H26.3.26 厚生労働委員会
「効果が不明確な予算は削減!」【雇用保険法の反対討論)
===========○後藤委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。重徳和彦君。
○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦でございます。
私は、日本維新の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣提出の雇用保険法の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。
討論に入る前に、短期集中特別訓練事業の入札に係る厚労省とJEED、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構との不透明なやりとりについて指摘をさせていただきます。
そもそも、JEEDのような独立行政法人が、役人の天下り先、出向先として常態化していること自体が問題であり、常に国民から厳しい目が向けられているという意識も、今の政府には全く欠如しております。
そのため、三月十一日の厚生労働委員会理事懇談会における厚労省からの説明も、不正確かつ全く不十分であり、補正予算決定前の昨年十二月の時点で既に両者の間で打ち合わせが行われていた事実や、公示前日の二月十七日には公示の内容に係る議論が行われ、仕様書案も示されていた事実などが、後になって次々と明るみに出る事態となりました。
そもそも、私たちが予算委員会などで指摘したとおり、不要不急の基金を年度末ぎりぎりの補正予算で莫大に積むようなことをするから、担当者が焦りを感じながら執行する羽目になるのであり、政府は、我々野党の指摘にもっと真摯に耳を傾け、主張を受け入れる癖をつけていただかなければ、緊張感に欠け、国民からの信頼を失墜するような事態が今後も続くのではないでしょうか。
さて、政府提出法律案に反対する第一の理由は、育児休業給付の拡充策の位置づけと効果が不明確であることです。
今回の改正案では、休業開始前の賃金に対する給付割合を六七%へ引き上げ、母親と父親が六カ月ずつ交互に休業を取得することを誘導するような改正内容で、果たして育児休業取得率の向上が図られるのか、甚だ疑問であります。
育児休業の取得率向上には、代替要員の確保、職場の雰囲気など、労使双方の理解が進まない限り、幾ら給付率を引き上げても政策効果は限定的ではないでしょうか。
本来、政府は、国を挙げて、子供をふやすための環境づくりに取り組むべく、少子化対策でなく、子供をふやす増子化政策に全力を挙げるべきであり、雇用保険制度の範囲内での施策の枠を超え、一般会計支出も含めて取り組むべきと考えます。
六兆円に上る雇用保険特別会計の積立金については、保険料率の引き下げや国庫への納付を検討すべきです。
反対の第二の理由は、教育訓練給付の拡充策の効果が不明確であることです。
本制度は、過去から、厚生労働大臣の指定する講座がキャリアアップやキャリアチェンジに直接つながらない趣味的なものであるとか、単なるばらまきとの批判が上がり、これまで、給付率や上限額の引き下げなどが行われてきました。
今回の改正では、教育訓練講座の受講費用の最大六〇%への給付拡充が盛り込まれていますが、給付水準に見合った効果が得られるかどうかは不明確であり、漫然と一人当たり約百五十万円という多額の給付を行うことには問題があると考えます。
離職者向けの教育訓練が必要なのは当然ですが、本来、若年者の就労に向けた教育訓練は、学校教育段階においても取り組まれるべきであり、高校や大学からの新卒者が高い志や目的意識を持って社会に出られるよう、キャリア教育もあわせて充実させるべきです。
反対の第三の理由は、再就職手当の拡充策の効果が不明確であることです。
失業者は、賃金以外の多様な事情を考慮して就職先を決定しているのであり、給付金の拡充で、早期再就職の促進という政策効果があらわれるとは考えにくいと言わざるを得ません。
まして、再就職後の賃金が低下した場合に給付を行うということは、失業者を賃金が低い会社へ誘導することになりかねません。
反対の第四の理由は、平成二十五年度までの暫定措置を三年間も延長することです。
この暫定措置の導入当時、また、前回の延長時に比べても、経済情勢や労働環境も改善する中で、この暫定措置を制度廃止の条件も明示しないまま三年間延長すると、今後三年間、国会での議論を経ることなくこの特例措置が継続されることとなり、賛同できません。
なお、我々日本維新の会と結いの党は、先般、平成二十六年度当初予算について、効果が不明確な予算は削減し、真に必要な施策については拡充する予算修正案を提出いたしました。その修正案においても、本法案の育児休業給付の拡充部分及び暫定措置の延長部分に係る費用を削減していることもあわせて申し述べ、本案に対する私の反対討論といたします。
以上です。(拍手)
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