平成26年4月15日 厚生労働委員会
「難病の方でも暮らしやすい社会を」
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○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦でございます。
難病に関する法案について質問させていただきます。
まず初めに、難病にはいわゆる四つの要件があるということで、一つ目が発病の機構が不明、二つ目が治療方法が確立していない、三つ目が希少な疾病であること、そして四つ目が長期療養の必要性があるということで、この委員会で何度もいろいろなやりとりがなされてきたところでございますが、この三つ目の希少性の要件、〇・一%につきまして少し質問をさせていただきたいと思います。
今申し上げました四つの要件のうち、特に難病が指定されるときの要件でありますが、〇・一%という具体的な数字が出てくるのはこの希少性というところだけだと認識しております。実際にはこれから省令で定めるということですが、一体どのような議論を経て〇・一%と定めることとなったのか、この点について解説をお願いします。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
議員のお話の中にありましたように、難病法案におきましては、希少な疾病であるということを、調査研究とか患者支援等の対象となる難病の要件というふうに決めております。
経緯につきましては、御存じのように、厚生省の中に置かれました審議会、難病対策委員会などで御議論をいただきまして、その中でも、どういうふうに決めていくのがいいのかということはるる御議論いただいた、プロセスはそういうことになります。
では、実際にはどういうふうに決めていくのかということですが、一つは、先ほどから何度かお話をしておりますように、診断基準のようなもの、また別な言葉で言うと客観的な指標によるもの、そういうものが確立しているかどうか。あわせて、そのときに、議員の御質問の中にありました、患者数が人口の〇・一%程度以下ということで御提示をいただいたということであります。
人口の〇・一%程度以下という理由は、なかなか難しゅうございますが、一つは、諸外国の例を参考にしたというところでございます。これもこれまでの議論の中で一、二度御説明したかもしれませんけれども、アメリカの場合ですと、患者数が二十万人未満、これは人口に当てはめますと〇・〇七%未満になるんだそうですけれども、そういった例がある。それから、ヨーロッパの場合は、患者数が人口一万人に五人以下、人口でいいますと〇・〇五%未満というようなことになります。
これも、御質問の中で、それは難病対策じゃないでしょうという御質問をいただいたこともあったんですけれども、それはそのとおりでございまして、難病対策そのものではなくて、オーファンドラッグという言葉でこれまで御説明をしてまいりましたが、希少な難治性疾患に対する医薬品や医療機器等の開発を促進するための対象としての希少疾病の定義でございまして、それぞれが、繰り返しになりますが、アメリカで人口の〇・〇七、欧州で人口の〇・〇五ということです。
そういったことを勘案し、さらには、現行五十六疾患としております医療費助成の対象疾患のこれまでの経緯とか実態、こういうことを総合的に勘案しまして、我が国独自の基準として〇・一%程度ということでございます。パーセント程度の中には、もう少し幅広く柔軟にこれを捉えていこうというものであります。
○重徳委員 ありがとうございます。
もう一つ、この〇・一%程度以下に該当するかしないかということについては、今後、数字の調査を行って判断するということが必要だと思うんですが、どのようにこの調査というものを行うのでしょうか。
○佐藤政府参考人 例えば、ある疾患が指定難病だ、こうしますと、まあ指定難病にしようとしてもいいわけですが、これからなる、あるいはもうなった、どちらでもいいわけですけれども、患者数がどのくらいかということは、いろいろな方法があります。
一般論で申しますと、日本全体でやっております患者調査というのがありますから、そういうものでおおよその概況を知ることができます。
それから、歴史的に、とりわけ指定難病になるようなものというのは、どこかの大学の附属病院であるとかどこかの研究所の先生が、ある意味ライフワーク風に御研究をなさっていて、データを集めていく、その過程で、先ほどの話にもありましたけれども、学会に出席すると、同じような病気、病態を研究していらっしゃる先生がいるということで、学会や学会発表を通じてお仲間が集まっていく、そういう経緯を持っていたと思います。
そういう中で、昭和四十七年に難病対策要綱ができまして、むしろ、もっと国が積極的に研究を進めて、患者さんを集めてくださいというようなことでやっております。
したがいまして、今の五十六については、確かに、これまで御議論ありましたように、患者さんのデータベースへの記入率と申しますか登録率といいますか、悪いというようなお話もありましたけれども、それはそれとして、学者さんベースないしはこれまでの長い長い経験の中で、患者さんの数というのは一定程度把握をされておりました。それがある。
それから、指定難病にこれからなろう、ないしは、指定難病にはならないけれども、いわゆる普通の難病として研究を進めていくという班でも、やはりまずは、診断基準とあわせて、患者さんの数がどれくらいありますかというのが、私どもが学者の先生方や研究所の先生に最初に投げかける質問になります。ですから、先生方も、常に患者さんの数がどのくらいになるかということは念頭に置いて、もっとわかるならば、年齢階級別にどのくらいいますか、性別はどうですか、先ほど御質問の中にもありましたけれども、発症年齢はいつぐらいですか、予後はどうですか、こういったことがある程度そろって初めて難病としての研究や対策が進み、さらには指定難病としての指定にもつながるんだろうと思います。
いずれにしても、そういう形で、患者さんの登録ないしは患者数の予測、推測というものがやはり難病対策の一つの最初のステップであるということは申していいのではないかと思います。
○重徳委員 ありがとうございます。
今回のこの指定難病、法案の第五条一項で定義がされておりまして、まず、難病のうち、当該難病の患者数が本邦において厚生労働省令で定める人数未満であるかどうかということなんですが、ここが本当に客観的な数値になっている、ここだけがすごく際立っているという印象です。
逆に言うと、今局長からの御答弁の中だと、唯一絶対の基準とは言い切れない、〇・一%がそうだとは言い切れない、また、〇・一%未満になるのかどうかという調査の方法も、絶対な、客観的な調査方法であるとは言い切れない、そういう印象を受けたわけですが、その割には少し数字に引っ張られ過ぎているような指定難病の要件だなという感覚でございます。
それで、ちょっと違う観点の質問をさせていただきたいのですが、日本では、国民皆保険とフリーアクセスというものが完備されておりますので、どんな重たい病気の方であっても必要な医療を受けられるという建前になっております。ただし、そこは、やはり財政といいましょうか、個人個人の経済的な負担に耐えられるかどうかということが実際に医療にかかれるかどうかのもう一つ大きな要素でありまして、それをカバーするための制度もさまざま用意されていると考えております。
典型的には、高額療養費制度というのがありますね。自己負担が過重なものにならないように、自己負担限度額を八万百円プラスアルファという感じで、医療費百万円の三割負担というと、通常だと三十万円かかっちゃうんですが、実際には計算すると八万七千四百三十円で済む、こういうシステムがございます。
ここでちょっと質問なんですけれども、今回、指定難病になるかどうかによって大きいのが、やはり医療費の負担をどれだけ軽減してもらえるかというところが極めて大きなところだと思うんですが、今五十六疾病あるのが三百にふえるということで、自分の病気はこの三百の中に入るんだろうな、入ってほしいなと多くの皆さんが思っているわけでございます。
実際入らなかったらどうしようかというようなことなんですが、そういう中で、高額療養費の今申し上げました八万円という水準の特例としまして、高額長期疾病というものが昭和五十九年に創設されまして、これは、主に人工透析と血友病の患者さんに対しては、自己負担限度額は月一万円とされています。
実際に、私の地元でも、親しくしている方の中には透析の患者さんが大勢見えます。この制度で助かっている方が大勢お見えになります。全国で透析患者は三十万人いらっしゃるということで、この特例に該当するかどうかという要件は、私が聞いているのは二つ要件があって、一つは、費用が著しく高額な治療として厚生労働大臣が定める治療を要すること、それからもう一つが、その治療を著しく長期間、ほとんど一生にわたって継続しなければならない、この二点が要件になって、人工透析や血友病が上限一万円という特例になっているということなんです。
これは専門の方に聞かなきゃわからない話なんですが、今申し上げましたこの二つの要件だけだったら、かなりいろいろな病気が実際には該当しそうなものだなと思うんですが、まず、なぜこの上限は一万円という金額になっているのかということと、もう一つは、人工透析と血友病、あとは血液製剤に起因するHIV感染症という方が少しお見えになるということですが、なぜここに限定されているのでしょうか。その制度の内容というか趣旨について御説明をお願いします。
○木倉政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、医療保険制度の中で高額療養費制度が設けられております。所得に応じて自己負担を月々一定の上限までで抑えようということでありまして、この高額療養費制度は、新しい予算では、来年一月から、低所得者にも配慮しながら上限額をさらにきめ細かく設定し直そうということで準備をしておるところでございます。
今の御指摘の部分につきましては、三十年前、昭和五十九年に健康保険法の改正で、被用者保険の方、それまで本人は十割給付でございましたが、これを一割の負担をしていただこうということで、その改正をするときの議論の中で高額療養費の改善ということも指摘がありました。多数回該当といいまして、一月単位ではなくて、直近一年間で例えば四回以上その限度を超えるようなときにはさらに下げようということで、そういう仕組みもそのとき導入されたものでもございます。
そのとき同時に、疾病を挙げまして、今先生が御指摘のように、著しく高額な治療を長期間ほとんど一生の間必要とするような疾病があるではないかというものとして、具体的な疾病名で議論が交わされました。血友病と人工透析の患者さんということでございました。こういう方々については特段の措置が必要ではないかということで、国会の中の審議の結果として、これを高額療養費制度に反映させるべきという御指摘があり、法律成立後、政令でございますが、高額療養費の仕組みに取り込んでおるところでございます。
現在も、一つには人工腎臓、そういう治療法と疾病で押さえておりますので、人工腎臓をしている慢性腎不全患者さん、血漿分画製剤を投与されている血友病患者さん、それから、血友病はその後、その中でHIVウイルスに感染されるというあの製剤の問題がありましたので、抗ウイルス剤を使用されている後天性の免疫不全患者さんが追加をされておりますけれども、これが該当するものとして定められております。
その後も、先生御指摘のように、概念的にはこれに当たるものがあるではないかという御指摘がございました。審議会の場でもそういうことを審議していただいた経緯がございますけれども、一つには、やはりこれは非常に特例的なものである、原理原則としては、所得に応じての負担のレベルということをどういう患者さんであっても一定で定めている医療保険の制度からして、疾病ごとにこれを変えるということは極めて難しいのではないかという保険者さん等の御指摘、それから、医療保険制度の財政がますます厳しさを加えておったという中で、なかなか新しいものに対しての保険者等の合意が得られていないということで、今日までこれ以上の追加は行われていないという状況にあるというのが現状でございます。
○重徳委員 一言で言えば、余り理屈じゃない部分もあった、国会の審議の中で決まったというような経緯もあったんだと思います。
それから、財政的な制約というのは、先ほどの清水鴻一郎議員に対する田村大臣のお話でもありましたけれども、それを言われてしまうともうそれまでという感じもしてしまうんですが、そうはいっても、日本も財政難といいつつ、やはり無駄な歳出というのは私はまだまだ幾らでもあると思います。そういうところに大変厳しく当たるべきだと私は思っておりますし、財源を捻出することを通じてできるだけ多くの、これは本当に御本人の責任でも何でもない方々なわけですから、生まれながら、あるいは人生の途中で難病にかかられた方々は、できる限り助けていくというのが政治の基本姿勢だと思います。
国会の中で、主にその二つの、血友病と透析だけがまずは昭和五十九年から上限一万円という制度がスタートしたということでありますけれども、これと今回の難病の制度との整合性はまた別のロジックだとは思いますけれども、根幹的な部分は共通するところがあると思いますので、できるだけ多くの方々を救う必要が私はあると考えております。
そういう中で、具体的には、この間、民主党の大西健介議員からも指摘のありました一型糖尿病というのがあります。インシュリン注射を毎日四回打たなければ生命に危険が及ぶほどの、非常に重たい難病であると私は思っております。
先ほど清水議員からも線維筋痛症の例が出されまして、重症度とか、あるいは一型糖尿病のような、この医療を、インシュリン注射をとめてしまえば本当に生命にかかわる、こういうものについては、やはり、冒頭から申しております四つの要件の中でも、とりわけ優先順位を上げるとか、少しそういった要素も加味していかなければならないんじゃないかなと思うんですね。
財政的な制約があるというのは一般論としてはわかりますが、財政というのはもっと大きな話ですから、その中の資源配分として、何も厚生労働省のこの部分の予算の中の優先順位だけじゃなくて、全体の、もっと数十兆円という規模の予算の中の財源配分ということまで考えれば、財政的に厳しいからということだけで必ずしもここは塞いでしまうような議論ではないと思うんですけれども、こうした、命にかかわる病気かどうか、重症度といったものについて、田村大臣、重要な判断尺度と捉えるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 命にかかわる病は難病だけではありません。いろいろな病があります。大変おつらい中で日々過ごされておられる、そういう状況は我々も理解しておるわけでありますし、できる限りの支援というものを、それはいろいろな形でありますけれども、制度の中で日本の国はつくってきた、そういう歴史もあります。
今言われた高額療養費制度も、多数該当というような制度があって、多数、年間のうちに高額医療費上限までいく場合には、さらにその上限が低くなるというような制度があるわけであります。そういうのは、今までいろいろと病のために苦難な日々を送られている方々に対して、なるべく負担を少なくしていこう、そういう中において生まれてきた制度であるわけであります。
一方で、それぞれの疾患、疾病、これは今まで歴史的な体系といいますか経緯がありまして、例えば糖尿病一つとりましても、これに関して今もいろいろな事業をやらせていただいております。
例えば、まずは早期に発見して早期治療ということでございますから、受診勧奨をしながら、早くから治療していただいて、重症化、まあ、まずは糖尿病になることを予防していただく。血糖値が高い方々にはそういう予防をしていただく。その上で、糖尿病になった場合に、今度は、腎疾患重症化予防戦略研究というような形で、なるべく重症化しないようなことをいろいろ研究しながら、それを、実践事業というのがございますから、その実践事業の中で、実際問題、人工透析等々の導入をなるべく避けていく、そういうような事業もやってきておるわけであります。
また、がんでありますとか感染症も、それぞれの法律のもとに、いろいろな対策、それは相談事業もそうでありますし、医療提供体制をしっかり確立、こういうこともやってきておるわけであります。
でありますから、それぞれ、いろいろな命にかかわる対策はいろいろな方法でやってきておるわけでありますが、この難病という部分に関しては、その中において、研究開発でありますとか医療提供でありますとか情報提供でありますとか、そういういろいろなツールの中において、一つ、医療費の助成というものが入っておるわけであります。
そういう意味からいたしますと、医療費の助成のない、そういうような疾病、それで命にかかわるような疾病もあるわけでございますので、命にかかわるだけで特別抜き出して何らかの医療助成というものをつくっていくというのは、日本の国の中においては今までない。また、そういうことをした場合の財政的な影響はどうなのかということも我々も検証したことがありませんし、命にかかわる病はありとあらゆるものがあるわけでございますので、そういう意味では、委員のお気持ちはわかるのでありますけれども、そこだけ取り出して何らかのことを行うというのはなかなか難しいのではないか、保険者の理解も必要だということもございますので、なかなか難しいのではないか、こんなふうに感じております。
○重徳委員 そこだけ取り出すというか、やはり個別の病気、症状、病状ごとにしっかりよくよく検証していくという必要はあると思いますので、一概に、命にかかわるものは全部救うよとか、そういうやり方というのはもちろん荒っぽいかもしれませんが。
それを言えば、希少性ということについても、〇・一%、程度という言葉は一応ついていますが、〇・二%だと倍じゃないか、ということは、〇・一%程度じゃないんじゃないか。それは少しぐらい幅はあるかもしれませんが、いわば希少性という点では極めて一律なルール化になっているんじゃないかと思う一方で、重症度だとか、もうちょっと口語的に言うと命にかかわるような病気かどうかということについては、一概に言えないとかそういうようなことで、少し、今の御答弁では、何というんですかね、希少性の方が大事だと。
ちょっと揚げ足をとるようで恐縮なんですけれども、希少性は必要だ、それは財政的な制約もある、それから法の趣旨、難病という定義からしても希少性は必要だ、だけれども、重症度とか、生命にかかわるかどうかというのは何とも言えない、難しい話ですね、そういうふうに聞こえるんですけれども、少なくとも、一型糖尿病のような、医療を安定的に受けられさえすれば、というか、逆に、医療を安定的に受けられなくなったら命を守れなくなるかもしれない、こんな病気の場合に、〇・一%より上だ下だというようなことをもって、アプリオリに、定量的な基準にはまらないからといって指定難病から外すべきではないんじゃないかというのが私の考えなんですが、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 繰り返しになりますけれども、〇・一というものが必ず〇・一ではないというのは委員のおっしゃるとおりでありますが、一方で、何らかの基準を示さないと、よくわかりませんけれども希少性ですといったときに、では何が希少性なんだということに今度はなってくるわけでありまして、それは海外のオーファン開発等々の事例も見ながら、〇・一という数字を一つの基準として置いた。ただ、程度でありますから、それは幅はあるという局長の答弁であったわけであります。
それぞれの疾患で、これは入れてほしい、どうだというのはそれぞれあると思います。しかし、どこかにやはり線を引かざるを得ないというのが、この制度のある意味限界でもあるわけであります。
これは難病だけではないです。これは難病の制度ですけれども、私も特に、今はもう大臣をやっていてなかなかお会いできないんですが、野党の議員をやっているときには、また与党の議員をやっているときもそうでありました、いろいろな方々、いろいろな団体の方々、そのお話をお聞きすると、本当にお気の毒な方々なんです。そういう方々を何とかお助けできればということで私もこういう厚生労働という仕事をやってきているわけなんですけれども、その力の限界ですかね。そういうものを感じながら日々仕事をしております。
○重徳委員 本当に非常に難しい事柄であることは、恐らく、大臣はもとより委員共通の思いだと思います。厚生労働委員会でこの問題に取り組んでいる全ての皆さんの共通する思いだと思います。しかし、難しいからこそ前を向いて取り組んでいかなければならないと思っております。
時間もあと少しですので、今は一型糖尿病の話を申し上げましたが、もう一つ、この患者さんの親御さんの言葉をかりれば、直ちに命を失うわけではない、しかし、本当に重い障害であって、家族からすれば、人生を背負った非常に長い闘いである、こういう種類の障害あるいは難病というものもまたある。
私は、アンジェルマン症候群という病気のお子さんを持つ親御さんからいろいろと話を伺いましたけれども、その中で一点、これは、病気あるいは障害のある子を持つ親に共通することだと思うんですが、例えば、小さいころから診てくれてきたお医者さんも、いつかは患者さんより先に引退をしたり、お亡くなりになったりします。それから、小児科医として診てくれたお医者さんも、患者さんが大人になればもう自分の仕事じゃなくなるというふうに、いつかいなくなってしまうときが来る。さらに言うと、親は先に亡くなる、あるいは老いるということで、なかなか子供たちの面倒を見ることができない。こういうことがたくさんあります。
アンジェルマン症候群に関して言えば、これは一九六五年にイギリスで発見された病気でありますので、まだ、そういう意味では歴史の浅い病気だと言うこともできると思います。
アンジェルマン症候群の場合は、信号の色を御本人が判断できないとか、あるいは、足元に注意を払えないからいろいろなものにつまずきやすくなるとか、場合によっては、なぜか洗面器に顔を突っ込んだままお亡くなりになっている、そういう発作を起こす、そういうこともあるというふうに聞いておりまして、これを、我が子がそのような病気のときに他者に委ねることはなかなか難しいと思います。不安で不安でならないと思います。
まして、自分の子供が大きくなって高齢者という域に達したときに一体どういう状況になるのか、全く情報もない、ほかの例もない。これがやはり難病の大きな、本当に数が少ないがゆえの特徴だと思います。先ほどは命にかかわる病のお話をしましたが、そういうものではないものについても、そうした情報が著しく不足しているのが難病の問題だと思います。
こうした患者さん、あるいは、今のところ難病患者とは言えない範疇かもしれませんが、例えば障害者としての手帳を持っておられる方、そういう方の高齢化に伴う課題をどのように認識されているか、大臣の御答弁をお願いします。
○田村国務大臣 日々、日常生活等々で、親自身が子供の支援をすることができなくなった、こういうような場合のことをいろいろな方々が悩まれておられるんだと思います。
これは、障害もそういうところがあるわけでありまして、親亡き後、子供をどうするんだ、こういうことを日々悩まれながら、それでも障害の方はサービスがだんだん今強化されてきておるところがありますので、それに対して、地域で生活をしていただきながらいろいろなサービスを受けて、言うなれば人生を何とか元気に全ういただく、こういうような制度はでき上がりつつありますが、まだまだ足らないところがあります。
難病に関しても、その状態像でいろいろなサービスがやはり受けられるわけでありまして、もちろん、お年をとられれば介護の施設ということもあるでありましょうし、医療サービスが必要ならば、例えば療養病床等々において過ごされることもあろうと思います。そしてまた、障害に該当されるという方であれば、グループホーム、ケアホームというようなこともありますし、また、入所型の施設の中において日々お過ごしになられて、必要なサービスを受けられるということもあろうと思います。
ただ、この間、中島委員からもお話がありましたが、それぞれのはざまの間でなかなかうまく、制度が違うものでありますから、ここで使えればうまくいくのになというようなお話もございました。こういうものに関しましては、基本的には地方の部分だとは思いますが、どうすればその制度間の中でうまくそういうものが使っていけるかということも含めて、やはり国としても一定の検討はしなきゃならないなというふうに思います。
いずれにいたしましても、それぞれ、難病の方々にいたしましても障害者の方々にいたしましても、高齢者になってもしっかりと生活ができる、地域で暮らせるというような、我々はいろいろな準備をしていかなきゃならぬわけでありますし、使い勝手のいい制度というものを検討していかなきゃならぬ、このように考えております。
○重徳委員 ありがとうございました。終わります。