2020年3月17日(火)午前、総務委員会にて、市町村合併特例法改正について
質疑に立ちました。
1.合併による職員の配置・充実の検証
2.合併算定替えについて
3.合併算定替えを部分復活させ、30年間実施するという提案
○大口委員長
質疑の申出がありますので、順次これを許します。
重徳和彦君。
○重徳委員
共同会派の重徳和彦です。
きょうは、朝一番、九時からの質疑に立たせていただきまして、ありがとうございます。
きょうは、合併特例法の延長という、そのための法改正案の審議でございます。
私は、前回の質疑から引き続き、市町村合併の光と影をしっかりと検証して、包み隠すことなく、精緻に検証していく必要があるだろうという立場から質問させていただきます。
特に、地方の主要な産業、基幹産業といえば第一次産業でございます。今、農水省では
食料・農業・農村基本計画の見直しが行われているところであります。日本の食料生産力、食料安全保障、極めて重要なことでありますし、第一次産業の振興というのは、国土の保全そのものでもあります。昨今多発しております水害の抑止のためにも、第一次産業の振興は非常に重要だと思います。そういう観点から、合併に伴いまして、この農林水産部門の自治体の施策遂行能力がどう変わったかというようなことをひとつ検証していきたいと思います。まず一つは、資料一をごらんいただきたいと思いますが、これは総務省から、合併による効果、組織機構の充実という観点からの資料でございます。
特に専門職員の配置、充実が進んだという資料です。この中で農林水産部門を見ていきますと、グラフが幾つかありますが、左上の四角の中の農林水産技師、これを配置している市町村が、合併市町村においては三四・三%から五二・二%に上がった、こういう数字がございます。この農林水産技師の配置率が上がったことによって政策的にどのような効果が上がったのか、どのように捉えておられますか、大臣。
○高市国務大臣
農林水産技師を配置している市町村の比率は、非合併市町村において減少した一方で、合併市町村では増加しております。合併市町村における農林水産技師の職員数自体は減少しておりますが、合併しなければ単独では専門性を有する農林水産技師を確保し配置することができなかった市町村においても、配置することが可能となっているものでございます。このことによって、農林水産行政などの行政サービスの提供体制の確保に資することとなっていると存じます。
○重徳委員
そういう体制の確保ができるだろう、こういうことなんですけれども、やはり大事なことは、それによって各自治体における農林水産施策がどのように進んだか、進んでいるのか、そして、それは合併していない地域よりも農林水産業が現に振興されているのか、生産額、就農者数、どうなのか、こういったことまで精緻な検証をしていかないといけないと思うんですけれども、職員数の配置以上の検証というのは何かあるんですか。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
私ども、合併市町村における農林水産技師の配置率ですとか配置人数等の分析はいたしておりますが、その結果、いわゆるアウトカムというんでしょうか、農産物の生産量ですとか新規就農者数にどういった影響を及ぼしたかといった分析はいたしておりません。
○重徳委員
そういうことだと思うんです。もう合併から十年以上たっている自治体がたくさんあります。必ずしも、合併したところだけが農業が盛んになって、合併しなかったら廃れたとか、こういうわかりやすい成果が出ているとも限らないというか、そんなことは決してないんじゃないかなとも思うんですね。だから、合併によって専門職員が配置されたよ、配置されている自治体の率がふえたよということだけ捉えて、成果だというのは、私は非常に表面的なことだけだと思うんですね。もう十年以上たっているんですから。そういったことまで検証しよう、あるいはそういう姿勢すらないというのは私は問題だと思います。まして、合併した結果、配置市町村数がふえている、これは当たり前ですよね。それまで一人いた自治体とゼロだった自治体が一緒になれば、単純に言えば、それでその両団体、分母が減って配置されている自治体は一のままなんですから、だからこの率が上がるのは当然なんですね。だから、その意味もどれほどのことかと。非合併市町村と比べると減ってはいないよねということなんですけれども、もう少しこのこと自体も、どういう経緯で専門職員が配置されている市町村の率が上がっているのか、この辺も解説がないと、このグラフだけ見ると、ああ、そうかと納得してしまいかねない、そんな資料になっていると思います。それから、その下に、専門職員の平均配置人数という資料もございます、データもございます。これは、農林水産技師についていうと、合併市町村は平均二・一人、これは実際には二十年近くかけてなんですよね、平成十一年度と平成三十年度にかけての変化ですが、これが四・二人になりましたと。倍になりました。これも、二人ずついた自治体が合併したら四人になるわけですから、合併したら当然、数的にはふえるのは当たり前ということでありまして、それ以上の意味がどれほどあるのかということを検証していかなければならないんじゃないかと思います。このこともちょっとあえて尋ねますけれども、アウトカム的な政策効果について検証しているのかどうか、お尋ねします。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
やはり、農林水産技師といったような専門職員というのは、少数の方がおられるよりも、世代間の引継ぎといいますか、そういった教育効果とかもございまして、一定の規模が必要だということで、合併市町村では平均配置人数がふえているということは一つの効果かなと思っておるところでございます。ただ、先ほど来御指摘いただいております、これが農業生産額とか新規就農者数とかそういったものに及ぼす影響等については、私ども分析をいたしておらないところでございます。
○重徳委員
農業に対する影響については農林水産省とも連携しなければ検証不可能だと思いますので、これは総務省だけの課題ではないと思います。その辺も省庁連携で取り組んでいただきたいと思います。また一方で、もちろん専門職員の方、大事な存在だと思います。それは一人でも多い方がいいでしょう。だけれども、もうちょっと、ロットでいうと、農林水産部門に従事している職員の数が全体でどのぐらいいるのかという検証の方がより大きな影響があるんじゃないかと考えておりまして、資料の二をごらんいただきたいんですが、これは総務省の調査、地方公共団体定員管理調査から作成をいたした資料です。
この背景になっている帯は、二〇〇〇年から二〇一五年までの市町村の団体数の変化をあらわしています。上の図で言いますと、一番上の帯、三つの帯が分かれていますが、上の帯は市の数、真ん中の白くなっている帯は町の数、一番下が村の数ということなんですが、一目瞭然で、二〇〇四年、五年ぐらいを境に急激に減っているのは町ですね。村もかなり減っていますね。だから、町村が物すごく減ったという市町村合併だったということがこれでわかるんですが。その中で、上のグラフは、各部門における職員配置の、その前の年と比べた増減率なんです。これを見ますと、これも非常にわかりやすいんです。
農林水産部門の職員数が合併を機に非常に大きく減少しているということがわかります。ほかの部門も、これは増減、減少率ですから、一〇〇以下のラインをたどっていれば全体としては職員数が減っているという意味なんですけれども、それにしても、一〇〇%をちょっと切るぐらいですね、九八%ぐらいのところで踏みとどまっているのがほかの部門ですが、それから、全体もそうですが、農林水産部門だけは九五%を割っている時期もある、こんなことであります。これはちょっと私の手元のデータで調べたものでありますので、合併市町村と非合併市町村に分けておりません。数でいうと、この農林水産部門の職員は、平成十二年、つまり二〇〇〇年で四万六千八百八十八人だったのが二〇一五年には三万八百七十五人ということで、三四%減なんですが、これは、合併団体、非合併団体の内訳はわかりますか。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
農林水産部門の職員数について、私どもで把握している数値を申し上げます。平成の合併が始まった平成十一年度でございますが、合併市町村で三万四百三十九人、非合併市町村で一万七千四百五十八人、それから、平成三十年度は合併市町村において一万八千二百十六人、非合併市町村で一万二千百九十七人でございます。それで、平成十一年度から平成三十年度にかけて、合併市町村の農林水産部門の職員は四〇・二%の減少、非合併市町村における農林水産部門の職員は三〇・一%の減少でございます。以上でございます。
○重徳委員
調べていただいてありがとうございます。
今の御答弁で明らかなのは、合併した市町村は農林水産部門で四割減っている、非合併は減っているけれども三割にとどまっている、踏みとどまっていると言うこともできるかと思います。この数の検証も、専門職員がふえているよとか、配置されている率が上がっているよというのは、非常に一面的な見方だと思うんですね。大事なことですよ、専門職員を置くことは大事なことだと思いますが、それにしても、職員全体の数でいうと、よっぽど合併市町村の方が減っているんだ、こういう数字とも向き合わなければ、そもそも、更に言うとアウトカムが大事だという議論もあるんですが、この事実を踏まえなければならないんだと思うんですが、この今の合併に伴う減少率が大きいという点について、大臣、どのように捉えておられますでしょうか。
○高市国務大臣
合併市町村における職員の減少率でございますが、これは、平成十一年度から平成三十年度にかけて、農林水産部門では四〇・二%、総務部門の約四倍の減少率となっていて、また、非合併市町村においての減少率ですが、農林水産部門で三〇・一、これは総務部門の約七・五倍ということになりますので、非合併市町村においても農林水産部門の減少率の方が大きいという傾向は変わりません。ですから、この減少率、農林水産部門の減少率が大きいということ、これを合併と必ずしも関連づけるということはできないと考えております。
○重徳委員
ちょっと今不思議な答弁だったんですけれども、私のこの資料をごらんいただければわかるように、合併をした時期と軌を一にして農林水産部門の職員が大きく減っているのは、これは有意な関連性があると見ていいと思うんですよね。合併か非合併かのその区別、それはグラフまで落としていませんので、それはちょっとにわかにわかりませんけれども、合併と何か必ずしも関係ないみたいな御答弁は私はちょっと違うと思うんですけれども。もう一回お願いします。いいんですか、本当に今の答弁で。
○高市国務大臣
合併市町村においても非合併市町村においても農林水産部門では職員の減少率は高い、総務部門との比較では非合併市町村の方が約七・五倍、こう高くなっているので、必ずしも合併か非合併かということでその減少率というものを関連づけることはできないという意味の答弁でございます。ただ、各地方公共団体において、今必要な部門において適切に職員数というものを配置しているわけでございますので、各地方公共団体の適切な御判断というものがあると存じます。
○重徳委員
必ずしもというのは、いわばちょっと今まだわからないという答弁だと思うんですね。
もっとこれは精緻に更に調べていただきたいんですよ、合併、非合併に分けて。それで、時期も、二十年間でこれだけ減りましたというだけじゃなくて、その二十年の間に、特に合併した時期において、合併市町村は少なくとも大きく減っていると思うんですよ。合併していない市町村は、合併時期に限って大きく減るということはないのかもしれません。それから、減り方も、もしかしたら、結局は大きく減っているという意味では、合併した意味、そうはいっても、少し持ちこたえている要素もあるんだとか、いや、そうじゃないんだとか、そういう議論まで今至っていませんので、この点について、合併特例法案は
きょう採決しちゃうのかもしれませんが、余り実際の影響のない法律ですから、改正しても。実際に大事なことは、これまでに合併をした自治体が今後にわたってちゃんと施策を運営していく状況になっているかどうか、この検証が何より大事でありますので、きょうに限らず、これからもちょっと私自身も追いかけていきたいと思いますので、ぜひ共同作業でやっていきたい、やらせていただきたいと思います。よろしいですね。大臣も同意いただければ、ぜひ指示を出していただければと思います。
○高市国務大臣
一つ、よい御指摘をいただいたと思っております。農林水産省とも連携しながら、これから、特に地域の農林水産業の発展に資する状況になっているかどうかということは注視してまいります。
○重徳委員
私、ちょっとこの検証をなぜ数字的にしてみようかと思ったかといいますと、去年の日本農業新聞にこういった指摘があったんですよね、ちょっと違う資料を持ってきちゃいましたけれども。日本農業新聞において、去年の秋ぐらいの論説記事で、やはり地方の農業は疲弊している、合併によって職員数も減って、要するに、ふだんから見回りに来てくれるような身近な役場の職員が随分減っちゃったねというようなことも肌で感じている、これが農業現場だと思うんです。そういったことから、じゃ、実数はどうなのかなということで調べてみたのが今回の、まだ十分じゃないですけれども、第一歩の調査なんですよね。ですから、こういうことも一つ一つ精緻にやっていくことで、何がよくて何が悪かったのか、こういったことにたどり着いていくんじゃないかと思いますし、それに応じた施策を展開していくことができるんじゃないかと思っているところであります。ちょっと、じゃ、一応お聞きしましょう。もう一つ、資料の三をごらんいただきますと、総務部門の人数の変化、これも総務省が数字を出しておられます。それで、全体的には、合併したところは一〇・七%職員が減り、非合併のところは四%にとどまっている、だから行革効果は合併市町村の方が総務部門において非常に大きいんだというんですが、これも全体的には納得しますけれども、ただ、これはどういう意図で並べているのかよくわからない数字がありまして、内訳がですね。企画開発という部門がありまして、企画開発というと何か攻めの部門ですから、総務部門と同じように減らせばいいということじゃない印象があります。企画開発部門が合併市町村で二六・二%減っています。非合併市町村は一・七%しか減っていません。逆に、ちょっと減らし過ぎじゃないかという感もいたします。それから、住民関連の部門において、これは全体的にも住民関連はちょっとふえているんですね。防災部門が合併も非合併もふえているのはわかるんですが、減っている分野もありますが、住民関連一般というところが、合併市町村は八一・三%もふえています。非合併は二七・五%、これも増加していますけれども、これは分析されていますか。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
平成十一年度から平成三十年度にかけて、定員管理調査における住民関連一般職員が増加した要因、それから、合併市町村において企画開発職員が減少した要因については分析したことはございませんが、住民関連一般については、平成十一年度以降の社会経済情勢などの変化に伴い、住民サービスが多様化したことなどにより、住民の生活文化、住民相談などに関することで、他の小部門のいずれにも属さないものとして計上される職員が増加したものと考えられるところでございます。また、企画開発については、市町村における総合計画の作成などを担当する職員が計上されますが、こうした事務は旧市町村間で重複する部門でありますことから、合併により職員数が一定程度減少することも考えられるところでございます。いずれにいたしましても、合併の有無にかかわらず、市町村においては、地域の実情を踏まえつつ、行政需要の変化に対応した、めり張りのある人員配置を行っているものと認識しております。以上でございます。
○重徳委員
最初の御答弁にあったように、ちゃんとした分析がされていないということであります。やはりこれは、数字を出す以上は、しかも微増微減じゃありませんので、大きな変化が見られる企画開発部門の減少について、また住民関連一般の増加ということについても、これは恐らく、私が指摘をしてから、どうだったんだろうかということで、今のがぎりぎりの答弁ぐらいじゃないかなと思いますので、さらなる検証、ここもお願いしたいと思います。そして、次に、財政面についての検証でございます。検証と提案があるんですけれども。合併算定がえというのがあります。ありましたと言ってもいいぐらいの段階に入っております。合併してから十年間は、あたかも旧市町村が存在したままであるかのごとく交付税を算定をして合算をする、つまり上乗せをするという制度であります。これはもう今年度をもって、三月で終わりですけれども、フルの算定がえを受けている自治体はゼロになるということでありまして、この十年間の優遇措置が切れるという段階に入ってくるわけでございます。そもそも、まちづくりというのが十年計画、合併した当初は十年先といったら随分先のことだなという印象もあったと思うんですけれども、ただ、首長さんも、当時の首長は、前回の質疑でわかったように、一割ちょっとしか残っていない、こういう状況であります。だけれども、やはり、そこで暮らしている住民は、いや、合併前は役場もあって町長も議員もおって、それでわしらも元気な町に住んでおったんだけれども、合併して一つもいいことがない、こういうことをまだまだ記憶されていますよね。そういう記憶がなくて、いわば不満ばかりの町がまだたくさん全国にあるという言い方をしてもいいんだと思います。こういう、十年で、建設計画で、合併特例債でやることはやったからいいじゃないかという言い分は、必ずしも通らないんじゃないかと思います。こういった、昔はよかったと思っている住民の皆さんがたくさんいる町がいい町だとは言えないんじゃないでしょうかね。大臣、どう思われますか。
○高市国務大臣
合併によって、専門職員の配置や組織の充実、行財政の効率化など、効果があらわれているところもあります一方で、委員がおっしゃったとおり、周辺部の旧市町村の活力が失われているとか、住民の声が届きにくくなっているという課題の指摘があることも事実でございます。これは私の地元にもございます。こうした課題の解決に向けて、合併市町村においては、支所の設置や地域自治区の活用などさまざまな取組が行われております。この合併算定がえ終了後の交付税算定についても、平成の合併によって市町村の面積が拡大するなど市町村の姿が大きく変化したということを踏まえて、支所に要する経費の加算、旧市町村単位の消防署や出張所に要する経費の加算、旧市町村単位の保健福祉に係る住民サービス経費の加算など、平成二十六年度以降、五年間かけて普通交付税の算定を順次見直してきているところです。引き続き、合併市町村の課題を踏まえて、必要な支援を行ってまいりたいと存じますが、合併したその市の市長さん、また市議会の先生方にもしっかりと、どういう算定が行われているか、旧市町村の部分に、特に旧町村部ですね、こういったところにしっかりと必要なサービスが行き渡っているか、こういうことに目を配っていただきたいなと思っております。
○重徳委員
ちょっと私の質問にストレートにお答えいただいていないと思うんですけれども、やはり住民の意識、感覚というものをもっと大事にしないと、やはり納得感、納得度の低い町というのはいい町だと言い切れないと私は思います。大臣の御地元、合併したところもあると思いますけれども、全国的に見ると奈良県は少ない方ですからね、合併した市町村が。佐藤先生の広島県なんか、物すごい大合併をやって、よかったと言っている人もいるかもしれませんが、まあ、ほとんどいませんよね。正直言って、住民の皆さん、いません。この点は、もちろん合併しなかったらもっと悪いことになっていたんだ、こういう言い方もあるかもしれませんが、その納得度を上げなきゃいけないと私は思います。合併した首長さんも、もうかなり代がわりしていますので、じゃ、どうするんだ、十年たっちゃった、その後はどうするんだということについても、いや、建設計画、これも基本的に十年限りですよね、十年の計画をちゃんとやれば大丈夫なんだというのが今までの総務省の御答弁でありますけれども、私は、やはり一世代、三十年ぐらいかかるんだと思うんです、住民の意識の定着は。その間、三十年間ぐらい、総務省としての合併を進めた責任において、さらなる支援をするべきだと思います。合併の算定がえも、十年たったら、あと五年かけてもう物すごい勢いで減っちゃうわけなんですけれども、今の仕組みは。だけれども、その半分でもいいから、合併した旧町村部に、例えば合併した当時のことを知らない首長さん、三十年というと、要するに十年掛ける三ですから、首長の任期というと大体十年前後ですので、合併を直接知る首長がいなくなっても、その後二代ぐらいの首長さんが責任を持ってさらなる建設計画を、建設といってもいわゆる箱物建設だけじゃなくて発展計画ですね、それから、前回も申し上げました、その旧町村部における自治の仕組み、制度提案を行って、その地域を守り抜くんだ、こういう計画をもう二十年つくってもらって、それを条件に算定がえによる、旧町村部を支援し続ける。金額的にはフルの算定がえとは言いません。それの何割かでも構わないと思うんです。そういった、合併をして、昭和の合併と違って右肩上がりの時代ではありませんから、人口は減って財政も厳しくなる、こういう時代における合併ですから、もう少し、これからもう二十年ほど支援を続けるという方策、これは制度設計は可能じゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○高市国務大臣
普通交付税の合併算定がえ制度は、市町村合併後、当面は行政運営に係る経費の急激な節減が困難であることを考慮して、一定期間、合併市町村の普通交付税額が、合併せずに関係市町村が存続したと仮定した場合の普通交付税の額の合算額を下回らないようにする特例でございました。委員の御提案ですが、合併後三十年間、普通交付税の算定がえを一定程度復活させるということについては、合併算定がえの制度趣旨を踏まえて、合併を推進した平成の合併期間を除いて、従来から特例期間五年、激変緩和措置の期間五年としてきたということ、それから、特例期間を終えた合併市町村や同規模の非合併市町村との公平性ということも考える必要があるということを考慮すると、慎重に検討する必要があると考えております。
○重徳委員
まあ、いきなり言われてもというところかもしれませんけれども。だけれども、これは、我が会派においても、団体自治的な自治機能、役所の自治機能は少々高まったかもしれませんけれども、住民自治という観点がやはり欠落しているのじゃないか、こういう意見も多いです。特に、最初申し上げました国土を守るということから考えても、やはり森林環境税で全国にお金をばらまきますというだけでは、その地域を守ることはできません。
○大口委員長
時間が来ております。
○重徳委員
時間ですか。もうだめですよね、質問は。じゃ、まあいいですよ……(発言する者あり)いいですか、先生。じゃ、ちょっと、先輩の議員の御了解をいただきましたので、最後に、やはり地方自治というのは、その自治体の中の自治の仕組みということも一つありますが、やはり国土の三分の二を占める山国ですよ、日本は。この山が崩れ、そして田んぼが廃れていって耕作放棄地になってしまったら、昨今の地球温暖化に伴って豪雨の傾向があります、集中豪雨の傾向があります、こういった雨を受けとめるだけの森林の機能も損なわれ、また、それが里に流れてきたときの水をためる水田の機能も損なわれてしまったら、結局、都市住民に大きな災厄をもたらす、こういう結果になっていくと思うんです。このことは、数年間の国土強靱化でダムをつくったり川を固めるというだけでは抑え切れないだけの大きな役割、大きな機能をもともと日本の山林や中山間地域、農村地域は持っていたんだと思いますが、この国土を守るためにも、各地域の自治をこれからもしっかりと守り続けるということが、私は、各省庁横断的なテーマでありますが、これを束ねるべき総務省の役割だと考えますが、そういった地方自治のあり方、役割について、大臣、どのようにお考えですか。
○高市国務大臣
これは重徳委員御指摘のとおり、中山間地域ですとか農村地域の自治体というのは国土の大きな部分を占める山村や農地を守る役割を果たしており、それは国民全体の公益的な機能を大切にすることにもつながっております。こうした観点からも、今後の人口減少、高齢化を見据えた地方行政体制のあり方の検討に際しましては、小規模な自治体を含めた基礎自治体において、地方自治の本旨である住民自治をしっかりと守っていくということは重要だと考えております。そのための施策を今も展開しているところでございます。
○重徳委員
ありがとうございました。
検証については、引き続きよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。