H27.3.6予算委員会===================○大島委員長 この際、重徳和彦君から関連質疑の申し出があります。柿沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。重徳和彦君。
○重徳委員 維新の党の重徳和彦です。
きょうは、地方創生について議論をさせていただきます。
まず初めに、総理、安倍総理は、昨年の臨時国会から、地方創生に関しまして、従来の延長線上にない政策をやるんだとか、異次元の政策をやるんだ、こういうことをおっしゃっていました。ことしに入ってから、どうもそういう言葉がちょっと聞こえてこないんですけれども、今でもそのお考えに変わりはないでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 地方の創生は、まさに、人口が減少をしていくという中で待ったなしだ、このように思っております。今までも何次かにわたって、地方の活力を何とか復活したい、あるいは地方に活力を与えたいということで、ふるさと創生もそうですが、そういう試みがあったのでありますが、残念ながら、現在も人口減少、人口流出が続いているわけでございまして、今までのやり方ではなくて、まさに、地域が主役、霞が関発ではなくて地方発の地方創生をしっかりと進めていきたい。
それはつまり、地方の皆さんにしっかりとアイデアを出していただき、私たちは、資金や税制や、あるいは規制を緩和していく、人材や情報を提供していくなどの方法によってしっかりと応援していく、そういう異次元の地方創生を進めていきたい、このように思っております。
○重徳委員 今総理が言われた、アイデアは地方からだけれども、お金その他もろもろは国からだ、こうおっしゃいました。これは全然異次元でも何でもありません。今までどおりでございます。
そういう意味で総理は、先ほどは、やる気というだけではだめだ、本気でやるかどうかが大事だ、こういう議論がありましたけれども、これは本気でやっていただきたいと思うんですよ。
私は長らく地方自治、地域振興に携わってまいりましたけれども、相当、異次元の地方創生という言葉に違和感を感じております。昨年の地方創生特別委員会でも何度も私は提言をいたしておりますけれども、思い切った地方分権、地域の自立ということを手がけなきゃいけない、こういうことを申し上げてまいりました。
そこで、今回の目玉の、既に実は二十六年度補正予算で成立をしました、目玉と言われております交付金、自治体の使い勝手のよい、自由に使える交付金、四千二百億円と言われておりますけれども、これもほとんど従来と変わりのない交付金だと私は思います。どこが異次元なんでしょうか。民主党時代の一括交付金と何が違うんでしょうか。お答えください。
○石破国務大臣 異次元というのは、今回は、総合戦略を国と符合する形で全ての自治体に、北海道から沖縄に至るまで同時につくっていただくという取り組みは、今まで一度もやったことがありません。そして、そこにおいては、国のKPIと完全に符合する必要はありませんが、KPIを設定していただく、PDCAサイクルを回していただく。あるいは、委員は行政に携わっておられましたからよく御存じのとおりで、これは、市役所がやるものですとか、町役場がやるものですとかそんな話じゃなくて、みんなに参画をしていただくというのは全く違う取り組みです。
そこにおいて、交付金の使い方というお話でございますが、これは、四千二百億が二千五百億と千七百億に分かれているのは御案内のとおりでございます。
そこにおいて、先ほどプレミアム商品券についてというお話がありました。どういう商品をつくるかは、地方地方によって違うものです。プレミアム率をどうするかもそうです。商品設計もそうです。みんな同じ、金太郎あめみたいなものをやるわけではありません。二千五百億がそうですね。そこにおいて、いかにして魅力的な商品をつくり、魅力的なものをつくって人々の消費を喚起するかということは、まさしく異次元の取り組みでございます。
そしてまた、千七百億は、地方創生先行型と、そして総合戦略をつくるというものに使うわけでありまして、そこにおいて、では、これはコンサルに丸投げだみたいなところは絶対だめなのであって、どれだけきちんと創意工夫をなすかということでございます。
今までのように、国の補助金で、どれが補助率が高いかな、どれが事業が大きいかな、どれが自己負担が小さいかなということで選べばそれでいい、検証も何もなされないというものではございません。きちんと検証するということが最も必要なことで、これが異次元でなくて何だということを申し上げているのです。
○重徳委員 今まで何も検証がなされてこなかったかのようなお話も、今、石破大臣はされましたけれども、基本的に、これまで、政策目標を立てて、そして達成できているかどうか、こういうことはもう自治体の中ではそれぞれ取り組みが進められてきたんです。しかも、今大臣、北海道から沖縄まで同時にとおっしゃいましたけれども、私後ほど議論しますけれども、それぞれ自治体というのは、それぞれの進捗に応じて、それぞれのタイミングで民間の取り組みを助成したりいろいろなことをやっているんです。
ですから、ことしは地方創生元年だということを安倍総理が高らかにおっしゃるのは、それはもちろん構いませんけれども、しかし、地方の現場からすれば、今さら元年でも何でもないと思いますよ。今まで長らくずっと取り組んできたところ、まだまだ足りないところ、いろいろあるのが地方なんですから、それを全国一律、同時にというような御説明があったり、これまでそういう検証がなされていないとか、そういうのはちょっと、モザイク模様の地方自治の実態をきちんと直視していないと私は思っております。
それから、今強調されておられましたPDCAサイクルですね、プラン・ドゥー・チェック・アクション。いわゆる、計画をして、実行をして、検証をして、そして改善する、そのサイクルのお話がありました。
今回は交付金を出すに当たってこのPDCAサイクルをやってもらうみたいな話ですけれども、これだって、もともとは自治体の主体的な、自主的な運営に当たっての経営手法でありまして、これを、交付金をもらうためにPDCAの成果指標とか目標を立てる、これはもうただ作文の世界で、役場の職員が一生懸命必死になると思いますけれども、それをもって自治体経営が、よりその成果に向けて効率的、効果的に進むようになるというのは、私はちょっと違うんじゃないかな。
さらに言うと、これはちょっと、把握されているかどうかなんですけれども、今回の四千二百億円の交付金の中には二種類あります。一つは、今大臣が言われた地方創生先行型千七百億円、もう一つが、地域消費喚起型で二千五百億円あるんですね。PDCAに必要な評価指標とか目標年月、効果検証、こういったものについて、この二千五百億円の地域消費喚起型については、制度要綱をきのう見ましたけれども、そこには、盛り込む必要がないというような内容になっているんですけれども、この点、どのように説明されますか。
○石破国務大臣 それは、私どもが全て無謬だと言うつもりはございませんで、御批判、御指摘は、それは謙虚に受けとめねばならないと思っております。
ただ、地方六団体とのお話というのは、相当詳細に行ってまいりました。協議の場のみならず、民主党政権のときは、社会保障改革がございましたので、協議の場の開催頻度が多かったことは承知をいたしておりますが、全国の六団体とは本当に綿密にお話をしながらやってきたものでございます。
ですから、この総合戦略にいたしましても、あるいは補正予算にいたしましても、あるいは今御審議をいただいております二十七年度予算におきましても、地方六団体からは、本当に私はあんなことを言われたことは一度もないのですが、高く評価するとか、真に評価するとか、大変にありがたいお言葉をいただいております。ですから、委員の御指摘と随分違うなという印象を持っておりますが、地方六団体においてきちんといろいろな議論をなさった上で、高く評価する、真に評価するというお言葉をいただいたのは、私どもは励みにしていかねばならないと思っております。
その中で、なお、委員御指摘のように、現場と感じが違うとか、そんなことは思っていないとか、PDCAサイクルなんかとっくにみんなやっているとか、あるいは、もう今までやってきたことを全国一斉にやれとは何だとか、そういうお話がございますが、それは、まずやろうということで、多くの自治体と国が目的意識を共有してやっておるわけでございます。この取り組みは、いろいろな御指摘をいただきながら、きちんとよいものに仕上げていきたいというふうに考えておるところでございます。
そして、先ほど二千五百億についてはどうだということは、それぞれの効果の検証というものを全てに求めているわけではございませんが、しかし、私どもとして、それがどのようにして、今までの、例えば地域振興券のようなものと違うのか、創意工夫によってどれだけの消費誘発効果があったか等々は検証したいと思っております。
それぞれの地域地域において、いやしくも税金を使って消費喚起をしようとしているわけですから、それにどのような効果があったかということは、それぞれの自治体において検証する。それをマストだと言っているわけではありません。しかしながら、それをやることは税金の使い道として当然のことだと思っております。
○重徳委員 聞けば聞くほど、PDCA、二千五百億円分の交付金については必ずしも求めているものではないとか、そうなると、何が異次元なのかということなんです。
もちろん、全国知事会と詳細な協議をして前に向かって進んでいくこと、これは否定されるどころか、どんどん進めていくべきことだと思っておりますが、今問いかけているのは、何が異次元なんだということなんですよ。今までずっとやってきたことと何が大幅にそんなに違うんだということなんです。
言葉にこだわるようですが、やはり総理も石破大臣も異次元異次元とおっしゃっていたわけですから、これに対してきちんと、ここが異次元だ、これだけ大きく変わるんだということは自信を持って一貫して説明していただかなければ、私どもは理解をできないところであります。
そして、これまで地方創生、非常に長い取り組みであります。これからも続いていきますけれども、自治体の財政運営とも非常に深い関連がありますので、ちょっときょうは解き明かしていきたいと思います。
これは、平成元年度以降の地方債の発行額であります。いわゆる臨財債、近年の赤字地方債は除いておりますので、政策的な、いわば攻めの地方債の発行額、毎年どれだけ発行してきたかというものであります。
内訳は若干、幾つかありますが、平成七年度の地方債発行額、これはおおむね二十二兆円を超える規模になっております。ここがマックス、ピークでありまして、ここからどんどんどんどん減って、平成二十七年度予定では、六・六兆円、三分の一以下に地方債発行額が減っているわけですね。
平成七年度といえば、私は山形県庁に勤めておりまして、当時は、全ての市町村、四十四市町村全部に温泉宿をつくるんだということで、各市町村の職員の方が熱心にやっておられましたけれども、ところが、これが非常に後々財政負担として重くのしかかってきているんです。
このあたりを含めて、今、そしてこれからも当面続くでありましょう自治体の財政危機の原因についてどのように分析されているか、総理、お願いします。
○安倍内閣総理大臣 地方の財政状況については、まず、バブル経済崩壊後の九〇年代の景気対策による公共事業等の大幅増に伴い、地方債の償還額の増加に加えて、高齢化の進展によって、一貫して社会保障関係費の増加が続き、義務的経費の増大が財政を圧迫してきたところであります。同時に、長引く景気低迷やデフレ等の影響によって、地方税収の低迷が続いてきている。地方自治体の行政改革による歳出削減努力にもかかわらず、地方財政は依然非常に厳しい状況にある、このように認識をしています。
我々は、アベノミクスの成果を全国津々浦々まで行き渡らせることで、まずは、地方税収等の増を図るとともに、歳出構造を見直すことで財務体質を強化するなど、地方再生と地方財政の健全化の両立に向けた努力を続けていく考えでございます。
○重徳委員 今、総理は率直に、九〇年代の景気対策と、そして公共事業とおっしゃいました。
このグラフで見てとれるように、平成七年度をピークとした二十二兆円、一年間で二十二兆円もの地方債を発行した、これは、決して自治体がみずからの意思で発行したものとは言い切れません。
というのも、国がこの地方債発行に対しまして、この借金を返すときには国が交付税でちゃんと補填するから、だから安心して、どんどん景気対策だから公共事業をやってくれと、国が主導して地方に借金をさせてきたわけであります。そして、それがその約束どおり、ちゃんと償還財源を国が措置できてきたならばいいけれども、結局、国も財源不足となりまして、十分に地方はこの借金を返すことができない状態に陥った。これが真相であります。
ここで総理にお聞きしますが、総理は二年前の御就任早々から、このように発言されております。公共事業イコール悪というレッテル張りはやめるべきだ、このように繰り返しおっしゃっておりますが、そもそも公共事業イコール悪というレッテルは、いつ、どのように生まれたんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 この公共事業イコール無駄遣いというレッテル張りがいつから生まれたかという経緯は、必ずしも私は承知をしていないわけでございますが、その後、例えばコンクリートから人へというキャッチフレーズもあったわけでございます。
しかし、基本的に、公共事業というものについては、もちろん時代やニーズの変化を踏まえながら、しかし、真に必要なインフラ整備を着実に進めていく必要は当然あるんだろう、このように思うわけでございますし、まさに財政出動をして公共事業を行っていたときは、国も、またあるいは地方においても、相当、いわば経済の底割れが懸念されたときでありまして、それを防ぐという意味においてはしっかりと効果があった。
でも、同時に、費用対効果等も見定めていく、効率もちゃんと考えていくのは当然のことだろう、このように思います。
○重徳委員 公共事業の中にも必要な事業は、当然あります、大事な事業はたくさんあります。ですが、私がここで指摘しておきたいのは、平成七年度ですから、いわゆる地方分権一括法も施行される前の、中央集権型もいいところの、そういう時代だったわけですね。国が主導して地方にたくさんの事業をやらせた。その結果、箱物ありきで、使われない公共施設とか、車の走らない道路とかといったものがどんどんできた。それから、地方の景気は結局回復せずに、デフレが続いた。さらに、自治体は借金まみれで、その後の行政サービスに支障を来した。
こういうことを含めて、要は、中央集権的な仕事の仕方が、そしてその公共事業の地方へのさせ方が公共事業イコール悪のレッテルにつながったのでありまして、そういう背景を踏まえて、恐らく、私は、前の政権交代のときは、コンクリートから人へという流れができたんだと思うんですよ。
民主党政権が言ったそのものがレッテル張りでおかしいという言い方は、私はおかしいと思います。それ以前から、中央集権的な仕事のさせ方、これは自民党時代にやっていたわけですから、これは大いに反省していただかなければならないことだと思います。
いまだに、現場を知らない中央集権的な、つまり、霞が関で地方のいろいろな、今回だって、実施計画を出させて、それを評価して、そして交付金を出す、こういう仕組みが続いているわけですから、これは、先ほどいみじくも石破大臣が言われた、北海道から沖縄まで一斉にやるんだ、こういう言葉ににじみ出るように、過去のふるさと創生一億円とか、地域振興券とか、リゾート法によるリゾート開発とか、そして今回は地方創生か、こういう流れだと私は思います。
そういう中で、では、本当の異次元の地方創生というのはどういうものかということを申し上げていきたいと思います。
先般、一昨日、この予算委員会の地方公聴会で島根県に行ってまいりました。非常によい話が聞けたと思っております。
まちづくり会社を立ち上げて、ゴーストタウンのようになってしまっていた玉造温泉を立て直した角幸治さんは、美肌温泉のブランド化を進め、商品開発、専門店を設置し、ネットを活用してオンラインショッピングを進め、売り上げが何と数年間で十一倍、雇用も店舗数も著しくふえたという方が意見陳述をされましたが、この方がおっしゃっていました。
初めに予算、建物じゃなくて、やはり、まずはやる人、そして事業内容、そういったものがあって、予算は後だというわけですよ。その中には、まず人が動くわけですから、若者、ばか者、よそ者と言われる人、それから気のきいた熱意のある公務員、そしてタイミングのよい予算が出たというところがポイントだということであります。
それから、これは私の経験なんですが、大島委員長もよく御存じの、青森の大間のマグロの話をちょっと紹介させていただきますと、きょう委員の皆さんにはお手元に資料を配付させていただいておりますが、私が青森県に行っておりました十五年ほど前に、青森県の大間、マグロで有名な大間の町に遊びに行っていたんですけれども、実は、大間のマグロは大間で食べることができなかったんですね、当時。全部築地に行って高く売られる、だから漁師の皆さんは、マグロは地元よりも築地に持っていく、こういう形でありました。
これじゃ寂しいということで、大間でマグロ祭りを始めようということで、大間超マグロ祭りというものが二〇〇一年からスタートいたしました。去年の秋には十四回目が、数えやすいですね、二〇〇一年が一回目ですから二〇一四年は十四回目、こういった祭りに発展をして、今では一万人以上の人たちが本州最北端の町に、半分以上は県外ナンバーの車に乗ってやってくる、こんなお祭りになっているわけですが、ここでも、調べましたところ、町からの補助金というのは二〇〇八年からなんです。それも少しだけです。
ですから、基本的には、やはり民間の、地元の有志の皆さんがどれだけ動いていくか、そして、そこにタイミングよくそこの地元の自治体がお金を出せるかということでありまして、地方創生元年だから、ことしから全国一斉に始めましょう、こういう地方創生というのは私は違うと思います。
ラグビーのワールドカップもこの間決まりましたけれども、全国各地十二カ所、会場が決まりました。私の地元豊田スタジアムにも決まりまして、岡崎、西尾、幸田といった周辺の市町村にも波及効果も認められると思います。
今何が申し上げたいかといいますと、このようなまちづくり、地方創生というのは、あくまで地方自身が地方自身のタイミングで、あるいは規模で、自治体なら行政としての支援をするべきものであって、そのための財源を全部国が握って、そして国がやる以上はやはり一斉になるんですよ。全国一律、一斉に地方創生元年だというふうに始まるわけです。
このような姿から本当に異次元の地方創生改革をやるんだとすれば、これは税源移譲だと思います。国が税源を握っている限り、国がお金を配る。だけれども、地方が、各自治体が税源をもっともっと持っていれば、自前の収入なんですから、これを適切なタイミングで適切な規模で支出することができる。このような税源移譲というものが極めて地方創生において重要だと思うんですが、総理、いかがでしょうか。総理、お願いします。
○安倍内閣総理大臣 地方がみずからの発想で、特色を持った地方、地域づくりが大変重要であるということ、まさにそのとおりだと思いますし、そのもとに我々は地方創生を進めています。その観点からいえば、自由に使える税財源を充実確保することは重要であります。
また、今回の補正予算における地方創生先行型交付金は、地方の責任と判断に基づく創意工夫を全力で応援するという方針に基づいて創設することとしました。
すなわち、国の示す枠にはめるというやり方はとらず、地方がみずから目標を設定し、事業を実施し、成果を検証するという自由度の高い仕組みとして措置をしたものでございまして、先ほどもう石破大臣が累次答弁をしているとおり、我々が一斉に金太郎あめみたいなものをつくるのではなくて、これからみんな、アイデアの競争をしましょうということであります。
すなわち、その中で、ちゃんと意欲を持ってきっちりとやっていこうというところは、恐らく、未来の需要をつかんで伸びていくと思いますよ。しかし、ずっと何にもしていないところに我々はお金を出していくということはもちろんしないわけでありますし、そういうところではこの仕組みをちゃんと正しく使うことはできなくなっていくわけであります。
一斉にというのは、これからやはり地方を輝く地域にしていこうという、みんなが気持ちを一つにしていくという意味で我々は申し上げているわけでありまして、一斉に何かどんと、俺たちの言うことを聞けということとは全く、その対極にあることを我々はやろうとしているということでございますから、誤解なきよう、よろしくお願いをしたいと思います。
○重徳委員 いや、全く誤解しているつもりはないんです。私は、交付金という国から出す仕組みよりも、税源移譲という形で地方の自前のお金を充実させる方がよっぽどいい、こういうことを申し上げているわけであります。
結局、国の交付金というのは、自治体からすれば人の金ですから、もらえるものをもらっておこう、こういう思想になるわけです。だから、もらったものは使っちゃうわけなんです。だけれども、税源がみずからの自前のお金になれば、上がった税収を必ずしもその年に全部使いません。それはためるときはためるし、それから節約をするというインセンティブにもなります。
今は、今の国と地方の関係を例えて言えば、お父さんが国だとすると、息子が何かやりたいと言ったときに、何かやりたいなら幾らでも金を使え、お父さんが補填してやる、借金したって、その財源は借金を返すときにはそれは補填してやる、こういう中でやっていますから、使わにゃ損、損なわけですよ、言ってみれば。だから、それはやはり、自分で息子がお金を稼いで、そうしたら大切に使いますよ。こういうことをやりながらでなければ、適時適切な自治体からそれぞれの地域への助成ということだってやれないと私は思っております。
そういう中で、最後に、税源移譲のもう少し具体的なイメージをお示ししたいと思うんですが、税源といってもいろいろな、地方の税源としてどの税目がふさわしいかという、いろいろな議論があります。
これは今、二つの例をグラフに掲げておりますけれども、これは人口一人当たりの税収額の指数なんですが、全国平均が一〇〇でありまして、上のグラフが地方消費税の場合、下は地方法人二税、法人税です。
上の段の消費税は、全国平均からすると東京は少し突出しておりますが、あとは割と偏りの少ない税源となるので、ですから、この消費税の税源というものをより地方に手厚くすべきではないかという考え方が成り立ちます。
一方で、下の法人税の場合には、これは見てのとおり東京が突出しておりまして、一番少ないのがここでは奈良県、高市大臣の御地元、奈良県ということになっておりますが、その差は六・三倍に上りまして、法人税というのは偏在性が大きい、偏りの大きい税源だというふうな分析をすることができます。
したがいまして、より自前の税収として、税源として充実させるのであれば、消費税をより地方税としての税源にするべきではないか、このように考えますが、高市総務大臣のお考えをお聞かせください。
○高市国務大臣 地方税制につきましては、やはり、税の偏在性が小さくて税収が安定的な地方税体系を構築することが必要であります。法人関係税制、ほかの税と比較しまして、やはり偏在性が小さくて安定的な地方消費税、この充実を図ることは重要でございます。
こうした観点から、平成十九年には、地方税の偏在是正の方法として、地方法人二税と消費税の地方交付税分の税源交換を基本に検討するということを提案して、その結果、暫定措置として地方法人特別税・譲与税制度が創設されたという経緯がございます。これは、全国知事会も、それからまた地方財政審議会も、このような税源交換に向けた取り組みを提案しておられます。
これを踏まえまして、平成二十六年度の税制改正において、地方消費税の増収分の範囲内で、法人住民税法人税割の一部を交付税原資化する措置を講じました。
今後ですけれども、税制抜本改革法ですとか、与党税制改正大綱、それから御提案の税源交換の趣旨も踏まえまして、やはり偏在性のより小さい地方税体系の構築に向けて、消費税率一〇%段階の地方法人課税の偏在是正について検討してまいるつもりでございます。
先ほど来、委員自身も、平成六年から平成二十二年まで、自治省に入省されてから総務省で御活躍でしたから、よくよく内容は御承知の上だと思いますけれども、例えば地方債の元利償還金、これに対して交付税措置をする、モラルハザードを起こすんじゃないかと、今の仕組みについていろいろおっしゃっておりましたけれども、これまでもこれは順次廃止、縮減を行ってまいりました。
今、例えば、元利償還金に対して交付税措置をやっている、建設地方債についてそういう扱いをしているのは、防災・減災対策など国民の生命、安全にかかわるもの、それから全国的に見て財政需要が大きく偏在しているもの、例えば整備新幹線など、こういったものに絞り込んで、あと、国と地方を挙げて取り組むべき喫緊の政策課題に対応するものにも、年限等を付した上で限定して行ってきております。
あわせて、交付税への算入率も全般的に以前の水準よりはかなり引き下げておりますので、モラルハザードを起こさないような体系をしっかりとつくってまいりたいと思っております。
○重徳委員 これで終わりますが、先ほどのお父さんと息子の例でいえば、息子の支出をお父さんが補填するために、お父さん自身が決して余力のあるお父さんじゃないんですね、もう赤字国債にまみれておりますので。そういった意味でも、国全体の財政運営、これは地方の財政規律とも深くリンクをしておりますので、こういった国、地方を合わせた議論をこれからもさせていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。