次に、重徳和彦君。
○重徳委員 改革結集の会、重徳和彦です。
改革結集の旗印でいいますと、きょうは、三番目の東京一極集中からの脱却、中央集権の打破、これに関連するテーマ、法人住民税の国税化について議論させていただきます。
各自治体が、長年にわたる企業誘致の活動、産業振興の活動、この努力の上に法人住民税というものが各県、市町村の収入として入ってくるわけなんですが、資料二枚目をごらんいただきたいと思うんです。
法人住民税、二十六年度改正と二十八年度改正。二度にわたる改正によりまして、数字、ちっちゃいところを見ていただきますと、都道府県分は五%が一%まで引き下げられ、市町村分は一二・三%が六%、半分に引き下げられ、それがその分、国税である地方法人税となり、その国税は一旦国で預かった上で全国の地方自治体に対して地方交付税としてばらまかれる、こういう話なんです。
これは、事柄の性質上、不交付団体、交付税をもらっていない団体に一番響く問題なので、財政力の強い団体、そして愛知県内の市町村が多い、そういう結果なので、多くの議員の皆さん方にとってはうちは関係ないよというようなことが多いかもしれませんが、少数の意見であるかもしれないですけれども、重要な地方税制の課題であると思いますので、問題提起をさせていただきます。
まず、今回の見直しによります影響額について、高市大臣、お願いします。
○高市国務大臣 今回の地方法人課税の偏在是正、地方消費税の税率の引き上げに対応したものでございまして、地方税収への影響を平年度ベースで試算しますと、地方消費税が約一・四兆円の増、法人住民税が約〇・九兆円の減、地方法人特別税・譲与税制度の廃止及び法人事業税への復元により約一・九兆円の増となり、地方税収全体は増加するものでございます。
大半の市町村におきまして地方消費税交付金の増収が法人住民税法人税割の減収などを上回りまして、地方税収は増加するものと考えております。
○重徳委員 消費税全体を引き上げるわけですから、地方税の税収がふえるのは当然のことでありまして、ただ、今回問題にしたいのは、今大臣がおっしゃいました、法人住民税の国税化によりまして、地方の税収、その部分に関して言えば〇・九兆円減だということでありまして、そこは団体によってはもちろん交付税だとかいろいろな形で補填されるんですが、不交付団体の場合には一方的に召し上げられるのみだということなんです。
不交付団体についてちょっと、この減収分について、自治体によっては億単位で減収になるんですが、これは補填とかそういうことは何か考えておられるんでしょうか。
○高市国務大臣 今回、総務省では、平成二十六年度税制改正大綱の記載を踏まえまして、全国知事会や全国市長会にも御参加いただいた総務大臣と地方六団体会長との会合など、さまざまな機会でもその方向性をお示ししてまいりました。
不交付団体に対する影響というものでございます。
恐らく、議員のお地元の愛知県のことで、特に豊田市、大変大きいということでの問題意識であるかと思いますけれども、一つは、今回、減収額が増収額及び法人事業税交付金の創設による増収額の合算額を超える場合、普通交付税の交付団体及び不交付団体を問わず、地方財政法第五条の特例としまして、資金手当ての地方債を起こすことができるということになっております。そしてまた、一定の経過措置をとらせていただいたということにつきましても委員御承知のとおりであるかと思います。
例えば、個別の団体で当然地方税としての税収が減収となる場合もあり得るんですが、交付団体にあっては、必要な財源が措置されるものですから、財政運営上支障は生じません。不交付団体につきましても、超過財源があるということで、財政運営に特段の支障は生じないと考えております。
市町村の法人住民税法人税割の税率引き下げ分のうち二%分については、法人事業税の一部を従業者の数に応じて市町村に交付する事業税交付金によって補填するということにしておりますので、その際、数年間はその交付基準に法人税割税収のシェアを用いるなど、これが激変緩和措置ということで、何とか御理解を賜りたいと思っております。
○重徳委員 財政運営に特段支障はないというようなことをおっしゃいましたけれども、やはり各団体は先々まで見通して税収を見積もってやりくりしながらやっているわけですから、国として最低限の自治体のサービスを行う上では支障がないという意味なのかもしれませんが、各自治体の創意工夫、独自性を発揮するための歳出というのは各団体においてそれぞれなわけですから、国において支障がないという言い方は、それは少し無責任な言い方ではないかと私は思います。
それから、穴埋めで起債とおっしゃいますが、普通は交付団体であれば交付税で起債の償還についても手当てすると思うんですが、不交付団体の場合はそれが全くないわけですから、要するに借金しろということでありますので、そのあたりも、国が制度を改正しておきながら、その補填は十分ではないと言わざるを得ないと思います。
それから、何でこれを特に取り上げるかといいますと、私も総務省におりましたので雰囲気はわかるんですが、大体、国で国、地方の財源のことを話すときは、国全体、地方全体というふうに見て、地方全体の財源はちゃんと確保できていますということを言われるんです。しかし、各自治体から見ると、あるいは各自治体にお住まいの方から見れば、うちの町が問題なわけであります。
そういう意味で、今回、自治体に住んでいる住民あるいは企業が我が町のために納税をしているんだというつもりで納めた法人住民税が国税化されてしまって、それが交付税になるわけですから、我が町には配られずによその町に配られていくということになるわけです。国税として例えば外交、防衛に使われるのであればまだ自分の町も関係ある話なんですが、よその町に交付税の原資としてまかれちゃうわけです。完全に我が町からよその町へお金が行ってしまうということでありますから、そういう意味での納得感というものはなおさら乏しい。
地方交付税の原資になってしまうということはなおさら、国から見ると同じ地方の財源だろうということになるのかもしれませんが、各自治体にお住まいの方からすれば納得感がより乏しいのではないか、こんなふうにも感じるわけですが、そのあたり、いかがお考えでしょうか。
○高市国務大臣 自治体の皆様に関しましては、全国知事会、全国市長会などにおいて、私からもさまざまな機会を捉えて御説明申し上げてまいりました。さらに、地方財政審議会の地方法人課税のあり方に関する検討会におきましても、市長会を含む地方三団体などからヒアリングを行い、関係者からの意見聴取に努めてまいりました。市町村における安定的で偏在性の少ない地方税体系の構築に資するものであると考えております。
また、企業の方の納得感ということもあるかと存じます。これも、日本経済団体連合会は、地方の法人所得に対する課税部分について国税の法人税に統合して、また交付税などによって適切に配分するという提言をしておられますので、交付税の原資化については前向きであられると思います。
今回の措置によって、全国各地において必要な行政サービスが確実に提供されるための安定財源が確保されるということ、それから地域経済の好循環を拡大していくための取り組みも進むということで、立地自治体、どの自治体に企業が立地しているかにもよりますけれども、また地方での消費もその企業にとってふえていく、そういった形の好循環を期待いたしております。
○重徳委員 今、大臣は幾つか鍵となるコメントを述べられたと思います。
各自治体は、企業誘致だとか産業振興ということについて、この先の税収の確保という面でも先行きを見通しながらそういった施策を進めているわけなんですね。
だけれども、ここ二、三年の間に、市町村分では地方法人税は半分になってしまう、一二%から六%に減る。県としても五%が一%に減るということですから、一生懸命努力して企業誘致、産業振興を実現したころには大幅に、税収が見込んだよりもよっぽど減ってしまう。これは本当に、国がその制度を決めているわけですから、裏切りといいましょうか、はしごを外された、こういうことになりかねないというか、なっているんです、今。
それから、今大臣がおっしゃいました、法人税については国税に統合していくべきだという意見が出ている、あるいは偏在性というものが問題だというようなことがいろいろなところから言われているということなんですが、将来にわたって、偏在性がある、あるいは年度によって変動があるという法人関連税と、偏在性が少ない、つまりあまねく割と平等に近い消費税、この法人税と消費税のあり方について、簡単に言えば、法人税は国税に、そして消費税は地方税にという方向性が一つあるのではないかと思われるんです。
このあたりについて、麻生財務大臣と高市総務大臣、それぞれの御見解をお願いいたします。
○麻生国務大臣 今、全国で、重徳さん、六十でしたっけね、不交付団体は。自治省を離れているから忘れちゃったね。六十ぐらいあると思うんですね。
おたくの愛知県は一番多い。たしか十四、五あったと思いますよ。そういった意味では、この不交付団体の中の一番問題点が多いのは愛知県だと思っているんです。これは、全国一千七百六十団体あります中で、ここだけでかれこれ四十ですから。それはもう圧倒的にお金をもらえるところの方が多いから、この声は、よっぽどしっかり言わぬと。ほかのところではもらう方ばかり、そこは出すばかりというところの、もらう方が圧倒的に多いんですから、それはなかなか、声としては上がりにくいのを代表して言っておられるのはよくわかるんですが。
今、地方法人税、いわゆる住民税と事業税というものと消費税というものの交換というお話でしたけれども、これは社会保障と税の一体化の話と直接関係してきますので、社会保障財源化することにしてこの消費税というのは始まっていますので、引き上げた分について、年金とか医療とか介護とか保険とかいろいろありますけれども、そういった子育て等々含めまして役割分担において国と地方にそれぞれ分配することにしているんですが、今のような御提案で消費税を地方に移譲するということになりますと、他方で、社会保障に関しては大きな責任は地方で全部やっていただくということになる。理屈としてはそういうことになります。
その場合、社会保障については大きな地域間格差が生じるということになりかねませんから、そういった意味では、この点に関しては、御提案として言っておられることはわからぬことはありませんけれども、ちょっとなかなか慎重な検討が必要なのではないか、私はそう思います。
○高市国務大臣 消費税につきましては、地方消費税収一%分を除いて、その全額は社会保障財源化されているところですから、消費税全体をということになりますと、今、麻生大臣が答弁されたとおりでございます。
ただ、国、地方間でこの消費税と地方法人課税を税源交換するという今御指摘のことも一つの方法ではあるかと考えますが、一方で、平成二十四年の八月二十二日に税制抜本改革法が成立しておりまして、ここで、地方消費税の引き上げ分の全額を社会保障財源化するということとともに、その充実とあわせて、地方法人課税のあり方を見直すことによって税源の偏在性を是正する方策を講ずることとされております。今回の改革におきましては、この法の規定を踏まえまして取り組んでおります。
ただ、これは地方税における地方消費税の比率を高める内容にもなっておりますので、方向性は委員の御提案と同じ方向性になってきていると考えております。
○重徳委員 本当に地方の自立性、自主性というものを強化していくということであれば、本来、不交付団体をふやしていかなくちゃいけないと思うんですね。ところが、不交付団体になったら損ばかり、こんなことでは、しかもそれを国が主導しているということでは、国への信頼というものは失われてしまうと思います。
それから、消費税財源は社会保障目的に使うんだということも、あくまで、国税分が今非常に消費税は多いわけですから、それを前提に言われていると思うんですが、税制体系そのものを変えていけば、法人税、所得税といったもので社会保障は賄っていくんだということにおのずとなりますし、消費税財源を使って地方は地方のサービスを行っていくんだ、こういう意味で、根本的なところから議論しなければ、社会保障目的に使うんだから、消費税が地方に行ったら地方が全部社会保障をやらなきゃいけなくなるなんというのは、本末転倒な議論だと思いますよ。
そういう意味で、今回、若干小手先の改正だと思いますけれども、こういった骨太な議論をしっかりとこれからも我々としても提案し、また批判すべきは批判をしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○竹下委員長 これにて重徳君の質疑は終了いたしました。