○秋葉委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 重徳和彦でございます。
私も、先ほど委員長から御報告ありましたとおり、台風十号によります岩手県岩泉町の現地視察に委員の一人として行ってまいりました。その経験も踏まえまして、本日は質疑に立たせていただきます。
岩泉町、現地へ行きますと、いつもは細く、浅く、優しく、美しく流れている川が、そこに大雨被害、大雨によりまして激流となりまして水があふれまして、現地では、海からの津波じゃなくて山津波という表現で言っておりましたけれども、山津波が下流部の町を襲ったと。大変恐ろしい災害でございました。
私たちが訪れました高齢者グループホーム、楽ん楽んというところなんですけれども、そこも、すぐ近くを流れます小本川という川が氾濫をいたしまして、入所者九名全員がお亡くなりになりました。私たち現地視察団をお迎えいただいたスタッフの皆さん方の表情が今でも忘れられません。恐らく、過酷で大変厳しい自然の猛威の前に九人の入所者を助けられなかった、その無力感、虚脱感、さぞかしさいなまれてこられたんじゃないかと拝察をいたしました。
また、この岩泉町というところは、市町村の町としては本州において最大の面積の町でありまして、東京二十三区の一・六倍の面積であるということでありまして、山間部にたくさんの集落が点在をする、そんな町でございました。
委員長からも御報告がありました鼠入地区においても、川沿いの急峻な地形に民家が点在をしまして、発災直後から土砂崩れ、川の増水で孤立状態となったと伺いました。応急復旧で主な道が開通しても、集落の入り口まではたどり着けても、そこから先、各家屋にたどり着くにはまた細い川を渡らなきゃいけない。そこには小さな橋がかかっていたんですが、それが流されて、当時、一カ月ほど前ですけれども、応急的な、本当に手づくりの橋がかかっていたり、それから、職員の方の話によりますと、丸太をそのまま倒して橋をかける、こんな応急的な手当てもされて、何とか暮らしていたということでございます。
もう間もなく発災から三カ月近くとなります。これから岩手県は冬場に入ります。大変厳しい状況がまだまだ続くと思いますが、政府を挙げて復旧復興に向けた力を注いでいかなければならないと認識をいたしております。
そこで、現地、岩手県あるいは岩泉町からの要望に基づきまして、二点質問をさせていただきます。
まず一つ目は、観光施設等の復旧への支援であります。
最近は、インバウンド観光も大分人がふえてきていて、日本全国が観光事業を推進している。こういう中で、今までの制度でいうと、文化財に指定されるということがあれば、そこが壊れたら、そこに対して国とか県の支援措置もあるという仕組みはあるのでございますが、そんな指定されるものなんというのは本当に限られたものだけであります。観光というのは、地域の資源を総合的に活用して観光業をやるわけであります。実際には、宿泊施設とか観光資源というのがたくさん被害を受けておりまして、その復旧がなかなかめどが立たないという状況であります。
県あるいは市町村が独自に単独事業としてそうした施設への復旧支援をしているというのが実情なんですけれども、地元からの要望としましては、やはり財政力が乏しい自治体でありますから、何とか国のお金をもっともっと活用できないのかということで、まず一つは、いわゆる東日本大震災の被災地域でありますから、復興予算を少しでも活用できないものなのか、こうした悲痛な声が上がっておりますので、この点について見解を求めるとともに、もう一つは、従来から農林漁業とか土木関係は国からもさまざまな復旧復興の支援があるんですが、観光分野に対して国としてもう少し財政支援を充実させるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。この二点、お願いします。
○樺島政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの台風災害と復興予算でございますけれども、復興予算の対象が東日本大震災の復興事業ということに相なります。ただ、復興事業の実施中箇所が今般の台風による被害を受けて工程等に変更が生じた場合には復興予算の対象になり得るものと考えておりまして、事業実施官庁等と適切に対応してまいります。
台風十号の被害につきましては、復興庁といたしましても、今村復興大臣みずから東日本大震災の被災地でもある現地に赴くなど、被災地に寄り添う姿勢で現地の実情や御要望をお伺いしてきたところでございます。
今後とも、関係省庁、自治体と緊密な連携を保ち、台風災害からの復旧とあわせて東日本大震災からの復興の歩みをしっかりと進めてまいりたい、かように考えております。
○蝦名政府参考人 地震や台風で被災をいたしました観光関連事業者に対しまして、岩手県などでも、中小企業等のグループ補助金あるいは雇用調整助成金の実施など、関係省庁と連携をして支援を行ってまいっております。
今後とも、観光分野で早期の復興が図られるよう、地域が元気になっていただくということが何よりも重要でございます、地元の関係者の皆様の声を十分お伺いいたしまして、関係省庁とも連携をし、キャンペーンを図るなどもいたしまして、できる限りしっかりと復興のために対応してまいりたいと思っております。
○重徳委員 復興予算というのは目的もきちんと定められているわけですから、余り、地域が一緒だからといって何にでもというわけにはいかないと。このお立場は、それはそれで理解いたしますが、世の中では、復興予算が何かじゃぶじゃぶとあって、いろいろな違うところに使われているとかそういう、これは風評だけじゃなくて事実だと思うんですが、そういったことが実際あるものだから、せめてそういう本当に必要なところには使わせてくれよ、こういう声が上がるのだと思います。その点は、いわば厳しい指摘だというふうにも受けとめていただきたいと思っております。
それからもう一つ、観光についてなんです。
いわゆる地場産業というと、古来より農林水産業というのは誰もが認める地場産業だと思いますし、台風災害によってどこかに移転するわけにもいきませんし、そういったことに対する復旧というものは、誰がどう見ても国を挙げて支援しなきゃどうにもならない、こういう側面があるんだと思いますが、やはり、これから時代も変わって、第三次産業という分野には当たるんでしょうけれども、観光分野に本当にこれから国を挙げて力を注ぐのであれば、ここはちょっと発想を変えて、地場産業といってもこれは農林水産業だけじゃないんだ、これからは観光業だって地場産業なんだと。こういう思いで取り組んでいる地域、実際に多いと思うんですね。
実は、台風十号の後で余り目立たないんですけれども、台風十六号というのが九月の十九、二十日あたりに私の地元の愛知県岡崎市も通過をしました。
実は、岡崎には、徳川家康公の誕生した土地ということもありまして、伊賀八幡宮という神社があるんですね。そこが、徳川家康公ゆかりの松平家の氏神様が祭られている、そういう由緒ある神社で、岡崎市においては観光地の一つなんですけれども、そこの随神門という門があったり、あるいは本殿、これは国指定の文化財なんです。だけれども、台風十六号によって、その門のすぐ脇の、いわば一体をなすようなその脇の石垣ががらがらと崩れて、観光地としては無残な姿になってしまった。だけれども、文化財は門だけだから、そこの石垣というのは国も県も何も支援のしようがないんだよ、こんな話をたまたま私は地元では耳にしておりますので、そんなこともちょっと連想しながら今回の話を聞いておりました。
その意味で、今すぐこの場で、やるとかやらないとかそういうことは言えないかもしれませんが、しかし、観光業というものをこれから地場産業としてちゃんと捉えて国を挙げて推進していく、それはもう災害で破壊されたらおしまいなわけですから、おしまいというか、よっぽど支援をしない限り復旧は難しいという状況に追い込まれるわけなので、いま一度お聞きしたいんですけれども、そういう発想の転換をして観光分野を国を挙げて支えていくということが、特にこの復旧復興においてできないものなのか。現行制度はわかりました。今、連携してキャンペーンなどをやられるということで、それが精いっぱいということなんでしょうが、今ちょっとお気持ちを、蝦名次長さんの個人的見解でも構いませんので、そのあたりの御認識を改めて問いたいと思います。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
観光産業におきます観光施設あるいは観光資源を維持し、そしてそれを活用していくということは、観光のために大変重要でございます。それがさまざまな災害などで崩れる、そういったようなことがある場合に、さまざまな政府の関係省庁とも連携をいたしまして、しっかりと応援をしていかなきゃいけないというふうに思っております。できる限りやれることを検討していきたいというふうに思っております。
〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
○重徳委員 こういう観点をさらに今後も推進していきたいと思っておりますので、どうか受けとめていただければと思います。
さて、もう一点、今度は情報通信基盤の復旧への支援について質問させていただきます。
多くの過疎地域におきまして、条件不利地域と言われますけれども、そこで各市町村は、一生懸命公費も投入して、民間だけではなかなか整備が難しいものですから、光ファイバーとか、共聴組合というところが保有する地上デジタル放送共聴施設、そういった情報通信基盤があるわけなんですけれども、これが今回の災害によりまして破壊をされたということがございます。
地元自治体からは、こういったことについて国からも支援をしていただきたいという要望が来ているわけなんですけれども、いかがお考えでしょうか。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘のございました情報通信基盤の災害による被害に対しましては、例えば、自治体が設置されました光ファイバーなどの災害復旧に関する費用に対しましては、一般単独災害復旧事業債などを活用していただくことにより、実質的な負担は軽減されるというふうに承知をしております。
また、地デジ等対応のためのテレビの共同受信施設、これにつきましては、どのような形で復旧をしていくのかという、適切な方法をとることによりまして地元の負担を軽減する、そういう可能性もあるというふうに考えておりまして、そういう意味で申し上げますと、地元自治体とともに適切な復旧方法について検討していくことが必要であろうかというふうに思っております。
いずれにいたしましても、災害時の情報通信基盤の復旧につきましては、どのようにすれば地元の負担が軽減されるのかといった視点から、地元自治体の御要望などもよく聞きながら、ともに考えてまいりたい、さように考えております。
○重徳委員 この点についても、やはり従来のインフラというと道路を初めとするいわゆるハード物だったと思うんですが、今やインフラといったときに、この情報通信基盤というのは本当に極めて重要なインフラだ、時代が移り変わってきていると思います。
さっき言いましたように、どんな過疎地域であっても、島であっても、そこの自治体は公費をつぎ込んで、国からの支援もいただいて、情報通信網を整備するということ、これはもう本当に一生懸命やっているわけです。これは、過疎化を食いとめるとか、若い人たちが定住あるいはUターンしてくることを期して、情報通信網は絶対不可欠な地域がたくさんあるわけですね。
これも私の経験に基づきますと、私は以前、青森県庁というところに役人時代に出向しておったんですが、青森県の一番北の、下北半島の先っぽに大間という町がありまして、大間町、マグロで有名なところです、大間のマグロで有名な、そこに若い人が、東京でリクルートで働いていた女性が三十代になって地元に戻ってきたというんですね。元気な女性ですから、町おこしグループをつくって、そして情報発信をがんがんやっている、こういう実例があるんですが、彼女といろいろと話をしたら、やはりインターネットが決め手だった、もうこれがなかったら私は、彼女の言葉をかりると、こんな町に戻ってこなかったということをおっしゃるわけですね。そのぐらいに、道路も大事ですけれども、でも、彼女が言っていたのは、道路じゃない、インターネットだ、このぐらい重要な基盤であります。
したがって、先ほどは観光について、農林水産業だけじゃなく、これからは観光だというふうに申し上げましたが、道路だけじゃない、これからはインターネットなんだ、情報通信網なんだ、このように認識を変えていく必要があろうかと思います。
整備するときじゃなくて復旧するときにも、起債に対する交付税措置というのも、それはそれで一定の支援だと思いますが、より重要なインフラであるという認識に立てば、国としてもさらなる支援の仕方があると思うんですが、これももう一度、審議官から、今の私の見解を受けとめていただいて御答弁いただければと思います。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
情報通信基盤が国民生活に必要不可欠なインフラとなっているという委員の御指摘に対しては、全くそのとおりでございまして、私ども総務省といたしましては、情報通信基盤の整備にこれまでも力を尽くしてきているところでございます。
それから、災害時の復旧ということに関しましては、現時点におきまして、直接的な災害復旧のための支援制度というものはございませんが、その中で、そういう情報通信基盤の重要性に鑑みましてどのようなことができるのかということについては、繰り返しになって恐縮でございますけれども、まずは、災害の復旧に関しまして、地元の御負担の軽減のために何ができるのかということを地元自治体とよく御相談をしながら、ともに検討してまいっているというのが現状でございます。
委員の御指摘を踏まえまして、そういう情報通信基盤の重要性に鑑みてどういうことができるのかということについては、私どもといたしましても継続的に勉強してまいりたいというふうに思っております。
○重徳委員 この点についても、同僚議員とともに議論を深めながら、さまざま推進するすべを我々も考えていきたいと思っております。
さて、次のテーマに入ります。被災地への職員派遣、人的支援についてでございます。
特に熊本地震において目立ったと思うんですけれども、国の職員を現地に派遣したということがございました。今回は、私自身が十年ちょっと前、総務省消防庁に所属していたときに比べて、よりきめ細かな職員の派遣が行われているように感じました。
要するに、県の現地対策本部に国の職員を派遣する、これは、県において政府の現地災対本部を置くわけですから、そこまでは当然なんですが、そこから先、市町村の役場に各省庁が、リエゾンというわけなんですが、リエゾンを派遣して、市町村の災害対策本部の運営のサポートをしたり、あるいは現地のニーズとか国からの支援の問題点とかをフィードバックしていく、こういう仕組みが一定程度できているんじゃないかというふうに思うんです。
具体的に、今回、当然、被災の状況だとか職員のマンパワーが被災自治体によってどうかによってさまざまだと思いますけれども、重立った自治体にどの省庁の職員が派遣をされて、どんな活動をして、その効果はどうだったか、課題はどうだったか、このあたりについて大臣の御見解をお願いします。
○松本国務大臣 大規模災害発生時には、発災後直ちに、災害対策業務に精通した国の職員を被災地に派遣し、国と自治体との適切な役割の分担のもと、被災自治体が被災者支援等の災害対応、応急対策に取り組める体制を整えることが重要であると認識をしております。
このような観点から、熊本地震の際には、政府は、発災翌日の四月十五日に、熊本県に現地対策本部を設置し、過去に災害対策に関する業務に従事した経験のある職員のうち熊本での勤務経験がある者などを派遣し、被災自治体との緊密な連携のもと、被災状況や被災者のニーズを把握して、国が行う各種の支援策の連絡調整を行ったところでございます。
また、延べ六十八人のリエゾンを被災市町村に派遣したほか、支援物資の集配支援、災害廃棄物調査、文化財調査などの応援職員として、多数の国職員を被災地に派遣したところでございます。
特に、被害の大きい益城町では、役場庁舎が被災をしまして使用できない状況にあったことから、町役場職員の多くが避難所の運営等に従事しなければならない状況であったことなどから、行政機能が著しく低下しておりました。このため、熊本県とも連携しながら、国と県の職員を一定期間集中的に町に派遣し、仮設住宅の早期建設など住まいに関する支援、避難所の再編、環境改善、避難者の健康対策等のテーマごとにチームを編成いたしまして、役場の意思決定をサポートしてきたところでございます。
このような被災自治体へのリエゾン等の国職員の派遣については、被災市町村の要望を直接国に伝達できるようになり、被災状況の把握が円滑に行えたなどの評価が挙がる一方で、派遣された職員へのサポートや業務に関する説明が十分ではなかったこと、また、派遣を受ける被災市町村側でもリエゾンに対する認識が必ずしも明確でなかったなどの課題が明らかとなっております。
現在、自治体や有識者などから、熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策検討ワーキンググループにおいて、自治体支援のあり方などについて具体的な検討を進めているところでございまして、引き続き、有識者の皆様の御意見を伺いつつ、具体的な改善策を年内に取りまとめたいと思っております。
○重徳委員 よくわかりました。
今、検討ワーキンググループで取りまとめに向けて議論しているということでありますが、少しその点に関しまして私からの意見を申し上げたいと思います。
私は、平成十六年、新潟県中越地震が発生をしましたときに、当時、総務省消防庁で課長補佐をやっておりまして、務台政務官にも大変お世話になっておりましたけれども、当時、新潟県庁そして川口町役場に十六日間滞在をしまして、直接、町役場はもちろんですが、避難所に行って一夜を過ごしたり、いろいろしながら現地のニーズを具体的に聞いてまいりました。そして、それを可能な限り県や国にフィードバックをしていくということを取り組んできた。
その経験を、もう十年前の話なんですが、消防庁には「消防防災」という季刊誌がありまして、そこに、今で言うリエゾン制度、私は、現地調整官と名づけて、そういう仕組みをつくるべきじゃないかという提言を実はしておりました。そこで私が書いておりますのが、今大臣言われたように、県を通じた間接的な情報だけじゃなくて、霞が関と現場が直結するような、そういう仕組みをつくるべきだということはもちろん書いております。
さらに、住民から見れば、どこの省の職員であろうと、国の人間は国の人間なので、だから、そこはもう縦割りを取り払って、総務省の人間だから保健医療については関係ないとかそういう話じゃない、厚生労働省の職員だからといって土木建築は関係ないとかそういうことは、縦割りじゃなくて、やはり政府を代表して、そんな何十人も一つの市役所に詰めることは、よっぽど益城町のような状況であれば別として、通常はそんなに派遣できないわけですから、政府を代表して、横断的な、ですから、財政支援制度とかさまざまなことも一定程度見識、知識を持った職員を派遣するということが必要なんじゃないかとか。
それから、特に被災自治体にとっては、その自治体にとっては百年に一回の災害であっても、国から見れば、ことしもそうですけれども、年に何回も災害というものは経験しているわけですから、その意味で、自治体によっては、マンパワーがただでさえ足りない中で、経験もない、災害対策本部を設置して運営することに当たっても、首長さんによっては、そういうリーダーシップが得意な人もいるかもしれないけれども、ちょっとどうしていいのかわからないみたいな方が、実際、新潟の場合にもありました。
とりわけ、これはもう理屈じゃないんですが、市町村の災害対策本部に自衛隊の方とか国の職員、県の職員が詰めておられるんですけれども、ただ、市役所の方というのは、ふだんは、要望をしたりお願いをしたりという、割と自分らが頭を下げてお願いをする、こういう関係がどうしても、地方分権の時代とはいえ、多いわけで、そういう国の職員や県の職員に、おお、あんた、ちょっとこれをやってくれということをなかなか指示しにくい、しづらい、これはもう理屈じゃなくて、雰囲気としてそういう部分があります。こういったことに対しても、国の職員は、そういう意味では、上の立場から、県、市町村の職員含めて全体のコーディネートをサポートする、市長さんからこういう指示を出してくださいよというようなことも、側面からアドバイス、サポートできるんじゃないか。こんなことを当時報告させていただいておりましたことを、久しぶりに書類を引っ張り出して自分で見ておりました。
そのように、やはり現場に近ければ近いほど、理屈じゃない、でも、それが現実なんだということがたくさんあります。先ほどの復興予算をこういうところにも使えるんじゃないかということも、国の理屈からいうとそれは違うかもしれないけれども、そういう思いでいることは間違いない。
そういう意味で、政府が現場に、現地の自治体に寄り添って支援をしていくという具体的な支援制度として、リエゾン制度をさらに発展させていただきたいという私からの提案でございますが、大臣、もしコメントありましたらお願いします。
〔小里委員長代理退席、委員長着席〕
○松本国務大臣 御指摘のとおりだと思います。
経験をしている者、またどう対応したらいいかということをよく学んでいる方々が、やはりそのプロとしての力を大いに発揮してもらえる、また、その連携を誰がとるのかといったようなところがわかりやすい形にしていくことが、今回、プッシュ型ということで熊本はやりましたけれども、これも今までの経験を一つ一つ重ねてきたことからできたことでありまして、過去の経験を生かして二度と悲惨な状況をつくらないという、そんな強い思いを持って取り組んでいく仕組みをつくっていくべきだと思います。
○重徳委員 最後に、自治体間の人の融通のことについて簡単にお尋ねします。
特に、罹災証明とか、それから保健師さんのニーズというのが現場で多かったと思います。この点は、国というよりは、自治体間の相互の協定、そして職員の派遣といったことが極めて重要なところだったんじゃないかと思いますけれども、そのあたりについて、どのような仕組みで今回は取り組んでおられたのかについて御答弁願います。
○宮地政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十八年熊本地震により被災しました市町村に対する短期の職員派遣に当たりましては、一義的には、熊本市は指定都市市長会が支援を行いまして、その他の市町村については九州知事会が支援を行っております。そして、それでも対応困難な場合は、総務省、全国知事会、全国市長会、全国町村会などが連携をして、全国の自治体から派遣を行っております。
その一環といたしまして、罹災証明につきましても、今回は、被災市町村ごとに担当県を定めまして、担当県の担当者が、被災市町村に常駐をして、罹災証明事務のための応援職員の派遣ニーズの把握を行ったところでございます。それを受けて、担当県としてできる限り派遣をしていただくとともに、不足の場合は全国スキームでの対応ということで確保をしているところでございます。
その際、総務省からも担当県に対しまして、全国スキームについて説明をして、応援職員の必要数を的確に把握するように依頼を行ったところでございます。
○橋本(泰)政府参考人 保健師についてお答え申し上げたいと思います。
大規模な災害が発生しました際には、保健師等によります保健活動、これは災害関連死ですとか持病の悪化などの二次的な健康被害を防止する上で大変大きな役割を果たしております。
熊本地震を初めといたします大規模災害時の保健師の派遣につきましては、まず、被災地の都道府県におきまして、被災地の市町村あるいは保健所等から、現地ニーズというものを踏まえて、市町村ごとに必要な保健師数を確認していただきます。それを出していただきまして、厚労省の方に派遣調整の要請をいただくということになっております。それを受けまして、厚生労働省の方におきましては、全国の都道府県等に派遣の可否を照会いたしまして、調整を行っているということでございます。
熊本地震における保健師派遣におきましては、四月の十六日に、熊本県と熊本市から厚生労働省に対しまして保健師派遣調整の要請がございました。そして、その日のうちに、厚生労働省から全国の都道府県等に対しまして保健師派遣の可否の照会を行い、その後、厚生労働省で派遣元と派遣先の自治体のマッチングを行いまして、同じ四月十六日から、派遣された保健師が熊本県と熊本市での活動を開始したところでございます。
その後も、熊本県と熊本市からの保健師派遣の要請に基づいて、被害地の状況に応じて全国の都道府県等と調整を行いまして、これによりまして全ての派遣要請に対応することになりまして、ピーク時には約百七十人の保健師が派遣されていたところでございます。
○重徳委員 ありがとうございます。
さまざまな経験を踏まえて、より高度でより行き届いた支援制度を皆さんとともにつくり上げていければと思っております。
どうもありがとうございました。