○鴨下委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 維新の党の重徳和彦です。よろしくお願いいたします。
現在、内閣府消費者委員会特定商取引法専門調査会で、訪問販売、電話勧誘販売における不招請勧誘規制のあり方が議論されているんですね。不招請、招かざるということなんですが、招請していないという意味で、不招請勧誘ですね、そういう規制のあり方が議論をされております。
頼んでもいないのに訪問してくるとか、頼んでもいないのに電話してくる、これは営利目的でありますので。非営利目的であれば、政治家は誰しも、選挙で電話作戦をやったり、個別に回ったりということがよくあるので、かなり状況はここの委員会にいらっしゃる皆さん方はイメージしやすいと思うんですね、その場面では。
ですが、消費者団体は、訪問販売業者による勧誘をあらかじめ断りたい。当然、消費者側としてはそういうニーズがあるわけですね。消費者団体は、例えば訪問販売お断りのステッカーの配布をしたりしております。
ところが、もちろんそれはありがたいという評価を得られる一方で、ステッカーを張ってしまったので、ここは狙い目のお年寄りが住んでいる、ひとり暮らしの、認知症かもしれない、カモじゃないかというふうに逆に悪質業者から狙われる、こういう受けとめもあるということでございます。実際、追跡調査を行っても、ステッカーに効果があると回答した人は割と少なくて、利用者の三割程度だという調査もございます。
いずれにしても、今の法規制、特定商取引法による法規制ではなかなか十分消費者を守り切れていないんじゃないかというような状況がございます。
そこで、まずお尋ねいたします。
特定商取引法、これは昭和五十年代からありますけれども、この間、何度か改正されて、電話による勧誘に規制がかかったり、あるいは、平成二十年には、一度勧誘して断られたにもかかわらずまた勧誘する、再勧誘を禁止するとか、こういった規制が順次追加されているわけなんですが、この規制の経緯。それから、最近、この見直しに当たりまして調査をされていると思います、消費者の受けとめ方の調査。この辺の状況について御説明をいただきたいと思います。
〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕
○服部政府参考人 お答えさせていただきます。
まず、訪問販売の勧誘規制についてでございますが、御指摘のとおり、平成二十年の特商法改正におきまして、一つは、相手方が勧誘を受ける意思があることを確認することの努力義務、二つ目といたしまして、売買契約または役務提供契約の締結をしない旨の意思を表示した者に対して当該売買契約または当該役務提供契約の締結について勧誘を禁止する、いわゆる再勧誘の禁止を導入しております。
次に、電話勧誘販売についてでございますが、平成八年の法改正におきまして規制対象に位置づけられたわけでございますが、規制導入当時から、いわゆる再勧誘の禁止を規定しております。
それから、最近の勧誘に関する調査でございますが、消費者庁におきまして、訪問勧誘及び電話勧誘に関する消費者の意識調査を本年三月に行ったところでございます。この五年間で、訪問勧誘、電話勧誘を受けたことがある者は、それぞれ、約七〇%と約二七%でございました。いずれも、約九六%の消費者が、勧誘を全く受けたくないと回答しております。
以上でございます。
○重徳委員 つまりは、規制が導入をされ、また強化をされてきたわけでありますが、依然として、これは合法的か違法的かはともかくとして、電話あるいは訪問による勧誘というのがあって、しかも、多くの、むしろほとんどの消費者はそれを望んでいないという傾向がわかるわけでございます。
特に、最近深刻なのは高齢者ですね。認知症の高齢者が特に狙われて、オレオレ詐欺なんかもありますね。新しい類型の犯罪形態もさらに加わる一方で、なかなか状況が改善されない、こういうことだと思うんですが、高齢者の被害の現状について詳しく御説明いただきたいと思います。
○服部政府参考人 お答え申し上げます。
PIO―NET、全国消費生活情報ネットワークシステムによりますと、二〇一四年度の訪問販売に関する相談の五割以上、電話勧誘販売に関する相談は六割以上が六十歳以上の高齢者からのものでございます。
特に六十五歳以上の高齢者につきましては、訪問販売と電話勧誘販売のいずれにおきましても、契約購入金額、既支払い額ともに全年代の平均額よりも高額になる、そういう傾向がございます。
以上でございます。
○重徳委員 実は、この不招請勧誘というのは、大別して、今は電話と訪問販売だけを最初から申し上げましたけれども、広くとれば、ダイレクトメールもあるし、電子メールもあるし、それからファクスという形もあるでしょう。これは、いわばリアルタイムな対面式ではないという意味で、違うと思うんですが、ちょっと話を整理するために、電話とか訪問というリアルタイムな勧誘形態についてはこの後議論を進めますが、このリアルタイムでない部分につきまして、きちんと規制がなされているのか、あるいは今後どうしていくのかということについて、一旦ここの整理をさせてください。よろしくお願いします。
○服部政府参考人 お答え申し上げます。
今、具体的に三つ御指摘がございました。
まず、電子メール広告についてでございますが、特商法ではいわゆるオプトイン規制を導入しており、承諾を得ていない消費者に対しては、原則として、通信販売等に関する電子メール広告を送付できないこととなっております。
次に、ファクス広告でございますが、特商法では送信行為自体に規制はございません。
それからもう一つ、ダイレクトメールでございますが、この送付につきましても特商法での規制はございません。
以上でございます。
○重徳委員 わかりました。基本的には、ダイレクトメール、つまり郵送によるもの、あるいはファクスというものが規制がない。電子メールはオプトインですね。
この後、オプトイン、オプトアウトを議論したいと思いますが、オプトイン、つまり、好んで来てくれというもの以外はだめだよ。だから、原則禁止のことをオプトインといいますね。それから、オプトアウトは、自分で選んで、うちはだめだというふうに言うわけですから、原則禁じられていないんだけれども、特に意思表示をしたところには勧誘しちゃいけない。これがオプトアウトであります。
日本では、今御説明のあったような規制の程度でありまして、余り実効性がないんじゃないかという指摘もされているわけですが、実は、先進各国ではかなり規制が進んでいる国が多いと聞いております。
電話勧誘については、レジストリーというんですね、登録をして、業者も、その登録された名簿に基づいて、やっていいこと、悪いことがきちんと規制されている、こういうようなことも伺っておりますが、この点についても、オプトイン、オプトアウトなど、各国の規制の導入状況について御説明いただければと思います。
〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕
○服部政府参考人 お答え申し上げます。
まず、電話勧誘販売についてでございますが、ドイツやオーストリア等のように、勧誘を行うことについて同意する意思を登録した消費者以外への架電を禁止する例、先ほど御紹介いただきましたオプトイン規制がございます。
また、アメリカやイギリス等のように、勧誘を拒絶する意思を登録した消費者への架電を禁止する例、御紹介いただきましたオプトアウト規制でございますが、存在いたします。
次に、訪問販売についてでございますが、アメリカの自治体やオーストラリア等において、勧誘を拒絶する意思を登録したり、勧誘お断りのステッカーを貼付した消費者に対して勧誘を禁止する例が存在しているというふうに承知しております。
○重徳委員 さて、ここからなんですが、今、消費者委員会の専門調査会で議論されているところであるということでございます。
訪問販売、電話勧誘販売については、これは恐らく多くの皆さんが実感として感じることだと思いますけれども、確かに、基本的には、消費者の意識調査のとおり、迷惑だな、別に必要もないときに電話がかかってくる、訪問してくる、商品そのものが必要ないのはもちろんのこと、家族で団らんしているときに突然電話とか訪問が来ること自体が迷惑であるというような意識であることが多いと思います。ですが、多くは、九割方はそうなんだけれども、数%の方々にとっては、ちょうど欲しかったものが販売に来たということもあり得るでしょう。
それから、商品によりますね。例えば新聞なんかだと、自分の経験に照らしても、わざわざこっちが何々新聞を何カ月とりますなんということを発注するよりも、向こうが、とってくれ、こういう特典をいろいろつけますから、野球のチケットをつけるから、そういうようなことで勧誘しに来ることがあって、そこに応じる形にした方がお得じゃないか、いわば常識だというような感覚もあると思います。それとて迷惑な方ももちろんいると思います。もうほかの新聞をとっていますから要りませんと。断るのが苦手な日本人が多いですから、やはり基本的には迷惑だと感じることも多いと思いますが、中にはそういうこともあるでしょう。
それから一方で、営業する側も、営業の自由が基本的には認められております。業界によりますし、会社によりますし、あるいは会社の経営者の姿勢にもよるでしょうけれども、若い者は会社に入ったらまず一件でも契約をとってこい、契約がとれるまできょうは帰ってくるなというぐらいの厳しい、営業マンを鍛えるような姿勢の会社もあろうかと思います。
その意味で、一般的には今審議官の方から御紹介があったような消費者意識であろうかと思いますが、それでも、数%かもしれませんが、必ずしも迷惑じゃないようなケースもあるかもしれない。それから、営業する側からすれば、一つの重要な営業ツールを余り規制されても困ってしまうというような意見もあると思います。
このように、規制の範囲についてはこれまで累次規制が積み重ねられてきましたし、それから、特に、平成二十年には商品、役務を指定するということを一旦撤廃していますから、商品別に、類型別に規制を変えるというのもこれからはちょっとしんどいのかもしれませんが、このあたり、全体的に今どんな検討状況、あるいは課題があるんでしょうか。大臣から御答弁いただければと思います。
○山口国務大臣 基本的には、今、重徳先生の方からもお話がありましたように、専門調査会でかなり幅広い観点から検討が行われておりまして、今後もさらに議論をされるというふうに聞いております。
今お話しいただきましたように、確かに、不招請勧誘ではあるんだけれども、これによって得をしたな、よかったなというふうなこともあり得るのかもわかりません。特定の商品については積極的に勧誘してほしいということもあり得るのかもわかりません。仮に勧誘規制を強化してしまいますと、事業者が営業活動の方法を変更せざるを得なくなるというふうなことも確かに考えられるんだろうと思います。
ですから、そういった勧誘のあり方の問題につきましては、やはり関係者の御意見を十分にお伺いしながら、購入者の利益保護及び特定商取引の適正化というふうな特商法の法目的にかなうような制度のあり方を検討していく必要があるんだろう。基本的には、今の専門調査会の議論を見守りたいというふうなことではあります。
○重徳委員 余り具体的な御答弁ではなかったんですけれども、実際検討中であることは事実だと思います。
少し具体的にお尋ねしたいと思います。
各先進国においては、オプトイン、オプトアウトという形でさまざまな規制が導入されている、現に規制されているということもあります。
日本は、いわば営業の自由を全面的に認めているというような傾向があると言えると思うんですね。一方で、消費者。この場は消費者の権利を守る消費者特別委員会でありますので、もう少し消費者側に立った議論が必要じゃないかと思うんです。
具体的には、各国では、電話勧誘拒否、ドゥー・ノット・コールの制度、それから訪問販売拒否、ドゥー・ノット・ノック、ノックをして訪問するな、こういう制度があるわけでございまして、ちょっと具体的に二点、指摘というか論点を挙げてみたいと思うんです。
一つは、先ほどちょっと冒頭触れましたように、オプトアウト、うちには来ないでくれという登録をした場合に、その来ないでくれと言う人というのは、基本的には勧誘に弱い、まあ迷惑だという意味もありますけれども、最初に申し上げましたが、カモじゃないか、この家は、この人は、こういう個人情報リストにもなろうかと思うんです。
このカモリストになりかねないというオプトアウトを導入する場合の留意点といいましょうか課題をどう捉えておられるかということが一つ。
それからもう一つは、訪問販売お断りのステッカー、先ほどこれも申し上げました。
ステッカーもいろいろ論争があるんですね。実は、調べてみますと、過去、ステッカーそのものの効力について、今維新の党の最高顧問をやっておられます橋下徹当時大阪府知事が、そのステッカーを張るだけで、一発目からだめだ、一回訪ねて断られてもう一回行くのはもちろん今禁じられていますけれども、そのステッカーが張ってあれば最初からだめだ、意思表示しているんだから、こういう解釈に基づいた条例を大阪府でつくった。したがって、特商法上は、ステッカーが張ってあっても、一発目はいいというか許されるよ、だけれども、やはり正式に断られたら二回目はだめというのが消費者庁ルール。それから、大阪府ルールは、ステッカーを張ったんだから、そこはもう一発目から勧誘しちゃだめなんだ、こういうルール。
いろいろ論争がある中で、消費者庁も通知を出しておられますね。大阪府の、自治体のルールについて、通知を出しておられまして、これも有効な手段だよというふうに認めておりまして、特商法と相互に補完し合うような形だね、それから、事業者は、商道徳として、そのような消費者意思を当然尊重する必要があるんだ、国としては、法律上は一律禁止はしないけれども、各条例における取り扱いは認めるよ、こんなような論争があったような経緯もあるんです。
そういうステッカーをどのように扱うかということも含めて、オプトイン、オプトアウトのレジストリー方式、名前を登録していく、そういうやり方について今後どういうふうに臨んでいかれるのか、これは少し具体的にお答えいただきたいんですけれども、お願いします。
○山口国務大臣 基本的には、先ほども申し上げましたように、これは専門調査会の皆様方に予断を持たれても困りますし、やはりしっかりそこは御議論いただくというふうなことが原則であろうと思います。
ただ、先生御指摘のいろいろな手法についても議論をしておるというふうに聞いております。ステッカーにしても、今御指摘がありましたように、やはり張っておるということはカモかなと思われるということもあったりするんだろうと思うので、そこら辺の功罪といいますか、どこら辺をしっかりと補完すれば十二分にその役割を果たしていけるのか等々も含めた、まさに多面的に御議論を今いただいておるところでございます。
○重徳委員 今の大臣の御答弁の感じからすると、かなりこれはセンシティブな話、取り扱いなのかなということも感じられます。
しかし、繰り返しになりますが、各国ではもう既に導入して、もちろん課題もありましょうけれども、やはりどんどん規制を進化させているわけですよね。我が国は、営業する側の自由、権利ばかり認めて、消費者側が本当に迷惑だ、さらに、高齢者の被害がこれだけ拡大している、こういう状況、時代にあるわけですから、それに応じたきちんとした、毅然とした対応をしなきゃいけないと思います。
一つつけ加えれば、最初から断られるような消費者のところにわざわざ訪問していったり、あるいはわざわざ電話したりというのは、営業の効率化という意味では、非効率な部分を、状況がわかれば、かえって効率化されるという面が大きいんじゃないかと思うんです。
選挙のときも、最初からあんたなんか応援しないよというところにわざわざ電話するだけ無駄だし、電話作戦をやってくれるボランティアの方にもただ不快な思いをさせるだけですから、非常に効率も悪いと思うんですね、まあ関係ない話ですけれども。
そういう意味では、オプトイン、オプトアウト、どちらかというとオプトアウトから入るのかなと思いますが、オプトアウト、オプトイン、こういった具体的な施策を進めていただきたいと思います。そして、そのときに大事なことは、消費者側の意識の問題だと思います。我が国に決定的にこれまで足りてこなかったのはそういう消費者側の立場ですから、消費者庁としてはその立場をぜひとも強く押し出すような政策を展開していっていただけることを期待いたしております。またこの問題は取り上げたいと思います。
ありがとうございました。