H27.3.30 予算委員会
「日本の増子化を!政府は真剣に取り組むべき!!」
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○重徳委員 維新の党の重徳和彦です。
本日は、日本の最大の課題の一つと言われております少子化対策、私は勝手に、子供がふえると書いて増子化社会を目指そうと申し上げております。増子化社会は、若いカップルが子供を産みたい、育てたいと思えるような温かい地域社会づくりということであります。
昨年の十二月二十七日には、閣議決定でまち・ひと・しごと創生長期ビジョンが策定をされました。また、去る三月二十日には、少子化社会対策大綱も閣議決定をされました。
そこで、通告の順序をちょっと変えて、最初に石破大臣にお伺いしたいんですが、この長期ビジョンではこう書かれております。社会保障・人口問題研究所の将来推計人口では、二〇六〇年の総人口は八千六百七十四万人にまで落ち込むと推計されている。これに対して、仮に、二〇三〇から四〇年ごろに出生率が人口置換水準まで回復するならば、二〇六〇年に総人口一億人程度を確保されるというような趣旨のことが書かれております。
当時、昨年末、新聞にも五十年後に一億人なんという見出しがたくさん並んだわけなんですが、そのために必要な出生率というものをここで改めて御説明いただけますでしょうか。
○石破国務大臣 具体的には、委員が今御指摘になりました長期ビジョンにおきまして、若い世代の方々のいろいろな御希望というものが実現した場合に改善が見込まれる出生率の水準として、一・八程度の水準をお示しいたしました。
各種の対策が出生率の向上に結びつき、成果が上がるまでに一定の時間はかかります。それを考慮いたしまして、二〇二〇年に一・六程度、二〇三〇年に一・八程度、二〇四〇年に御指摘の人口置換水準二・〇七、これが達成されるケースを想定しておるところでございます。
○重徳委員 よく言われます二・〇七という数字が人口維持に必要な出生率だと言われますけれども、それは二〇四〇年に達成するということを想定されているということですが、今、石破大臣の答弁の中では、私が特に問題というか重要視したいのは、二〇二〇年、五年後に一・六を想定しつつこのビジョンができているということであります。
資料二の方にそのグラフのインパクトが載っているわけなんですけれども、この赤いラインの方に移行するためには、五年後には一・六。二〇四〇年に二・〇七というと、何か遠い、ちょっと先なので、もしかしたら達成できるような気すらしますけれども、二〇二〇年、五年後に一・六。今は一・四ですから、そんなに急に伸びるのかという、これは危機的な状況であり、また急務であるという認識になるわけであります。
その一方で、この少子化対策あるいは増子化政策というものは、財政問題に非常に直結をいたします。
資料一をごらんいただきますと、社会保障の費用に関する将来推計が出ておりますが、人口問題というのは、やはりどうしても五十年スパンで捉えてじっくりやるということになるんですが、財政の推計というと、政府に聞いても、やはりせいぜい五年後、十年後ぐらいの推計までしか出せないというような形なんです。
だけれども、それは、例えばことし、一生懸命子供がふえていく施策に取り組んで、ことし生まれた子供は、しかし十年後にはまだ十歳ですから、そんな納税をする戦力にはまだなっていない。ですから、十年後の財政の指数の中にはその推計の中には、盛り込む要素としてはちょっと考えにくい。だけれども、必ずそれは、二十年後、三十年後からは、その推計の中に影響として出てくるものであります。
したがって、私は、この財政の推計、当然五年後、十年後の方がはっきりした推計がとれるというのは、そこはわかりますが、やはり人口問題と財政推計というものをかなり連動させて考えていかないと、将来の子供の数がふえるための施策を、今それなりの財政規模で施策を打っていく必要があるんだ。こういう意味で、現在の財政出動が将来の投資になる、しかし投資がきいてくるのは二十年以上先のことだ。こういう意味で、財政推計も長期的に見ていく必要があると思うんです。
例えば、経済については、経済再生ケースとベースラインケースでこれだけ財政に影響が違うんだという推計をちゃんと十年後まで出しておりますから、であれば、子供の数についても、今取り組めばこれだけふえていくんだということを織り込んだ数字を、財政推計としても二十年、三十年後、だんだんちょっとアバウトな推計にはなっていくかもしれませんが、そういったことも含めて財政を考えていく必要があると思うんですが、麻生大臣、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 世の中にいろいろな推計があるのは御存じのとおりですけれども、この人口推計が一番当たる確率が高いと昔からよく言われておりますので、そういった意味では、こういった傾向値というのは非常に大事なところだと思っております。
政府としても、少子化対策とか、重徳先生の言葉をかりれば増子化対策ということになるんだと思いますが、これは重要な課題だと思って、昨年の六月の骨太方針の中でも、この点は、財源を確保した上で子供への資源配分を大胆に拡充するとされておるところであります。
今般の社会保障と税の一体改革におきましても、消費税の使途を含めまして、従来のいわゆる高齢者三経費と言われます基礎年金、高齢者医療、介護、三つ合わせて高齢者三経費から、少子化対策を含む社会保障四経費ということに拡大をさせていただいておりますし、子ども・子育て支援制度を本年四月から予定どおりに実施させていただくことにしております。
これは、消費税を一〇%に上げる前提でありましたけれども、二%はそのまま据え置いて、八%のままではありますけれども、量的拡充と質の向上を全て実施するために必要な予算ということで〇・五兆円、これは国と地方と合わせてですけれども、行うこととしておりまして、今後、消費税率が一〇%に引き上げられるとき、平成二十九年の四月になりますけれども、少子化対策というものは、これまでの充実分を含めて合計〇・七兆円程度にまで今向ける方向としておりまして、今後ともこれをさらに伸ばすには、財源を確保しつつ、きちっと支援を充実していくという姿勢が極めて重要だと思っております。
○重徳委員 今手を打っておかなければ、財政に本当に深刻な影響が生じてしまうというふうな思いは恐らくお持ちだと思います。
ですが、大胆な拡充をしていくと言いつつ、まだまだ我が国の家族関係社会支出というものは足りないと私は思っております。
資料の三をごらんいただきたいんですが、これはよく見る資料だと思います。日本は、対GDP比で比べますと、欧米、ヨーロッパの特に少子化を克服したと言われるフランス、スウェーデンと比べて、非常に数字として低い支出になっております。
本当に大胆な拡充をしていくということは、消費税増税の折にできるだけその財源を確保する、御努力はもちろんされているという御答弁でありましたが、ここの支出の表の中には、比較の中には、税制による支援というものは含まれていないんですね。
ですから、フランスなんかはよくN分N乗税制と言われます。家族の人数が多いほど所得税率を下げるというような施策ですね。そういったことも各国ではやっているわけです。世界で最も深刻な少子化に悩んでいる日本は、各国と比べてももっと充実させるべきだと思うんですが、この程度では水準が低過ぎるんじゃないか、こう思いますが、少子化担当大臣の有村大臣、お願いします。
○有村国務大臣 家族関係支出の対GDP比について、出生率の回復を実現したフランス、スウェーデン等の諸外国においては、お示しのとおり三%程度以上である一方、我が国では、二〇一一年度、一・三六になっています。
ここには書いておりませんけれども、国民負担率にかなりの違いがあります。フランス、スウェーデン等では六割前後、我が方では四一%という負担率の違いがありまして、単純に比較はできませんけれども、やはり、先生おっしゃるように、長期間にわたり継続的、総合的に家族政策を展開してきたこれらの国々の取り組みを参考にすることは極めて大事であり、委員御指摘のように、必要な財源を確保しつつ、政策を抜本的に充実させる必要があるというふうに思っております。
先ほど財務大臣から御答弁いただきましたとおり、来年度の予算案については、子ども・子育て支援新制度を予定どおり四月から実施するための財源ということを確保するめどがつきました。
財務当局も含めて格段の思慮をいただいたと認識しておりますが、これから一兆円超の予算がかかるというふうにされている中で、引き続き、この少子化対策ということ、今回出させていただきました少子化対策集中取り組み期間ということを対策の大綱にも掲げまして、やはり少子化対策の充実と、それを実現するための予算の確保ということを、政府挙げてやっていけるような体制を組んでいきたいというふうに考えております。
○重徳委員 有村大臣の意気込みも本当にそのとおり実現していければとは思うんですが、今の御答弁にありました、国民負担率がそもそも違うんだというお話でありますけれども、国民負担率そのものも、日本は中福祉なのであればそれなりの負担もちゃんとすべきであろうとか、そういう議論はずっと続いているわけですね。よく言われるのは、中福祉だけれども低負担である、だから赤字国債が本当に巨額、累積しているということなんです。
そういう中ではありますが、まず一つ、子供の数をふやしていくということについて、より国の意思を明確にしていくべきではないかと私は思うんです。さまざまな施策が少子化社会対策大綱の中で盛り込まれているわけなんですが、その中で、児童手当という部分について余り触れられていないと思います。
民主党政権時代は子ども手当への取り組みもあったわけなんですが、今、この少子化大綱の中にも、三人目、四人目の子供が本当は欲しいんだという若い夫婦が四五%に上るという数字があります。だけれども、全然その望みがかなえられていないということなんですね。
児童手当、現行制度は、第三子は少しだけ優遇されています。三歳から小学校修了までだけですね。第一子、第二子は一人一万円なんですが、第三子以降は一万五千円。だけれども、その程度ですよ。だから、三人目、四人目を産み育てるには本当に多くの、お金だけじゃなく時間も労力もかかるわけなんですが、そこに対して、国の意思としてもっともっと、第一子、第二子はもちろん大事なんだけれども、第三子、三人目が生まれなきゃ人口はふえないわけですから、そういうことを国を挙げて支援するんだ、こういう姿勢を明確にするべきだと思っております。
私の手元での試算においても、仮に今の児童手当を三人目以降の子供たち分だけ倍増させるということをしたとしても、それは国費ベースで二千数百億円です。これは、我々維新の党が、震災復興のために一時期国家公務員の給与を七・八%抑制するという政策、去年の四月にはもとに戻しちゃいましたけれども、これを続けていれば二千九百億円生み出せるわけですから、そういうオーダーの金額で十分に三人目以降への、第三子以降への力強い国としての支援ということもはっきりと打ち出すことができると思います。
こういったわかりやすい施策、手厚い施策をやっていくべきだと思います。これこそ大胆な施策だと思うんですが、安倍総理、御見解はいかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 我が国においては、約半数の夫婦が理想の子供を三人以上としているのに対して、子育て、教育などの面での経済負担が大きいことが第三子を持てない最大の理由、こうしているわけでございますので、全ての子育て家庭を支援していく中で、三人以上子供を持ちたいとの希望を実現できる環境を整備していくことが、これはまさに、少子化に歯どめをかけ、さらには委員がおっしゃったような増子化に向かって進んでいくことにつながっていくだろうと思います。
このため、今後五年間に取り組むべき施策の方向性として、三月二十日に閣議決定した少子化社会対策大綱において、多子世帯への一層の配慮を重点課題の一つに挙げているところでございます。
何をやっているかということについては、今一部御紹介いただきましたが、児童手当は第一子、第二子より第三子以降を増額、そして幼稚園や保育所の保育料について、第二子は半額、第三子は無料とするなど、第二子、第三子の支援を手厚くする取り組みをとっているわけでございまして、幼児教育の無償化に向けて歩みを進めたい、進めていきたいと思っています。
今後とも、子育て、保育、教育、住居などさまざまな面での負担軽減を進めていきたい、こう思っておりますが、まさに少子化は我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねないとの危機意識のもとに、安倍内閣では、子供への資源配分を大胆に拡充することとしています。
今般の社会保障と税の一体改革では、消費税率を一〇%に引き上げるとともに、高齢者三経費に加え、子ども・子育て支援にも消費税収を充てることとしました。来年度予算では、消費税率一〇%への引き上げは延期はしましたが、子ども・子育て支援新制度を予定どおり四月から実施することとしておりまして、待機児童の解消等に向けた量の拡充や、保育士の処遇改善等の質の向上のための財源を確実に確保することとしております。
さらに、出生率の回復を実現した諸外国の経験も参考にしながら、財源を確保した上においてでありますが、子供への資源配分を大胆に拡充することが必要である、このように考えております。
今後とも、より効果的かつ集中的な少子化対策に取り組んでいく考えでございます。
○重徳委員 今、安倍総理、最後に、財源の確保が前提であるが、これから思い切った施策をということをおっしゃいましたが、この財源確保というのが結局一番問題であります。消費税はこれから段階的に引き上げていくということではありますけれども、しかし、先ほどのフランス、スウェーデンの例は、国民負担率が違うから、ちょっと我が国と単純に比較するわけにはいかないんだということで、どうもエクスキューズになってしまうんですね。
財源確保のためには、我々維新の党が主張しておりますが、やはり政治家もそして公務部門ももっともっと身を切る覚悟を示して、そして財源も、さっき申し上げましたように、七・八%、国家公務員の給与によって二千億円、三千億円が生まれるわけですよ。こういう我々の主張は、決して覚悟というだけじゃなくて、財源の確保にもつながる政策なわけでありまして、そのことによって、今、子育て世代にしっかりと投資を行って、その結果、後でいわばリターンというものが返ってくるんだ、こういったことに真剣に取り組むべきだと私は思います。
けさもたまたま、読売新聞に、これは地方の議会の話ですが、十四県六政令市が新幹線、特急を利用した場合の領収書の提出を不要としている、それは政務活動費の話ですね、領収書もなしに認めているというようなことなんですが、これはもう地方の話ですから、地方の自治かもしれません。
しかし、我々は、国を担う国会議員自身の文書通信費の使途もきちんと公開していこうじゃないかということで、我々はみずから法案ももちろん提案していますが、どの党も誰も乗ってこないものですから、やむなく我々自身がまず、これは一人でもできるんです。別にどこの党に所属していても、一人でもできるんです。
我々と同様に、文書通信費を何に使ったか、領収書をつけてインターネット公開する、こういった取り組みを含めて、我々の覚悟と、そして身を切る改革により財源を生み出す、そういったことに取り組むべきだと私は考えておりますが、総理の答弁も大体想像がつきますので、これは主張するにとどめます。
最後に、麻生大臣に質問させていただきます。
赤字国債というのがありますが、赤字国債は今、二十七年度の場合は三十七兆円発行します。建設国債以外は全部、何に使ってもとにかく全部同じ色の赤字国債なんですね。
だけれども、今まで申し上げておりましたように、いわば、出産、子育て、教育というのは将来に向けた投資である。だから、制度にはないけれども、どちらかというと、ことしだけで終わってしまう、支出に終わってしまうような、社会保障でも例えば医療、年金、介護といった分野に比べれば、将来に向けた投資という意味において、平たく言えば借金になじむんじゃないかという感覚は、恐らく感覚的には共有していただけるんじゃないかと思います。もちろん、だからといって、子育て、教育には幾らでも借金していいんだということを申し上げるわけではありませんが。
であれば、同じ国債発行額あるいは国債残高の中でも、言ってしまえば、生活費のように、一般の家庭の生活費、飲み食いに使ってしまうようなお金、ことし限りで使ってしまうお金と、教育、子育てという将来に向けた投資に充てるお金と、ちょっと色分けをして、それを例えば指標化するとか、そういった、同じ赤字国債でも、全部赤字国債なんだというんじゃなくて、将来に向けた国債、それから本当の意味で赤字だからしようがない国債、こういった色分けをすることを考えることはできないでしょうか。
○麻生国務大臣 これは、重徳先生御存じのように、財政法上、建設公債と赤字公債に分類しているという観点に立ってそう言っておられるんだと思いますけれども、どのような国債であれ、国債である以上は、これは返済せないかぬということになるのは当然のことであります。
今、もう一点は、考えておかないかぬのは、PBの黒字化目標というのを申しておりますが、これは赤字公債であろうと建設公債であろうと本質的な違いがあるわけではなくて、どちらも、いわゆる基礎的財政収支と言われるPBにおきましては、これは両方とも赤字の要因であるということはもうはっきりしておると思っております。
したがって、仮に新たな種類の、今言われたようなことを考えたとした場合、それでも借金は借金ですから、将来、返済財源を税金で負担することになるということは変わりはないということになるんだと思いますので、今言われましたように、今後とも借金ではない財源を確保しつつということを子育て支援をやっていくときに考えていくのが重要で、新たに別の形での、建設公債とは言いませんけれども、そういったような形のものをつくっても、やらなければならぬところは全く同じということになるのではないかというように思っております。
○重徳委員 今の話はもう少し丁寧に私も説明しなければ趣旨が十分通じなかったかもしれませんが、何にしても、現役世代がそのまま使ってしまうようなことに赤字国債をどんどん出してしまうということに対する国民的な理解、抑制効果というものを出すためにも、そういった色分けということを少し考えていくことはできないかという提案でございますが、これはまた次の機会にさせていただきたいと思います。
以上で終わります。
○大島委員長 これにて重徳君の質疑は終了いたしました。