森林にバイオマス発電の可能性
○富田委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦でございます。
きょうも、茂木大臣、菅原副大臣、本当にありがとうございます。各省の幹部の皆様方、本当にありがとうございます。
さて、きょうのテーマは、電力システム改革によります森林バイオマス発電の可能性についてであります。
先般は、豊田市のスマートハウスの話題が出ましたが、これは、燃料電池、太陽光、スマートメーターなどの最新技術の粋を集めた最新鋭システムだったと思います。
一方、今度は、同じ愛知県三河地方でも、額田という山林がありまして、そこで額田バイオマス火力発電所プロジェクトというものがございます。これに触れながら、愛知県人というのはやはり机上の話より現場に根差した泥臭い面もございますので、そういう風土のもとで議論をさせていただきたいと思います。
これは、町を挙げて、地域を挙げて、潜在する木材エネルギーをさまざまな段階、分野で最大限発揮させる、こういうプロジェクトでありまして、このプロジェクトに参加される方々というのが、たまたま原発の問題がきっかけではありましたが、本当にエネルギーについて真剣に向き合うようになりました。
単に脱原発だとか再稼働反対とか言っているだけで、誰かが何かやってくれるんじゃないか、こういう人任せの改革ではなくて、自分たちの暮らしを守るには、自分たちで社会を変えるために具体的な実践的な行動を起こしていかなければならない、こういうことであります。
私自身も、決して単純な脱原発派ではありませんが、逆に、原発推進というのは、今までどおりですし、ある意味で楽なことだと思います。新しい社会を構想することが政治家の役割でありまして、その意味で、前の政権の反動だということはわかっていながらも、できることしか言いませんという、どこかで聞いた公約もちょっと夢がないなということは思い続けておりました。
やはり、世の中、やってみなきゃわからないことは幾らでもあると思います。リスクをかけてやるという民間事業者のとうとさというのは、こういうところにあるのではないかと思います。
また、これまでの日本社会では、過疎地域とか、少子高齢化が進んで人口が減っていく、そういう寂れていく地域、これはもうどうしようもないんだ、疲弊したってもうこれはどうしようもない、そういうぐらいの雰囲気がありました。
しかしながら、前回の質疑でも申し上げましたとおり、例えば、生ごみのバイオマス発電をやるとなれば、生ごみの分別がきちんとできるコミュニティーが、まさに茂木大臣が言われたソサエティー、地域社会がしっかりとしている、コミュニティーがしっかりしている地域の方が可能性があるわけですし、こうした地域の力というものを信じて、人を信じて地域社会で生きていく、こういうありがたさを感じることができるのがやはり真の地域社会だと思っております。
今回の電力システム改革は、一言で言えば、こうした田舎と言われる地域の可能性をも最大限引き出すものだと信じております。
一昨年の東日本大震災がもたらしました大問題、原発、エネルギー問題が私たち人類に投げかけた課題には、私たち人間が、謙虚に、流されることなく、自然と共生しながら主体的に社会を変えていく、こういうテーマが与えられた。電力システム改革というものも、こういうものにのっとった大きな社会変革でなければその名に値しないのではないか、このようにも感じている次第でございます。
さて、前置きはこのぐらいにいたしまして、森林には多面的な機能があるとよく言われております。もう釈迦に説法でございますが、単に木材資源というだけではなくて、防災だとか水源の涵養、水質を保全する、そこから里山、そして平地、海へと、豊穣の海までつくり出すのが森林だと思っております。
ほぼ全国的に、多分都道府県税が多いと思うんですが、森林環境税というものも地方税として整備されまして、大切な森林が保全をされている次第でございます。
しかしながら、現代を生きる忙しいビジネスマンの皆さんにこういう理念的なことを幾ら言っても、どうしても届かない部分がある。やはりビジネスとしてやっていく以上は、数字というものを大事にしていかなければならないと考えております。
きょうは、一つ具体的な例といたしまして、一本の樹木、ここをベースに議論させていただきたいと思います。
まず、林野庁の次長に御質問させていただきますが、一本の樹木というのは、樹木は当然水を含んでいるので、乾燥重量という単位が使われるようですが、平均一本当たり大体何キログラムでありましょうか。
○篠田政府参考人 お答えを申し上げます。
規格化するのがなかなか難しい部分がございますけれども、例えば三十五年生の杉を例にとりますと、百三十五キロぐらいということになります。大きいもの、太いものがございますので、若干そこはアローアンスがあるというのは御承知おきいただければと思います。
○重徳委員 三十五年で百三十五キロということでありました。
この後数字をいじりますので、簡単に、もうちょっと巨木で、二百キロあったというふうにちょっと無理やり設定させていただきます。
樹木というのは、私がきょう整理したいのは、三つ効用があるかなと、つまりエネルギー面で。エネルギーを創出する面と、それから省エネ効果、あるいは環境とか、そういういろいろな意味でエネルギーというものに着目しますと、三つの局面があるのではないか。
まず一つ目は、木が育ちます。三十五年、最終的には五十年ぐらいの杉の木になると思いますが、二百キログラムの樹木一本は、一体どのぐらいのCO2の吸収効果があるのでしょうか。
○篠田政府参考人 お答えを申し上げます。
樹木一本二百キロというふうに仮定した場合、炭素が大体百キログラム含まれるということでございます。ですから、それだけの炭素を含んでおりますし、二酸化炭素トンで換算して申し上げますと、〇・三七二酸化炭素トンをその樹木が吸収しているということになろうかと思います。
○重徳委員 今〇・三七とおっしゃったのは、〇・三七トンということでよろしいでしょうか。
つまり、元素記号を久しぶりに分解しますけれども、炭素Cが百キロ。そうすると、Cが十二でCO2が四十四になりますから、十二分の四十四を掛けて三百七十キロというふうに理解をさせていただきます。この分だけ森林はエネルギーを、例えば化石資源が燃やされたときのCO2を吸収する効果があるということであります。
そして、次の局面は、その生えた木を伐採します、そして木材として使います。百キロの炭素を吸収しました木材が切り出されて住宅に使われる。
このときに、きょうはちょっと恐らく数字は用意できていないのかもしれませんけれども、最近ある有識者の方がおっしゃっていたのが、最近は、公共施設を中心に、鉄筋コンクリートの建物が非常に多いです。
コンクリートをつくるには、原材料を山から掘り出して、水とまぜて形をつくってというところからやります。鉄は、鉄鉱石を輸入して、コークスですか、石炭とかと一緒に燃やして、莫大なエネルギーを使って精製されるわけですから、これにも非常に大きなエネルギーが使われている。
これに対しまして、木材というのは、もう既にあるわけです。物はそもそもできている。その形を少し変えて成形して、そのまま建材に使われるということでも、エネルギー的には、外国のものをわざわざ運んできたらエネルギーはかかっちゃっているんですが、地元の森林の木材を使う限り、これは昔から、もう何千年もの営みの中でやられてきたことですから、全く余計なエネルギーがかからないということでありますし、日本は特に昔から木材建築が中心だったわけでありまして、これについてもうなずける話ではないか。つまり、使うに当たっても、かなり省エネルギー的な建材として木材は使われるのではないかということであります。
本当は、鉄筋コンクリートでつくった建物と木材でつくった建物を比べると、どのぐらいそこに使われるエネルギーが違うんでしょうか、そういう問いかけをしてみたかったんですが、きのうの打ち合わせでは、ちょっとそこまではきょうのあしたではできないということで、大変恐れ入りますが、国交省さんとの御関係もあると思いますので、ちょっとそこでまた私も一緒に勉強させていただきたいと思っております。
そして、第三の局面に移りたいと思います。
今言いました一本二百キログラムの大きな木が、百キログラムの炭素を吸収した形で建材として使われます。それから数十年がたちまして、もうそろそろ建てかえだというふうになりますと、取り壊しをします。そうすると、廃材が出てきますので、今度はこれを燃やして、その焼却熱を効率的に使えば、お湯を沸かすのに使えたり、もちろん暖をとるのにも使えますし、最終的に、さらに二次利用で発電に使うということもあると思います。
この廃材を一次エネルギーベースで考えると、化石燃料と比較したときにどのぐらいのCO2を排出するか、あるいは、どのぐらいの化石燃料のエネルギーと同じぐらいであって、そのときに生まれるCO2はどのぐらいなんでしょうか。
○篠田政府参考人 お答えを申し上げます。
木材一キログラムを燃焼させた場合にどれぐらい発熱をするかという係数がございます。そちらを使いますと、先生が先ほどおっしゃいました二百キロの樹木で想定をいたしますと、約九十二万キロカロリーの熱量ということになろうかと思います。
もう一方で、重油を燃やすというのが、今までのむしろ多いケースがございますけれども、こちらが大体一リットルで九千三百四十キロカロリーということになっております。
そういった係数を使いますと、樹木二百キロで大体A重油百リットル、A重油百リットルを燃やしますと大体二百七十一キログラムのCO2を排出するということになろうかと思います。
○重徳委員 ありがとうございます。
今のは重油との比較ということでよろしいですね。重油の場合は百リットル分が使われるのと同じ、ちょっと大き目の巨木、二百キログラムの樹木を燃やすのと百リットル分が同じぐらいで、重油を燃やした場合は、これは化石燃料ですから、もともと地下に眠っていて、世の中に出てくるはずじゃなかったCO2が二百七十一キロ分空中に排出される、そして排出されっ放しです。
これに対しまして、木材の場合は、後ほど申し上げますけれども、循環していくということなんですが、ちなみに、重油百リットルというと、一般家庭で使うどのぐらいの熱量なのでしょうか。御参考までにお願いします。
○篠田政府参考人 お答えを申し上げます。
一般家庭は一年で大体六百リットルの灯油を使うということでございますので、若干計算上のあれはございますけれども、A重油百リットルと申しますと、一般家庭で申し上げますと、大体二カ月分の灯油に相当するであろうということでございます。
○重徳委員 承知しました。大き目の樹木一本を燃やすのと同じエネルギーは、重油で換算すると一般家庭で二カ月分ということでございます。
これはもう釈迦に説法と思いますが、木材を燃やしたときのCO2は、そのまま次の世代の樹木が育つときに吸収されていくわけですから、全くこれはカーボンニュートラルということであります。
そういうことで、申し上げたいのは、今のような数字で、環境に非常にニュートラルな形で木材は循環する。しかも、一つの新しい提案としては、木材を使うことによって、鉄筋コンクリートづくりよりも環境に優しい、逆に言うとエネルギーを使わずに済む。省エネという観点からすると、これは経済産業委員会の非常に重要なテーマに入ってくるのではないか、このように考えております。
そういう意味で、今回の電力システム改革は決して今の話と無縁ではない、社会システムの転換まで構想するのが私ども政治家の役割ではないかと考えております。
少し切り口を変えていきたいと思うんです。
今でこそ、自動車産業というのは、大変なアベノミクスの円安で大幅に利益がアップしてきているということでございますが、つい最近まで非常に円高に苦しんでおりました。そういうこともありまして、特にエコカーに対しましては、環境配慮型の技術への転換を支援するという意味も込めまして、エコカー補助金という制度がございました。
このエコカー補助金というのは、どのぐらいの期間にわたって、どのぐらいの金額が投じられてきたか、これについて教えていただきたいと思います。
○宮本政府参考人 お答えを申し上げます。
エコカー補助金については、まず、平成二十一年度補正予算におきまして、二十一年四月から二十二年九月までの期間、予算額でいうと六千三百億円。それから、もう一度ございまして、平成二十三年度補正予算におきましては、二十三年十二月から二十四年九月までの期間で、予算規模で申し上げますと三千億円。この二回のエコカー補助金制度がとられております。
○重徳委員 済みません、ちょっと期間を正確に言っていただけますか。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
一度目は一年半、一年六カ月でございます。二回目が九カ月でございます。
○重徳委員 失礼いたしました。
一年半、その次が九カ月、それぞれ六千三百億円と三千億円ということですから、合わせまして、二年三カ月で九千三百億円という数字になるかと思います。そうしますと、一年当たり四千億円程度という数字になります。
私の父親も自動車会社で働いておりましたので、私も生まれ育ったのは自動車会社のおかげだと思っておりまして、本当にありがたい制度だったということを前提に申し上げながら、一方、この補助金の一つの成果指標、単に自動車会社を応援するというだけではないと思うんです、あるいは、購入する手助けをするというだけではなくて、やはり公共的な目的があったという意味では、成果指標、CO2の削減効果がどの程度あったのか、これが問われることになると思いますが、どうでしょうか。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
今申し上げた二つの制度のうち、前者の方にしか推計がございませんが、平成二十一年度から実施されましたエコカー補助金などの施策の効果について、環境省におきまして、対象車種とか走行距離など、一定の仮定を置きまして試算をした結果、二十一年度、二十二年度の二年間で約百万トン、年間の平均で申し上げますと約五十万トンのCO2の削減効果があったという推計になってございます。
○重徳委員 さて、ここからなんですが、エコカー補助金は、一年四千億円で五十万トンのCO2が削減されたということでございます。
では、同じだけの効果を生み出すために樹木何本分の、これは実際の数、さっきの巨木ばかりが世の中にあるわけではないので、一本二百キログラムじゃなくて、一本百三十五キロですね、一本当たり平均三十五年生の樹木、百三十五キロという前提で構いませんので、樹木何本分に相当するか、そして森林でいうと平均して何ヘクタール分に相当するかをお答えいただきたいと思います。
○篠田政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほどの質疑でございましたように、エコカー補助金で削減された二酸化炭素量でございますけれども、年間約五十万トンというふうに承知しております。
これも一つの規格化で計算をいたしますと、百三十五キロの立木一本分で、これがA重油で大体六十六リットルという二酸化炭素の排出に相当するわけでございますけれども、それで計算をしてまいりますと、立木で二百八十万本がエコカー補助金で削減された二酸化炭素の量であろうというふうに計算上なろうかと思います。
それから、こちらの森林面積でございますけれども、一ヘクタール当たり一千本、仮に植栽されているという前提で計算をいたしますと、二千八百ヘクタールということになろうかと思います。
○重徳委員 わかりました。
要は、エコカーは、一年分四千億円が五十万トンのCO2削減に貢献し、それは森林に換算すると二百八十万本で、およそ二千八百ヘクタールに相当するということなんですが、二千八百ヘクタールといっても想像がつかない方もいらっしゃると思います。
冒頭申し上げました、岡崎市の六割ぐらいを面積的には占めるんですが、額田の森林というのは、これは組合長によりますと二万三千ヘクタールです。ですから、岡崎市の中の森林面積二万三千ヘクタールのうち二千八百ヘクタール分、一割強の木材に対して四千億円を投じた、そういうことなんです。
ここは恐らく、私の間違いでなければ、エコカーだったので一年間四千億円の効果、CO2削減効果なんですが、木材というのは三十五年とか五十年ぐらい、四十年ぐらいかけて一本成り立つわけですから、そういう意味では、四千億円を三十五年とかそういう数字で割るとしたとしても、それにしても、一年当たり百億円が岡崎市の額田の山の一割分ぐらいに投じられてもおかしくないという、ここだけ見ればですね、ここは現場第一と言いながら机上の計算なんですけれども、そういう数字になってくるわけでございます。
そういう意味で、今、篠田次長とされましては、この場でお答えできるかどうかわかりませんが、エネルギーと環境保全という公的な費用対効果だけを考えたときに、今、森林に投じられている予算というのは、それに見合いますか。どういう感触をお持ちでしょうか。
○篠田政府参考人 大変お答えが難しい御質問でございますけれども、先生が冒頭でおっしゃいましたように、森林の多面的機能ということで、災害防止でありますとか、あるいは水資源の涵養でございますとか、いろいろな機能を担っているということだと思います。
経済的な物差しだけではなかなかはかり切れない部分があろうかと思いますので、そういうことを含めて、どれくらいの価値があり、どれくらいの投資が望ましいかということになっていくんだろうと思いますので、よく勉強させていただきたいと思います。
○重徳委員 恐縮でございます。
これはやはり業態も違いますし、何よりも就労人口が全く違います。ちょっと地元の話ばかりで恐縮なんですが、岡崎市の例でいいますと、四十万人近くの人口、就業人口は十七万人ぐらいです。その中で林業従事者は、統計のとり方によるとは言われますが、八十人ぐらいと言われています。百人を切っています。森林組合の職員がたしか四十人ぐらいです。そんなレベルです。
ですから、現時点でエコカー補助金と全く誰も比べたことがないというのは、そういう意味でも至極もっともなことだと私も思いますが、一方で、森林の所有者というのは何と三千人ぐらいいるんですね。そのぐらい、山の所有権はばらばらになっているわけです。これを管理するのが八十人。恐らく、年齢も高い方が多いと思います。こういう状況の中で、森林の使い方について改めて考えるべきではなかろうかと思っております。
ところで、また話をかえますが、先ほど、公共建築物を中心に鉄筋コンクリートばかりだというふうに申し上げました。公共に限りません、民間のビルなども鉄筋コンクリートのものがどんどんふえております。実際、私の手元の数字、平成二十三年度の数字によりますと、建築物全体における木材利用度は四三・二%、半分ぐらいは木材です。それに対しまして、公共建築物はたったの八・三%という数字がございます。
そして、最近学んだことなんですが、歴史的に、戦時中に空襲で焼け野原にされたという反省から、戦後は、燃やされにくい都市をつくろうということで、昭和二十六年、一九五一年に耐火建築促進法というものができまして、特定地域を耐火建築にするための政策が進められた時期がありました。これは十年間限定だったようであります。
いずれにしても、いろいろ歴史的な背景、それから耐震性を強化するんだというようなことから、鉄筋コンクリート建てが進んできたと思われます。
一方で、つい近年は、公共的な施設を初めとして、木材建築が見直され始めました。今申し上げましたような趣旨なのかもしれません。
木材促進法というのが制定されたと聞いておりますが、この法律に基づきます施策の進捗状況をお伺いいたします。
○鈴木(千)政府参考人 お答えいたします。
公共建築物の木造化に当たりましては、一般的な木造住宅に比較しますと部屋の広さですとか床荷重が大きいなど、施工上の条件が厳しい、こういうことで、木造の住宅とは異なる技術的な知見が必要となります。
このために、国交省におきましては、木造の官庁施設の設計手法を規定しました木造計画・設計基準、こういったものや、木造工事に使用する材料などを規定しました公共建築木造工事標準仕様書を整備してまいりました。
また、地方公共団体と連携しまして、公共建築物における木材利用の取り組みをまとめました事例集を作成し、周知するなど、木材利用の拡大のための環境づくりを進めております。
引き続きまして、技術基準の整備ですとか、木材を利用した官庁施設の整備、また地方公共団体への情報提供などを行い、木材利用をさらに促進していきたいと考えております。
○重徳委員 ありがとうございます。
せっかくできた法律ですので、どんどん進めていっていただきたいと思いますし、最近ニュースでもかなり、木材を使った強度の高い建物もできる、こういうこともやっております。そういった意識が国民的に広まってくるのにあわせて、こういった取り組みも進めていくことができればと思っております。
次に、今回の電力改革の本丸の一つですけれども、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度、いわゆるフィード・イン・タリフの仕組みについて、再生可能エネルギーの今のところの代表選手であります太陽光発電、それから、まだまだこれからというバイオマス発電を比べてみたいと思います。
まず、太陽光発電というのは、一般のイメージではどうかわかりませんが、稼働率は低いと言われております。夜間はもちろん、雨や曇りの日もあり、稼働率一二%という数字があります。
そして、雇用の効果というものも、もちろん、太陽光パネルを生産し販売するわけですから、そういった効果は生まれると思いますが、導入した地域における雇用効果というものは、さほどないというか、ほとんどないんじゃないか。設置したら、あとは原料供給も必要がないわけですから、晴れた日を待って、あとは、フィード・イン・タリフによります一キロワットアワー当たり四十円前後の収入が入るということでありまして、あくまで私は推進派ですが、そういう意味で、地域に雇用効果というのは必ずしも発生しないのではないか。
一方で、バイオマス。今のような森林、あるいは前回議論いたしました生ごみのバイオマス発電、これは全く違うと思います。まさに発電設備を置いただけでは何も進まない。そのかわり、生ごみの場合は七〇%の稼働率が想定されているように、毎日毎日ごみを投入する、あるいは木材資源を投入する、こういう営みが地域に根差していなければバイオマスというものは成り立っていかない。こういう意味で、かなりここは違うと思うんですね。
そういう意味で、新エネといいましょうか、再生可能エネルギーによります雇用効果を政府としてどのようにごらんになっているかということについて、御答弁いただけたらと思います。
○新原政府参考人 御指摘のとおり、太陽光発電の稼働率は大体一二%と私どもとしても認識しております。
それから、雇用なんですが、先ほど今井委員の方からも御質疑がございましたけれども、基本的には、太陽光の場合には、地元に落ちている雇用というのは建てるところだというふうに認識しています。
私どもが一つの指標としているのは、実際に、発電事業者が支払っている金額のうちで、地元の工務店とか建設業者に行っている分がどのぐらいあるかということでございます。これは私どもの数字ですと、大体四割強から五割弱でございます。この部分が地域に基本的には貢献している部分。
これが、千キロワットのメガソーラー一件当たりで、千キロというのはサッカー場二面程度ですが、これで数十名程度が設置工事に必要、こういう感じになっております。運転開始後は大体、保守管理でございますけれども、これは一、二名ということに限定されてくる。
そういう意味では、農水省さんも答弁を御用意されていると思いますけれども、雇用というところに限って言えば、確かにバイオマスは非常に大きな潜在可能性があるというふうに考えております。
○篠田政府参考人 お答えを申し上げます。
私どもの森林関係のバイオマスでございますけれども、未利用の間伐材を主な燃料といたします発電施設につきましては、まだ実は現時点で一年間稼働したという例がないわけでございます。
ただ、調達価格等算定委員会、これは昨年でございますけれども、そこにおきまして事業者の方々から提出いただいた資料によりますと、稼働率が九三%ぐらい、年間三百四十日ぐらいいくだろうと。
それから、雇用の方のお話でございますけれども、五千キロワット級の発電施設の場合でございますと、発電所自体の運営で約十人ぐらいは雇用ということで必要でしょうし、またその原料も、材料でございます間伐材等がございますけれども、そちらの入手まで含めると五十人ぐらいの地場の雇用効果というものは見込めるのではないかというふうに考えているところでございます。
○重徳委員 御答弁ありがとうございました。
性格がおよそ全然違うということは非常によくわかりました。そういうところに着目しながら、木質バイオマスについて、これからも推進していける地域はどんどんと推進していくべきではないか。制度をつくっただけで、参入するのかという議論がこの委員会でもさんざんやられていますけれども、参入したいとおっしゃっている方は、やはりいろいろなところにいるわけです。ですから、そういう方々をできるだけ後押しする仕組みが必要だと思っております。
それから、木質バイオマス固定価格買い取り制度の単価は、リサイクル木材、すなわち廃材の場合は十三・六五円、未利用木材、すなわち間伐材は、切ってきたものを山からおろしてくると当然コストも余計にかかりますので、三十三・六円ということになっております。単価だけ比べると二・五倍です。
それだけかかって山からおろしてくる、これはもう林業そのものの生産性というかコストがまだまだかかるということでありまして、林業そのものが活性化すれば、副次的なものとしてバイオマスも発展していくと思いますし、これからの将来ビジョンによっては、このバイオマスを一大産業にするとすれば、林業だけじゃない、相並ぶ産業の創出ということにもつながっていく可能性は大いにあると思います。
その意味で、最後に、茂木大臣、ここまでお聞きいただいて、これは本当に経済産業政策と密接不可分な地域の雇用を生み、新規参入したいという多くの方々の力を感じながら今後の経済産業政策を進めていただきたいと思うんですが、最後に御決意をいただければと思います。
○茂木国務大臣 電力システムの改革によりまして新たな発電事業への新規参入が進む中で、バイオマス発電も極めて重要だ、またこれが地産地消にもつながっていく、このように考えております。
きょう、御議論を伺いまして、エコカー補助金と森林等々を比べていただいて、大変興味深い御議論だと思っております。
一点追加させていただきますと、あのエコカー補助金、私はつくったときの責任者の一人でありまして、リーマン・ショックが終わった後、急速にやはり景気を回復しなければいけない、こういう政策目的を中心にやらせていただいた、このことも御理解いただければと思います。
○重徳委員 認識不十分です。ありがとうございます。
本当に、自動車産業も大事ですし、地域の林業も、森林も大事です。そういう認識で、日本全国が元気になりますように、これからも私自身も努力してまいります。どうか、経済産業省の皆様方、林野庁の皆様方、これからもよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。