しげとく和彦の国会論戦の会議録
平成26年2月26日 予算委員会第8分科会
「下請けの中小建設業者への配慮を!」
○秋元主査代理 次に、重徳和彦君。
○重徳分科員 おはようございます。日本維新の会の重徳和彦でございます。
きょうは、国土交通省の皆様方、とりわけ同じ愛知県の三河地方の御出身の太田大臣に、御出身地の状況をお伝えしながら、いろいろと御指導をいただきながら、質問をさせていただきたいと思います。
では、早速質問に入らせていただきます。
昨今、入札不調、不落と言われるこの建設業、公共事業の発注の状況ですが、この原因につきまして、最近、建専連、建設産業専門団体連合会の才賀会長さんが、ある雑誌におきまして、人手不足で受注できないと言われている、これは心外である、こういうコメントを述べられております。技能者の人手が足りないのではなくて、見積もりが適正価格、適正工期になっていない、これが原因だということをおっしゃっております。
特に、近年のゼネコンのダンピング受注が横行した結果、そのしわ寄せが専門工事会社、下請の業者に及んできた、企業として成り立たないところまで追い詰められています、技能者を社会保険に加入させられず、宿舎を用意できない状況です、こうした労働環境では自信を持って若い人たちを募集できません、たとえ高校生が入職を希望しても、その親が入職に反対します、現在の仕事量は一九六四年の東京オリンピックのころと同じくらい、ところが、技能者の賃金水準は、現在の価値に換算して、当時は倍ぐらいあった、当時はゼネコンの技術者よりも技能者の給料の方がよいくらいだったので、プライドもあります、このようなことをおっしゃっております。
このような御指摘に対しまして、国交省としてどのように捉えられているか、御答弁をお願いいたします。
○太田国務大臣 工事がいっぱい出て、公共事業がばらまきで大盤振る舞いだから入札不調が起きてくるとか、あるいは、東北の復興に物すごく仕事が出て、人手が足りなくなって、資材が高騰して、今度は東京オリンピック・パラリンピックというものでさらにそういうことになってくる。予算も、公共事業をまた、いっぱいばらまきのようにとっている。大体、これは冷静な分析ではございません。
才賀さんがここでおっしゃっていることは全くそのとおりで、現在、入札不調の一番の原因は、人や資材の不足ということではなくて、予定価格が市場実態に合っていない。ちょっと前までは、余りにもたたかれ過ぎて、赤字覚悟でとっていたというような状況がありまして、そうした異常な状況から脱して、やるべき仕事というものも、横ばいでありますけれども、適正に出ているというふうに私は思っています。
そのときに、入札不調は、国よりも地方自治体、地方自治体の中でも大きい市よりも小さいところ、手間のかかるような仕事はちょっと敬遠される、そして、土木よりも建築という状況がございます。
そういう意味では、地方公共団体発注の大型建設工事、学校であるとか病院であるとかということが話題になりますが、地方自治体発注の大型建設工事で、今、二回やっても落ちなかった、三回やっても落ちなかった、こういう状況がございます。価格の設定とのずれがあるということが一番大きいというふうに思っています。
その意味では、最新単価の適用や施工実態に応じた工期の設定、そして、市場実態を的確に反映して発注した案件について契約が進んでいるという状況でもありまして、私としては、適正な実態に合う労務単価の引き上げを、昨年の四月に全国で一五%上げ、これは十六年ぶりでありましたが、ことしの二月に七%上げるというようなことをやらせていただいたり、さまざまな手を打って、仕事ができるようにという措置をとらせていただいているところでございます。
全国では、去年四月から十二月までですと、七・二%が一回目の入札等で不調になっているんですが、二回目をやると大体落ちているという状況にございます。愛知県は低くて、三・七%、岡崎は四・〇%という状況で、恐らく二回目にはここは落ちているというのが全国の実態だろうというふうに思います。
○重徳分科員 ありがとうございます。
まず、適正な価格で入札をするという御努力、御尽力には感謝を申し上げます。
一方で、きょう私が指摘をいたしたいのは、今大臣が言われたように、適切な労務単価などで適切に積算をして、算定すべきものを算定して発注をした、そして一回目、場合によっては二回目で無事落札できた、この場合においてもなお問題になっているのは、まず仕事を受ける元請と、そこから先の下請との関係でございます。
まず一般論、全般的な話としてお伺いいたします。
専門工事会社、ここの才賀会長もいわゆる下請の専門工事会社の代表格の方でございますが、いわゆる下請会社は、やはりそこには専門的な人材が必要であるということのために、適切なコスト、応分のお金をもらって仕事をする必要があると思うんですが、どうも元請会社との関係で、力不足といいましょうか発言力が不十分だということで、なかなか物が言えない、その結果、適切なコスト、採算がとれるような仕事をもらえない、こういう状況があるという声が上がっているのです。
元請会社に対して下請会社が物を言える環境づくりが必要なのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○毛利政府参考人 御指摘のとおり、元請業者と下請業者というのは、本来対等な立場で取引することが重要でございまして、下請業者は元請業者に対して対等に物を言いづらい環境に置かれてきたというのが、しかしながらの実態でございました。
特に、近年、建設投資が急激に減少する中で、元請業者のいわゆるダンピング受注が下請業者へのしわ寄せを招いたことは、このような元下関係に一層拍車をかけてきたというふうに考えております。
国交省では、平成十九年に建設業法令遵守ガイドラインというものを作成いたしまして、元下関係の適正な取引のために、書面による契約の締結あるいは社会保険の加入の促進等につきまして業界関係者に周知徹底を図ってまいりました。
現在の状況を申し上げますと、御承知のとおり、現場の建設工事の担い手となる技能労働者を有する下請業者は、需給関係の逼迫を背景にいたしまして、今ようやく元請側との交渉力を発揮できるようになりつつあると考えております。
国としましても、下請業者がみずから担い手を育成して確保していけるように、二度にわたりまして、今年度、設計労務単価の切り上げを行いましたけれども、これが適切に賃金の水準に反映されること、法定福利費相当額を含む適正価格での契約についても、業界団体に繰り返し要請をいたしております。
引き続きまして、下請業者が元請業者と対等な立場に立って、ともに建設産業に期待される役割を果たしていきますように、業界と発注者、国が一体となって取り組んでいきたいと考えております。
○重徳分科員 ありがとうございます。
御尽力いただいている途上であるというような御答弁だったと思います。
下請の交渉力が発揮できるようになりつつあるというような言い回しでございましたが、もう少し現場の話をしてみたいんです。
いわゆる品確法、公共工事の品質確保の促進に関する法律への対応などで、仕事をまず受ける元請会社は、本来もっともっと現場に出ていって現場の管理監督に当たるべき人材の方々が、いろいろと、設計どおりにちゃんと工事が進んでいるかどうか、これはデスクワーク、ペーパーワーク、写真とかそういうもので確認をする、こういう書類作業、書面作業に追われる、そういう傾向が近年起こっていると聞いております。
その結果何が起こるかといいますと、一言で言うと、現場への丸投げ、下請業者への丸投げのような実情がございます。ですから、実際には元請じゃなくて下請会社が現場でのさまざまな監督をする、まあ、下請の親方がやらなきゃいけないという状況なんです。
ここが、先ほどから問題にしているように、労務単価、もともとの役所からの発注においては積算されているようなものがきちんと元請から下請に行き渡っていないがゆえに、その人材、現場で実際にやる親方の人件費を確保するのがなかなか大変だ。
ましてダンピングが続いて、そういう人たちを確保できない状況が続いて、新しい若い人材が入ってこないので、高齢化も進んできて、高齢化が進むということは、そういう方々は近々この業界から引退されるということで、結局人材がいなくなってしまう。こういう状況も招きかねないというようなことが、現場では発生をいたしております。
ですから、下請業者にとっては、受注できないのももちろん大変なことなんですが、受注しても大変だ、こんな状況でございます。
今申し上げましたような現場の実態について、国交省としてどこまで把握をされていらっしゃいますでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
今御指摘の現場での状況、私どもの方も、国としましては、直轄事業等々を通じまして、まずこういったような実態も見させていただいている、そういう実態がございます。
実際には、監理技術者と言われる一番の元請の中心となる方々、この方々自身は実際に現場に常駐しないといけないという形で法律で決まっておりますので、そういう方々は現場の監督詰所といったようなところに常時詰めていただいているというところではございますが、今委員御指摘のような、そのかわりになかなか外に出ていけない、あるいは現場の状況をなかなか見られないということは、確かにそういう事態は発生している可能性もございます。
私どもとしましても、直轄事業の中で、例えば予定価格を積算する際には、その下請会社の運営経費といったようなことも、ちゃんと現場管理費の内数として積算をして、見てあげてくださいというような予定価格をつくっております。
また、加えまして、低入の調査価格といったようなこともしっかりと運用するようにということで、直轄事業を中心にいろいろな、御指摘のようなさまざまな問題が解決できるような工夫を過去から取り組んできております。
そういう意味では、その中での現場の施工体制の確保といったようなことも含めまして、模範となるような現場を直轄工事でつくらせていただいているという実態でございます。
以上でございます。
○重徳分科員 国直轄事業についてはわかりましたけれども、先ほど大臣がおっしゃっていましたように、やはり問題は、大きいものよりも小さいもの、国よりも自治体が、手間のかからないものよりは手間がかかる小さなロットのものというようなことでございまして、実際には、今私が申し上げましたような問題は、恐らく自治体が発注する規模の工事により多く発生しているのではないかと思われます。
その自治体発注の工事の今のような実態につきましては、把握をどのぐらいされていますでしょうか。
○毛利政府参考人 公共団体発注工事につきましても、平成十二年以降の入札契約適正化法を通じまして、その発注状況を確認し、それから取り組み状況も確認をいたし、また指導をいたしているところであります。
現時点におきましては、公共団体におきましては、適正な価格を設定する上で、直轄に準じまして、例えば最低制限価格や低入札価格の運用につきまして、まだ直轄並みに追いついていないというところはありますけれども、徐々に取り組みが広がってきておりまして、特に、最近改定いたしました低入札調査価格基準につきましては、ほとんどの自治体におきまして採用に至ってきているということであります。
私どもとしましては、公共団体発注工事も含めまして、適正な施工体制を確保していくために、今国会に建設業法の改正、入札契約適正化法の改正を検討いたしております。
各発注者が本来は把握すべきものでありますけれども、こういった取り組みを通じまして、公共団体の適正な入札契約の仕組み、取り組み状況を国としてもフォローアップしていきたいというふうに考えております。
○重徳分科員 今おっしゃったのは、適正な入札価格、予定価格など、あるいは最低価格についての御指導をされているということですが、そうではなくて、私が今申し上げましたのは元請と下請との関係ですね。今、私が申し上げました問題につきましては、国においてどの程度把握をされていますでしょうか。
○毛利政府参考人 自治体発注工事におきまして、適正な元下関係を把握することで地域の担い手を維持していこうということは、基本的には各発注者が検討していくべきことではございますけれども、国といたしましても、従来より、建設業法あるいは入札契約適正化法で施工体制台帳といった制度を活用して、発注者において、その体制の確認、そして指導ということを行ってきたところでございます。
実際にどうなっているかということでございますけれども、特に、小規模な工事などでは、自治体発注工事だけではございませんけれども、これまで施工体制台帳というものが作成されておりませんでしたので、十分な把握が進んでおりませんでしたが、今後は、小さな工事につきましても施工体制台帳の作成を各発注者の受注をしている業者さんに義務づけまして、これを発注者が確認するというふうに改善していきたい。
残念ながら、現時点では、自治体発注工事の施工体制全ては把握できませんが、これによって全てが把握できていくというふうに考えております。
○重徳分科員 今おっしゃった施工体制台帳、これを全国各自治体に整備をしていき、確認をし、場合によっては指導をしていくという体制ができ上がっていくという御答弁と受けとめました。このような改善を進めていくということでございます。
実際には、書面だけではわからない部分もあると思いますので、今後、実態として、書面だけではわからないようなさまざまな問題が発生しているという情報がありましたら、随時、個別の状況把握、そして指導にも当たっていただきたいと思います。
次に、今少し話題にも及びましたけれども、最低制限価格、低入札調査の基準価格、これにつきましては、少しずつ、改善というか、ダンピングにならないような対応が進んできているとは聞いております。
具体的には、平成二十一年に改定されました中央公契連、中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデルというものがありまして、最低制限価格については予定価格の七〇%から九〇%の範囲で行うべしというものが示されました。
しかしながら、やはり七〇から九〇と幅があるんですよね。九〇%なら大抵大丈夫だと思いますが、やはり七〇%のラインに近くなってきますと、事実上ダンピングというような状態になってくると思います。国は、このモデルの内訳としての計算式も随時見直しをされておりまして、実際にはかなり九〇%に近い、約八八%という線で御指導をされているということも聞いております。しかし、自治体によりましては、この最低制限価格についても、変動型と言われるような方式をとっておりまして、その入札価格最低ラインの七〇%に近い落札も事実上許容するような仕組みをとっているところもあると思われます。
このような状況に対しまして、もっと今の国の考え方をきちんと自治体にも周知するべきではないかと思うんですが、現在の状況はいかがでしょうか。
○毛利政府参考人 公共団体に対しましては、総務省と共同で、低入札価格調査基準価格や最低制限価格を、国が定めました最新の中央公契連モデルを踏まえて、適切に見直すよう繰り返し要請してきておりますけれども、この二月七日にも重ねて要請をいたしました。
その結果、現在、都道府県におきましては、二県を除きまして、全ての団体で、中央公契連モデル以上の水準の低入札価格調査基準というものが設定をされております。
また、最低制限価格につきましても、三十八団体でこのモデルの活用が進んでおりますので、引き続き、この中央公契連モデルを踏まえた見直しにつきまして、全国の自治体へ周知徹底を図ってまいりますとともに、先ほども申しましたが、ダンピング防止等を内容といたします法案を今国会に提出させていただきまして、この法案の円滑な施行、そして、要請ということを通じまして、適正価格による契約というものを推進していきたいと思います。
○重徳分科員 ダンピング防止につきまして、政府・与党で議論が進んでいるということも伺っております。
先ほど少し申し上げました変動型という仕組みによりまして、最低制限価格を場合によっては相当下げるということも自治体によってはある。今、都道府県のことをおっしゃいましたけれども、市町村までいくと、いろいろなケースがあると思うんです。
このような変動型を採用している自治体の実態の把握、あるいはそういうことへの問題意識といったことについて、どのように認識をされていますでしょうか。いかがでしょうか。
○毛利政府参考人 お答えをいたします。
変動型といった制度で、いわゆる中央公契連モデルとは違う形の制度を採用しているところというのがあることは承知しておりますけれども、残念ながら、市町村の中でどの団体がというところまでは、まだ把握できておりません。
今後、入札契約適正化法の改正もあわせまして、こういった実態の把握を強化していきたい。さらに、ダンピング受注の防止ということをこれから強化してまいりますので、その一環として、こういった調査、そして入札契約適正化法に基づく要請についても検討していきたいというふうに考えております。
○重徳分科員 ありがとうございます。ぜひ、市町村レベルにおきます実態把握に取り組んでいただきたい。今おっしゃっていただきましたので、ぜひお願いしたいと思います。
やはり建設業者は、きちんとした、これはもうけ過ぎてもいけないかもしれませんが、しかし、適正な利益が出なければ、結局内部留保に回して、人材確保、人材育成、設備投資、こういった必要なところにお金が回らないということになると、例えば災害が起こったときに十分な対応ができないとか、いろいろな問題が出てくると思いますので、各市町村レベルの把握、指導にも当たっていただきたいと思います。
次に、先ほどから問題にしております、下請会社が元請の会社に対しまして、もっと発言力といいましょうか交渉力を備えるために、いろいろな努力がなされています。
この才賀会長のインタビュー記事にもありますように、去年の九月に元請団体と下請団体が申し合わせをしまして、標準見積書をこれから広めていこうという流れができてきております。
ところが、才賀会長御自身も問題意識を持っておられるように、今まで公共工事の発注というのはトン単価、平米単価で非常に機械的に積算をしておりまして、労務単価とか社会保険とか、実際に必要な経費につきまして、きめ細かな積み上げをしてこなかった。そういうことで、まだまだふなれなものですから、それ自体がまずできていない。さらに言うと、そういう標準見積書をもって、元請会社に対しまして、下請会社としてはこれだけのコストがかかるんだということをちゃんと言ってこなかった、まだまだ言えていないという状況が続いているということでございます。
また、これは、地域によっては、標準見積書と必ずしも関係ないことかもしれませんけれども、下請協同組合をつくって元請との交渉力をしっかりと確保しよう、こういう事例も見られます。
今申し上げました標準見積書に関する御見解や取り組みの支援の考え方、また協同組合につきましても、その意義や効果だとかについて、どう評価され、進めていくべしという姿勢かどうか。このあたりの国交省の御見解をお願いいたします。
○毛利政府参考人 社会保険の加入原資となります法定福利費の支払いを確実に担保するという観点で、各専門工事業者団体が作成しました標準見積書を活用して、各業者が見積書を元請企業に提出する仕組みが普及、定着しますように、国が主導しまして、昨年九月、元請下請団体が参画しました協議会で一斉活用を申し合わせたわけでございます。
もともと、国といたしましては、法定福利費の支払い原資を確保できるように、二度にわたりまして公共工事設計労務単価を引き上げまして、技能労働者の社会保険料負担分を全額含む額といたしまして、各建設業団体に対し、社会保険の支払いを含みます適正な賃金等の支払いを繰り返し要請いたしております。
また、標準見積書の活用状況につきましては、申し合わせ後のフォローアップということで全国調査を昨年行いまして、その結果を十二月に公表いたしております。
その中で、元請企業におきましては、標準見積書の取り組みに対する理解がまだ十分進んでいない、下請企業におきましても、依然として元請に対して標準見積書を提出していない企業が多いという状況が把握できた一方で、見積書を提出した場合には、多くの契約で元請企業から尊重されるといったような一定の成果も上がっていることが明らかになっております。
このため、国交省としましては、各建設業団体に対しまして、標準見積書の積極的な活用を繰り返し求めておりますが、専門工事業者が標準見積書をさらに説明しやすく、使いやすいものにできるようにするために、各団体が専門家のアドバイスを受けられるような体制といったことも整備をして支援をいたしております。
御指摘のとおり、標準見積書は、漏れなく使われていくことでその存在価値を発揮いたします。引き続きまして、標準見積書の定着を通じた元下関係の適正化に向けまして、さまざまな働きかけと指導や支援を行っていきたいと考えております。
もう一つ、事業協同組合のお尋ねでございますが、これは、中小企業等協同組合法に基づきまして、中小事業者が協同して事業に取り組むことによって、技術、情報、人材など、お互いの不足する経営資源の相互補完を図るための制度と理解しております。
建設業関係におきましては、規模の小さい事業者がスケールメリットを活用しまして、分離発注を実現して工事の共同受注に成功するケースや、人材を育成するための講習会の共同開催によりまして、個々の中小企業の足腰の強化に活用されているというふうに認識をしております。
中小企業は、一般に申しまして、過小性とか技術力の低さ、信用力の低さなどによりまして不利な立場に立たされている場合が多いわけですけれども、建設産業におきましても事業協同組合を活用することは、コストを下げながら生産性の向上につながる、あるいは交渉力の強化につながるための有効な方策の一つとなり得るというふうに評価をいたしているところでございます。
以上でございます。
○重徳分科員 ありがとうございます。
最後に、太田大臣にお伺いしたいのですが、公共事業という分野は、もちろん、大盤振る舞いすればいい、ベクトルをどんどんふやしていくべきだという主張をするつもりはございませんが、やはり政府の財政運営によって非常に大きく左右される業界だと私は思っております。
就業者数は、ピークの平成九年六百八十五万人から、平成二十五年は四百九十九万人と三割近く減っているわけですね。さらには五十五歳以上の方が三四%、全産業の二九%と比べても高い、さらに二十九歳以下は一〇%、全産業一七%に比べて非常に低い、こういう状況でございます。他の産業の高齢化の傾向を十年早いスピードで進んでいるということでございますので、やはり先行きが見通せる財政運営と相まって、先行きの見通せる業界にしていかなければならないと思っております。
このような今後の公共事業の規模に関するお考えと、あと一点、きょうの議論をお聞きいただいて、元請と下請の関係、特に協同組合設立について取り組もうという団体というか業者が出てきた場合に、ぜひ応援をしていただきたいと思うんですが、そのあたりについてコメントをいただければと思います。
○太田国務大臣 建設業界は、私もこの職になりまして、私は土木工学科の出身なものですから、ずっとウオッチしてきた一人ですが、改めて、大変疲弊していると。
雪が降っても、何があっても、昔は重機があって、人もいて、大学病院じゃありませんが、町医者のようにすぐ出動して、ボランティア的にもそういうことができた。しかし、もう重機を離してリースにして、人も高齢化している。ところが、一方では、災害が多いし、首都直下や、そうした南海トラフの地震に対応しなくてはいけないし、老朽化が構造物で進んできている。さまざまに大事な役割を果たすんですが、それを担う建設業界が疲弊しているという状況にございます。
それには、若い人を育てて入っていただけるようにするには、雇う側からいきまして、見通しがきく、予算が急にふえたり、急に減ったりとか、景気のためのそういうことではなくて、大事な仕事をしているんだといって、安定してずっと行われていく、そして、財政制約は当然ありますから、という中に見通しがきいて、それで設備投資ができたり、若い人を入れたり、いや、この仕事は誇りがあるいい仕事だぞということを若い人に言っていただくというようなことが極めて重要でありまして、労務単価の引き上げとか、いろいろなことをやりながら、何とか大事な仕事を担える業界にというふうに思っています。
労務単価を上げても、下請さんのところに行かないというところがありますものですから、そこは、執拗に私の方から言ったり、あるいは一緒に集まっていただいて、私も入ってという場を設定したりしながら、少しずつ改善できているのではないか、さらにしっかり指導していきたいというふうに思っているところです。
○重徳分科員 ありがとうございました。
質問を終わります。