H26年4月23日 厚生労働委員会
「認知症要介護度認定の適正化と介護職員の処遇改善」
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○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。
足立委員の熱い質疑に続きまして質問させていただきます。ぜひ、柔軟な御答弁をお願いしたいと思います。
まず、私は、特別養護老人ホーム、そして認知症とのかかわりについて質問をさせていただきたいと思います。
認知症の方がどこに現にいらっしゃるのかという質問を、以前、四月二日の委員会でお聞きいたしました。そのときの御答弁は、まず、これは数え方によりますけれども、厚労省の一つのカウントの仕方として、全国で二百八十万人の認知症の方のうち、居宅、つまり在宅の方が百四十万人、およそ半分いらっしゃるということでございました。多くの方が家でお過ごしだということなんです。
先ほど民主党の柚木委員からも、一昨年の統計として、行方不明の認知症の方が一万人に上る、そして、そのうち、行方不明のまま、あるいは亡くなられた方が五百五十人というような報道がなされていることを取り上げていらっしゃいました。
同様というか深刻な問題といたしまして、これは昨年八月に名古屋地裁の判決が出ました、JR東海の線路の中に認知症の方が入られて、その方がはねられてお亡くなりになりました。その上、その地裁判決におきましては、家族が見守りを怠ったということで、遺族に対しまして七百二十万円の賠償を命じた。この介護をされていた奥さんの過失は、まどろんで目をつぶり、夫から目を離していたというようなことで、本当に一瞬目を離したすきに線路の中に入ってしまった。その責任を遺族の方が多額の賠償金という形でとらなきゃいけない。本当にこれは深刻な問題です。
ほかにも、これまで、新聞報道によりますと、過去八年間で、同様に列車にはねられて亡くなった方が百十五人に上るというような数字もあり、実際には隠れた数字もまだまだあるんじゃないか、こういうことがございます。
そこで、まず、認知症の方が在宅に半分ぐらいいらっしゃるということですが、さらに、家族の方が見守ることができる状態ならまだしも、独居の老人という状態である、その状況、独居率というのがどのぐらいなのかということをちょっと事務方にお聞きしたところ、把握していないというような話をきのう伺ったんですが、これは何とか把握していただけませんでしょうか。非常に深刻な問題だと思いますので、いかがでしょうか。
○原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。
認知症の方で独居の方の割合ということで、議員の方からお話ございましたように、厚生労働省として全国の数字を把握はしておりません。
ただ、お尋ねもございましたので、手元にあるデータとして、都内のある自治体が、実際に地域の中で独居の認知症の方がどのくらいいるかということをマップ化して把握したものがございましたので、それをちょっと参考までにお答えを申し上げますと、これは認知症の生活自立度二以上の方、要介護認定を受けている方という前提で、さっきの二百八十万人に対応するものでございますけれども、大体約三割程度がその自治体では該当した、独居の方がいらっしゃったという統計がございます。
ただ、これは確かに、地域によって、いろいろ地域の状況も違いますし、あるいは高齢化の進捗状況も違いますので、全国、全体がどうなっているかということについては、これだけで判断はできないわけでございます。
私どもとしては、今、全国で日常生活圏域ニーズ調査というようなことを、介護保険事業計画を策定する上で、全国でやっていただくようにしております。あるいは、それ以外にも、この東京都の自治体のように、独自にいろいろ調査をしているようなケースもあろうかと思いますので、全国の状況の把握については、場合によっては推計ということも含めて、どういうことをどういうふうに把握できるのか、ちょっと検討させていただきたいと考えております。
○重徳委員 ぜひ前向きに把握に努めていただきたいと思うんです。
これはケース・バイ・ケースかもしれませんけれども、一緒に同居して、見守る義務を怠ったというような判決が出るぐらいですから、そもそも、ひとり暮らしにさせておいたということ自体、家族としての責任を放棄したんじゃないかとか、いろいろなケースがこれから出てくる可能性があると思いますので、まず実態把握というものをきちんと正確に行った上での対策を考える必要があると思います。
その上で、私は、前回から議論をさせていただいておりますけれども、認知症の要介護度認定については低目に出る傾向があるというふうに申し上げてきておりまして、これを適正化する必要があるんじゃないかと申し上げてまいりました。
つまり、本当に在宅介護が可能な方は在宅でもちろんいいわけなんですけれども、そうじゃなくて、やはり施設で、二十四時間きちんとした認知症のケアができるところでお世話になる必要がある方には、きちんと施設の介護を受けることができるように、今の法制度の運用をきちんと行う、これが本筋だと考えております。
実際、認知症の要介護度については、その時々で状態が違ったり、人によっても、同じ認知症といっても随分症状が違います。それから、御家族の説明と本人の自覚というのはまた違っていたりとか、いろいろなことがあるものですから、今まで何度か御答弁いただいてきましたが、これまでの御答弁をおさらいすると、介護認定の一次調査の結果が二次判定において変更されているのが一三・五%あるという御答弁も以前いただきました。
それから、適切な要介護度判定への対策としましては、認定調査員の研修の充実によりまして、全国できちんとした水準の認定ができるように技術を上げていくんだと。あるいは、実際に、全国五十の自治体に昨年度聞き取りを行った結果、認定調査員が特記事項を記載する場合の視点を国として指導助言する必要があるとか、基本調査項目、七十四の項目の選択に迷った際には、その趣旨がわかるように、迷ったよということがわかるように具体的に記載をしていただくとか、そういったことを周知徹底するんだ、こういうことを厚生労働省として行っていくという御答弁でした。しかし、これでどれだけ適正化できるかということは、必ずしも定かではないと思います。
それから、要介護度認定がおかしいんじゃないか、要介護度がもっと高いんじゃないかというようなことについては、不服申し立てとか区分変更申請を行うこともあるわけですが、その申請の内訳も厚労省として正確に把握していないということだったので、それも、認知症に係るものがどのぐらいあるのかということについても、把握をしていただけるようにお願いをしましたところ、市町村の事務負担の問題はあるものの、検討するという御回答もいただいております。
このように、状況をより正確に把握して改善していくというのは当然の努力だと思うんですが、結局、私が思うに、あるいはいろいろな方から聞いたところによりますと、認定調査員の個性といいましょうか、経歴あるいは経験年数によって、やはり多少、認定の仕方が違ってきてしまう。本人の話と家族の話が食い違った場合にどう判断するのか、これは相当ベテランの方でないとわからない部分もあるというふうに思います。
そこで、田村大臣に改めてお伺いしたいんですが、認知症の要介護度認定を適正化、これは絶対しなきゃいけないと思うんですが、現在の一次、二次という判定の制度に加えまして、バックグラウンドの違う、経験年数の違う、そういった認定調査員による、いわばセカンドオピニオンのような、そんな仕組みを導入するというようなことが必要ではないかと私は思うんですが、適正化に向けて、どのような工夫が考えられるかということについてお願いします。
○田村国務大臣 もちろん、認知機能に着目した項目でありますとか、認知症の方々の伴う行動、さらには心理症状みたいなものをしっかり勘案いただきながら認定調査をしていただくわけでありまして、大原則は、先ほど委員がおっしゃっておられるみたいに、しっかりと、質を一律にしていくといいますか、ちゃんとした認定調査機能をそれぞれの調査員の方々が持っていただけるように、研修も含めてこれは進めていくということであろうと思います。
区分変更の申請は比較的簡単にできますので、これは有効期限の間ならば出せますから、不服の申し立てはちょっと手間がかかるという話でございまして、それよりかは、そういうような形で、もう一度、認定調査していただくのがいいんだろうというふうに思います。
ほかにどういうことが考えられるか。そのセカンドオピニオンというもの自体がどう機能するのか、ちょっと私もそこに関しては分析もいたしておりませんし、本当にそれが、どのような人材が、どのような形の中で、どのような状況でやるのがいいのかというのはコメントできないわけでありますが、一つは、主治医等々に関して、やはりサポート医をふやしていく。サポート医ならば、一定の認知症に対する症状というものは御理解を当然いただいておるわけでございますので、専門家からの、主治医からの意見という中において、ふだんこういう状況であるということは伝わるのであろうなというふうに思います。
今、サポート医の養成もいたしておりますので、そういうことを含めて、今言われたような認知症に対する認定のばらつきというものをさらに減らしていく努力はしてまいりたいと考えます。
○重徳委員 非常に重要な、しかも深刻な事態に至る、もう国家的な課題だと思いますので、これは、きちんとした精度を確保するための仕組みという意味での制度、これも、もっともっとブラッシュアップしていかなければならないと思っておりますので、この辺ももう少し詰めていきたいなと思っております。
次に、特養への入所者の問題なんですけれども、今回の法案におきまして、特養への新規入所者は、原則、要介護度三以上の高齢者に限定するという方針がとられております。
今、特養の入所者がどうなのかということについては、現状でも要介護度三以上の方が九割ということであります。もちろん、それを待っている申込者を見ますと、要介護度一、二の方が三割ぐらいお見えになるということですが、実は入っているのは九割が三以上という状況ですから、言ってみれば、今でも重い方がよっぽど優先されていて、今回のルールは後追いのような、追認といいましょうか、そういった面があると思います。
一体、厚労省はこの先何を目指しているのかというのが、ちょっといま一つそういう意味ではわからない部分があるんです。つまり、九割が三以上ですから、残りの一割の要介護度二以下の方を本当にゼロにするんだということかというと、そこは、要介護度二以下であっても、やむを得ない事情により特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には特例的に入所を認めるということで、そういう道も開かれているということなので、結局、今回の方針に基づいて、どういう変更があるのかというのはよくわかりません。
二以下の方をゼロにするのが本当にいいのかどうかということももちろんあるんですが、こういうことをつらつらと考えてみると、この重点化というものを実効あらしめるために、これは少し邪推が入るんですが、要介護度二以下の方の点数を下げるようなことをして、事実上、特養として二以下の方は今以上に受け入れたくないなというようなインセンティブといいましょうか、そんなようなことがないのかどうか。
こういったことを邪推してみたりもするんですが、今後、点数についてどのようなお考えを持っているのか、この辺、御見解をお示しください。
○原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。
今回の特別養護老人ホームの見直しにつきましては、議員お話ございましたように、非常に入所を望む重度の要介護者が多数待っておられるというようなことから、限られた資源の中で、より入所の必要性の高い人が入所しやすくなるように、在宅生活が困難である中重度の要介護高齢者を支える施設として機能を重点化していきたい、こういう趣旨でございます。
確かに、平均では大体全国で一二、三%ぐらいになっていますが、割と地域差もございまして、その辺、常に入所判定は公正中立に行われなきゃいけないと思っていますし、また、そのように努力はされていると思いますけれども、こういうふうに制度上明確化することによって、よりそういった中立公正な判定にもつながっていくということを期待しております。
また、そうはいっても、実際に、やはり要介護一、二の方でも、どうしても特養に入らざるを得ない、在宅ではなかなか生活できないという方も例外的にはいらっしゃいますので、そういう方については認めていきたいというのが今回の改正の趣旨でございます。
それで、御指摘のありました、要介護一、二の方の報酬を下げるというのが何か動機じゃないかというような御懸念がございますけれども、私どもとしては、そういう問題意識は全く持ってございません。
ただ、特別養護老人ホームに係る介護報酬の問題につきましては、これは平成二十七年度介護報酬改定に向けまして、今後、社会保障審議会介護給付費分科会において御議論いただくことになっておりますので、現段階で私どもの方から具体的にどうだこうだというようなことについては差し控えさせていただきたいと思います。
○重徳委員 この辺は介護報酬全体の中でもまた議論させていただきたいと思います。
それから、特養に関するもう一つ問題としまして、特養の入所者が、入所した状態から病気になってしまって、病院に行かざるを得なくなってしまう、入院をします。そうすると、退院するまでの間、特養としてはベッドがあく状態なわけですね。
ですが、あいたからといって、また戻ってくることが前提なものですから、そこをほかの方で埋めちゃうということは施設側としてはできないということでありまして、そうなると、特にこれから重症者の方を重点化するということになると、一たび病院に入ると長くなることがあるとか、そういうことも懸念される中で、あけた間の収入が、施設としては、特養としては全く穴があいてしまうということになります。
それから一方で、その方、本人が入院をしました、でも別にダブルで払っているわけじゃない。つまり、特養と病院と両方にお金を払っているわけではないので、病院から、もうちょっと様子見ましょうかといったら、念のためもうちょっと入院させておきましょうというようなことで、入院期間も長くなる。逆に言うと、退院するインセンティブがないというような状況で、そうなると、医療費も余計にかかるわ、それから、待機している方が別に入れるわけでもないわということで、その地域の医療・介護資源の有効利用という観点からすると、全く誰のためにもなっていない、こういう状況ではなかろうかと思います。
このような観点から、これは一案なんですが、病院からの早期退院をある意味促す、むちゃくちゃをやるわけにはいきませんが、よくなってきたんだからそろそろ戻りましょうということを適切に行う、これを促すためにも、その空きベッドの維持コストを、キープしておくことに対しまして、一部でもいいから御本人の自己負担を導入するとか、何かしらこの状況を解消する仕組みが必要なのではないかと考えるんですが、大臣のお考えをお願いいたします。
○田村国務大臣 特別養護老人ホームに御入所されておる高齢者の方々が、何かお体が、急性期、悪くなられて入院される。三カ月以内であれば、原則、これは出られたときに特養に戻っていただくということになるわけであります。
その間どうするんだという話でありますが、今現状、外泊時費用というのがありまして、二百四十六点といいますか単位であるわけであります。ただし、これは一月六日間、月をまたげば十二日間という話でございますから、すると、二千四百六十円にそれを掛けて、十分な費用として、一室あけている特養の運営者の方々にしてみれば、これは十分に運営するのには足らないではないかという御議論があることは承知をいたしておりますが、今はそういう状況であります。
それで、今の委員の御提案からすれば、契約の中で、そのような場合、つまり、そこの特養の部屋を一室それでもずっと借り切っているわけでありますから、費用を取れるというふうな契約を結んでおれば、それは費用を徴収することができるということになっております。
あわせて、今、御本人の同意を得ることはもちろん前提でありますけれども、あいている間、計画的にショートステイで貸し出していただけるということになっておりますので、ショートステイ等々で、帰ってこられるまでの間御利用いただきながら、運営者にしてみれば、収入を得ていただいて、運営の費用に資していただく、このような形の中で現在対応をいただいております。
○重徳委員 任意の契約を結ぶことができる、それはそうなんでしょうけれども、そこの仕組みがきちんとできていないと、誰にでも同様な対応ができないわけですから、そういった点を、これもまた実情をしっかり把握した上で改善をしていく必要があると私は思っております。
繰り返しになりますが、要介護度三以上というふうに重点化すると、やはりそれだけ、重症というか、一たび病気になれば重い方も多いわけですから、一度にインフルエンザにばっとかかってしまって皆さん出ていかれるとか、本当に施設の運営も不安定化するということもありますので、そういったことについて、またこれは引き続き議論が必要なことではないかと考えております。
それから次に、先般、四月十六日に規制改革会議が、社会福祉法人の社会貢献ということについて提言をされました。
具体的に文面を少し見ましたが、「内部留保の明確化」というような項目の中で、「一部の社会福祉法人の巨額の内部留保が問題となっている。厚生労働省は、内部留保の位置付けを明確化し、福祉サービスへの再投資や社会貢献での活用を促すべきである。」このような記述になっております。
「一部の社会福祉法人」と書いてあるように、内部留保は、批判はもちろんされておりますけれども、団体によって相当な差があると思いますし、実際に、減価償却とか施設更新の資金とか、そういう形で、必要不可欠な、常識的な内部留保もあるとは思います。その意味で、一言で「一部の社会福祉法人の巨額の内部留保が問題となっている。」というのも、どういうふうにラインを引くのかということも一つの課題だとは思います。
そういうことを前提といたしまして、今回言われておりますところの社会貢献というのは一体どういうイメージなのか。
例えば、施設が、全然違う、奉仕作業みたいなことをするというのもないわけじゃないでしょうけれども、例えば、特養であれば、その専門性、その施設の性格からいって、要介護の、ある意味、点数の低い方であっても、それを受け入れてお世話をする、こういうことも一つの社会貢献と言えるのではないかという感もありますけれども、この規制改革会議の見解に対しまして、厚労省としてはどのようにお考えでしょうか。
○岡田政府参考人 御指摘のとおり、四月の十六日に、社会福祉法人に対します社会貢献活動の義務化などを含めまして、規制改革会議の意見書が公表されたというふうに承知しています。
規制改革会議の意見書におきましては、社会貢献活動を具体的に例示されておりまして、生活生計困難者に対する無料、低額の福祉サービスの提供、生活保護世帯の子供への教育支援、高齢者の生活支援や人材育成などというような具体的な例示がされているところでございます。
社会福祉法人につきましては、公益性の高い社会福祉事業を主たる事業とする非営利法人でございます。低所得者でありますとか生活困窮者などに一定の規制のもとで事業を実施していただいておりますし、地域の福祉ニーズに対応することが求められているということでございまして、これらに対応するため、補助金であるとか税制上の優遇などを受けているということでございます。
厚生労働省といたしましては、社会福祉法人が地域のネットワークとしてしっかり役割を果たしていただくということで、規制改革会議で御指摘のありましたような地域貢献活動のほか、地域に不足しておりますサービスであるとか、低所得者であるとか重介護者への重点的な対応など、地域で真に望まれるサービスが実施されるような、必要な制度見直しを行っていく必要があるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
具体的な方策につきましては、現在、厚生労働省に、有識者や関係者にお集まりいただきまして、社会福祉法人の在り方に関する検討会で議論を進めさせていただいているところでございます。規制改革会議の御意見も踏まえつつ、引き続き検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○重徳委員 社会貢献のことについてはわかりましたが、内部留保についての御見解はございますでしょうか。
○岡田政府参考人 内部留保も、そもそもどういうふうに捉えるかという問題もございます。
これにつきましては、会計基準を、従来は社会福祉の各事業ごと、例えば高齢者の事業であるとか障害者の事業ごとに会計基準をばらばらにしておりましたのを、法人全体で見られるような形に、新しい会計基準をつくりまして、二十七年度から新しい会計基準で運用していただくということになっているところでございます。
内部留保をどう捉えるかということですが、実際には、例えば施設開始のための積立金であるとか、そういうものを予定していても、会計上、そういうことを明確にしていなかったというようなこともございますので、そういうような新会計基準が新しく始まること、それから、今、社会福祉法人改革につきまして検討会で検討しているところでございますので、その中で引き続き検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○重徳委員 次に、私は、介護職員の処遇について議論していきたいんですが、これも、何か手をつけようとすると、内部留保があるじゃないか、いや、ないんだとか、そういうところですぐつまずく議論でもありますので、そういう意味では、会計基準の話も極めて重要なところだと思います。引き続き、これも議論させていただきたいと思います。
この介護職員の処遇についてですが、ちょっと何点か確認していきたいんですけれども、まず、以前の、措置と言われていた、措置制度のころは、これは制度的な位置づけが本当にそうだったかどうかわかりませんが、準公務員のような処遇というか位置づけだったというような話も聞きます。その一方で、今、介護保険制度になりまして、下がった下がったと言われておりまして、比較してどうなのかということをお聞きしてみたいんです。
いずれにしても、今の介護職員の報酬が非常に低いということは、かなり世の中の常識的なことになっておりまして、そのような意味で、過去、措置制度のころの処遇と比べて今はどうなんでしょうか、違いはいかがでしょうか。
○原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。
介護保険制度創設前後で介護職員の賃金がどう変わったかということについてちょっと調べてみましたけれども、統計調査がなくて、正確には把握できません。したがって、賃金水準をその前後で比較することはなかなか難しいわけでございます。
ただ、これは児童福祉事業や障害者福祉事業なども含んだ数字でございますので、ちょっと単純に、正確な比較ということになりませんが、賃金構造基本統計調査というのがございまして、その中に、社会保険、社会福祉業という区分がございます。この中で、一般労働者、いわゆる常勤の労働者の決まって支給する現金給与額月額の比較は可能でございます。これを見たところ、介護保険制度前の平成十一年が二十六万一千三百円であるのに対し、創設後の平成十二年が二十五万八千七百円となっております。
もちろん、この後は当然、三年ごとに介護報酬改定をやっておりまして、介護報酬改定の際には、その時点における全国における賃金とか雇用の状況、あるいは各施設の経営状況、こういったものも踏まえながら介護報酬の改定を行っていく、介護報酬の中で具体的にどういう賃金額にするかは、これは労使間で決めていただく、こういうことであろうと思っております。
○重徳委員 きのう打ち合わせをさせていただいたときにも、賃金の統計が介護職員に特化したものがなかなかないということで、ただ、これから百万人ふやそうと言っているときに、やはり、どういう処遇で、どういう立ち位置に労働市場の中であるのかというのは、これは正確に把握をしていかなければ、国策として進める以上は、これはぜひとも正確な把握をお願いしたいと思います。
いずれにしても、今の数字だけ見ると、ちょびっと下がった感はあるけれども、そんなに変わっていないぐらいの御答弁なのかもしれませんが、少し現場の感覚とこれは食い違っているような気がいたしますということを指摘しておきたいと思います。
それから、次に地域加算についてお聞きしようと思いましたが、これはあらかじめ資料もいただいておりますので。
地域ごとの国家公務員の地域手当に準ずる形での加算が行われて、経過措置を経て改正がなされようとしているということはお聞きしておりますが、これも私の地元の愛知県の場合は、田舎のところも意外と企業がしっかりしていて全体の民間水準が高いものですから、それと比べて介護職員の給料は低くて人材が集まらない、こういう問題もありますので、こういったことにも今後御配慮いただけるように、要望いたしたいと思います。
次に、介護職員、今度は勤務年数に応じて、これはいろいろな方がおっしゃいます、男性の寿退職なんという言葉が介護の現場ではあるということでありまして、結婚したら配偶者を養うことができないから転職するんだというような悲痛な声が上がっているわけでございます。
でも、やはり経営側から見ても、質の高い介護サービスを提供するためには、そう簡単にころころやめてしまうというような、かわってしまうというようなことでは困ってしまいますので、本当は給料を毎年少しずつ上げていってでも定着をしてもらいたい、こういう思いで一生懸命運営、経営をされている方々が大勢いらっしゃるんです。
問題は、長く働いてもらいたいんだけれども、そうすると、給料、賃金が上がっていきます、その方の賃金を見れば。ところが、そういった、少しずつ賃金が上がっていくということに見合った介護報酬体系となっていないので、定着すればするほど経営が苦しくなる。
こんなような状況で、それ以前に、水準が低いという問題はもちろんあるんですが、上がっていくことに見合った介護報酬の仕組みというものがどのようになっているのか、それ以前にそういった問題があるということに対する問題意識について確認してみたいと思います。
○原(勝)政府参考人 介護職の方の人材確保にとって処遇改善は大事でございますが、ただ賃金を上げるということではなくて、やはりキャリアパスの確立と連動した処遇改善が大事だろう。
そういう意味で、平成二十四年に実施しました介護報酬における処遇改善加算、これは、まさにこれを要件にして加算をつけるということでございますので、そういったことについては一つ有効な対応だと思っています。
また、平成二十一年の介護報酬改定におきましては、当時の介護従事者の離職率が高く人材確保が困難であるというような状況を踏まえまして、サービス提供体制強化加算というものを創設しております。これは、具体的には、職員の早期離職を防止して定着を促進する観点から、三年以上の勤続年数を有する者が三割以上配置されていることなどについて、加算として評価をしているというものでございます。
このサービス提供体制強化加算の要件も含めまして、平成二十七年度の介護報酬改定に向けた検討については、今後、関係の審議会におきまして御議論をしていただく予定でございます。今後、審議会において委員や関係者からの御意見を伺いながら、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。
○重徳委員 今のサービス提供体制強化加算というのは、いわば二段階ですよね。三年以上の勤続年数のある者が三〇%以上配置されていれば上のランク、そうでなれば下のランクという、それだけのことなものですから、段階的に上がっていくという話とはまた違うと思うんですが、この辺もきめの細かい仕組みも検討していくべきではなかろうかと考えております。
そして、次に確認してみたいんですが、介護職員は若い方がどんどん転職をしていくということなんですけれども、そうなると、初任給は一体幾らなのかというところがよく話題になるわけなんです。
愛知県の関係者から聞くと、高卒で十四万円ぐらいかなとか、いろいろな相場観が話し合われるわけなんですが、厚労省として適切な初任給の水準をどのようにお考えかということについてお伺いします。
○原(勝)政府参考人 介護職員の適切な初任給の水準についてのお尋ねでございます。
これにつきましては、初任給も含めまして具体的な賃金の水準、これは労使間の関係を通じて決定されるものでございますので、私どもとして、具体的にこういうのが適切な水準だということについてお答えすることについては、差し控えさせていただきたいと思います。
なお、現実に初任給はどうなっているかということにつきましては、これもちょっと統計が、介護職に限定した統計はなくて大変申しわけございませんけれども、これは医療も含んだ数字でございますので、医療、福祉ということでございますのでちょっとくくりが大きくなりますけれども、賃金構造基本統計調査がございまして、ここに医療、福祉という区分がございます。
これは平成二十五年調査の、大卒、男女計の数値でございますけれども、産業系が約十九万八千円であるのに対して、医療、福祉が約十九万三千円といった数字になっております。
○重徳委員 本当に賃金センサスをしっかりととっていただきたい。ちょっと部局が違うかもしれませんけれども、同じ厚労省の中、あるいは総務省でしょうか、賃金の水準は極めて重要なところですので、特に国が差配するような世界ですので、ここはしっかりとした統計をとっていただきたいと思います。そうでないと、きちんとした議論ができませんので、よろしくお願いをいたします。
今るる確認をさせていただきましたけれども、不明確な部分もありますけれども、なかなか現場の賃金について応え切れていないという状況にもかかわらず、これから介護人材は二〇二五年に向けてあと百万人ふやさなきゃいけないということとか、さらには、現場からは、人手が足りないから外国人労働者を導入するすべをもっと拡充してほしいとか、いろいろな声が聞こえてまいります。そういう中で、野党の、きょうは誰もいませんけれども、野党の介護報酬引き上げの法案まで出されているわけですね。
私は、介護職員の給与については、基本的に介護保険の報酬改定によるべきものとは思います。ですから、税金を突っ込むというのはなかなか、これは議論が必要だと思いますし、何よりも今、本当に、水膨れと言われる巨額の当初予算が組まれたところで、私どもも真摯に減額修正の予算を提出させていただいたところですが、そういった財源確保の努力をしっかりと行った上で、介護報酬の引き上げそのものは必要不可欠だと考えております。
ですから、今出されている介護報酬に関する法案は、今年度内に、できるだけ早いうちに介護報酬を何とかしてくれないか、こういう強い要望、要請も含めた内容の法案だと思いますが、聞き方はあれなんですが、遅くとも来年度の介護報酬改定においては、大幅に介護の報酬、賃金が引き上げがなされるような改定をしていただけるのでしょうか。大臣、ここで確約していただけるのかどうか、お尋ねをいたします。
○田村国務大臣 介護職員の方々、福祉職全般なんですけれども、やはり全体として、他の職種に比べて低い。
これは、措置費のときはどうだったかというのはなかなかわからないんですが、そもそも措置費はその単価で入っていますけれども、契約の中で賃金は決まるわけでありまして、例えば、一応入っているんですが、労働時間が長いがために、結果的には時間当たりの単価がそのとおりにならなかったりだとかというのは、今の保育も同じようなところがありまして、全体として、賃金としては決して他の職種と比べて高くない。公務員準拠といいながら、なかなか応募しても来ていただける方々がいない、そういう現状は福祉職全般にあるのであろうというふうに思います。
その中において、介護の場合は、平成二十年の前からそういうお話はずっとあったものでありますから、二十一年に、介護報酬改定のときに、これではだめだということで、九千円ぐらい上がるような、そういうような報酬改定をしました。これは月額であります。そして、その秋だったと思いますが、麻生政権のときに、これは基金で、四千億弱だったと思いますけれども、積みまして、一万五千円、これは月額で、何とか上げられないかということで、そういう基金で対応いたしました。そして、二十四年度は、これは民主党政権下におきまして、介護報酬改定の中において、六千円ぐらい月額で上がったんじゃないか。
合わせて三万円ぐらいは、必ずとは言いません、これは我々が試算するとそれぐらい上げる余地があったのではないかという話でありますが、それぐらい上げられる余地があったんだというふうに思います。
それでもまだ、今お話をお聞きいただいた状況でありますので、さらなる、特に、これから人材的には、景気がよくなりつつありますので、有効求人倍率が今一・〇五であります。介護はもっと高いわけでありますけれども。失業率が三・六。三・五が十二月あたりの均衡失業率。言うなれば、自然失業率みたいなものでありますから、ほぼ自然失業率に近い数字になってきておるということは、もちろんこれは無期、有期という問題はありますけれども、正規、非正規という考え方もありますけれども、かなり人材的にはタイトになってきておりますので、そうすると、どうしても賃金の低いところには集まりにくくなる。
もちろん、介護という職業は非常に崇高なものでありますけれども、一方で、厳しいことも、きついことも確かでございまして、そういう中において、やりがいを持って頑張っていただいておる、こういう方々に報いるためにも、しっかりと我々は、次の介護報酬改定に向かって、介護従事者の方々の賃金を上げていくための努力をしていかなければならないと思っております。
まだお約束をする段にまでは来ておりませんが、厚労省といたしまして、しっかりと努力をさせていただきたい、このように考えております。
○重徳委員 ことしじゅうですよね、介護報酬の方針が固まるのは。ですから、これから半年少々の間、本当にこの問題は、私、今後の高齢社会において、認知症の問題とあわせて最重要の課題の一つだと思っておりますので、引き続き、この委員会においても取り上げさせていただきたいと考えております。大臣から、努力をされるというお言葉がありました。そのお言葉どおり御尽力いただきたいと思います。
特に、先ほど局長からもお話がありましたけれども、キャリアパスをきちんとして、今後の給与水準はもちろんのこと、やはり、組織の中でステップアップしていくということ、介護という崇高な職業の中でステップアップしていくこと、これをあわせて制度設計していかなければならないテーマだと思いますので、それもあわせて、引き続き議論させていただきたいと思います。
さて、次に、テーマはかわりますが、看護師の話をしてみたいと思います。
今、看護師不足、看護師不足と言われておりますが、それでも、この十年間で、看護師の数は、統計上、三十万人ふえております。七十七万人が百七万人になったという数字がございます。
これは、結局、不足しているかしていないかというのは、ひとえに、診療報酬のルールの中で配置基準、これは看護師の配置基準ですから、看護師さんの配置基準がどうなるかということによって決まってくるという面が非常に大きいわけでございます。
その意味で、今、いろいろな病院のお医者さん、経営者の方々からは、看護師さんの労働市場、需給ギャップというのがあって、本当に、人手不足、獲得するのが大変だという話が上がってきております。
そういう中で、看護師の紹介事業というものが最近非常に盛んになっているという話がございます。民間職業紹介事業者ですね。近年増加しまして、全国で大小数百社あるとも言われております。
転職希望の看護師さんをネットで募集して、看護師不足の病院に紹介をして、その給料の一部を手数料として取るということでございまして、事業者側からすれば、もちろん、病院や看護師さんのニーズに従ってやっているんだということで、医療界に貢献しているんだということが言われておりますが、一方でやはり、病院の方々からは批判が上がっているのも事実でございます。手数料は一人百万円に上るという話もございます。
もちろん、業者によるものですから、一概にいい悪いは言えないんでしょうけれども、ただ、これは、数字、どうでしょうか、年間二百五十億円市場だと言われているような紹介料、これはやはり、診療報酬が充てられているわけですから、そのような使い道が果たして本来いいのか、そして多額に過ぎるんじゃないかという問題があります。
また、看護師さんからすれば、売り手市場ですから、転職も容易になるということでありますので、職場に定着しないで転職を繰り返す、こういうこともあるので、これは果たして、病院のニーズに合わせてやっているんだということに対しても、いや、ニーズに合っていないよという指摘もございます。
こうやってどんどん入れかわっていくと、医療器具がどこにあるかとか、薬の投与の仕方も病院によって少し違っていたり、そういうことで医療事故にもつながりかねないとか、いろいろな指摘がございます。
このような看護師の紹介事業の動向につきまして、厚労省としてどのような認識をされていますでしょうか。
○原(徳)政府参考人 御指摘の看護師等の紹介ビジネスにつきましては、医療関係団体から、今もありましたように、高額な手数料負担、あるいはそれが医業経営を圧迫しているとの御意見もいただいているところでございます。
こうした中で、民間の職業紹介事業については、その運営の実態を把握するべく、事業者、また利用者を対象とした調査を行っているところでございます。この調査において、医師、看護師の紹介の状況についても調査項目を設けるなどにより、実態の把握に努めているところでございます。
また、医療そのものは、御指摘もありましたように、社会保険の中で運営されているわけでございまして、適切に看護職員の確保を図るということは必要であります。
そのためには、公的な無料職業紹介の拠点であるナースセンターの機能強化も不可欠であると思っておりまして、今回も、このナースセンターの機能の強化を図る部分を法案にも盛り込ませていただいたところでございます。例えば、そこでは、離職時などにナースセンターに届け出をしていただくということによって、復職の支援につなげていくというようなことが考えられるわけであります。
また、七対一という看護師配置についての御指摘がございました。看護師の偏在の原因ともされておりましたが、今回の診療報酬改定において、その要件の厳格化などによって、適切なところに適切な看護師が配置されるように進めていきたいと考えております。
いずれにしましても、地域の医療機関と連携しつつ、看護職員の人材確保を図っていきたいと考えております。
○重徳委員 ありがとうございます。
非常に、官製市場といいましょうか、診療報酬のルール次第で、そういったいろいろなところが過熱したり、寂れたりとか、いろいろなことが動いていくものでありますので、今の看護師不足の状況についても、ゆがんでしまった部分はちゃんと正していただきたいと思います。
あと五分となりましたので、あと二点お伺いしたいと思いますが、ショートステイというものがございます。
ショートステイ、これは地域によるのかもしれませんし、施設によるのかもしれませんけれども、あるいは、その印象からしても、一泊二泊、あるいはせいぜい一週間、二週間ぐらいのことをショートステイというのかなというふうに感じておったわけなんですが、ルール上は、レスパイトケア、家族の介護疲れとかそういうものを癒やすというような趣旨もありまして、連続三十日までとか、場合によっては百八十日まで認められているというようなことのようです。
現場では、長いショートステイということで、ロングショートなんて言われているようで、どっちなんだという、そんなような名前があるようなんですが、このあり方ですね、平均十日ぐらいだというふうには聞いておりますが、この運用のされ方、どういうことが本来であって、課題はどういうところにあるのかということをお伺いしたいと思います。
あわせて、デイサービスも、最近はお泊まりデイと言われる自主事業、そういうものもあるということなんですが、この辺、制度が少し錯綜しているようにも見えるんですが、このあたり、制度の違いや課題について、よろしくお願いします。
○原(勝)政府参考人 お答えいたします。
ショートステイについては、実態として、少し長くなっているというのがございます。
やはり、家族のレスパイトということで、これはこれで大変重要な役割だと私は思っておりますけれども、余り一人の方がずっと使うというのは、ほかの方が利用がなかなかできないということもございますし、それから、ショートステイというのは、通常のデイサービスなどに比べまして、どうしてもケアという意味で少し弱くなるということもございますので、やはり、計画的な利用というのが大事じゃないかと思っております。
それから、お泊まりデイは、通所介護、デイサービス事業所の設備を利用して、介護保険制度外でございますけれども、宿泊サービスをあわせて提供する、こういう事業でございます。したがいまして、介護保険制度外のサービスでございますので、事業所指定の基準といったような規制はないわけでございますけれども、泊まりの環境が十分でないといった、いろいろ問題点も指摘されております。
そこで、今回、私どもとしては、審議会でもいろいろ議論いただきまして、介護保険法に基づく省令、これはデイサービス事業所としての省令でございますけれども、その省令の中で、利用者保護の観点から、宿泊サービスの届け出の義務づけ、あるいは事故報告の仕組みの導入、あるいは情報公表の推進を位置づけまして、サービスの実態を把握するとともに、利用者や介護支援専門員に情報が適切に提供されるような仕組みとすることを今考えているところでございます。
○重徳委員 ありがとうございます。
最後に、養護老人施設、軽費老人ホーム、ケアハウスの位置づけにつきまして確認をさせていただきたいと思います。
本格的な介護状態を迎える前の一つの重要な施設だと思うんですけれども、高齢者の居場所として非常に重要だと思うんですが、どうも、いわゆる介護施設に比べると、市町村の措置控えがあるんだとか、いろいろなことが指摘をされておりまして、財政的にも、あるいは制度的にも不十分じゃないか、もっと力を入れていってもいいんじゃないかと思われますが、厚労省の見解をお願いいたします。
○原(勝)政府参考人 お尋ねございました軽費老人ホームや養護老人ホームでございますけれども、今後、地域包括ケアシステムの構築に当たりまして、住まいの確保が大変重要でございます。特に、居宅での生活が困難な低所得高齢者等に対して、こうした施設が一定の役割を果たすことが必要であると考えております。
一方、この二つの施設については、地方分権推進の観点から、いわゆる三位一体改革により施設整備費や運営費の一般財源化が行われていることから、施設整備や入所措置等については、地域の社会資源や高齢者の状況を勘案し、各自治体において適切に対応されるべきものであろうと考えております。
近年、定員割れの施設等も見られるなど、十分にこれらの施設が活用されていないというような状況もございますので、厚生労働省といたしましては、必要な施設の整備、入所すべき者の把握や措置等が適切に行われるよう、各自治体に対しまして、全国会議で指導するとかいったことを通じまして、理解と協力をお願いしているところでございます。
○重徳委員 私は、本当に、地方分権派、地方自治派でありますので、地方の力で自治の力をしっかりと発揮するというのが本来だと思いますが、これだけ制度を国が握っちゃっている中でですから、これは、現状としては、やはり、そういった今の養護老人ホームや軽費老人ホームに対しても国のリーダーシップを発揮するほかないんじゃないかなと考えております。引き続き議論させていただきたいと思います。
ありがとうございました。