○大島委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 維新の党の重徳和彦でございます。
きょうは、公述人の皆様方、本当にお忙しい中ありがとうございました。
初めに無藤公述人にお伺いいたします。
日本の最大の課題の一つが少子高齢化でございまして、少子化、少子化という先細りの言葉から、子供の数がふえていくイメージの増子化なんという言葉を私は使って、子供を産みたいな、育てたいなと思えるような、温かい地域社会づくりというものを目指していくべきではないかと常々申し上げているところです。
幼児教育のみならず、日本の少子化の原因として、いろいろなものが挙げられると思います。例えば、核家族化が進んできた、都市部に移り住んできた若い方々にとっては必ずしも子育てをしやすい環境にはないとか、いろいろなことがあると思います。
一方で、海外に目を転じると、フランスが、何といっても、V字回復というんですかね、少子化を増子化の方向に向けた成功事例としてよく取り上げられるんですが、でも、そこにはやはり、家族観の違いとか、社会的背景の違いなどもあると思います。もちろんフランスは幼児教育の無償化ということにはいち早く取り組んでこられた、そういう国だというふうにも認識しております。
そういうフランスという先進事例を日本に当てはめるときに、そのまま当てはまる政策もあるでしょうし、でも、やはりそこは、社会的な背景が違うんだよ、歴史的背景が違うから必ずしもそうじゃないんじゃないかな、うまくいかないんじゃないかな、いろいろなものがあると思うんですけれども、日本に適用できる政策、ちょっと違う政策、そんなようなこと、フランスの事例でもし御指摘いただけるようなことがありましたらお願いしたいと思うんです。
○無藤公述人 フランスだけではなくて、OECD全体としての検討と、日本の場合には、国全体とともに自治体ごとのさまざまな工夫があるわけですね。それらを見たときに、幾つか少子化対応として有効そうなものがあると思います。
その一番大きなものは、やはり幼児教育の無償化だと思います。
これは、どういう調査をしても、ほぼ、なぜ子供を産まないか、あるいは子供をふやさないか、特に第二子、第三子の場合に有効だと思うんですが、トップに挙がるのが、教育にお金がかかるということなんですね。
教育にお金がかかるというときに、義務教育は比較的安いですから、やはり幼児教育、それとともに、当然ながら大学教育だと思いますけれども、とりわけ若い世帯、まだ収入が十分ではない世帯にとっては、幼児教育というものは非常にお金がかかるものだというふうになってしまいます。これが第一であります。
二番目は、やはり、働きたい女性にとって働く機会を提供しつつ、子育ても可能にするということだと思います。
それは、働きたい人が妊娠や出産を諦めるということをなくすとともに、世帯ごとの収入をふやしていくことが、お子さんをさらに産んだり育てたり、教育にお金をかけるということにつながるわけですね。
幼児教育無償化をしても、例えば、多くの人にとって、子供が大学まで進んでほしいと願えば、かなりの授業料がかかるわけです。そうしますと、やはりある程度の収入がないと、なかなか二人目、三人目というふうにはいかないだろうと思いますので、そういうことも含めて、女性が働く、そして育児と両立させるということは大事なことだというふうに考えております。
なお、ちなみに、女性が働くということについては、いわゆる共働き、フルタイムで継続する働き方もあると思いますけれども、同時に、一時期仕事から離れて育児に専念しながら、後に再雇用をしてもらう、また、学び直しを通して新たな資格を身につけるというルート、これも開発していただくとよろしいのかというふうに思います。
女性の生涯、非常に長いわけですので、常に育児だけをしているわけではない。それが十年だとすれば、残りの長い人生の中で、当然ながら、働くことを望む方も多い。それを可能にすることが少子化の克服の道であるというふうに考えております。
以上です。
○重徳委員 ありがとうございます。
次に、佐藤公述人にお伺いしたいんです。
私自身も、地方自治、地方財政に十六年ぐらい携わってきた立場から、いただいた資料の中で、「手厚い(?)財源保障」という言葉が四ページ目あたりにあって、地方自治、自治体側にいると、手厚く手厚くと考えるわけですが、一方で、国からすると、非常に大きな財政負担にもなっている。だけれども、その裏腹として、国がそれだけ膨大な仕事を地方にやらせている、そういうことでありまして、財源保障なく、今の制度を前提とする限り、交付税というのも、簡単にカットするとか、そういうのは難しい話であるというような話で、なかなかこの分野は難しいという状況にあるわけなんです。
そういう中で、資料の九ページ目に、地方財政抜本改革ということで、目指すべき望ましい姿が提言されております。
お金の配分基準というのはいろいろ考えることができるわけなんですけれども、複雑なものだと、それはそれでわかりにくいということで批判もされますし、逆に簡素過ぎますと、人口、面積だけで全て規定するのはおかしいじゃないかと、いろいろなことがあって大変難しい分野だとは思うんですけれども、この九ページ目の新改革試案について少し解説をお願いしたいと思うんです。
○佐藤公述人 では、九ページ目について簡単に御説明したいと思います。
ポイントは、今の地方交付税と国庫補助負担金の間の役割分担をまず整理しませんかということです。
例えば、規模感で申し上げますと、来年度の予算でいえば、地方交付税ですと十五兆五千億円ですし、国庫補助負担金ですと大体十三兆円ぐらいということになりますから、大体二十八から三十兆円規模の財政移転、これをどういうふうに財源保障の部分と財政調整の部分に分けるかということです。
財政調整の話は、かつてあった新型交付税に少しイメージは近いのかもしれませんが、いわゆる基準財政需要のところは包括算定、まず人口と面積でいいかというのは確かに問われるかもしれませんが、そこは簡素化して、むしろ財政力の平準化というところに力点を置きましょう。
まさに、国が地方にやらせている仕事という部分、そこは直轄事業費負担も含めてですけれども、そちらはむしろ財源保障をちゃんときめ細かくするべき分野でありますので、そこは交付金という形で手当てしましょう。
ただ、交付金であって補助金じゃないというところは、まさにその細かいところ、事業の執行の詳細につきましては、自治体の主体性や裁量に委ねましょう。
まさに、PDCAなんて最近言われますように、チェックのところ、アウトカム、アウトプットのところをちゃんとチェックして評価につなげましょう。そういう形で、交付金、今の国庫補助負担金のあり方も含めて体制的に見直したらどうか、そういう御提案ということになりました。
ちょっともう一つ、きめ細かい、どうしてもこういう範疇から漏れる自治体があるのはわかっているんですけれども、それはそれで、激変緩和措置であるとか、まさに過疎対策とか離島措置とか、別途、別の枠組みでやりませんかという。何かそれを全部込み込みで地方交付税という一つの制度の中に入れるから、まさに御指摘のとおり、複雑でよくわからない、本当に効果があるかどうかも含めてよくわからない、そういう制度になってしまうのではないか、そういう問題意識でした。
済みません、戻る前にちょっと一つ。
先ほど、中野委員の質問に対する回答のところで、私、何かちょっと余計なことを言ったようで、不適切な発言だったそうで、失礼いたしました。
○重徳委員 そうですね、交付税をシンプルにしつつ、補正する部分は別の制度でというのも一つの考え方かなというふうに思いますが、その部分がさらに複雑になっていろいろな制度ができていくということもまた想定されて、なかなか簡単なことではないなとは思っているんです。
その一方で、もう一つは税源の話があります。引き続き佐藤公述人にお願いしたいんですが、実際、御提案の中でもそうですし、あと、政府も実際、法人課税とそれから消費課税、これを、税源を交換するというような話がありますね。
確かに、佐藤公述人が御主張のように、法人税というものは、最終的には、消費者に転嫁されればそれは消費税的だし、あるいは賃金を上げないということになればそれは労働者の所得課税的なことにもなるということで、結局は、偏在性があるのが法人課税だし、あるいは景気の波、グローバル化の波に影響を受けるのが法人税だということから、より偏在性の少ない消費税というものが地方にふさわしいのではないか、これはもうかなり一般的な考え方にはなっていると思いますが、さらに踏み込んで、単に税源を交換するだけじゃなくて、税源をもっと地方に手厚くするという方向性が必要ではないか。
そして、そうしない限り、交付税というのは、今のように調整財源のために国が赤字国債を膨大にまた発行してというようなことになりかねないものですから、もともとの地方税源というものをもっと充実させようというふうに考えるわけなんですが、この点についてのお考えをお聞かせください。
○佐藤公述人 税源交換の話なんですけれども、実は今、私たちは多分この段階はもう通り過ぎてしまっていまして、というのは、まず、国も地方も財政状況が非常に逼迫する中で、国の税収を下げて地方の税収をふやしたところで問題の解決にならないわけなんですね。となってくると、やはり、税収そのものを国、地方あわせてふやしていく、そういう努力しかないのかなと。
どちらの比重をより多くふやすか、つまり、それは、同じ増税をするときに、国税の比重をふやすのか、地方税の比重をふやすのか。ここのところは確かに、国と地方の仕事の量といったものを勘案する必要があるのかなと思います。
消費税につきましても、当然、地方消費税というのは、今後とも地方にとってみて有力な安定的な財政基盤になるとは思いますが、ただ、それは国にとっても実は同じことなので、やはりそれは、国と地方、お互い歩み寄る形で、消費税を軸にした形での税体系をつくっていくということが必要だと思います。
ただ、本末転倒なことはしたくないのは、地方の税源をふやすことによって逆に地域間格差がまたさらに広がるということがないようにしないといけませんから、もちろん、拡充するというときには、地域間での偏在性が少ないもの、地方消費税もそうですし、個人住民税とか固定資産税とか、こういったところがやはり対象になってくるのかなというふうに思うわけであります。
○重徳委員 ありがとうございます。
では、最後に、先生の最後のページに、「地方創生の矛盾」ということで「出口戦略は?」と。継続的な支援が補助金依存に結局なっていくんじゃないか、そういう指摘じゃないかなと思うんですけれども、今回の地方創生の交付金に対する評価をお述べいただきたいと思うんです。
○佐藤公述人 今回の交付金ですけれども、交付金という趣旨だけのことはあって、本格的に、地方の裁量とかアイデアとか、こういったものはできるだけ酌み取っていきましょうという、そういうのは一つ地方分権の方向としてはかなっていると思います。
ただ、私も大学の人間で、国から運営交付金をもらっている側からするとやはりわかるのは、交付金をもらいやすくするように、ある種、期限もありますから、国の方針をおもんぱかった形でのアイデアが出されてくると、それは本来の地方のニーズには即していないよねということになりますので、そこは、国と地方、コミュニケーションというか、意思疎通はちゃんとしないと、地方自治体が国の顔色を見た形での提案ということになってしまったら、これもまさに問題含みかと思います。
交付金に限らないんですけれども、こういった支援というものは、スタートアップ、これから新しい取り組みをするんだというところで必要な当面の資金の提供という性格を持つのが大事だと思います。
そこで、先ほど申し上げた経済政策とか社会政策の区別なんですが、社会政策ということであれば継続的な支援が必要だ、弱者救済の観点から、格差是正の観点から必要なんですが、経済政策という観点からいけば、最終的に目指すゴールは自立なわけですから、そこはあくまでも初期投資という位置づけであって、継続的にだらだらと交付金を交付するものではないと思います。そこも、やはり今回の地方創生、その目的、狙いに合わせた形での交付金制度の設計が必要なのかなというふうに思っております。
○重徳委員 どうもありがとうございました。またこれからも、ぜひ皆様方の御意見を参考にさせていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。