H26年4月25日 厚生労働委員会
「命にかかわる法案19本を一気に審議して深い議論ができるのか?」
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○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。
本日も、地域医療介護総合確保法案につきまして質疑をさせていただきます。
前回までは、主に認知症、特養、それから介護、介護職員などにつきまして焦点を当てて議論してきました。それだけでも非常に論点が多くて、まだまだ議論がし切れていないと感じております。
ほとんど全ての議員の先生方がおっしゃるように、十九本ですか、この法律をなぜか一括で改正する法案でありまして、この後、一つ一つ、どうしても深くはなりません、浅く広くになりますけれども、一つ一つの論点につきまして課題を指摘していきたいと思っておりますが、審議時間、この先どれぐらいとっていただけるのかということが今から心配でなりません。本当に命にかかわる内容も、たくさん、てんこ盛りです。こういうことにつきまして真摯な政府としての審議への対応を強く求めまして、質問に入らせていただきます。
まず初めに、病床機能報告制度につきましてですけれども、政府からの説明資料などでは、現状では各病院や診療所の持つ病床の機能が見えにくい、これが課題だという指摘があります。これを、高度急性期機能、急性期機能、回復期機能、慢性期機能、この四つに明確に分けるんだというのが今回の報告制度だということなんです。
これは、素朴な疑問として、これまでも診療報酬の支払いの段階でどんな診療内容かということは明らかになるわけですし、レセプト等の分析をすればかなり正確に把握できるんじゃないかと思っております。その一方で、小規模な病院あるいは有床の診療所なんかにおきましては、同じベッドでも、急性期の患者さんに使うときもあれば慢性期の患者さんに使うこともあるということで、病床ごとにきちっと色分けというのはなかなか難しいというか、どこまで意味があるんだということも疑問がございます。特に地方では、小規模な病院がオールラウンドでどのような患者さんに対しても対応している、そういう病院もたくさんあります。
そこで、まず、現状の具体的な問題点と、医療機能を四分類に明確化することのメリット、そしてデメリットというものがあれば、御答弁をお願いしたいと思います。
○田村国務大臣 七対一看護、こういう対応を進めてまいりました。手厚い看護体制の中において、急性期の方々に、重い方々に対応していただく。三十六万床までふえました。我々が当初見込んでおったベッド数よりもふえてしまったということは、我々も真摯に反省をしなければならないというふうに思います。
それを見ればわかるではないかと言うんですけれども、実はそこで、本来必要のない状況の中で医療が提供されているという問題が指摘をされるわけでありまして、七対一看護の病床がふえると、当然のごとく、他の病床に対して看護師自体が足らなくなってくる、こういうことも起こってくるわけでありますから、ここは見直していきたいという思いの中で、今般は診療報酬改定の中においても、このようなものの形、評価を盛り込ませていただきました。
中身がわかりづらいんです、実際のところ。七対一の中で受けている医療というのは、レセプトやいろいろなものを見ればわかるではないかと言われますけれども、その体制の中で受けておるものでありますから、なかなか必要量というものがわからない。
そこで、それをもう少しわかりやすくすることが必要であろう。それはやはり、病棟ごとにですけれども、それぞれ今言われたような病床を分けて、高度な急性期、急性期、それから回復期でありますかね、亜急性期といいますか、それから療養期、慢性期というような形で分けていく。それによって、本来必要なところ、そこにははっきりと、体制が違うわけでありますから、必要な医療資源というものが適正に分かれるわけでありまして、今言ったような、本来七対一看護を受けなくてもいい方々がその病床に入るということはなくなるわけであります。
ただ、これは各地域で違います、状況によっても違います。だからこそ、地域医療構想というものをつくっていただきたい。その前には、ちゃんと報告してください、今現状はどうなんだということを報告してくださいという中において、それを区分していって、必要なものを協議の場で話し合いをしていただきながら、それをこれからつくっていくということでありますので、そういう意味では、今回、適正な医療資源を適正に使っていただくような努力をする、そういう制度であるというふうに御理解をいただければありがたいというふうに思います。
中小病院はどうするんだという話がありますのは、確かにそうなんです。だからこそ、病棟ごとに病床区分というものを分けるということでありまして、大体、その地域のいろいろなことをやっておられる病院においても、急性期でありますとか慢性期でありますとか、いろいろやられていると思います。それは病院ごとじゃなくて病棟ごとに区切ることによって、それに対してニーズに対応いただきたいというふうに考えておりまして、今言われた委員の問題意識というものもしっかり我々持ちながら、この制度というものを運用してまいりたい、このように考えております。
○重徳委員 大臣、病棟ごとにとおっしゃいますが、病棟の中で病床ごとに使われ方がさまざまだったりということも中小病院ではあるという話があるので、これからの報告制度について、どういうふうに運用されるのかなということがしっくりきていない病院も多数あると思います。
ですから、これは、きょうはこれ以上詰める時間はありませんけれども、そういった小規模な病院、診療所がどのような対応ができるかということについても、もう少し具体的な議論をさせていただきたいと思います。
次に、都道府県のナースセンターの話が前回の議論でございました。私の方から、看護師不足という状況があるものですから民間の職業紹介事業が盛んになってきている、こういう点を指摘申し上げました。それに対しまして、原医政局長の御答弁の中で、公的な無料職業紹介の拠点であるナースセンターの機能強化も不可欠である、これについて法案に盛り込んでいるという話がございました。
ただ、民間の有料職業紹介、これも、いろいろな会社がありますので、よく批判されているような団体ももちろんあると思いますけれども、いわば、看護師さん、今働いている人はもちろん把握できます、あるいは、離職するときに届け出ろというんだったら、それはそれで把握できると思います。だけれども、今現に、仕事をやめて、資格は持っているけれども別の仕事をしているとか、働いていないとか、そういう方々についてまでは把握できないし、働きかけも直接的にはできないわけですね。そういうところに対して、民間の事業者がいろいろな、プレゼントとかそういうようなことも含めて、ネットを通じて働きかけをしているという意味で、機能している部分もあると思うんですよ。
それに対しまして、都道府県のナースセンターの仕組みでは、現在働いている看護師さんが離職するときに把握をする、これは前回も御答弁の中にありましたけれども、働いていない方、これは把握のしようがないんじゃないかと思うんですが、現状、どこまでそういったことを把握しているのかということが一つ。
それからもう一つ、やはり求人、求職という問題は、ハローワークが既に存在するわけですから、ハローワークとナースセンターの関係と、求人、求職の取り扱っている実績、これにつきまして現状を御答弁いただきたいと思います。
○原(徳)政府参考人 まず、いわゆる潜在看護師さんということで、働いておられない看護職員がどれだけいるかということなんですが、おっしゃるとおり、現在、看護師等につきましては、二年に一回、働いている人は届け出をしていただくことになっておりまして、その数は把握しております。
ただ、やめられた後は、実はどうなっているかわからないというのが正直なところでございます。そのために、平成二十二年末時点ですけれども、調査研究事業を行いまして、その中で推定値を出しておりまして、その時点では約七十一万人程度が潜在看護師としているのではないか、そういうことが推計されております。
この方々について、現在七十一万人で、そのアプローチをどうしていくのかという問題、これは確かに御指摘の点はありますけれども、御本人が働きたいと言われるようなときには、その前に、求職という形でハローワークやあるいはナースセンターに登録をしていただくことになろうかと思います。逆に、余り積極的に、こちらから、わかっているわけではありませんので、やっている状況ではないというのが確かなところでございます。
ただ、今後は、その点について、やめられる際に連絡先等についてナースセンターにお届けをいただくということを今回は織り込んできたということでございます。
それからもう一点、求人、求職の状況でございますけれども、ハローワークにおいて新規の求人数は約四十三万件、それからナースセンターの方には約十三万件、これは人を求めている方でございます。それから、職場を求めている新規求職者数につきましては、ハローワークが約十二万人、ナースセンターが約五万人となっております。
御指摘のとおり、職業紹介という意味ではハローワークが非常にプロでございます。ただ、ある意味では技術的な職場でございますので、そういう意味では、ナースセンターとハローワーク、これがお互いに協力をするという形で連携をするという事業も取り組んでおりますし、例えば、ハローワークの方にナースセンターの職員が詰めて、いろいろ相談に乗るというような形の事業もやっております。これらも含めながら、看護職員の確保が図られるように努めていきたいと考えております。
○重徳委員 さらに、今回の法案では、ナースセンターに対しまして、支援体制を強化するための委託制度を整備するということもありまして、当然これは予算を伴う話だと思うんですね。連携協力というと聞こえはいいんですが、一体どっちが主なんだとか、どういうすみ分けなんだという話になると、また曖昧な部分が出てくると思います。
行革の観点からも、こういったことについてはきちんと整理をして進めていかなければ、お金の無駄遣いじゃないか、いろいろな指摘が当然出てくると思います。ナース、看護師さんだけが特殊な職業でもありませんので、その必要性は必要性として、きちんと説明していただく必要はある上に、では、ほかの業種の方には何でそれが必要ないんだということも、多角的な視点からの説明がやはり求められると私は思います。
また、看護師の確保については、看護師の就労環境を向上させる必要があります。
ここで、一つルールがありますね。診療報酬上のルールとして、看護師の夜勤は七十二時間までというルールがございます。これは、ぱっと聞けば、もちろん、看護師さんが昼も夜も働くということに対する制限をかけるというのは、一見それが正しいようにも聞こえますけれども、ただ、やはりいろいろな働き方を希望される方がいらっしゃって、夜勤を中心に働きたい、こういう看護師さんも現にお見えになるわけですね。そういう方に対しては、いや、七十二時間までだからだめよ、そういう余計な制約になっている、こういう現状もあると思います。
そういうことにつきまして、今申し上げました、看護師の働き方を制約したり、あるいは看護師さん自身にとって不都合な場面が生じるんじゃないか、こういうことにつきまして、厚労省としての見解をお願いいたします。
○木倉政府参考人 お答え申し上げます。
今の議論にもありましたように、地域医療の中で、それぞれの病院がその機能に応じた必要な看護職員を確保していただく、大変重要な課題だと思っておりまして、七対一の見直し等も進めておるところでございます。
御指摘の月平均の夜勤時間数の要件でございますが、これは入院基本料の算定のときに、看護職員の皆様、夜勤が大変大きな負担になっているということで、その負担を軽減して、医療の質をきちっと確保していただく、あるいは安全に欠けることがないようにしていただく。それから、離職が多い中で、定着をきちんと図っていこうというようなことで、環境改善ということをやっております。
考え方は、入院基本料の計算のときに、その条件として、夜勤を行っていらっしゃいます看護職員の一人当たりの月平均を出します。平均でございます。それを、お一人当たりの平均を七十二時間以下という条件を満たしていただいて、入院基本料を算定していただくということでございます。ですので、お一人お一人の上限ということではないわけでございます。
一方で、看護職員の皆様は、やはり先生御指摘のように多様な働き方を求められておるという実態もございますので、一つには、夜勤専門で働きたい、働けるという方もいらっしゃいますから、夜勤専門の看護職員、その夜勤時間を、今の月平均お一人七十二時間以下という要件からは夜勤専門の方は除外をして計算しております。
それから、二年前の改定でございますけれども、その平均を出すときに、余り短い夜勤の仕方をしている人まで入れてしまうとちょっとバランスを欠くんじゃないかということで、従来、月十六時間以上夜勤をやっている方で平均を出そうとしておりましたけれども、それとともに、一方で、きちんと短時間正職員と位置づけられている看護師さんについてはもう少し短く、十二時間以上夜勤をされている方も含めて算入をすると、一人平均七十二時間というのがもう少し柔軟になりますので、そういう算定の仕方についても柔軟性を持たせて、お一人お一人のニーズに応えていきたいということもやっております。
さっき大臣もおっしゃいましたように、今回、四月からの改定では、七対一の病床、本当に必要な方に見直していくということで、看護職員の方々の配置をまた見直そうということでございます。
もう一つ、今回やりましたのは、七十二時間を一人当たり平均で超えてしまいますと、入院基本料が急に減算をされる、これですと非常に看護師さんの確保が難しくなるということで、従来から、三カ月間ぐらいは、看護職員が少し足りなくなっても確保に努めていただいて、従来どおりの算定をしていただきながら確保に努めていただこうということをやっておりましたが、この対象病院をより広く、三カ月間、従来の基本料をとりながら確保できる対象病院をより広く、今回も見直しをしております。
こういうふうに、お一人お一人の勤務環境を改善しながら、しかし、一方での多様な働き方、ニーズに応えていくというようなことで、看護職員の確保、働き方の支援をしてまいりたいというふうに思っております。
○重徳委員 いろいろなニーズ、声が届いておりますので、ぜひとも適切な改善を行っていただきたいと思います。これまた事務的にもちょっと確認をさせていただきたいと思います。
さて、本法案にもう一度戻りますけれども、また看護師についてですけれども、特定行為というものが、今回、研修制度が位置づけられますね。
趣旨としては、在宅医療を進めるには、看護師さんがいろいろな行為ができるようにならなければ、お医者さんだけではなかなか手が回らないだろうという趣旨、これは、私も、全体的には、それはそういう方向であるべきだと思っております。だからこそ、先般も、介護職員も胃瘻の行為をもっともっとできるように幅を広げるべき、範囲を広げるべきだということを申し上げたりもしてまいりました。
しかし、やはり、具体的にどんなことを特定行為とするのかにつきましては、個別にきちんとした議論を国会の場においてもする必要があると思っております。今回、法律上、保健師助産師看護師法三十七条の二というものを新設しまして、そこで特定行為の定義を定め、そして、省令で具体的に何が特定行為なのかということは定めると委ねられているわけです。
当面、例えば、一つ二つ、三つぐらいできるようにするんだよということであれば、具体的、個別に、想定されている特定行為の内容について国会の場でも議論ができると思うんですが、いただいている資料だと、何か、特定行為のイメージといって四十ぐらい、ずらずらっとあって、はっきり言って、専門家の方以外は、何のことだかよくわかりません。
それで、私も、同僚議員のお医者さんの詳しい方に一つ二つ聞いてみたら、病態に応じたインスリン投与量の調整、これをできるようにするとか、それから、脱水の程度の判断と輸液による補正ということもできるようにする、これは結構、その病状によっては、一つ間違えると非常に命にかかわるリスクがあるんだよということも指摘をされています。
この点につきまして、こういった特定行為、まだ想定という段階ではありますが、このリスクにつきまして、わかりやすく御答弁、解説をいただきたいと思います。
○原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。
特定行為は、今御指摘のように、診療の補助であって、手順書により行う、こういう場合に、看護師に実践的な理解力や思考力、判断力かつ高度な専門的知識及び技能が特に必要とされる、そのようなものを定めるということになっているわけであります。今御指摘のありました、今想定される約四十程度というのは、これは、今までの数年にわたる議論の中で、それに該当するものを絞り込んできたということでございます。
例えばのお話でございますが、今御提示ありました、脱水の程度の判断によって輸液をするということについてお話をしてみたいと思いますが、高齢の方々はやはりしばしば脱水に陥りやすい、こういうことがあります。したがいまして、どういう状況になれば輸液、点滴をするか、こういう場合がある程度想定されるわけであります。
その場合、例えば、食事のとる量が減ったとか、あるいは皮膚の乾燥が進んでいるとか、あるいは排尿の回数が減っているとか、そういうような状況を見ると、一応脱水の状況であろうと。通常の場合は、そういう場合には、では、何とかという点滴を五百cc入れてあげてくださいというような指示を前もって出しておく、その手順書ということであります、それに基づいてこの方には対応してくださいと医者が看護師に言う。それが、今、特定行為がやられる話になります。
ところが、例えば、この方が腎臓が悪い方で、どうも尿量がもともと少ない方がある、そういう場合に同じ量の点滴をしますと、逆に言うと、水であふれるような状態になりますので、そういう場合にはどうするか。改めて二百ccにしておきなさいという指示を出すのか、そういう状態のときには改めて医者にちゃんと相談してくれと言うのか、いわゆる特定行為ではなくてふだんの指示に戻る、そういうような状況も考えられるわけであります。
どの患者さんにどういう形でやってもらうかということについては、医師が最終的にその患者の状況などを見ながら指示を出していく、その中の一例として、手順書によってある程度段階的に看護師に任せてやっていっていただくということが発生してくる、こういうことでございます。
大体わかっていただけましたでしょうか。
○重徳委員 今本当にお聞きしたかったのは、医療上のリスクですね。まあ、リスクも含めての御答弁だとは思うんですけれども。腎臓に疾患のある方に対しては水分を投与することによって非常に危険な状態になり得る、そういうことも含めて、今御答弁いただいたものと理解をいたしております。
これは本当に、非常に重要なところだと思うんですね。一つ二つ聞いてみても、危険といえば危険、重要といえば重要。危険と言うと、ちょっと嫌な顔を局長もされましたけれども。危険と言ってはいけないのでしょうかね、わかりませんけれども、そういうリスクがある。こういうことを一つ一つ丁寧に議論していくのが国会の場だと思いますし、こういうことを何となく潜り込ませているような印象ですよ。
先ほどのナースセンターのことだって、基本的な概要の資料には出てこないんですよ、ナースセンターのことは。分厚い何十ページもある、概要というには少し詳しいような議員用の説明資料を見ると、一ページそれが出てくるというようなことで、非常に、説明は、そもそも役所からの説明も事実上受けていないというような状況です。
この特定行為については、やはり非常に、一般人からすれば高度な判断が求められる。だからこそ看護師さんが医師の指示のもとで手順書に基づいてやるということであって、その仕組みの理屈はわかるんです。
ただ、これは、具体的には、在宅医療の場面で、看護師さんがお医者さんのもとから離れてやっていくことを想定しているわけですよね。看護師さんも人間ですから、ふだんはある程度しっかりした看護師さんでも、やはりお医者さんのもとでやるわけですよね。だから、私が全部全ての責任をしょって、自分が全部責任当事者なんだというふうには、なかなかなれない人もいるかもしれないじゃないですか。
というようなことを思っていたら、説明資料の一部分に、本制度を導入した場合でも、包括的な判断は医師または歯科医師が行うことに変わりないみたいな、要は、あくまでお医者さんのもとでやるんだよと。
だから、独立してやらせるのか、あくまでお医者さんのもとでやるんだよと、何か両方、どっちの立場かわからないような説明が随所にあって、任せたようで任せていないというか、何かちょっと大丈夫かなという感じがするんですね。しかも四十もあって、実際には五十、六十にふえるかもしれない、そういうような内容ですから。
しかも、これは、個別に熟練した看護師のみでは足りないという前提でやっているわけですね。熟練したしっかりした看護師さんだったら、任せて安心かもしれません。だけれども、それだけじゃ足りないから、熟練はしていないけれども、研修を受けて、手順書に基づいて、こういう看護師さんが在宅でやるわけですね。
だから、こういうことについて、一つ一つ、根掘り葉掘り聞いてみたいところであるにもかかわらず、審議時間自体、非常に足りないと私は思いますよ。
それで、ちょっと大臣に確認したいんですけれども、今、原局長がおっしゃったようなインスリンの投与だとかあるいは脱水の判断、こういったものを、もし、看護師さんが特定行為として行った場合に判断を間違えた、判断というか、結果、何か医療ミスのようなことが起こってしまった場合、法的な責任は、どこまで医師にあって、どこまで看護師にあるのか。こういったことについて、どのように認識をされていますか。
○田村国務大臣 看護師の特定行為でありますけれども、基本的には、医師または歯科医師が、もちろん患者の方々の病状を勘案しなきゃいけないわけでありますが、看護師の方の能力というものをしっかりと見た上でこれをさせるわけであります。これは、医師がさせるわけでありますので、包括指示のもとに、手順書にのっとってするわけであります。でありますから、独立で看護師さんがやるという話ではないということであり、あくまでも包括指示の中において、手順書にのっとってやるということであります。
危険じゃないかというお話でありますが、基本的にこれはどういうものをやるかというのは、チーム医療推進会議、これは厚生労働省のもとにつくったものでありますけれども、医師や看護師、要するに専門家の方々に、有識者に入っていただいて、どういう行為ならば、ちゃんと一定程度の能力を持っている看護師ならば、それを包括指示のもとに手順書というものでやってもらって、危険性、リスクというものを抑えられるか、つまり大丈夫であるかということをいろいろと専門家の立場で御議論をいただいて、今委員が言われたようなものを出してきておるわけであります。
ですから、もとから、看護師に任せたら危険だというものは基本的にはこの中には入っていないわけでありますから、それは一定程度の能力をお持ちの看護師さんであって、今言ったような手順書をもってして、包括指示をもって行為を行えば、患者の方々に適切な医療行為ができるというような形のものを選んでいただいておる。
ただ、これは、これから医道審議会の中においてさらに御議論をいただいた上で最終的には決定をしていくわけでありますので、まだ完全に決定したわけではありません。
その上で、では、何かあったときの責任はといえば、これは司法判断になると思います。要するに、医師の包括指示、つまり手順書が間違っておれば、これはもうそのときは医師の責任になるでありましょうし、そもそも、全く能力のない看護師さんにさせれば、それは医師の責任になる可能性はあると思います。もちろん、看護師さんは手順どおりにやったつもりでも、そこで大きな過失があれば看護師さんの責任ということもあろうと思います。
今私が言ったのはあくまでも一つの例であって、そういうものを総合的に司法で判断していただいて、医師と看護師との間のどのような責任問題になるかということが最終的に司法の中で決められてくるということであろうというふうに認識いたしております。
○重徳委員 一般論で聞けばそういう一般論の答えしか来ないので、本当はもうちょっと詰めた議論が必要なのかもしれません。
いずれにしても、私が言いたいのは、この特定行為、これ一つとっても非常に重要なものであって、これだけを一つの法案で取り扱ってもいい内容ではないかと思います。
ここで想起するのが、私が以前、総務省消防庁で働いていたころに、平成三年に救急救命士の三つの行為を想定した法律ができたと思いますけれども、当時の国会での審議は一体何時間ぐらいとられたのか、お聞きしたいと思います。
○原(徳)政府参考人 お答えいたします。
平成三年に救急救命士法が成立しました。この際、参議院の社会労働委員会では、同じ日に一般質疑も行われていましたので正確な時間はちょっとわかりませんが、推測では約二時間程度。また、衆議院の社会労働委員会では、戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案と同時に審議されましたので、この救命士法案だけではありませんが、合わせて二時間二十二分という結果でございました。
○重徳委員 この法律、そもそも、各委員が、皆さんがおっしゃっているように、十九本一括というやり方そのものが批判を浴びていると思っております。ですから、今、ほかの法律と一緒に審議されたということも注釈を加えられた御答弁でありましたけれども、やはりこの法案一つをきちんと丁寧に皆さんで、衆参二時間ずつという話でありますけれども、衆議院は二時間二十分という時間ということでありますけれども、こういった手続を、一つの法案について集中的に審議するのと、たくさんの中で、各委員が問題意識をそれぞれ持ってちょこちょこ質問するのとは全然わけが違うと思うんです。そういったことを指摘させていただきたいと思います。
次に、診療放射線技師の業務範囲の見直しという中で、造影剤の血管内投与について。
造影剤を血管の中に投与する、これが業務範囲に追加される、こういう改正が今回行われるわけでありますけれども、ぴたっとこのことかどうかはわかりませんが、つい最近、国立国際医療研究センターにおきまして、レントゲン撮影時に、これは整形外科の女性研修医、だからお医者さんですね、医師が脊髄に造影剤の投与、これを誤ってやってしまって、その患者さんがお亡くなりになった、こういうことが起こりました。本来脊髄に入れるべき造影剤を間違えて、血管注射用の造影剤を投与してしまったということなんですね。
私も、医師じゃないので、その薬品の名前を、もう舌をかむような名前ですけれども、いずれにしても、その箱とか容器には脊髄造影禁止と赤字でちゃんと注意書きがあったんだけれども、若手の研修医さんが誤って投与をしてしまった、こういうことも起こりました。
もともと、造影剤の血管内投与というのは、アレルギー反応が起こる、アナフィラキシーショックが起こるリスクがあるというふうに言われておりまして、ベテランのお医者さんも非常に神経を使って投与されていると聞いております。
この造影剤の血管内投与のリスク、これもどうごらんになっているか。また、今後、この法案が通ったとして、診療放射線技師がこれを実施する場合には、医師はどの程度そこに関与するのか、御答弁願います。
○原(徳)政府参考人 診療放射線技師の業務範囲の拡大についてお答えいたします。
今回、診療放射線技師に関しましては幾つかの拡大を予定しておりますが、今御指摘のありました造影剤の血管内投与についてでございますが、これにつきましては、あらかじめ医師または看護師が、静脈路といいまして、点滴ができる道筋を確保しておいた状態の後、診療放射線技師が造影剤の自動注入器をつなぐ。それから、つないだ後、実際は、自動注入器ですのでスイッチを押す、これで自動的に入っていく。それで撮影をするわけですけれども、撮影が終わった後、今度は、静脈路から抜いて止血をする。そういうところをやっていただこうとしております。
ですから、今回の、造影剤そのもののリスクというのは、誰が入れようと、そこは同じなわけであります。ただ、例えば、今回は、その場に医師が必ずいなさいということを想定しておりませんので、患者の状態の変化等々についてはしっかりと、やはり放射線技師が見てもらわないといけない。そのためには、そういう知識もつけていただく、あるいはそういう研修もしていく、こういうことが必要だろうと思っております。
いずれにしましても、これは、医師が、当然ながら、どういう造影剤を、どれぐらいの量、どのぐらいの速さでやりなさいとか、全部指示をいたしますので、それに基づいてやる。ある意味では行為だけであります。だから、そういう意味では、アナフィラキシーショックが起こるリスクが技師がやるから高くなるとか低くなるという話ではないということであります。
ただ、今の話のように、ショックも起こり得るわけですので、院内の、すぐに連絡ができるような体制をどう組むか、そのあたりについては、しっかりととれるように十分に医療機関の方にも周知をしていきたい、こういうような形で進めていきたいと考えております。
○重徳委員 言いたくはないんですけれども、こういうことを野党の議員として、委員会において私もいろいろと、じっと何時間もかけて法案とにらめっこして、説明もいただきながら、ああ、これはなかなか重要な改正だなというふうに気がつくわけでありまして、こういうことも、与党の審査がどのように行われたかというのは、ちょっと表舞台じゃないのでよくわかりませんけれども、与党議員さんの中でも余り認識をされていなかった方もいらっしゃるというふうにちらっと聞きましたのでね。野党だって、それは人のことは言えませんけれども。
要は、専門性の高い分野ですから、そして、実際に患者さんは素人ばかりなんですから、そこで、実は放射線技師もやれるようになったんだよということを言われても、何をどうやれるようになったのかも理解できないと思うんですね。だから、そういう意味では、私のような医療の素人の人間も納得できるような審議を尽くしていただきたいというふうに思います。
だから、今も、院内の体制をきちんととる必要がある。これも、具体的にどういうことなのかということも詰めていかなければならない話なのではないかと考えております。
先を急ぎますけれども、今度は、医療事故が起こったときの第三者機関につきまして質問させていただきたいと思います。
この第三者機関というのは、新たな民間組織を、これは名前も決まっているんですね、医療事故調査・支援センターとして指定をするということなんですけれども、これは、第三者機関といっても、非常に客観性がなければならないし、利害関係とかなんでしょうかね、当然ぶつかる、利害が相反するところへの第三者機関なので、どなたがそれを担うのか、その体制はどうなのか、第三者性、客観性というものをどう担保するのか、こういうことも非常に重要なところだと思うんですよ。
しかし、この法文を読むと、第三者機関はこういうことやりますと書いてあるだけで、そういうものを厚労相が指定をするとしか書いてないんですね。その体制だとか、あるいは、お金もかかるでしょう、財源だとか、このあたり、どのようなことを想定されているんでしょうか。
○原(徳)政府参考人 医療事故調査・支援センター、いわゆる第三者機関につきましては、御指摘のように、例えば、院内調査の結果の収集をして、情報の整理、分析をするなどなど、さまざまな業務を想定しております。
その中で、当然ながら、中立性、専門性の観点から、その業務を適切に行うことができる社団または財団を指定するということを規定しているところでございます。
具体的にどうかというのは、これは、実際にやっていただけるところを探す必要がありますが、例えば、類似の業務を行っている機関として、既に、診療行為に関連して死亡をした方の調査分析モデル事業、こういうことをやっていただいている法人もございますし、医療事故情報収集等事業という形でお願いをしている団体もございます。これらの団体を含めて、しっかりと考えていきたいと思います。
○重徳委員 具体的な御答弁はないわけなんですが。
過去に、平成十六年に、福島県立大野病院で産科医が逮捕される事件が起こりました。これは、帝王切開手術を受けた妊産婦の方が死亡したことにつきまして、その執刀を担った産科医が業務上過失致死そして医師法上の異状死の報告義務違反の容疑で平成十八年に逮捕され、起訴までされた。最終的には、平成二十年に福島地裁で無罪判決が出て確定したということで、そのお医者さんは病院に復職したというふうに聞いております。
これは、出産時の危険性を患者さんというかその産婦さんとか家族の方に説明したんですが、そして大学病院に移るべきだと説明したんですが、そこは遠い、お金もかかるということで、地元の病院で分娩を希望したということでございますが、結果的に、非常に不幸なことでございますが、死亡事故ということになってしまいました。
このことについて、県が、院外の専門家の検証が必要だということで調査委員会を設置しまして、その結果、その報告書には、執刀医の判断ミスがあったんだ、こういう結果が出たものですから、それが報道され、そして警察も動く、こういうことになってしまいまして、非常に大きな事件だったと理解をいたしております。
こういうことは、本当にお医者さん方にとっても脅威といいましょうか、萎縮する効果を生むと思います。
今回想定している第三者機関というのは、過失を認定するとか、そういうことが目的ではないということではありますけれども、ほかにどういう判断の選択肢があったんだとか、どういう対処、処置をする可能性があったんだとか、病院の体制はどういう、やり方はほかにもあったはずだということは、当然、そこに至らなければその後の再発防止の普及啓発もできないわけですから、だから、おのずと、どこに過失の、過失だったとは言い切れないにしろ可能性があったかというようなことに類するようなことは言及せざるを得ない、こういうことだと思いますが、非常に重要な第三者機関だと思うんですね。
ですので、この位置づけは、先ほど局長からも、何か、どういう組織体制かというのは、それはちょっとこれからの話ですという御答弁に終わってしまいましたけれども、今回、この第三者機関があったら、この大野病院の事件はどのような当てはめになっていっただろうか、答えられる形でお答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 なかなかケーススタディーは難しいんですけれども、今般、今言われたとおり、この制度は、何か医療事故が起こった場合、それを調査、整理した上で、分析して、再発防止そして医療の質の向上、こういうものを図るためが目的でありまして、紛争解決でありますとか、誰が犯人だなんていうことを行うための制度ではございません。
でありますから、第三者機関に、必要があって調査ということになって、調査を行いますが、内容としては、事実がどうであるかということを報告書の中に書くということでありまして、今委員が言われましたとおり、名前でありますとか、それから過失がどうのこうの、誰が悪いだとか、そういうことは書かれないわけでありますので、このような行為をして、こうなって、結果、こういう状況が生じて亡くなられたというような可能性が高いであるとか、そういうような書きっぷりになるのであろう。ただ、これはこれからでございますので、ガイドラインでそこは示してまいりたいというふうに思っております。
医師法二十一条における警察への報告、これは課しているわけであります。これは別でございますので、そのようなことはしないわけでございますから、これをもってしてケーススタディーはどうだというのは、なかなかちょっと、私が今ここで軽々に申し上げることはできないわけでありますが、そのときの状況とは全く違う想定のもとにおいての今般の法律であるというふうに御理解をいただければありがたいというふうに思います。
○重徳委員 結局、そのガイドラインも全くこれからだということだから、私も、当てはめたらどうなりますかなんという、ざくっとした質問になってしまうのでありまして、やはりちゃんと、ガイドラインはどういうものを想定しているかというのは出していただかないと、審議のしようがないと思うんですね。この法律にこう書いてあるとおり以上のことは何も出てこないわけですから、これはもっと深掘りをしていきたいと思います。
これだけでも重要な法案だと思います。これは本当に、理事会でもよく御議論いただきたいと思いますが、こういった議論、審議の仕方、参考人をどういう形で、どなたを呼ぶのか、これもよく詰めていただきたいと思いますので、これを要望しておきます。
最後、一、二分で。
これは、清水鴻一郎委員が本会議でも質問をさせていただいております補足給付、特養なんかに入るときの食費、居住費、これは自己負担のところに、所得の状況に応じて補足給付を出すということについて、これから資産要件を課すということでございます。これが預貯金のみであって、不動産は勘案されない、こういう内容なんですね。不動産として、現金を不動産化して持っておけば、それは全く勘案されないわけですから、みんな、現金を、預貯金を全部不動産に置きかえればいい、こういう話であります。できる人とできない人がいると思いますけれども。
これは不公平じゃないかという指摘を清水委員がしたところ、本会議でありましたけれども、まずは預貯金を保有している方を対象としてやります、不動産の勘案についても引き続き検討してまいりますという御答弁でしたけれども、こんな生煮えの状態で法案として国会に出して、これは中途半端じゃないかと思います。こんなのは削除して、もう一回法案として出し直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。
私ども、資産ということで、預貯金に加えまして不動産というのが一つありまして、これを何とか勘案できないかということで検討いたしました。
資産のうち、この不動産については、現に居住している場合があるなど、直ちに現金化して活用することが難しいわけでございますので、補足給付のかわりに、これを担保とした貸し付けを行うという仕組みが考えられるということで検討いたしました。また、それを昨年の社会保障審議会介護保険部会においても御審議をいただきました。
しかしながら、この仕組みを実現するには、貸し付けの対象者や不動産の評価方法、業務を受託する機関の確保、担保不動産の処分方法などの、実務や体制面での課題があるとの指摘が審議会でもございまして、まずは、一定額を超える預貯金等を保有している方々を給付の対象外とするということで御提案をさせていただいております。
したがいまして、不動産の勘案につきましては、今回見送ったわけでございますけれども、厚生労働省といたしましては、補足給付の支給に当たっては、預貯金だけではなく、不動産を勘案することも重要な検討課題であるというふうに考えておりまして、不動産を担保とした貸付制度に関しまして、審議会で御指摘のあった課題も含めまして、引き続き具体化に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
○重徳委員 これはもう完全に役所主導で、衆参ともに与党が多数をとっているから何でも通ると思って一本化して、こんな審議のあり方は私はないと思いますよ。与党だって、追認機関じゃないんですから、もっとしっかりやっていきましょうよ。
そういうことに配慮した審議をこれからも続けていただきたいと思います。議会制民主主義をきちんとやっていきましょう、皆さん。よろしくお願いします。