H25年4月3日 経済産業委員会
「放射性廃棄物の最終処分地選定を一刻も早く進めよ」
========================================
○重徳委員 こんにちは。日本維新の会の重徳和彦です。早速質問に入らせていただきたいと思います。
まず初めに、先日の、元東大総長の小宮山宏参考人が御指摘された街区間の電力融通の制限について、質問させていただきたいと思います。
先ほど大島委員からも質問がありまして、若干、その下請的に、細かいところまでちょっと踏み込んでみたいと思うんですけれども、まず、小宮山参考人は、電気事業法の改正について要望されていました。
この背景としては、北九州市の城野地区、千葉県柏市などで、一般家庭を含めてそのエリア内で電力供給を相互に行って地域のエネルギーマネジメントを行う、そういうビジネスを実施したいという要望が現にあるということでございます。
つまり、自分で発電をして、送電線を引いて、そして地域単位での負荷の平準化とか省エネルギー化を進めるということでございますが、小宮山参考人が先日おっしゃっていたのは、要は、地域で発電を行って、これを周りの家庭に送電したいと思っても、街区と街区の間の道路を越えて送電することが現行法上できないというような指摘でございました。マンションの一棟の中であれば融通できるけれども、道路を越えるとできないというような御指摘なんです。
この点につきまして、事前に経産省の方から、中身の確認的にペーパーをいただいております。まず、確認したいんですけれども、現行制度では、低圧部門、すなわち一般家庭に対しては、小売規制があるものですから、一般電気事業者、つまり、東京電力などの電力会社の送電網を使うことは事実上できないということ。ただし、自営線、すなわち自前の送電線を引いた場合であれば、特定電気事業か特定供給といった形態により、経済産業大臣の許可を得れば、一般家庭に対しても街区の間で融通することはできる、ここまで正しいでしょうか。
○高原政府参考人 ちょっと制度の中身に入りますけれども、御説明をさせていただきます。
まず、現行の電気事業法におきましても、自営線を敷設すれば、後で御説明しますけれども、特定電気事業あるいは特定供給といった形態によりまして、経済産業大臣の許可を得ることで、一般家庭も含め、いわゆる低圧の部分でございますけれども、電力の街区間の融通を行うことは可能でございます。
今、具体的には、特定電気事業と申し上げましたけれども、これは、特定のエリアの需要に対しまして、みずからが保有する電源と送配電網を介して電気を供給する制度でございます。六本木ヒルズなどがこの制度を利用しておられます。
また、もう一つ、特定供給という制度を申し上げましたけれども、これは、電気の供給者と相手方の間に、資本関係でございますとか、あるいは組合を設立しているといったような密接な関係があれば、自家発の自家消費と同様に供給が可能になるものでございまして、例えばコンビナートの隣接地域や離島などでこういう例が行われております。
それからまた、委員御指摘のとおり、供給の相手方が工場やオフィスビルなどの高圧部門であれば、いわゆる新電力の方々が一般電気事業者の送配電網を利用して融通を行うことは可能でございます。ただ、これもまた御指摘のとおり、供給の相手方が、一般家庭などの低圧部門の場合でございますけれども、これは、いわゆる新電力の対象外でございますので、現行制度上は、一般電気事業者にはみずからの送配電網を他の事業者に利用させる義務は課されておりません。したがいまして、一般電気事業者の方が許容すれば、例えば、今申し上げた特定供給という形で一般電気事業者の送配電網を介して融通を行うことは可能でございますけれども、実態としてはそうした供給は現在行われていないということでございます。
したがって、委員の御指摘のとおりだと思います。
以上でございます。
○重徳委員 御説明ありがとうございます。
ですから、特定電気事業あるいは特定供給という形態であればということですが、特定電気事業というのは、いわば、ある程度本格的な電力発電事業者ということですから、小宮山参考人が先日、例えば、小宮山エコハウスなんという御紹介がありましたけれども、自宅に燃料電池あるいは太陽光発電という装置を置いて、それを隣とか近所の家庭と融通し合うことは、少なくとも特定電気事業という方ではなく、特定供給の要件に該当するかどうかというところあたりが確認すべき点だと思うんです。
ここを少し突っ込んでいきたいんですが、先ほど、特定供給についても、コンビナートの中で工場に対して融通するというようなケースの御紹介がありました。調べてみましたところ、確かに、実績としては、平成二十一年度末時点で六百四十八件の許可がある、新日鉄、王子製紙、三菱化学、宇部興産などがコンビナート内での特定供給を行っているということの資料をいただいております。
ただ、繰り返しになりますけれども、こういった大きな工場を想定したような特定供給ということでは、小宮山先生のおっしゃるような、地域で電力を融通し合うというようなことを実現することとは、やはり少しかけ離れているということだと思います。
そこで、小規模な電力の融通ができるような形を模索していく必要があると思うんです。では、小規模な発電、今言った太陽光発電とか燃料電池、そういったものでも特定供給の要件に該当することがあるのかどうかについて議論をしてみたいんです。
特定供給の要件として、資本関係があるか組合を設立しているかというようなことが一つの要件なんですが、供給側と需要側が資本関係ということは一般家庭においてはまずないとすれば、組合を設立するというケースになろうかと思います。それで、電気事業法施行規則二十一条を見ますと、この組合については、「共同して組合を設立し、かつ、当該組合が長期にわたり継続して発電設備を保有し、又は維持管理することが見込まれるもの」というふうになっていますから、これについては該当する可能性があるように見えます、小宮山構想は。
さらに踏み込んで見てまいりますと、この組合について、特定供給の許可が得られるかどうかについて少し調べてみましたところ、これはさらに、この規則の下に審査基準というのがあります。電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等、そういった役所の規定というものがありまして、それを読んでいくと、「当該供給能力により当該需要の五割以上に応ずることが可能であり、かつ、一般電気事業者又は特定規模電気事業者から電気の供給を受けることにより当該需要に応ずることが可能である場合」、こういう要件がございます。
つまり、発電者がその地域の、これはどれだけの需要があるかはケース・バイ・ケースだと思いますが、そこに対して五割以上の供給能力がなきゃだめだ、かつ、五割以上を供給した上で、その残りの何割かは、いわゆる一般の電力会社から供給をしてちゃんと補ってもらう、つまりそれで一〇〇%ちゃんと満たされる、これが要件であるということだと思うんですが、これについて、そのとおりでしょうか。
○高原政府参考人 御指摘のとおりでございます。
かつて一〇〇%であったものを、規制緩和の観点から五〇%に引き下げたという経緯がございます。
以上でございます。
○重徳委員 規制緩和で、それでも五割、十割から五割まで規制緩和されたということでございます。
しかしながら、繰り返しになりますが、小宮山参考人のイメージは、その地域全体の五割以上を網羅するような、大きな、それなりの規模の発電能力を必要とするような、それが要件となる限り、我が家で燃料電池でつくった電気が余っちゃったからちょっと道路を越えて隣に融通しますとか、太陽光発電で昼間発電されるんだけれども、自分ちは留守なのでお年寄りが住んでいるお隣さんに供給しますとか、会社、工場に供給しますとか、そういうことはなかなかできないということになると思うんです。
ですから、小宮山参考人が言われていたのは、大きな意味で電力事業法を改正しなきゃいけないんじゃないかという御指摘で、法律を改正しないといけないんだったらかなり大ごとだなというふうにあのプレゼンテーションを聞いたときは受けとめたんですが、よくよく見ると、五割のところまで規制緩和をした、これをさらに二割でも一割でも、わかりませんけれども、場合によっては五%、一%でも供給できる場合であり、かつ、一%供給できるのだったら、残りの九九%はちゃんと一般の電力会社から、大きな、東京電力などの電力からちゃんと供給できる、こういう約束、契約を締結すれば可能である、そこまで緩和しなければ、この小宮山参考人の言われていることに応えることはできないんじゃないか。しかも、それは法律を改正するまでもなく、この規則の下の審査基準さえ少し手直しすれば簡単にできてしまう話ではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○高原政府参考人 これはもともと、なぜ一〇〇%だったかということも関連するのでございますけれども、やはり、電気というのが、御家庭にとって、産業界にとってももちろんそうでございますけれども、非常に重要な財であるということで、安定供給というか、ある程度、これは自家発的な側面があるものですから、御自身で電力を持っていていただくということが安定供給のために必要ではないかという観点でこのような制度になっております。
いずれにいたしましても、電力の全面自由化、小売の全面自由化に向けていろいろな検討をしていくことの必要性につきましては、御指摘のとおりだと思います。
以上でございます。
○重徳委員 もちろん、高原長官の言われるそのことも気持ちとしてはわかるんですね、安定供給が必要だと。しかしながら、私が言っているのは、そのうち、一%は極端だとしても、仮に一〇%供給できる能力を持った発電の、事業者というほどでもない、そういう能力を持った方がその地域に供給するときに、残りちゃんと九〇%が供給されるような契約をきちんとつくっている、そして、さらに言えば、最終的には経済産業大臣の許可というもので担保すればいいわけですから、そうはいうけれども、余り安定していないよねと思われるようなケースについては、個別に見て許可しないケースがあってももちろん構わないと思うんですが、いや、ちゃんとやっているよ、安定供給、間違いない、誰が見ても間違いないということについてまで、五〇%以上になっていないからこれは基準を満たさない、したがって許可をしないというようなことは、ちょっと行き過ぎじゃないかなというふうに感じるわけです。
これから、三年後には小売参入の全面自由化を行うこととするという方向性も打ち出されていますから、三年後には実現可能なのかもしれませんが、私は、常々、スピード感ということを申し上げておりますし、先延ばしにすればそれだけ民間の参入だっておくれるわけですから、一刻も早くこういうことを解決するべく、しかも、法律を変えなくたって役所の決断でできるわけですから、ここはぜひとも審査基準を改正していただきたいと思うんですが、そのお考えはないでしょうか。
○高原政府参考人 本件、いわゆる特定供給という制度の理解でございますけれども、これは、先ほど委員の御指摘にありましたとおり、需要者の間にいわゆる密接な関係が存在をしていて、したがって、自家発で自家消費をされるといったものと類似した性格を有しているというふうに考えております。したがいまして、需要家の方々についての供給義務ですとか、あるいは料金などの供給条件の届け出義務も実は課しておりません。
したがって、この特定供給という制度の範囲内で考える限り、例えば御自身の自家発でカバーできる範囲が本当にそんなに小さくていいのかということにつきましては、慎重な検討が必要だと思っております。
○重徳委員 慎重な検討は、もちろん、常に安定供給を目指すわけですから、必要とは思うんですけれども、密接な関係がその地域の中で供給者と需要者の間で必要なのでそういう要件、それから、もともとは自家発に近いような発想だったので、もともとはそうなのかもしれませんが、やはり、時代の要請というか、今まさに電力改革を進めようとしているわけですから、そういう状況の中で、常にそういった見直しが必要だと思うんです。
現に、十割を五割まで、これはかなり思い切った緩和だと思います。だけれども、では、何で五割なんだ、何で四割じゃだめなのか、あるいは六割、七割じゃなくて、半分まで思い切った見直しをされたのか。これ自体、役所の裁量だと思うんですよ。半分ぐらいあればいいかなということだと思うんですね。感覚的な問題だと思うんです。
ですから、結局、これは小宮山参考人のような有識者の方が、この地域の取り組みを応援するというか推進したいという思いの中で、結局、そのボトルネックとなっているのは、法律という、民意を代表した国会議員が議論した上で決めているわけじゃなくて、役所の中の規則でもない審査基準、そういうところで全てが縛られてしまうというのは、まさに、いわゆる官僚主導というか、役所主導で物事を決めているということであって、それはもう民間の方々は、残念ながら、今の仕組みとしてはそれに従うしかないわけです。
ですから、それについては、先ほど大島委員の御質問に対して、大臣が、前向きにどんどんそういった見直しは行っていく、そういう規則だとかその下のいろいろなルールまで、そういうふうにおっしゃったわけですから、ぜひともこれは、この五割以上という部分もさらにもっと引き下げて、先日聞いた、非常に夢のある、そして実現可能性もあると思われる小宮山構想を本当に実現するために、ここはちょっと一度大臣にお伺いしたいんです。
こういったことについて、ぜひともルールの見直しをしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○茂木国務大臣 私の発言は正しく引用してほしいと思うんですけれども、先ほどは、大島委員の御指摘も踏まえ、検討させていただきますと。前向きとも後ろ向きとも申し上げておりません。
同じように、検討させていただきます。
○重徳委員 いわゆる役所の世界での検討という意味なんだとすれば、それは全く前向きではないというふうに思うんです。
今、るる申し上げましたとおり、この五割のルールというものに準拠しなければ、民間の事業者も参入しようがないんですね。やりたいなら三年待てというのは、それはそれで、法改正を含むいろいろな抜本的な改正は三年かかるでしょうけれども、しかし、それ以前にやる方法があるにもかかわらず、それが、役所の中のルール決めで五割以上供給できなきゃだめだと。これは、実際の地域の、あるいはそれを推進しようとされている民間の、設備投資も伴う、経済的な効果も伴う、そういった方々のインセンティブを大きく損なうことにつながるんじゃないか、こう考えております。
ですので、これについてはぜひとも前向きに検討していただきたいと思うんですが、単なる検討でなくて、ぜひ大臣のお言葉として、前向きに検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○茂木国務大臣 御指摘は、大切なポイントだと思っております。しっかりと検討させていただきます。
○重徳委員 この点は、これからもよくよく見守るというか、本当にしっかりと検討していただくということで、少しでも次の御答弁からは、どんどん前向きに、そして、もう結果が出たぞ、言われたとおりちゃんとやったよというふうな御答弁に近々変わることを強く期待を申し上げたいと思います。
それでは、次に移らせていただきたいんですが、きょうは指摘だけさせていただきたいんです。
前回、各参考人から、既存住宅の省エネ基準の適合率、これは平成十一年というのが最新の基準であるんだけれども、省エネ基準、まだ五%しか実際には満たしていないという状況がございました。これは、役所の皆さんとも議論させていただきまして、確かに、どんどんと建物が建てかえられて、しかも、みんな省エネ志向で、省エネ基準にばっちり見合ったような建物にどんどんつくりかえていく、これは短期間にできることではないと思います。ですけれども、省エネというものを実現するためには、経済産業省だけじゃなくて、国土交通省の所管される分野も広くありますので、これは、各省連携の上、省エネ社会を実現していただきたい。済みません、これは要望にとどめさせていただきたいと思います。
そして、次に、これは質問させていただきたいんですが、今回のトップランナー制度で新たに断熱材というものを対象とした、非常にいい見直しが、前向きな見直しがあったと思います。
トップランナー制度は、それはそれでいいんですが、実際には、省エネ社会を実現していくためには、さまざまな民間の皆さんが技術開発、研究開発を行っております。各省庁に対しても、こんなものを発明したんだ、こういうものを実用化したいんだ、こんな製品があるんだ、いろいろな売り込みがあるかと思います。中には不十分なものもあるかもしれません。ですけれども、省エネだ、政府も一丸となって、これから日本はエネルギーの需要や供給について真剣に考えていく国になっていくんだから、本当に真剣に技術開発、製品化をしていきたいと思っている企業の皆さんが大勢いらっしゃいます。
そういう中で、私は最近、ある地元の社長さんから、断熱材というものもあるんですけれども、断熱材よりもさらに熱を、そもそも、外から入ってくる熱線をはね返すという遮熱材、これは宇宙服とか宇宙産業において使われる素材、もとはといえばそういう素材だそうなんです、ですから、はね返してしまうので、建物の中に全然熱が入ってこない、こういう素材もあるという話も聞きました。実際に箱をつくって、断熱材でつくった箱、遮熱材でつくった箱、それに同じようにヒーターを当てて、その箱の中の温度がどのぐらい上がるかというのを実験しているところを見せていただいたんですが、確かに遮熱材を使うと、もう全然、断熱材との違いは著しいです。
一例を挙げれば、こういった遮熱材、こういう素材もありますし、あるいは、また別の製品としては、既にある窓ガラスにコーティング、液体を塗ることによって大幅に熱が入ってくるのを遮断することができる、こういった効果のある商品。いろいろな会社がいろいろなことを考えて、どんどんと新しい創意工夫が生まれてきております。
ただ、こういったものについては、通常の製品であれば、それは企業努力だろう、売り込む営業も含めて、全部企業努力であろうけれども、やはり省エネという観点から進めるとすれば、今制度は終わってしまいましたけれども、エコポイントの対象になるかどうかとか、あるいは、いずれそういう分野が広がってくれば、トップランナー制度にそういったものが対象に入ってくるということも将来的にはあり得る、つまり法令上の位置づけが非常に重要だと思っております。
今、申し上げました遮熱材だとかガラスのコーティング剤というのはほんの一例ではございますけれども、こうした新技術、新製品を普及させていく上での課題や、こういったことに対する姿勢について、少し御答弁いただければと思います。
○渡邊政府参考人 遮熱を有するものについてでございますが、まず、窓についてでございます。
現在の普及状況を申し上げますと、二〇一〇年では五三%の新築戸建て住宅におきまして遮熱性能を有する窓が使用されております。
普及に向けた課題でございますが、やはり一般的な窓に比べまして遮熱性能を有するものは若干価格が高いことが挙げられます。例えば、製品の一例で申し上げますと、一七%ほど価格が高くなっておるわけでございます。
今後の普及に向けましては、遮熱性能を有する窓につきましては、導入、普及の補助金、税制優遇などの支援策によりまして、さらなる普及を期待いたしております。
また、壁についてでございますが、遮熱性能を有する塗料を使用することにより、壁にも遮熱性能が備わります。建築用途における塗料の全出荷量の中での遮熱塗料の出荷割合、二〇一一年では二・五%にとどまっております。
普及に向けた課題でございますが、一般的な塗料に比べまして、遮熱性能を有するものは若干価格が高いことに加え、その認知度の低さがあろうかと思います。今後の普及に向けましては、まずはその認知度を高めるべく、従来進めてまいりましたグリーン購入法による特定調達品への採用などを引き続き進めますとともに、業界とも協力して、展示会、セミナーなどによる普及啓発を初め、普及拡大に向けて取り組んでまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○重徳委員 ありがとうございます。
次の質問に移りたいと思います。
今後のエネルギー政策についてなんですが、まず、ホットな話題として、昨日、四月二日、電力システムに関する改革方針が閣議決定をされました。それで、前回の委員会でも私申し上げましたけれども、そのときはまだ確定しておりませんでした。いわゆる発送電分離の年限について、法案を二〇一五年の通常国会に提出するという文言が、「提出することを目指すものとする。」というふうに変更の上、閣議決定されたと聞いておりますけれども、この経緯について大臣から御答弁いただければと思います。
○茂木国務大臣 昨日、電力システム改革に関する改革方針、閣議決定をいたしまして、政府として、二〇二〇年までに実現すべき新たな電力システムの姿、そして改革の手順を全体のパッケージとしてお示しいたしました。
そして、改革をしていく手順につきましても、近いうちにとかいう曖昧な表現ではなくて、具体的な年次も入れて決めさせていただいたわけであります。
改革のポイントは、御案内のとおり、一つは広域系統運用の拡大、そして電力自由化の推進、三番目が送配電部門の中立性、独立性を高めることということであります。
基本的な考え方というのは、改革は大胆に、そしてスケジュールは現実的にということで、この改革方針では、「実施を三段階に分け、各段階で課題克服のための十分な検証を行い、その結果を踏まえた必要な措置を講じながら実行するものとする。」としているわけでありまして、具体的な実施スケジュール、法案の提出時期も、この基本方針の中に盛り込んでおります。
そして、第三段階目、まさに法的分離を行っていくということでありますけれども、これは、普通のメーカーの例えば新規事業を切り出して分社化するのとはちょっと違うんですね。例えば、発送電分離、これを法的分離を行うということになりますと、当然、安定供給のことも考えていかなきゃなりません。そして、発電部門と送配電部門がきちんと連動できるようにしていかなきゃならない。
こういったことから、送配電部門から発電所に指示を行うためのルールの整備が必要です。そしてシステムの設計が必要であります。さらには実際のシステムの開発。こういった安定供給のためのルールやシステムをしっかり確保した上で分離というのは進める必要があるという観点から、こういった点を踏まえると、法的分離の実施というのは、今からやはり五年くらいはかかる、これが私は妥当な判断だ、こんなふうに思っております。
それで、第三段階目の改革となる法的分離による送配電部門の中立性の確保、そして、それとあわせた小売料金の全面自由化については、もともと、二〇一八年から二〇二〇年までをめどに実施する、こういったことにしておりまして、それに必要な法案につきましては二〇一五年の通常国会に提出することを目指す。これが、目指すであろうが、もともとめどなんです。それでやっていきたいと思っているめどでありますから、目指すという表現が入ろうが入るまいが、しっかりと改革は進めていきます。
○重徳委員 最後のところだけが私の質問に対する御答弁ということになると思うんですが……(茂木国務大臣「いや、違う。言わないとわからない」と呼ぶ)わかります。全体的な御説明ということはわかりますが、目指すが入ろうと入るまいが、同じならば入らなくてもよかったんじゃないかと思うんですが、目指すが入ることになった。ここはもうこれ以上申し上げません。
繰り返し申し上げますが、民間の事業者の皆さんが参入するもしないも、とにかく政府のしっかりとした姿勢、これを信じてやっていく部門なわけですから、どうもそういう後退姿勢のように見受けられるようなことは、中身が同じなら、もうそのまま維持してほしかったです、この文言については。これだけ申し上げさせていただきます。
それから、最後に御質問申し上げたいのが、原発の話なんです。
今回の安倍政権では、民主党の革新的エネルギー・環境戦略で二〇三〇年代には稼働ゼロを可能とするような方針が示されていたのに対しまして、現政権は、それは具体的な根拠を伴わないからゼロベースで見直すんだと。
具体的根拠が伴わないというのが事実だとすれば、それはそういうことになるんでしょうけれども、ただ、一方で、私が非常に気になるのが、私、青森県に暮らしていたこともあるんですが、しょっちゅう使用済み核燃料の問題が話題になるわけです。使用済み核燃料の中間貯蔵施設をつくるという話になれば、それは最終処分施設じゃないんだよなということを政府に確認を求めなきゃだめだとか、六ケ所村の核燃料サイクルの問題にしてもそうです、とにかく最終処分場はどうなるんだ、ここの問題は一向に話が進んでいきません。
もちろん、議論や検討は進めておられるとは思いますが、最終処分をどうするか、そういうゴールなしに、安全基準がちゃんと策定されて安全が確認されたら再稼働するんだ、ここは実際の電力需要だとかいろいろな問題を解決するためにやむを得ざる選択なのかもしれません。しかしながら、やはり最終的な処分の方針というものがはっきりしなければ、本来は責任ある原子力政策とは言えないのではないか、そういう中で再稼働することは踏み込み過ぎなのではないかというふうにも考えられますが、最終処分についての方針をお聞かせください。
○茂木国務大臣 高レベル放射性廃棄物の最終処分、極めて重要な課題だと考えております。
現在でも約一万七千トンの使用済み核燃料を保管しておりまして、既に再処理された分も合わせますと、ガラス固化体にして二万五千本相当ということでありまして、これらの最終処分の問題を次の世代まで先送りすべきではないと考えております。
しかしながら、委員も御指摘のように、処分制度を創設して以降、十年以上経た現在も処分地の選定調査に着手していない、これが現状であります。
これまで立地選定が進んでいない背景には、一つには、地層処分の必要性、安全性に対する国民理解、合意が不足をしていた、また、調査を受け入れるに当たって余りに地元の負う説明責任であったりとか負担が重い、こういった問題があったのではないかなと考えております。
このような反省に立ちまして、処分地選定に向けてこれまで出された日本学術会議や原子力委員会の提言も踏まえながら、地域の声を取り入れながら住民とともに処分の取り組みを進めていく仕組みの構築であったり、処分の安全性の再確認と国民への説明など、必要な取り組みをしていきたい。
もう少し具体的に申し上げますと、例えば最終処分についての必要性、安全性に対する理解、合意、これを高めるために将来のある程度の選択の余地を担保する、例えば一定期間、回収可能性を維持する、こういった方針を制度上決めるということも私はあり得るんではないかなと思っております。
それから、調査を受け入れるに当たり、地元の負う説明責任であったりとか負担が重い、こういうことから、例えばこれまではいろいろな説明をするということになると、調査の受け入れをしますよ、こういうことが前提であって、そうなると、その段階でもう地元から反対とかいろいろな声が出てしまうということでありますから、調査の受け入れを前提としないで地元住民の皆さんとオープンな場で理解が得られるような説明ができる機会を持つとか、これまでの取り組みの反省を踏まえながら処分地の選定を進めていかなければいけないと思っております。
○重徳委員 これは本当に重たい問題だと思います。軽々に再稼働するしかないんだというような御判断は本当に避けていただきたいと思っております。
もう時間もありません。私は即刻原発をとめろとか、そういう論者ではありませんけれども、原発にはもうできる限り極力依存しない、そういう社会をつくらなきゃいけないと思っております。
以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。