H27.6.5 平和安全法制に関する特別委員会
==========○浜田委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 維新の党の重徳和彦です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回の安保法制なんですけれども、全般的に、印象としては、やはり幾ら何でも手を広げ過ぎだという印象がございます。法理上どこまで可能かという議論と実際のいろいろな例示、当てはめ、そういう両方の議論がありますけれども、やはり法理上どこまで可能なのかという議論をする上でも、適切な事例を適切に当てはめていく、そういう議論をしていかないと、全く理解が深まらないし、質疑のやりとりも行き違いばかりで深まっていかない、こういう印象を持ちながらこれまで過ごしてまいりました。
というのも、本来きょうの質疑は先週の金曜日に行う予定だったんですが、一週間飛んでしまいましたので、その間にいろいろな論点が、きょうはホルムズ海峡の機雷掃海について議論させていただきますけれども、さまざまな論点が出てきて、それに対する答弁も出てきていますので、それも踏まえて、きょうは、少し細部にわたって、ホルムズ海峡の機雷掃海を議論させていただきたいと思います。
まず初めに、確認なんですが、今回、ホルムズ海峡での機雷掃海というのは、これまで憲法上認められてこなかった、禁じられてきた海外派兵の例外として唯一具体的な例示が挙がっているわけでありますけれども、例外というと海外派兵に当たるのか当たらないのかちょっとわかりにくいんですが、要は、これは海外派兵なんでしょうか、どうなんでしょうか。
○中谷国務大臣 総理が述べられたのは、外国の領域における武力行使については、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに、現時点で個別具体的な活動を念頭に置いているものではないということでございます。
このホルムズ海峡での機雷掃海におきましては、総理が五月二十日の党首討論において「一般にということの外」と述べたように、その実態は、水中の危険物から民間船舶を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものでございます。この性質上もあくまでも受動的かつ限定的な行為であり、外国の領域で行うものであっても必要最小限度のものとして新三要件を満たすことはあり得ると考えておりまして、その意味では例外と言えると考えております。
○重徳委員 お答えになっていませんが、単刀直入に、海外派兵に当たるんですか、当たらないんですか、どちらですか。
○中谷国務大臣 例外であると言えます。
○重徳委員 例外的に海外派兵に当たるということでしょうか。ここはわからないんです、言葉としてそう表現されたことがないので。
○中谷国務大臣 海外派兵の一般禁止の例外に当たるわけでございます。
○重徳委員 一発で答えていただきたいんです。海外派兵に当たるなら当たるで、それを前提として議論がしたいものですから、当たるのであれば海外派兵である、何の例外か、これこれの例外だというのはわかるんですが、海外派兵であるというふうにお答えください。
○中谷国務大臣 基本的には、海外派兵というのは、自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないと解しておりますが、ホルムズ海峡の例を挙げられましたけれども、これは例外に当たるということでございます。
○重徳委員 こういうやりとりをずっと続けていても話が進まないんですよ。こんな話ばかりですよ、今回の委員会は。
ちょっと委員長、お裁きをお願いしたいと思います。(発言する者あり)
○中谷国務大臣 海外派兵に当たります。
○重徳委員 通告もしておりますので、最初からお答えいただきたいと思います。
次に、唯一の海外派兵になることになるというホルムズ海峡の機雷掃海でありますが、機雷掃海は受動的、限定的だから必要最小限度を超えないという御説明がありますが、これは、どんな場合でも、機雷掃海、他国の領海における、そして停戦合意前であっても、常に受動的、限定的であるということなのでしょうか。停戦合意後であれば、受動的というのはわかります。遺棄機雷を掃海するということだからお片づけですよとわかりますが、常に受動的、限定的なんでしょうか。能動的というふうに評価されるべきケースもあり得るのでしょうか。
○中谷国務大臣 基本的に、機雷の掃海というのは国際法上一般に武力行使に該当し得るものでありますが、この実態は、純粋に水中の危険物から民間船舶等を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものでございます。また、掃海艦艇というのは外部からの攻撃に非常に弱い、脆弱であるために、戦闘が現に継続しているような現場におきまして機雷掃海を円滑に行うことは困難でございます。
このように、機雷掃海というのは、その性質上、相手方への積極的な攻撃を行うものではなくて、相手によって既に敷設された機雷の除去だけを行うという意味で受動的でありまして、また、民間船舶等の安全な航行の確保という限られた目的のもとで、敵への攻撃を伴わず、機雷の除去のみを行うという意味で限定的である活動であるということで、受動的な、限定的な活動であるということでございます。
○重徳委員 言葉の整理としてはそういうことになるのかもしれませんが、実際に停戦合意前、つまり全体的には戦闘が続いている状態で、戦争の当事国でもない日本が他国の領海内、ホルムズ海峡でいうとイランまたはオマーンの領海内に入ってそして機雷を掃海、掃海という活動が具体的にどういうことをやることなのかというのも、これはケース・バイ・ケースだと思うんです。
今まで御答弁を聞いている中でも、安倍総理の答弁も含めて、線を一本一本切っていくんだという説明もあれば、機関銃で撃って破壊するんだという説明もあります。こういった態様によっても違うと思います。そして戦況によっても違うと思うんですが、これは国際法上のルールでも何でもありませんから、この受動的、限定的というのは。今回の法制をする上での解釈としてこういう言葉を持ち出しているわけですから、あくまで日本のこの国会において定めるルールでありますから、これはどんな場合でも受動的だというふうに本当に言えるのかどうか。能動的というケースは一切ないんでしょうか。その点だけお答えください。
○中谷国務大臣 機雷の掃海というのは、潜水隊員が潜って爆破するケースもあれば、機械によって破壊するということで、基本的には、設置された機雷を除去するという行為でございます。
今回、総理が、新三要件に伴いまして機雷掃海を言われたわけでございますが、あくまでもこれは我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として行うものでありまして、相手国の意図にもかかわらず、国際法上も憲法上も正当なものでありまして、近年において、機雷の掃海を行ったことをきっかけとして紛争がエスカレートしたような事例はないということでございます。そういう意味で、私は受動的な行為であると思っております。
○重徳委員 国際的な活動、海外における活動、しかも先ほどまさに海外派兵だというふうにお認めになったこの機雷掃海というものが、日本国内で解釈として受動的だ、限定的だと言ったところで、関係国がどう受けとめ、そして、まさにこれは武力行使であることは国際法上明らかなわけですから、受動的だから許すとか能動的だからどうとか、そういうことを一々戦闘現場において他国が考慮してくれるはずがないと私は思うんです。
ですから、一般にそもそも海外派兵だって禁止されている。そこを、日本が海外派兵をするわけです。そして、そこで行っている活動というのが、一本一本、見えないところで切っている活動ならまだわからないかもしれないけれども、明らかに敵国の武器を、攻撃道具を破壊するという行為ですから、これが能動的と認められることは一切ないとまで言われると、とまで今おっしゃっていませんけれども、そうなると、本当にこれをどう評価するべきかというのは、もっときちんと、文言上だけの整理じゃなくて、私が先ほどお聞きしました、能動的であることがあり得るのかどうかということも、ちょっとここできちんとお答えください。
○中谷国務大臣 機雷掃海と申しますと、水中の危険物から民間船舶等を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものでありまして、その性質上、あくまでも受動的、限定的な行為であって、一般の方々が思い浮かべるような、敵を撃破したり、また制海権、制空権を確保するために大規模な空爆、砲爆を加えたり、敵地に攻め入るような行為とはこれは異なります。
この掃海艦艇は外部からの攻撃には非常に弱いということで、戦闘が現に継続しているような場所では、掃海を円滑に行うことが困難ですからその場にとどまることはできないわけでございまして、敵を攻撃したり撃破したりするのではなくて機雷を除去する、また激化した場合にはそれは行動が困難になるという意味では受動的でもございますし、また、何のためにやるかといいますと、まさに存立危機の事態でございまして、我が国の存立が脅かされて国民の権利が著しく損なわれるというような事態におきまして、我が国と非常に密接な関係にある他国が攻撃をされた場合によるというようなことでございます。
○重徳委員 この問いばかりやっているつもりもないんですが、これは本当に、何度も何度もやりとりするまでもないような問いについても長々と答弁されると議論が進みませんので、引き続きお願いします。
きょう、資料を用意しましたので、資料の二番目をごらんいただきたいんです。
これまでの議論の中で、いわゆる重要影響事態と存立危機事態の関係が一定程度整理されてきたと思います。
これも確認ですからすぱっとお答えいただきたいんですが、存立危機事態に当たるものというのは全て、すべからく重要影響事態に当たる、つまり同心円状の関係にあって、かつ、これはA、BでいうとAの方ですね、存立危機事態の場合において日本が行うことができることと、重要影響事態において行うことができること、これは重なるわけですから、どちらも選択的といいましょうか、どちらでもやれますよということで、つまりこの図でいうとAの図という解釈でよろしいでしょうか。
○中谷国務大臣 存立危機事態は概念上は重要影響事態に包含をされる、含まれるということでございます。ただし、重要影響事態と存立事態というのはそれぞれ定義がございまして、個別の法律の判断に基づくものでございますが、存立危機事態は概念上は重要影響事態に包含されるということでございます。
○重徳委員 わかりました。
それでは次に、今の御答弁を前提に、実際にではホルムズ海峡、ペルシャ湾近辺を想定した場合に、存立危機事態として、機雷掃海という名の、態様の武力行使を行いつつ、またその付近では後方支援を重要影響事態であるからということで日本が行っているというようなときに、この両者を他国から見て区別するということはできるんでしょうか。
○中谷国務大臣 概念上は存立事態は重要影響事態に包含されるということでありまして、重要影響事態に対処する米軍等の後方支援を行う一方で、存立危機事態を認定してこれに対処するために武力行使を行うことは、法理論上はあります。
その場合に、一般論で申し上げれば、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるもの、すなわち存立危機の武力攻撃に対しては存立危機事態として対処する。
一方で、重要影響事態法に基づく後方支援活動は、現に戦闘行為が行われている現場では実施しないということなど、他国の武力の行使と一体化しないということを確保する法律の枠組みがございます。
したがいまして、武力行使に当たる活動の現場においては、重要影響事態法に基づく後方支援活動を行うことはなくて、一体として武力行使を行っているとみなされることはないのではないかと思っております。
〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕
○重徳委員 つまり、他国から一体化しているとみなされることはないのではないかと思うというのが今の中谷大臣のお答えなんですが、いや、それが実際現場でそうなんだろうかというのが私の疑問であります。
今までは、そうはいっても、他国の武力行使と日本の自衛隊の後方支援の区別ができるできない、あるいは一体化するんじゃないか、こういった懸念の議論があったわけなんですが、今回の場合は完全に、日本の自衛隊が機雷掃海をするその周辺、どのぐらい離れているか、ケース・バイ・ケースでしょうけれども、後方支援を行っているわけであります。
客観的に見たら、これは後方支援ですよといいながら、一部武力行使たる機雷掃海も行っているわけで、日本は、いや、実はここで法概念上違うんですよなんということを言ったところで、同じ日本の自衛隊が、安倍さんかどうかわかりませんが、総理大臣とか防衛大臣の指揮のもとで動いていることは間違いないわけでありますから、その意味で、同じ自衛隊が行う別々の活動だといっても、法理論上は別々だといっていたって、同じ国の同じ自衛隊がやっていることなんですから、これはまさに一体化じゃないんでしょうか。
○中谷国務大臣 これは本当に法理論上の話でありますが、実際に二つの対応をする場合は、それぞれ基本計画を立てまして、それぞれ国会での承認をいただいて実施いたしますし、また実施の際には実施要項、実施区域を示すわけでございます。
特に、重要影響事態につきましては、武力の行使と一体化とならないようにしっかりと区域を指定いたしまして、武力行使と一体化とならない活動をしながら後方支援をするということで、二つの事態は法理論的には併存をするということでございます。
○重徳委員 私、最初に確認をしました。今回の機雷掃海というのは、日本として初めて行うかもしれない海外派兵なんですよ。そして、その海外派兵でやっていることと後方支援という活動が、全然地球の反対側で、離れていれば理解されるかもしれませんけれども、同じ地域でそれを行われたら、これは、幾ら日本の国内の事情で、日本は憲法九条がありますからできることには限度があるんですなんと言ったところで理解されないと思うし、まさに平和憲法を持っている日本だから武力行使をしないと思っていたら、今回はするわけだし、それから、受動的だとおっしゃいますけれども、恐らくケースによっては敵の武力の能力を減退させるための破壊行動を行うわけですから、その意味でも完全にこれは、もちろん自衛権の一環ではありますけれども、しかし、それは敵方にとっては、あるいは客観的に見る国から見れば、その区別を、法理論上といっても日本の国内の法理論上ですから、国際的な軍事の場面においては一体的にしか見られない。つまり、全面的な海外派兵に見られる可能性すらあるんじゃないかと思うんです。
この点、非常に重いところだと思いますよ。最初にお認めになった、今回の機雷掃海は海外派兵なんだと、これは非常に重要なところだと思います。これに対して我々国会議員も、そして日本国民としても、これは覚悟を持たなきゃいけないことだと思うんです。ですから、今までもやっていなかった、一体化していないよという説明を一生懸命してきたこの後方支援というものが、一体化と見られないような線引きができるかどうかというのは、非常に重要な局面だと思います。
この点は少し、法理論上の、国内法上の説明だけではなくて、対外的にも、国際的に見て、海外が理解できるような政府としての見解が必要だと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
○中谷国務大臣 存立事態というのは武力行使でございますので、これは国家としても大変重要な決定をしなければなりませんが、後方地域支援とは異なっておりまして、後方支援を行う場合には、いかなる軍隊であっても後方支援を受けている間は攻撃に対して極力脆弱な状態になるために、後方支援に関しては危険を回避、安全を確保するというのは当然でありますし、軍事的に合理性があるということでございます。これは同時に、後方支援を行うに当たっても必要なことでありまして、今回の法律に基づいた我が国が行う後方支援は、部隊の安全が確保できないような場所で行うことではなくて、戦闘に巻き込まれるようなこともないように実施をいたします。
もとより、後方支援それ自体は武力行使に当たらない活動でございまして、さらに、実施をする場合には、他国の武力行使と一体化することがないように実施をするということでございます。
やはり、重要影響事態法に基づいて、掃海のための後方支援活動を掃海活動現場で行うことはないわけでありますので、御指摘の図のように、存立事態の地域と後方地域の場所は明確に分けられるということでございます。
○重徳委員 地域的に、今、分けられるという御説明がよくわからなかったんですけれども、明らかに全く同じ場所において後方支援活動と機雷掃海の活動をすることだってあると思うんですよ。これを明確に、対外的に分けて見てもらうようなことがあり得るんでしょうか。
ちゃんと離れていたら別ですよ。離れて別の活動をしている、軍事活動というか別の活動をしているということが明確に何らかの形でわかるならばいいですけれども、同じホルムズ海峡、ペルシャ湾といった地域において両方の活動をしているときに、どうやって他国から理解されるような明確な線引きができるのでしょうか。
○中谷国務大臣 いろいろな状況がありますので一概に言えませんけれども、基本的に、自衛隊部隊が行う他国軍隊に対するいわゆる後方支援活動と言われる支援活動自体は武力の行使に当たるものではない。そのような活動を行うものに対して武力の行使を行うことは、国際法上違法な武力行使でありまして、正当化されないわけでございますので、そういう点におきましては、国際法的なルールで後方支援を行っている国の軍隊に対しては武力行使は控えられるのではないかなと私は思っております。
○重徳委員 それは今までの後方支援、つまり、日本は後方支援しかしませんという場合には、それでも何とかそこは他国から客観的に見ても理解されたかもしれないんですが、今回は日本の自衛隊自身が武力行使を行っているわけですから、そして、それと近接した地域で後方支援も行っているときに、別々ですよなんというのは理解されないと思いますよ。
今の御説明は、後方支援はそういうものだと。これは別に、今までだってそうでしたよ。だけれども、今回は完全に一体化するリスクというのは非常に強いと思います。
そして、なぜ一体化が問題かというと、まさにそれは、武力行使を他国領海で行わない、海外派兵を行わないと言ってきた日本が、今回、余り過剰に言うつもりもないんですけれども、しかし、いよいよ大きな一歩を踏み出すようなことにこれは海外からも受けとめられるわけですから、そこは本当に一体化しないという担保がとれない限り、この問題は極めて重要なところだと思うんです。どうやって一体化を防ぐんでしょうか。
○中谷国務大臣 この重要影響事態法に基づいて、掃海のための後方支援活動を掃海活動現場で行うことはございません。
今回、存立事態におきましても、これは三要件がありますので、必要最小限度ということでありますので、そこで行う活動も、我が国の存立を脅かし、そして国民の生命を根底から覆すような事態を排除するための必要最小限度の活動のみであります。
そういう活動を実施している、それに並行してこういった後方地域支援などが行われている場合におきましてはそこで活動を実施するわけでありますが、そのための行動につきましては、掃海のための後方支援活動を掃海活動現場で行うことはございません。
これは、きちんと基本計画を立てて、実施計画を定めて、国会での承認をいただいて活動するわけでございますので、地域的には明確に区別をして実施され得るということでございます。
○重徳委員 この議論は今まで余りされていなかったと思うんです。
今、中谷大臣は、掃海活動現場で後方支援活動を行うことはないとおっしゃいましたけれども、同じ海でつながっているわけですから、どこからどこまでが掃海活動現場で、どこからどこは後方活動に徹していますなんということを、旗でも立てて目印をつけるんでしょうか。
それから、国内的には計画をつくるのかもしれませんが、存立危機事態と重要影響事態が重なって別々の目的あるいは態様で行われるというのは、法理論上、法概念上の解説が今繰り返しなされておりますけれども、実態として、本当にそれがそう見えるような、国際社会で理解されるような線引きができるのかどうか、ここは非常に重要なところだと思います。今の答弁では、私、とてもじゃないけれども理解ができません。
この点、どうでしょうか。きちんと文書で政府の統一見解を求めたいと思うんですけれども。
〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕
○浜田委員長 とりあえず、中谷防衛大臣。
○中谷国務大臣 重要影響事態というのは、後方支援活動を行うわけでありますが、これは現に戦闘を行っている現場でないところでやりますので、武力行使と一体化にならないというのを担保した上で実施いたすわけでございますし、また、部隊の安全のために、ゆめゆめ、そういった武力の行使と一体化となるような行動、地域は避けるわけでございます。
この掃海艇に対する補給等の支援は、通常、触雷の危険を避けるために、機雷掃海が行われている海域から距離的に十分離れた場所で実施をされるわけでございますので、そのために、御指摘のような事態にあって、自衛隊の部隊が現に戦闘行為を行っている現場において支援活動を行うということは想定されないわけでございます。
○重徳委員 この掃海活動というものも、現に戦闘が行われていないところで、まさに戦火の中で活動するわけではないという説明も繰り返されているわけであります。本当の意味の戦闘地域で掃海活動をやっているんだったら、あえて言えば地域としても別々と言えるんでしょうけれども、基本的には同じような、政府側からの説明を受けた我々の今の頭は、機雷掃海というのも、ほぼ後方支援活動を行うところと同じような、安全の確保だとか戦闘がやんだ状態でやっている、そういう理解をしております。
ですから、そういう中でなおかつ線引きができるものなのかどうかということについて、政府の統一見解を求めたいと思うんです。いかがでしょうか。
○浜田委員長 理事会で協議をいたします。
質問を続けてください。
○重徳委員 お願いします。
それでは……(発言する者あり)では、答弁をお願いします。
○浜田委員長 では、中谷防衛大臣、しっかり答弁願います。
○中谷国務大臣 掃海艇に対する補給等の支援は、触雷等の危険を避けるために、やはり機雷掃海が行われている海域から十分距離的に離れた場所で実施されるのが通常でございますので、そういう点で、機雷掃海が実施されている現場で後方支援をするということは想定されないということでございます。
○重徳委員 では、今の御答弁も踏まえて理事会の方で御協議をいただくということでよろしいでしょうか。
○浜田委員長 理事会で協議させていただきます。
○重徳委員 それでは、経産大臣に。
今回の機雷掃海を行うに当たりまして、これは繰り返し質疑のやりとりがありますけれども、機雷がホルムズ海峡に敷設をされ、その結果、原油の輸入が滞り、その結果、日本国民にとって死活的な状況が生まれるがゆえに、それに対応した集団的自衛権の発動、行使が許される場合があるという御説明があります。
その国民的に死活的な状況を招くのは、ひとえに、物資、とりわけ原油の輸入がとまるからということなんですが、であれば、それを本気で想定するのであれば、原油の備蓄の日数が約半年分、百六十九日分あるというのは事前にお聞きしております。これについて、実際に第二要件でも、他の適当な手段がない、これはどこまでのことを想定しているのかわかりませんけれども、直ちにホルムズ海峡に出かけるのではなくて、その前に、非軍事的なことも含めて、あらゆる他の適当な手段を模索しなければならないと思うんですが、今の特に原油に関連いたしまして、化石燃料の輸入に関連しまして、経産大臣、どのような対応をするのでしょうか、お答えください。
○宮沢国務大臣 まず、原油についてお話しいたしますと、今、原油につきましては、全体として一次エネルギー供給の約四割を占めておりますけれども、その約八割がホルムズ海峡を通過して調達されております。そして、委員御指摘のとおり、備蓄については、官民合わせて百六十九日分の備蓄が行われております。
万が一我が国への原油輸入途絶の事態が生じた場合には備蓄の放出を行い、備蓄の放出によってもなお石油の大幅な供給不足が生ずる場合は、石油需給適正化法に基づく供給調整を実施することといたします。
他方、原油以上に我が国の経済に直ちに影響を与えるのは、実は天然ガスでございます。天然ガスにつきましては、約四分の一がホルムズ海峡を通過して調達されております。
LNGにつきましては、気体という性格上、備蓄は不可能であります。仮にホルムズ海峡が通航不可能という事態になりますと、我が国における一次エネルギー供給のうち直ちに六%の供給に甚大な支障を生じますし、また、御承知のとおり、都市ガスはLNGがほとんどでありますし、また、電力の発電にも今四分の一以上LNGを使っているということがありますので、かなり大きな影響があると思います。
そして、それに対してどういう手を打つかという御質問でありましたけれども、まず、備蓄を増強すべきということでありますと、例えば百日分の備蓄を国家備蓄でふやすとなると恐らく五兆円程度のお金が必要になりますが、百六十九日ではだめで二百六十九日なら大丈夫という保証もないわけでございまして、なかなかこれをふやすという選択肢はないのではないかと思っております。
一方で、原油の調達先につきましては、この多角化を今進めてきております。その結果、例えばアブダビにおきまして、本年四月に国際石油開発帝石が、世界屈指の規模を誇る陸上油田の権益獲得にアジア企業として初めて成功しております。
この原油につきましては、ホルムズ海峡を回避した輸出が可能でございます。二〇〇三年にクウェートで失った油田の権益量にほぼ相当するかなり大きなものでございます。
また、天然ガスにつきましても、いわゆるシェールガスの輸入につきまして、二〇一六年以降、我が国へのアメリカからの輸出が開始されるということであります。
もう一つ、ホルムズ海峡の外にパイプラインで直接運び出すという方法もございますけれども、サウジアラビア等々にもありますけれども、正直言って、容量についてはかなり小さいし、大変な危機的な事態が起こったときには我が国にどれだけ回ってくるかというような問題はかなり、そう多くは恐らくそこを通って我が国が輸入できるということにはならない、こんな状況でございます。
○重徳委員 時間が迫ってまいりますが、冒頭申し上げましたように、この法案の法理上の枠組みというものについて説明をいただくに当たって、やはり適切な事例をもって適切な当てはめをしていただかないと、本当にこれはどういう状況を想定しているのかということが非常に理解しづらいです。
そして、この備蓄、これは百日分で五兆円ということでもありました。本当に五兆円もかかるのかどうか、これも検証しなくちゃいけないと思いますし、百六十九日が不十分ならどこまでふやすのか、これも必要な検討だと思います。
そして、そうやって一定期間持ちこたえることができるのであれば、その具体的な事態が発生した上で、国会で改めて具体的な状況に合わせた法制的な検討を、審議を行うべきと私は思います。
今から、何だかわからないけれども、いろいろなことを想定して、いつでも何でもできるように法律を用意するんですなんという審議では深まりませんので、このあたり、中谷大臣、最後にコメントをお願いします。
○中谷国務大臣 やはり政府としましては、国民の生命そして平和な暮らしを守らなければなりません。
きのうも、民間の、中東からの船舶を運営する商社の方に会いましたけれども、本当にこのホルムズ海峡というのは、日本の活動を見てみますと大事なところでありまして、こういったところに支障がある場合には本当に大変な事態になってまいります。
将来におきまして、法律がないからできないというのではなくて、やはりそういった存立にかかわる場合には、きちんと法律を定めておいて、しかるべき条件に当たる場合には対処していく、そういうことが安全保障ではないかと思っております。
○重徳委員 法律がないからできないという事態にならないように、そういう事態が生じたらしっかりそれは議論しますよ、国会においても。だけれども、実際にそれまでどのぐらいの期間持ちこたえられるのかとか、そういうことについても真剣に、他の適当な手段という要件だってあるわけですから、そういうことも踏まえた上で、今回、ちょっとまだ議論不足ですけれども、また議論をさせていただきたいと思います。
以上です。