういうことが指摘をされておりましたし、これは重要な指摘でありますので、今からの質問はこれに対する質問じゃないんですけれども、こういったことも引き続き、消費増税の折、国民負担、国民からの政府への信頼を確保するために極めて重要なところであります。
ですが、きょうは、そのETCをどういう政策目的で導入したのかということについて、改めて質問をしてみたいと思います。
ETCというと、広い政策、ITSという政策がありますね。高度道路交通システム、インテリジェント・トランスポート・システムと言われますが、この政策、私も非常にITSフリークで、十年ほど前に青森県に住んでいたときに、仲間と一緒にNPO法人青森ITSクラブというのを結成したり、ITSには人並み以上に熱い思い入れがあるんですが、ETCも、そういう意味でITSのメニューの一つなんですよ。
それで、ETCが何で必要かという議論があったときに、一つわかりやすいこととして、インター手前の渋滞緩和をする、これが目的の一つであることは認識をいたしております。それからもう一つは、ここはちょっと怪しいんですが、料金を自在にコントロールできますね、システムとして。これも一つの目的だったと思います。
ですから、これまでずっと、必ず割引が受けられるので、元は取れるので、やはりETCを導入した方が得だよね、こういう感覚が皆さんドライバーにあったと思いますが、これも今回、まさにそういう料金体系がわかりにくいから見直したわけですね、料金割引システムを。今までは、普通の乗用車だったら、小型車だったら、ほとんど、いつ高速道路に乗っても三割から五割の割引が受けられたわけですから、これはもうETC、二万円ぐらいのものでも誰でも買いますよね。
こういうことでありましたが、逆に言うと、こういうシステムがなければ、私が言っている定額制とか全く違う料金体系であれば、ETCは必要なかったわけなんですね。そういう意味で、ETCのそもそも本来の普及の目的というのは一体何だったのかということについて御答弁をお願いいたします。
○野上副大臣 ETCにつきましては、平成十三年十二月より高速道路での利用が全国で始まりまして、平成二十五年三月時点で四千百五十三万台に普及をしました。また、高速道路でのETC利用率は、平成二十五年十一月時点で約八九%になっておりまして、委員御指摘のとおり、渋滞緩和等々の効果も非常に大きいということであります。
一方で、ETC技術の開発に当たっては、高速道路以外の施設での利用も前提とされたところでありまして、今ITSの話もございましたが、これは技術的には利用可能になっております。現在、民間駐車場での決済ですとか、フェリーなどでの車両の入退場管理で活用されているところでありまして、国交省としては、民間事業者と連携しつつ、ICT技術を活用した技術開発もやりながら、高速道路以外への拡大に向けて引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○重徳委員 今副大臣がおっしゃった高速道路以外の利用が進まないものだから、私は不満があるんですよね。ガソリンスタンド、ドライブスルー、駐車場、そういうところでもどこでも使えるようにするというのが、本来のITS政策におけるETCの役割だったはずですので、ぜひともこれは、ここまで普及した以上は前を向いていこうというのが私の思いでございます。
最後にここまで申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。