H26年4月10日 消費者問題に関する特別委員会
「国民生活センターの無駄遣いは如何に?」
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○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。
引き続き質疑をさせていただきたいと思います。
今、委員の皆様方にもお聞きいただいたとおりで、非常に、人的な交流、人事を通じて、特に、役所の指定席となっているようなポジションが独立行政法人国民生活センターにあったり、それから、国民生活センターと全相協、公益社団法人全国消費生活相談員協会との間の関係も、人的あるいは物理的、いろいろな関係を保有しながら一者入札というものを続けてきたという状況でございます。
理事長御自身がお認めになるように、密接な関係をつくってきたということでございますし、入札の参加機会を他社にはなかなか与えることもせず、前回は理事長も、なぜ参加者がいないのかにつきましては、我々としても原因はわかっておりませんというようなこともおっしゃっておりましたけれども、そのあたりも、しっかりと原因を、原因といいましょうか、どうやって解消していくか、改善していくかということも常々考えなければ、大もとになっているのは国民の皆さんからいただいた税金なわけですから、その使い道として、できるだけ適切な手段、方法、金額であるべきだと思います。
その意味で、消費税増税の折、それは確かに転嫁の問題とかいろいろありますけれども、やはり、税金を預かっているのはひとえに政府なんですから、政府から、さらにそこから運営費交付金という形でまとめてどんとお金が行っている国民生活センターには、しっかりと襟を正していただきたいと思います。
それで、一点、国民生活センターの、これは上西委員から通告があったと思いますが、この問いについて、私からかわって質問させていただきますが、きょう、午前中にも他の委員から質問がありましたけれども、国民生活センターの相模原事務所において、果たしてこれはいかがなものかと思われるような事業がございます。医療機関ネットワーク事業というものがあるんですけれども、これについて伺いたいと思います。午前中に結いの党の井坂委員から質問があった、相模原事務所です。
この医療機関ネットワーク事業というのは、身の回りの商品やサービスが要因となってけがをした方の事故情報を収集、分析し、同様の被害や事故の再発防止に向けた取り組みを推進するという事業で、このネットワークを構築するのに三千五百万円が投じられ、年間のシステム維持費は約四百四十万円。そして、情報収集、これは医療機関から情報収集します、その謝礼金が約千四百七十万円ということでございます。そして、これだけの巨額の資本投下をされまして、まだ全国では二十四しか参画医療機関がない。
こういう状態なわけですが、こういった事業、無駄な事業の典型例のようにも見えますが、現状と、今後どのようにこれを、続けていくのか、どうするのか、このあたりについて松本理事長からの御答弁をお願いしたいと思います。
○松本参考人 医療機関ネットワーク事業は、消費生活上の事故情報を医療機関から収集する仕組みを構築し、同種、類似事故の再発防止に資する取り組みを推進するため、平成二十二年十一月に、当初十三の医療機関の参画を得て立ち上げたものでございます。
現在のシステムは、二十四年六月に運用を開始し、途中、システムの変更を含め、構築費用の合計は御指摘のように約三千四百九十六万円でございます。年間維持費約四百四十万円でございます。このほか、参画医療機関への謝金として、平成二十五年度は約一千四百六十八万を支払っているところでございます。平成二十六年四月現在、参画医療機関は二十四機関でございます。これまで約一万八千件の消費生活上の事故情報を収集してまいりました。
医療機関ネットワーク事業は、消費者庁と当センターとの共同事業でございまして、収集された情報は事故の拡大防止等に向けた消費者への注意喚起や事業者への改善等に活用をされております。例えば、公表件数では、平成二十二年度は二件でございました。二十三年度四件でございましたが、二十四年度十三件、二十五年度七件ということになっております。
医療機関ネットワーク事業に要するランニングコストは年間約二千万円となっているところでございますが、収集される情報には、窒息による死亡事故のほか、刈り払い機による指の切断、電動工具での内臓損傷や電気ケトルの熱傷など、不可逆性の事故も多いわけでございます。こうした事故に対して消費者に注意喚起を行い、事業者等への製品の改善や表示の徹底などを要望することにより、事故の再発を防止する効果が高いものと考えられます。
引き続き、情報収集の能力を高めるとともに、消費者被害の防止に取り組んでまいりたいと思います。
○重徳委員 年間数件ということですね。やはり費用対効果はしっかり考えていかなければならないと思います。
民主党政権になったときに、事業仕分けが行われましたね。私も、公務員の立場でありましたが、事業仕分けを担当する行政刷新会議事務局というところに所属をいたしておりまして、やはり、官の部門におきます行革の姿勢というのは、私は、民主党政権は非常に前向きというか、非常に厳しい姿勢で臨んでおられたと思います。今は自民党政権で、何かと前の政権が全て悪かったような言い方をされることが、閣僚の皆さん、みんな一様にそういうことを言っていて、非常に私は気になります。
これから、消費税も増税される、こういう局面において、何よりも身を切る覚悟、そしてそういう行革努力というものをしっかりとやらなきゃいけないのは政治家自身でもあり、また、官と言われる行政組織だと思うんです。そして、さらにそこから連なる独立行政法人、その委託先、そういうところが、最近でも、厚生労働省から、JEEDと言われる独立行政法人に対する入札、これも一者応札ですね。こういうところをしっかりと正していく姿勢は、私は、前の政権の方が明確だったと思っております。ですから、今の政権にも、何か、消費税で増収があって、使える金がふえたかのような態度で、予算も大盤振る舞いで、このような姿勢は本当に看過できないものがあると思っております。
松本理事長は御答弁はここまでで結構でございますが、もうちょっと関連する発言は続けますので。済みません。
その意味で、今後、今回の法案におきましても、消費生活相談員の資格試験を、登録試験機関として政府が指定する機関を設けるわけですよね。
そこは、今までは、これは国民生活センターも一つありましたね。それから、日本産業協会と言われるところ、日本消費者協会と言われるところ。こういうところにやはり税金が入っているわけですよ、今までの消費相談員に関する資格が。年間八千万円とか三千万円とか、そういうオーダーでお金が入っているわけです。
これから新たに整理統合される消費生活相談員の資格試験、それを行う登録試験機関、こういうところとの関係を、これからやはり政府との関係、癒着の関係とか、そういうものが厳しく問われていかなければならないと思っております。
そういうことで、私としては、国会議員の重要な仕事、これは与党も野党も一緒だと思います、国会議員たるものは、政府の税金の使い道、これをしっかりと監視して改善していく。そして、政府はその声に基づいて直ちに改善を全力を挙げて行っていく。こういう姿勢が必要だと思います。
森大臣にこの点に、こういう大きな話ですから、特段通告なしでもお答えいただきたいんですが、こういったことについて襟を正してこれから取り組んでいただきたいと思うんですが、御所見をお願いいたします。
○森国務大臣 先ほどの上西委員の御質問にもお答えをいたしましたけれども、国民生活センターの問題に対しては、中期目標を定め、これを指示しておりまして、それに基づく解消等がございましたこと、さらにその上の改革努力をしていく旨申し上げたとおりでございます。
今御指摘の医療機関ネットワークについてでございますが、その前に、相模原というふうにおっしゃっていたと思うんですけれども、相模原の施設の問題と医療機関ネットワークの問題の関連性がちょっと私、理解がちょっと困難でございましたけれども、いずれにせよ、さまざまな御指摘、委員の御指摘を踏まえて、この平成二十二年に立ち上がったネットワーク事業、しっかりと見直してまいりたいと思います。
○重徳委員 見直しをするという明確な御答弁がありましたので、見直していただくということでお願いしたいと思います。
それでは、理事長、ここで結構でございます。ありがとうございました。
今回の法案につきましての質問に入りたいと思います。
今回の法改正のきっかけとなりましたレストラン、ホテル大手のメニュー偽装事件がございましたが、これは今まで消費者庁が主体となってさまざまな調査や実態把握に取り組んでこられたと思います。
私、以前から、今回起こった事件の中には、詐欺罪のような刑事事件、あるいは、民事の不当利得、債務不履行、それに基づく損害賠償、こういったことに発展し得る事例もあるのかどうかということについて、それだけ重大な問題なのではないかというのが本意なんですが、そういったものがないかどうか、つまり、民事、刑事に問われるようなものがないのかどうか、こういったことを問い続けてまいりました。
特に刑事事件については、捜査当局に余り明確な御答弁をいただくようなことができる性格のものでもありませんでしょうから、民事として、これは要は、お客さんがメニューを見て注文した時点で契約が成立したけれども、メニューに書いてあったものとは違うものが出てきた、それによって本来の利益よりも上回る利益を売り手側が得たという意味において、債務不履行、不当利得、こういったものに当たる可能性があるのではないか。
これは、実際、事を起こす、裁判にならなければ何にもならないわけなんですけれども、理論的にはそういったものに該当する事例というのがあるのではないかということについて、御答弁をいただきたいと思います。
○萩本政府参考人 民事につきましても、具体的な事案における法律関係をどう考えるかは、個別の事情を踏まえた事案ごとの判断になりますので、あくまで一般論ということでお答えをすることになりますが、いわゆるメニューの偽装表示が問題となる事案において、メニューに表示された産地や銘柄の食材を使った料理を提供すること、それがレストランとその客との間の契約の内容になっていると認められるような場合には、そのような食材が実際には使われていなければ、民事上、レストラン側に債務不履行や不法行為が成立し、客側に損害賠償請求権が発生する場合もあり得ると考えております。
○重徳委員 一般論としてはそういうことだと思います。
森大臣、今回の法改正は、これからの対応、体制をつくって、しっかりと制度をつくっていくということだと思うんですが、これまで数カ月間調査をした結果として、今回の事件について、大臣は非常にこれはひどいというようなことをおっしゃっておりますが、結局、これまでの調査に基づいて、今回のメニュー偽装事件全体をどのように総括しておられますか。
消費者庁として、今回の法律をつくって対応するというのは、これからのことはいいんです。いいというか、それはそれでまた議論させていただきますが、今回の調査の結果を踏まえて、今回事件を起こした各業者などに対してどのような対応をしていくかということについても、少し、これはちょっと通告しておりませんでしたが、お考えをお聞かせいただきたいんですけれども。
○森国務大臣 今回の事件においては、迅速に行政処分をいたしました。
私が今回の事件で、これまでのことを起こした事業者についてどのような感想を持ったかというような御質問でございますけれども、まず一つには、私は、プロであるべきホテル業界、レストラン業界の方に大臣室に来ていただいて、ホテルマンとしてのプライドはどこに行ったんですかというふうに申し上げましたけれども、遵法意識が鈍麻していたと思います。
しかし、それに対して、行政庁としての消費者庁も反省すべき点があるというふうに思いました。そこで、今般の事件もそうですけれども、五年たって、消費者庁が今までやってきたことを全てレビューをして、しっかり見直しをして、今後の対応をつくるということも指示をしたところでございます。
そういった観点で見ますと、今まで同様の食品偽装表示が十七件あったにもかかわらず、しっかりとした迅速な行政処分さえ打っていなかった。つまり、現行法でできる最低限の対応さえしっかりしていなかったということです。そういう意味で、消費者庁の中の体制も見直しました。
さらに、業者がそれに甘えて対応をしていなかったということに対して、業界団体に対して、これからの業界の中での自主努力、これについても要請をいたしまして、それに使うツールについても、講師の派遣、またはガイドブックもつくりました。過去の処分例もつくりました。勉強会には協力するということも申し入れているところでございます。
さらに、その上で、現行法で足りないという部分を今回の法案で出したということで、業界の中に食品衛生法と同じような管理責任者を置いて、その役員が、何かあったときにはしっかり責任をとる。
今回あったように、一体誰が悪かったのかということが、会社の中でも、たらい回しになって、よくわからない。役員はわからない、仕入れの人もわからない、調理場でもわからない。そして、現場の調理場の方を一人首を切って、それで終わらせるというようなことが起こっていたわけでございますが、責任をとる体制とともに、そこまでやってもだめだった場合の課徴金を検討するというふうにしたところでございます。
○重徳委員 ありがとうございます。
それでは、消費者安全法の今回の改正におきます秘密保持義務規定の運用について、質問を移したいと思います。
今回の消費者安全法の改正案におきましては、消費者安全確保地域協議会の事務に従事する者、していた者、あるいは消費生活協力団体の役職員の方、あるいは消費生活協力員の方、これらに対しまして新たに秘密保持義務規定が設けられました。知り得た秘密を漏らしてはならないという規定でございます。
これまではこういう規定がなかったわけですけれども、実際には、さまざまな、例えば民生委員の方とかケアマネの方なんかが、地域で高齢者などの消費者被害の情報を得て、それをどういうふうに扱ってきたかということ、これまでどうだったのかな、実態がどうだったと捉えておられるのかなと思っております。個人情報だからということで、なかなか、人に言っていいんだか悪いんだかわからないということもあったかもしれません。一方で、余計な人に余計なことを言ってしまうということもあったかもしれません。
このような秘密保持義務規定、義務を課すことによって、当然、萎縮効果が出てくる可能性はあります。本来伝えるべき情報を伝えないとか、そういうことも心配されるわけなんです。
質問なんですけれども、これまでこうした情報の取り扱いは、現場においてはどのような課題があったと認識されていて、今回、秘密保持義務規定を設けることによって、これをどう解消させていくということでしょうか。ガイドラインを設けるという話も本会議で御答弁があったと思いますが、今言ったような趣旨で、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
○森国務大臣 御指摘のとおり、深刻化する消費者被害に対して、きめ細やかな対応を行う観点から、これまでも地域において、さまざまなネットワークづくり等の取り組み、支援の取り組みが行われております。
そして、そのそれぞれが、守秘義務を課しているものもあり、課していないものもあります。例えば、足立区の取り組みなどでは、これは条例でしっかりと守秘義務を課しているというふうに聞いております。
守秘義務を課さなかった場合に、個人情報を保有して見守り等に使う場合に、それが漏えいをされるということに対する懸念の声があるというふうに承知をしております。
今般、この法案で皆さんに共有される情報というのは、よりセンシティブなものでありまして、高齢者の皆様が多額の現金を詐欺でとられている等の情報でございますので、ここは、見守りネットワークに誰が入るかということは地域ごとに、もちろん自由に組めるわけでございますけれども、既に守秘義務を課されている職業におつきの方ももちろんいますけれども、それ以外の方が入る場合には、少なくともそこは守秘義務を課してくださいというふうにしたわけでございます。
○重徳委員 それでは次に、地方向けの基金、三十億円という金額の基金の予算が、今年度は当初予算からついた。
今までは、なぜか補正予算でいつも対応していたわけなんですけれども、金額も三十億円という金額で、それを地方に交付して、都道府県において、それは基金として積んで、都道府県自身が使うこともあれば、その県内の市町村にさらに交付することもある。こういう基金を今年度から特に充実させていくという意味において、消費者行政としては、これは大きな前進なのではないかなと思います。
法案の説明をする中においても、この基金について議論をさせていただきまして、この基金はいろいろなものに使える、人件費にも充てることが、最初は、できないんだという説明もあったんですが、できるというふうにきのう確認させていただいたんです。
やはり消費者行政体制強化のためには、各自治体の人員を増強しなきゃいけない、これは各委員の皆さん方もおっしゃっているとおりだと思います。
そこで、この三十億円の予算がどういうふうに全国の自治体に行き渡るのかというイメージを持ちたいというふうに思っておりまして、国から都道府県への交付のルール、配分のルール、これをちょっとお伺いしたいと思います。
今年度の交付先が決まっていなければ昨年度でもいいんですけれども、配分実績を教えていただきたいと思います。具体的な方がいいので、具体例として、私の地元の愛知県、それから愛知県内市町村、これがどうなっているのか、このあたりを教えていただきたいと思います。
○川口政府参考人 お答え申し上げます。
まず、交付決定額の設定方法でございますが、基本的に、交付決定額の算定に当たりましては、都道府県ごとの定額分、人口割分ということで今年度は対応したところでございまして、金額は既に確定し、通知をしているところでございます。
地方公共団体ごとに対する定額分と、予算額から各都道府県の定額分の合計を差し引いた額を人口割りにした額を合計した額を各都道府県の限度額といたしまして、要望がそれに満たない場合は要望額まで、要望が限度額を超えている場合は限度額までを配分しているところでございます。
ちなみに、愛知県ということでございますが、愛知県につきまして、平成二十五年度の数字でございますが、平成二十五年度の事業実施のために配分された額は一億三千六百万円でございまして、事業計画としては、県事業として二千五百三十万円、市町村事業として九千五百八十万円の事業が実施されているというふうに理解をしております。
分野別の基金の活用状況、これも愛知県を例にさせていただきますと、消費生活センター等の整備に百四十万円、消費生活相談員の研修等に八百三十万円、消費生活相談員の雇用等の人件費に、御指摘いただきました人件費でございますが、三千七百十万円、消費者教育、啓発に七千四百二十万円となっているところでございます。
以上でございます。
○重徳委員 ありがとうございます。
最後に、話題の課徴金について議論させていただきたいと思います。
現時点では、消費者委員会でさまざま専門調査会を置いて幅広く議論されている状況だと思いますので、今の段階で明確な方向性ということは、ここで明言はできないのかもしれませんので、ちょっと三点ほど論点を私なりに考えてみました。
一つは、課徴金を賦課する場合の主観的要件ですね。いわゆる故意、過失、これを要件とするのかどうか。要件とするのは通常なのかもしれませんが、仮に、故意、過失を不要とする仕組みとした場合、どのような課題があるのかということが一つ。
二つ目は、立証責任の転換ですね。不法行為なんかだったら、大体、被害を受けた側が故意、過失についても立証しなきゃいけないと思うんですけれども、この立証責任を転換して、むしろ故意、過失がなかったということを事業者側が立証する、こういう仕組みとした場合に、どのような課題があるのか。
それから三つ目に、これは、独禁法上、課徴金という制度があるんですが、そこにおいては、課徴金を賦課するかどうかについて役所側の裁量はないというふうに聞いております。すなわち、裾切りなんて言われるらしいんですが、一定額以下の課徴金である場合は不問に付す場合があっても、それ以上の金額であれば、客観的な事実が判明すれば必ず課すという仕組みだそうです。
同じ仕組みにするんだったらそれはそれなんですが、もしそうでなく、裁量権があるよ、消費者庁の判断いかんで賦課する、しないという判断ができるよという仕組みとした場合に、どのような課題があるか。
この三点につきまして、法律家でもあります森大臣の御見解をお願いします。
○森国務大臣 課徴金をどうして課すかといいますと、行政目的である偽装表示を抑止するという抑止効果、これが主たる目的でございます。
人に抑止をさせる場合には、全く故意、過失がない人に課徴金を課すというふうにしてその抑止になるかといったら、なりませんから、そういう意味では、主観的要件というのは必要であろうという説が一般的だと思います。
ただし、この景品表示法では、そもそもの構成要件として、著しく優良であると誤認させるというふうになっているんです。消費者に著しく優良であると誤認させる表示をするときに全く軽過失もないということがあるんだろうかという論点も一つございます。現に、今まで行政処分が課されている案件を見ますと、これは本当に故意、重過失がありましたねというような非常に悪質なものであります。
そういう意味で、故意、重過失という主観的要件を付すかどうかというのはまだ決定はしておりませんけれども、消費者委員会の中間整理では、そういった故意、過失がないことが証明された場合に例外的に課徴金賦課の対象外とするという、反対から書いてあるような文章ですけれども、そういう意見が多数であったというふうに承知をしております。
いずれにせよ、消費者庁としては、消費者委員会における御議論をにらみながら、今、大臣室直轄で課徴金検討室というのを設けておりまして、そこで諸外国の事例などとともに制度を検討しておりますが、この主観的要件の要否を含め、適切な要件設定をしてまいりたいというふうに思います。
二点目の御質問でございます、立証責任の転換でございますけれども、これは刑事上または民事上、裁判上のものではございませんでして、課徴金というのは行政処分でございますから、そこで立証責任を転換させるというようなことは、ほかに類例がない仕組みでございます。
ただし、まだ消費者庁ができる前に、前の自民党政権時代に法案が検討されていたときに、立証責任の転換のような書きぶりのものがあったようでございますけれども、具体的に、課す上で、行政処分の迅速な執行、それから業者の方の、真っ当な業者さんが仮にそういったことになった場合の賦課等、さまざまなことを検討して決めてまいりたいと思います。
三つ目でございますけれども、消費者庁に裁量性を持たせるかどうかということでございますが、行政裁量を持たせますと、やはり、それが不透明になったり、これは公平であるかというような疑念を生じるということがあるというふうに思います。
一方、裾切り要件というふうにいたしますと、公正取引委員会で、過去に課徴金を導入したときに、導入当初はぐっと行政処分の件数が減ったということで、大量のものを、今までの行政処分に加えて課徴金について認定作業等をしていかなければならない、そういう論点もございますけれども、委員会の御議論を参考にしながら、慎重に決定してまいりたいと思います。
○重徳委員 ありがとうございました。
引き続き議論をさせていただきたいと思います。
以上です。