○江藤委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 維新の党の重徳和彦です。
きょうは、農協法の改正につきまして審議をさせていただきます。
通告の順序を変えまして、最初、中央会の廃止、衣がえについて伺いたい。
中央会制度は何のために廃止するのか、具体的にこれまでどんな弊害があって、それをどう改めるために廃止するのかということを伺おうと思って、通告もしていたんですが、いろいろこれまで、私が聞く範囲でも、あるいは議事録をチェックしても、具体的に何の問題があったのかどうもよくわからない、そういう答弁ばかりで、何かよくわからないんですね。それから、組合長さん方もJAグループの一員だから公然と言えないんじゃないかとか、言えないわけないですね、そんな情けない組合長は私は見たことがないですよ。
やはり、本当に問題があるんだったら、こういう問題があって、それを抜本的に変えるんだ、そのための岩盤を打ち破るドリルなんだ、こういうロジックならなるほどとわかるんですが、今回は本当にこの点は中途半端というか、意味がよくわからない。地元でも、与野党を問わず、今回はすごい改革なんだよということを胸を張って言える方は余りいないんじゃないか、このように感じるんです。
しかし、安倍総理はしきりに、これは戦後六十年ぶりの大きな改革なんだとか、誰も手をつけることができなかったんだとか、岩盤を私のドリルで穴をあけるんだ、こういうことをおっしゃりながら今回の中央会廃止についても言及されていると思いますが、これなんか、わかっておっしゃっているのかどうか。
私は、林大臣ならそんなことまでは言わないんじゃないかなと思うんですが、大臣、どうですか。本当に岩盤をドリルであけるような改革に値するんですか。私が知る限り、林大臣はそのようにおっしゃったことがないように思うんですが、大臣もそういうふうにおっしゃいますか。
○林国務大臣 言葉の使い方はそれぞれだと思いますけれども、六十年ぶりと総理がおっしゃっていらっしゃるのは、中央会制度が昭和二十九年に導入された制度であって、これを時代の変化とともに現代に合わせて変えていこう、こういう趣旨で、この二十九年から始まっている中央会制度を大きく変えていく、こういうことでおっしゃっておられるんだろうというふうに理解をしております。
そういう意味では、規制改革の議論の中でよく岩盤規制という言葉は出てくるわけでございますが、岩のようにかたい、今までなかなか規制改革ができなかった、こういうことでおっしゃっておられるのではないか、こういうふうに思っております。
私はこれを担当している大臣でございますので、もう少し具体的に、どういう意味でこれをやるのかということは、今まで御答弁を申し上げてきたとおり、発足当初は単協が一万を超えていて、これが七百に減少してきて、そういう意味では、中央会が大きな役割を果たしていただいたということ、それから、信用事業については農林中金にも指導権限が与えられるようになった、大きく状況が変わってきた、こういう状況の変化に応えて、単位農協が地域の特性に応じて自由にいろいろやっていけるようにしていこうというのが今回の趣旨であろう、こういうふうに考えております。
○重徳委員 今大臣がおっしゃったことが、穏当というか正当な今回の改革に対する評価だと思うんですね。
やはり、これまで戦後数十年たって、現状に合わせた見直しが必要だということなのであって、そんな殊さらに声を大にして、胸を張って言うほどのことではないと私は思うので、安倍総理に、二度とそういう言い方はこの改革については言わないでくれというふうに、ぜひ大臣から助言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
○林国務大臣 これは米の政策の見直しのときもちょっと類似の議論がございましたが、私は、ここで議論しているときは、御専門の先生方と法案をきちっと議論するという意味で具体的に申し上げておりますが、総理は、海外に行かれてダボス会議等で発信をされたり、聞いていらっしゃる方は必ずしも農業界だけでないということで、一般の方にもわかりやすく御説明をされよう、こういう趣旨ではないかと私は理解しております。
先ほど申し上げましたように、同じことを説明するのにいろいろな説明の仕方はあるということでございますので、先ほど申し上げたような意味でおっしゃっているんだろうということで、そのこと自体間違っているというふうに申し上げたつもりはないところでございます。
○重徳委員 一般の人にわかりやすくとおっしゃいますが、いわゆる減反廃止というのは最近余り聞かれないフレーズになってしまいましたけれども、やはり誤解を招くような表現だと思うんですよ。安倍総理がここにお見えにならないので、総理のことを言っても仕方がないかもしれませんが、きちんと適切な表現で、必要な改革を行うことはもちろん重要なことですから、改革を前に進めることについては全く我々も否定はしないどころか、もっと前に進めるべきだという主張も時にするわけですから、ぜひともここは国民の皆さんに誤解のないように伝えていっていただきたいということを改めて申し上げたいと思います。
さて、きょうは、私は准組合員について議論させていただきたいと思うんです。
私も、愛知県の中で田舎の方で、三河地区でありますので、地域における農協の存在は非常に大きいです。本当に地域の住民の暮らしを支える存在でもあり、非常に存在感のある組織だと考えております。
そういう中で、そうはいっても、一般によく指摘をされるのが、地域の独占的なサービス提供主体になっている。本当の過疎地で、ほかに何の担い手もいないんだったら、それも必要な存在かもしれませんが、一定の競争の存在する地域においても相当独占的な組織であることが指摘をされ、また、農協の業務内容についても、本来の営農指導という部分が赤字、不採算部門となっていることに対して、准組合員と言われる方々をたくさんふやして、そこで得た利益をそっちに回している、いろいろなそういう指摘がなされているわけであります。ですから、今回は附則で、これから五年間かけて調べるというところが落としどころというふうになっておりますけれども、この問題は農協の組織の非常に本質的な課題なんだと思うんです。
そして、そこは物すごい荒療治が必要なのか、あるいは今の組織のままでも幾らでも改善ができるのではないか、いろいろな議論があると思いますが、まず、准組合員というのはそもそもどういう存在なのか、ここが十分把握できていないんじゃないかという感じがいたしております。
当然、文献とかにもいろいろなことが書いてあるんですが、農水省として、准組合員というのは一体どういう方々なのか、これをちょっと全体的にどう説明されるのか、この点を改めて確認したいと思います。
○奥原政府参考人 農協法におきましては、准組合員は、農協の地区内に住所を有する個人というふうに書かれております。具体的に言いますと、例えば、もともと農業を行っていないけれども、農協の事業を利用したい地域住民の方ですとか、それから、かつて農業を行っていたけれども、今は離農している地域住民の方とか、こういう方々が准組合員になっているというふうに考えております。
准組合員制度は農協法が昭和二十二年にできたときから入っておりますけれども、農協の事業として、農業の関連の仕事だけではなくて、農業者の生活に関する事業もできるというふうになっておりますので、そういう意味で、その地域に住んでおられる方々、農業者に限らず、地域住民の方も農協の事業を利用する道を開くことが望ましいという判断で、法律が制定されたときからこの制度は設けられているところでございます。
とはいいましても、農協は農業者の協同組織でございますので、准組合員は、農協の事業については正組合員と同じように利用はできますけれども、現在の法律のもとでは議決権はない、准組合員は農協の意思決定には参画できないという制度になっているところでございます。
それから、現在の准組合員の数でございますけれども、平成二十五事業年度の農協の組合員数、全体で千十四万人いらっしゃいますが、その中で、正組合員の方が約四百五十六万人、四五%で、准組合員の方が約五百五十八万人で五五%というふうになっております。
○重徳委員 今、概括的な御説明はありましたし、あとは、五年ぐらい前に正組合員よりも准組合員の方が上回ったというふうに聞いておりますけれども、今はかなりの差が、さらに准組合員がふえている、あるいは正組合員が減っているという数字もお示しいただきました。
これは大臣にお聞きしたいんですけれども、五年ぐらい前から正、准の組合員の数が逆転をしました。そのことによる問題点、いろいろと指摘は実際にされていますが、大臣としてどのように捉えて認識をされていますか。
○林国務大臣 今、重徳先生からお話がありましたように、准組合員が正組合員を上回るようになった農協というのが多くなってきているということでございますが、先ほど局長から説明いたしましたように、准組合員には議決権がない、こういうことでございまして、事業運営についての意思決定は正組合員によって行われているということですから、准組合員がふえたからといって農協の性格が直ちに変わるものではない、こういうふうに思っております。
しかしながら、やはり、准組合員の増加によって、こちらの准組合員へのサービスに主眼を置く余り、正組合員である農業者へのサービスがおろそかになるということであってはならない、こういうふうに考えております。
やはり、農業者の所得向上というのが大事でございますので、地域の農業者と力を合わせて、農協が、農産物の有利販売、資材の有利調達、こういうところに創意工夫をして積極的に取り組んでいただくということを基本的に考えて、そして、実際上のインフラとしての機能については、組合員でない地域住民に対しても円滑にサービスを提供していく上で、必要な場合には、例えば員外利用規制がネックになるような場合には、農協の選択によって、組織の一部を株式会社や生協に組織変更できるようにする、ここまで今回は規定をしたところでございます。
○重徳委員 准組合員は議決権にかかわれないから農協の性格に影響が余りないんじゃないかというのも非常に皮肉なものですよね。准組合員が多いにもかかわらず、准組合員の意向は伝わらないわけですから、若干皮肉な状況が生じているとも感じるんです。
まず、准組合員の増加理由、この辺も今後分析する部分もあるのかもしれませんが、それこそ、中央会がこれまでとったアンケートをちょっと見ておりましたら、やはり、まずはローンとか貯金を始めた人が准組合員となったというのが一番多いみたいですね。でも、そのほかにも、准組合員の加入促進ということに取り組んできたんだとか、あるいは正組合員の家族の人を組合員にするときに、准組合員でいいからというようなことでしょうかね、加入してもらった、何かそんなような理由を、各単位農協からのアンケートだと思うんですが、そういう調査があります。
一つ一つちょっと確認したいんですが、員外の利用規制というのがありますね。この員外利用規制への対策をとった結果、准組合員がふえているというようなことがあるかと思うんですが、この点はどのように捉えていらっしゃいますか。
○奥原政府参考人 農協は農業者の協同組織でございますので、組合員に事業を利用させるというのが基本でございます。
このため、ほかの協同組合法制と基本的に同じでございますが、農協法におきましても、組合員以外の方の事業の利用分量については法律上の制限がございまして、今の農協法では、原則として、組合員の方の利用分量の額の五分の一を超えてはならないという員外利用規制が設けられているところでございます。
この員外利用規制につきましては、農林水産省において監督指針を出しておりまして、農協の直接の監督行政庁、都道府県でございますが、ここに対しまして、毎年度農協から提出を受ける業務報告書等によりまして員外利用の状況をきちんと把握するということ、それから、違反が確認をされた場合には、農協法に基づく報告徴求命令によって違反の改善に向けた計画の提出を命ずることなどによりまして、個別に違反を解消させる旨を指導しているところでございます。
この員外利用規制に違反した場合の具体的な解消方法でございますけれども、どういう方法で違反を解消するかは各農協の判断でございますので、国として違反の解消の方法まで指導しているわけではございません。
○重徳委員 指導はされていないんでしょうけれども、これも調べてみなきゃわからないということかもしれませんが、員外の人に、これはちゃんと組合員になって利用してくださいという方向だって当然あるのではないかと思います。その場合に、正組合員になるとはちょっと考えられませんよね。
したがって、論理的に考えて、これは准組合員がふえる要因なんじゃないかと思うんですが、これは調査してみないとわからないんですか。
○奥原政府参考人 おっしゃるようなケースもあると思っておりますけれども、定量的に調査をしたことはございません。
○重徳委員 この点もこれからの調査の中に含めて実態を把握していただきたいと思います。
それから、組合員を拡大する運動方針みたいなものもこれまで農協として行われてきたと思います。そのこと自体否定されるものではありませんが、これはどのようにして拡大をさせてきたのか。
これも、農業者がこれだけ減っている中で、やはり准組合員をふやすという方向にならざるを得ないのではないか。正組合員ももちろんふえてほしいかもしれないけれども、現実問題、准組合員をふやすということにつながったんじゃないかと思うんですが、どのように認識されていますか。
○奥原政府参考人 この点につきましては行政の方が特に指導しているわけではございませんけれども、農協系統組織におきましては、組合員の高齢化等が進む中で、組織の基盤を強化するという観点で組合員の拡大運動を推進してきたものというふうに承知をしております。
例えば、第二十五回のJA全国大会、これは平成二十一年に開かれておりますが、この二十五回のJAの全国大会におきまして、組合員の拡大目標の設定ですとか、それから女性農業者や青年層の正組合員への加入促進、こういった組合員への加入を促進する方針を打ち出しまして、組織基盤の強化に向けた取り組みが行われてきたものというふうに承知をしております。
○重徳委員 恐らく、そういう中で准組合員がふえてきたのではないか。
特に、一戸複数加入というような方針もこの組合員拡大運動の中でとられてきたと思うんですが、これは、もともとみなし組合員制度という制度もありますから、家族会員みたいなものですね、そこのお父ちゃんが入っていれば、あとは家族はいろいろな形でJAのサービスを利用できるという仕組みも既にある中で、その一戸の中でも複数組合員、つまり、お父ちゃんが入ったんだったらお母ちゃんも入ってくれ、息子たちも、サラリーマンだけれども、入るだけ入ってくれというようなこともあったかと思いますが、そういう中でやはり准組合員がふえてきたということではないでしょうか。いかが捉えていますか。
○奥原政府参考人 これも農協系統が自主的に取り組んできたことでございますけれども、第二十回のJA全国大会、これは平成六年でございますけれども、この大会におきまして、同一世帯の中の後継者の方ですとか女性の方を正組合員にする、正組合員として加入をしていただくというものを進めようという、それによって組織基盤の拡充を図る一戸複数組合員化の方針を打ち出して、全国的に運動を推進してきたものというふうに承知をしております。
今先生から御指摘がございましたように、農協法の中でみなし組合員という制度がございまして、組合員と同一の世帯に属する者に対する貸し付け等につきましては、員外利用の計算上、同一世帯に属する方を組合員の利用とみなすという制度がございます。
この制度がありますので、組合員と同一世帯の方は必ずしも直接正組合員にならなくても利用できるということではございますが、この一戸複数組合員化の運動につきましては、後継者あるいは女性の方々の正組合員化を進めて、こういった方々の意向を組合運営に反映させるという観点から進められたものでございますので、みなし組合員制度と直接には関係をしていないのではないかというふうに考えております。
○重徳委員 私は、後ほど述べますが、准組合員がふえること自体は、やりようによっては必ずしも問題ではないというか、やりようじゃないかなということも思うんですが、少なくとも、今のような、経営基盤を強化する、出資をしてもらう、だけれども、その結果、さっきの大臣の答弁にもありましたが、基本的には農業、営農指導というものが目的の農協なんだけれども、農業にはおよそ関係ない人たちがどんどんふえることで支えられているというのは、やはり現状、いびつだと思うんですよね。
だから、組合員を拡大するというのは、それはそれで、組織ですから必要な運動なんでしょうけれども、しかし、例えばローンとか貯金ですごくいいんだよ、農協をぜひ使ってくださいという勧誘をしつつ、実は農業協同組合という本来の目的があるんだということを全くタッチせずに准組合員をどんどんふやしていくという、これは本来の趣旨が損なわれる原因、農協の活動なり組織が理解されない原因になっているんじゃないか、こう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今委員からお話があったように、現在の農協経営の平均的な姿というのは、農業関連事業、生活その他事業及び営農指導事業、まあ経済事業部門といいましょうか、ここが赤字で、金融事業、信用とか共済の黒字で補填をする、こういう構造になっているわけでございますが、信用、共済が黒字であるということに安住して、農業関連事業また生活その他事業の改善に向けた努力、こちらでも、なるべくここの収支を改善していこう、こういう努力を怠るようなことがあってはならない、こういうことでございまして、やはりそれぞれの部門ごとにしっかり収支改善を図っていくことが必要だと考えております。
農協法でも、信用事業、共済事業、農業関連事業、生活その他事業、それから営農指導事業、これを区分して損益状況を明らかにしていただいて、部門別の損益計算書というのを総会で報告していただく、これを義務づけてございまして、そして、組合員が組合運営の実態について的確に判断を下して、運営の改善が、今先生がまさにおっしゃっていただいたように、必ずしも悪い部分だけではないというところをしっかりと見てもらって、積極的に参画できるようにしているということでございます。
また、監督指針においても、こういう情報をディスクロ誌に掲載することによって、多様なステークホルダーにもこれを見ていただくというふうに指導しているところでございます。
○重徳委員 これは、私の地元の農協関係者の方ともいろいろと議論したり、意見交換するときはあるんですけれども、准組合員で農協あるいは農業そのものとは直接はかかわっていないけれども、やはり今、六次産業とか地産地消とか、そういった地元の安心、安全な野菜、農産物というものを地域で消費しよう、こういうことには准組合員の皆さんも非常に関心はあると思うんですね。そして、農家の方にとっては重要な地元のお客さんたちでもあるわけです。
だから、准組合員は単にお金を出して、そして赤字部門を補填しているだけの存在だというようなことではもちろんいけないし、かといって、余り自分とは関係ないのに農業が大事なんだと言われたところで、別に、そうですかというだけの話であって、やはり、何のための准組合員拡大運動なのかということを、今どきに合わせて、もっと納得のいくものにしなきゃいけないし、今の議論は今の組織を前提とするとですよ、ガバナンスには全く参加していないわけですから、そのことだって問題だと思いますし、あるいは、実態を見れば、女性が幾ら正組合員になっても、なかなか女性の理事とか相談員さんというのは、農村部のそういう風習もあってでしょうけれども、いない。だけれども、やはり実際には、農協が主催するお祭りだとかどんなイベントでも、女性の方なくして成り立たないのが今の農協の全体としての活動だと思います。
その意味で、まず端的に、営農部門に対して、金融とか信用とか、そっちから補填をしているんだというようなことについて、准組合員の皆さん方に説明責任は現状として果たされているとお思いですか、大臣。
○林国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたように、総会で報告をして、また、ディスクロ誌に掲載する、こういうことでございますので、まさにそういう形で准組合員には情報が行くような努力をしている、こういうことでございます。
農協の事業利用者という立場としての准組合員ということがございますので、定款自治ということで、総会に出席して意見を述べるということはできるわけでございます。また、農協によっては、役員に准組合員を加えるですとか、農協の主催する集落座談会に准組合員を出席させるとか、アンケート調査を行う、こういうことで准組合員の意向を反映させる、説明する、それぞれ工夫をされておられる、こういうふうに承知をしております。
○重徳委員 今の御説明、今までもずっと数十年にわたってやってきたといえばやってきた、あるいは、やろうと思えばできたことなのでありますけれども、今回、農協法七条二項を改正して、農協は農業所得の増大に最大限の配慮をしなきゃいけないんだとか、農畜産物の販売その他の事業をやるのが農協なんだ、こういう位置づけも、これは大転換でも何でもないとは思いますが、それにしても、それを明記する、そして、本来の農業のための農協という形に近づけていこうということだと思うんです。
大臣、准組合員が実際にどんどんふえている、あるいは事実上准組合員をふやしていこうという農協の拡大運動と、今回の法案の方向性というのは、実態として矛盾をしているんじゃないかなと思うんですが、大臣はどのようにお考えですか。
○林国務大臣 まさに今委員が御質疑の中でも触れていただいたように、いろいろなケースがあって、お祭りに女性部に参加していただくとか、御家族が農家をやっておられるとか、自分が農家をやっておられたような方もいらっしゃるし、それから、よく批判的な意見として聞こえてくるのは、都市部で信用事業を利用するためだけにサラリーマン的な方がなっていらっしゃる、そういういろいろな事象を捉えてこの議論を実は我が党内でやったときもあったものですから、やはり、まず、この利用実態の調査をしっかりして、我々はどこを見て議論しているのかということをそろえなきゃいけない、こういう議論があったわけでございます。その上で、実態調査を今からやっていって結論を出していくということでございます。
一方で、今回の改正で、今御指摘のあった七条二項等で、組合員に最大の奉仕をするということを一項で維持した上で、やはり農業者のメリットを本来の目的に立ち返って大きくするように配慮する、こういうふうにしておるわけでございます。
農産物販売とか生産資材の購買というのは、もともと正組合員が利用するということが前提でございますので、こういうことをしっかりとやっていくということが、准組合員のやっていらっしゃる事業とトレードオフになるということではないのであろう、こういうふうに考えております。
○重徳委員 私は、この組合員の構成というものがやはり今の農協のあり方に対するさまざまな指摘に本質的にはつながっていると思うんです。結局、今回はそこにタッチせずに、五年間で実態調査をやるということだけ規定をして、そういった本質的なところはよくわからないし、タッチしないというのが今回の法案だと思います。
あるいはまた、例えば、今回の法案の十条の二で、「組合は、前条の事業を行うに当たつては、組合員に対しその利用を強制してはならない。」なんという規定があって、こんなのは当たり前なんです。役所の方に部会でお聞きしても、独禁法でもこれは禁じられていることなんだけれども、一応書いただけだぐらいの説明なんですよね。
だから、何か、はっきり言って、いじるべきところは全然触れていない内容だと私は思っています。
その意味で、今回、この農協法の改正というのは、最初申し上げましたように、そんな大改革だと胸を張るような内容じゃなくて、今までこれだけ問題だというふうに言われていたにもかかわらず把握をしてこなかった、そして、その対処方針も打ち出すこともできなかった組織の構成に関する問題についてタッチしていない、こういう法案ですから、我々も、それはやらないよりはましな内容かもしれませんが、やはりもっと本質的なところを捉えていかなきゃいけない。都市部と地方の違いもある。地方といっても、愛知県の三河地方とさらに本当の中山間地域とでは違うとか、そういった観点も、地方分権ということもあわせて考えていかなくちゃいけないと思います。
言いたいことは本当にたくさんあるんですけれども、総理がこれ以上、岩盤を打ち砕くんだとか、何十年ぶりだとかいうことさえ言わなきゃ、なるほど、必要な見直しかもねというのが我々の評価でございます。
ということを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。