H25.5.28 消費者問題に関する特別委員会
「アレルゲンを法律に!」
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○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦と申します。
きょうは、参考人の皆様方、貴重なお時間、そしてお話をいただきまして、まことにありがとうございました。
さて、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、私は、アレルギー表示につきまして少し質問させていただきたいと思います。
私は、本会議でも実は質問に立たせていただいたんですけれども、そのときにも申し上げました。私、子供が三人おる中の一人が非常に重いアレルギーに悩まされておりまして、赤ちゃんのころは、乳製品と小麦と卵、これはいずれもだめだという状況でして、パンを初めて口にしたときに、本当に顔が腫れ上がって、急いで救急車で病院に運んで、そもそも、アレルギーなんというものがこんなものなんだということすら、親として、そのときまで全く知らなかった。食物アレルギーを持つ子がどういうことになるのかということは、そのときに初めて知るに及んだということでありまして、そういう意味では、ある種、消費者教育というものを私自身が受けてこなかったことなんだなというふうにも反省をしているところでございます。
これは、少しずつ、子供たちも大きくなるにつれて、今は、うちの子供に関して言えば、小学校に入る年齢になったんですが、小麦と卵は克服をいたしまして、でも、やはりいまだに乳製品は、かなり微量の乳製品にも反応する、こんな状況であります。
そういう意味で、子供が生まれたときからこの六年間というもの、必ず、食品表示は、手にとって、小麦が入っていないのか、乳製品が入っていないのかということを確認してきたものでございます。
食品表示に関しては、例えば乳化剤。少し紛らわしいですね。これは乳なんだろうか、乳化剤というのは一体何なんだろうか、アレルゲンなんだろうかどうだろうかということも、一般消費者の方の中には、乳化剤というからには乳が入っているんじゃないかというふうに誤解されている方もいらっしゃって、私もしばらく、そういう慎重論があったものですから、乳化剤が入っているものは子供に食べさせてはいけないんじゃないかというようなこともございました。
このあたりも消費者教育の問題になろうかと思うんですけれども、ちょっとお恥ずかしいレベルなのかどうかもわかりませんが、こういうことも現にあるということで、アレルギーの表示があると食べちゃいけない、過度に食べちゃいけないと思ってしまう面も状況によってはあり得るという意味からも、正確で必要十分な表示が必要だというふうに考えております。
そうした中で、先ほど鬼武参考人から、食品の安全性、第四条一項の中で、アレルゲンという言葉を挿入するべきであるという御提言をいただきましたが、この点については、アレルゲンというのもいろいろ多岐にわたると思いますし、最近では甘味料がアレルギー反応を引き起こすものだというような調査結果なんかも出ておりまして、このあたり、アレルゲンを条文に挿入するべきだという提言はもちろん基本的には賛同するんですが、その難しさだとか課題についてももし御認識がありましたら、教えていただきたいと思うんです。
〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕
○鬼武参考人 お答えいたします。
今委員がおっしゃるように、アレルギー問題というものは、まだ、メカニズムの解明を含めて非常に難しい点がございます。昨今、一番最近の事例でいきますと、NHKでも報道にありました、甘味料エリスリトールによる即時性アレルギーの疑いがあるということが報道されております。
私は、まず重要なことは、日本の中でアレルギーなり食物アレルギー疾患のことについて、表示の観点なり、従前は厚生労働省の方で専門家の会議がございました。今は、そういうものがあるかというと、まだ多分ないというふうに理解をしております。
そういう点では、EUの方では既に、EFSA、ヨーロピアン・フード・セーフティー・オーソリティー、食品安全機関の中に、専門部会としてアレルギー専門部会が立ち上がっておりまして、そこで、定量的な評価に基づくアレルギーについての検証、問題点、課題を整理しております。
そういう点から申しますと、私が先ほどコメントで出させていただきました食品安全委員会なのか、いわゆる専門家集団のところでアレルギー問題についてはぜひ定量的かつ科学に基づいた評価をまず行っていただいて、その上で、リスク管理上の措置として表示が必要なのか、もしくは、表示でなくて、そういう食品を使わないということが必要なのかという検討が次に来ると思います。
そういう点からしますと、やはり科学的な評価委員会というものが必要というふうに理解しております。
以上でございます。
○重徳委員 今の点について確認なんですが、EUの体制、定量的かつ科学的な研究というか調査できる機関というものが日本においては全く不備な状況であるという、ちょっとその程度の差を、済みません、教えていただきたいと思うんです。
○鬼武参考人 私も詳細には理解をしていない部分もあります。私の知っている範囲でということでお答えしてよろしいでしょうか。(重徳委員「はい」と呼ぶ)
まず、日本の場合ですけれども、昨今のテレビ報道でありましたのは、いわゆる消費者庁の事業調査ということで、これまでアレルギーなりのいろいろ調査をしていまして、その中で、甘味料のところも全国の病院の調査の中で出てきたものでありまして、その研究員の成果として、一部が学会で報告をされたということであります。
それは学会レベルであって、今の問題となっております甘味素材が実際にどれぐらいの症例であるのか、メカニズムを、私どもの調べた文献の範囲では十本ぐらいしかありませんし、この間、症例としても四例ぐらいしかございませんので、リスクとしては百万分の一ぐらいのアレルギーを起こすリスクだというふうには理解をしておりますが、そういう点からすると、日本は、私はこれは専門家でもありません、私見です、これまでのいろいろな情報を持ったものですが、それが、国として専門家機関として存在していないと私は思っております。
一方、EUの場合はいろいろな、EFSAの中に、もしくはDG―SANCOといいます保護総局の中に、そういう活動をする部隊がおりまして、専門的な報告書、レポートも出ておりますから、そういう点からすると、日本とヨーロッパはかなり異なっているんだというふうに理解をしております。
以上でございます。
○重徳委員 ありがとうございます。
次に、アレルギーに関しても、これは今後の検討課題なんですけれども、中食、外食についても、これだけ多くの子供たちがアレルギーに悩まされているという状況ですので、家族生活を営むにおいても、子供が、何人か兄弟がいても、一人がアレルギー体質だと、行けるお店がほとんどなくなっちゃうというようなこともございますし、一方で、ハンバーガー屋さんでも、ライスバーガーで全くアレルギー抜きだというメニューが用意されているハンバーガーショップも現にあるんですね。
そうすると、やはり、そういう問題を抱える家族、家庭としては本当に助かる。現にアレルギーを持っている子の周りの方々、家族を初めとしたそういう方々にとっても、非常に生活の豊かさにつながることではないかというふうに感じております。
一方で、イカのアレルギーで、おすし屋さんでイカを握った後にマグロを握って、本当にイカの成分が払拭されているかどうかというと、これまた保証の限りではないという意味では、提供する側にとっての負担というのも、実際的な、負担というか、そんな無理を言うなよというレベルのことまであり得ると思うんです。
中食、外食について、アレルギー表示を行う上での課題というものにつきまして、これは、消費者の立場から山根参考人、それから、事業者の立場から西藤参考人に御意見を伺うことができればと思います。
〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕
○山根参考人 アレルギー表示につきましては、充実が強く求められているわけですけれども、まだまだ実態調査や課題等の抽出、整理が必要だと思っています。義務の範囲の拡大もそうですし、充実させるために、専門家また患者を含めた議論が早急に始まることが必要だというふうに思っています。
外食、中食にももちろん求められていて、充実されるべきなんですけれども、そのあたりも、まだこれから議論だと思います。一元化検討会の中ではこの議論はしてございませんし、これから消費者庁の中でもきちんと議論が開始されること、消費者庁、消費者委員会のところで消費者目線で議論がされることを期待しているところでございます。
○西藤参考人 少なくとも、容器包装で提供される食品について、先ほどありましたように、定量的、科学的評価に基づくものは義務表示の対象に当然すべきだというふうに思います。
ただ、包装食品に表示されていることと、それを食べるということの間に調理過程なりが入るわけですので、それは外食の問題にも同じ形でかかわっていくわけですが、やはりそういう対話、教育を通じて、いかに情報提供をしていくか、みんなの関心をそこにあれしていくかということが、義務化するかどうかということよりも、実効的に極めて意味があることだというふうに感じております。
○重徳委員 ありがとうございます。
これは、少し皆様方の専門分野とも外れる可能性のある質問になりますが、もしもお考えがあれば御参考までにお聞かせ願いたいんですけれども、このアレルギーというのは、本当に現代病というか、食べ物に関しては、今申し上げました食べ物アレルギーになりますけれども、ほかにもアトピーとか、ぜんそくだとか、あるいは花粉症とか、もう国民病のようになっておりまして、これは今後、社会を挙げて解決をしていかなければならない問題ではなかろうかというふうにも感じているわけでございます。
そういう意味で、食べ物アレルギーに限らず、こういった何か現代に蔓延しているアレルギーという問題について、広い意味での解決も含めて、何かしらこれまで御議論だとか問題意識をお持ちであれば、どなたでも構いませんので、もしあればお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○池戸参考人 アレルギー問題につきましては、一元化検討会でも非常に重要な案件になっております。
それで、多分、どの項目を見るかというアンケートの中では、総数としては極めて低い方になっているんですが、逆に、今委員が言われたように、その疾患を持っている御家族からすると、そこは物すごく重要な問題になると思います。
それこそ、自分のところの畑や田んぼでつくって、原材料も自分で確認して食べるということであれば可能ですけれども、今のように、食の外部化が進んで加工食品も非常に多い、また、ほかの人と一緒に食べなきゃいけないとか、そういう場面の中では、やはり消費者としては、食べるものに本当にアレルゲンが入っていないのかどうか、そこが一番気になりますし、また、売る方も、精魂込めてつくった立場で、お客さんが発症するということは非常に不本意な話だと思います。
ただ、難しいのは、ほかのものと違って、特定の方にとっては非常に影響力があるということなので、目的のところも、食品の安全確保じゃなくて摂取する際の安全確保という言い方をしたのは、そういう意味も込めて多分書いたと思います。
ちょっと話が長くなりましたけれども、提供するサイドとしても、自分たちが提供しているものの中に本当に入っていないかどうか、これは極端な話、材料が何にも入っていなくても、例えば、使ったスプーンとか器具とかでほかのものを使った場合でも発症するぐらいの、非常に敏感なものもございます。
だから、その辺を含めて、検討会の結論としては、専門家を集めて、そのルートも含めて実態をまず十分慎重に検討すべきだという話になっておりますので、私どももそれを期待している次第でございます。
○重徳委員 ありがとうございました。
この食物アレルギーの件は、時に人の命まで奪ってしまうような極めて重要な問題だと思っております。何より、家族、その本人が一番意識が高いわけなんですけれども、そのあたりは、何かを信じて食べたらそれで被害に遭ってしまったという、非常にデリケートな部分であり、重い課題だということを重々私自身も認識をしておりまして、この課題にこれから私自身も取り組んでまいりたいと考えておりますので、どうか皆様方、引き続き御指導願います。
きょうはありがとうございました。