平成26年4月9日 厚生労働委員会
「介護職員の胃ろうという医療行為をどう扱っていくか?」
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○重徳委員 本日もありがとうございます。日本維新の会の重徳和彦です。よろしくお願いいたします。
きょうは、前回の質問の少し続編として、改めて、認知症や介護職員による胃瘻につきまして質疑を深めていきたいと思っております。
まず、認知症の要介護度についてですけれども、前回の質疑では、認知症の要介護度が適切に判定されていないケース、つまり軽過ぎるんじゃないか、実際にはもっともっと手がかかる方に対しても軽過ぎる、一次判定、二次判定の仕方を改善すべきではないか、このような指摘をさせていただきました。大臣からも、認定調査員の研修を行って能力レベルを上げられるようにというような話もございました。また、原局長からは、一次判定の結果が二次判定において一三・五%変更されている、こういった数字もいただきました。
ただ、二次判定というものも、別に現場での判断ではなくて、だから実態をどこまで反映しているかというと、やはり書類審査であることには違いないわけですから、実情と乖離するケースが出ているんだと思われます。
前回、局長の御答弁では、各都道府県で具体的にどのような認定の状況にあるのかの情報収集をしながら、きちんとした認定調査ができるように努力してまいりたいと。
具体的に、その後、役所の方に問い合わせをいたしましたところ、昨年も、八月からこの三月まで五十の自治体を訪問して、介護認定審査会において情報を得た上で、現場ニーズを踏まえて助言を行ってきたというような一応の簡単な資料をいただいたんですけれども、実際にこうした、昨年度あるいはその前でもいいんですけれども、情報収集の結果、認知症の介護認定について課題をどのように把握しておられますでしょうか。
○原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。
今お話ございました要介護認定審査の二次判定でございますけれども、介護認定審査会におきまして、認知症の方の状態なども勘案しながら、認定調査員や主治医が把握している申請者固有の介護の必要量を加味した上で、要介護度を判定する、今そういった仕組みになっております。
私どもの方として、今お話にもありましたように、実際、自治体まで訪問をいたしまして、いろいろ聞き取った中から具体的に問題意識として持っておりますことを申し上げれば、例えば介護認定審査会からは、認定調査員が記載する特記事項の記載内容が不十分な事例がある、認知症の方などの介護の必要量の判定に困難な場合があるというようなこと、あるいは認定調査員からは、申請者の状況はさまざまであることから、基本調査の調査項目が七十四項目ございますが、その選択肢を選ぶ際に迷うことがある、こういったような意見が寄せられています。
私どもとしては、このような現場の意見を踏まえながら、認定調査員に対する研修等を実施するとともに、先ほど言いました事例で申し上げれば、一つは、介護認定審査会において求められている特記事項に記載する場合の視点、こういうところを記載した方がいいんじゃないか、そういったことを助言したり、あるいは、基本調査項目の選択に迷った際には、その趣旨がわかるように特記事項に認定調査員の方に具体的に記載していただく、こういうことで、介護認定審査会において改めて判断ができるような状況をつくっていただくというようなことについて周知徹底をしております。
いずれにしましても、現場のニーズを踏まえながら適切な判定が行われるように努力をしていきたいと考えます。
○重徳委員 いろいろと御尽力はいただいていると思うんです。今おっしゃるのは、調査員側、つまり保険者側であり、市町村側から見た改善点ということになると思うんですが、やはりどこまでいっても、現場の介護の事業者、あるいは介護職員、そして御本人、御家族がどう感じておられるか、こういう直接的な声にも耳を傾けなければならないと思います。
制度的には、区分変更の申請ということ、身体の状況が悪くなったりよくなったり、いろいろあるので、通常、当然行われる区分変更という部分もあるとは思いますが、私は、この点について、つまり被保険者側から市町村に対して、要介護状態の区分の変更の申請、これが、今ずっと申し上げているような、認知症、もっと本当は大変なんだという観点から、どのような形で保険者側に伝わっているか、行政側に伝わっているか、ここにもっともっと細心の注意を払っていかなければならないんじゃないかと思っております。
あるいは不服申し立てという形式のときもあると思いますけれども、ここでお尋ねいたしますけれども、現場からの区分変更の申請、不服申し立て、これは、件数とか内容とか、それに対する行政側の対応というのは、どのような状況にありますでしょうか。特に、認知症の要介護度という観点から、いかがでしょうか。
○原(勝)政府参考人 御指摘のとおり、認知症の方の場合には、認知症の、例えば行動・心理症状が出ているときと出ていないときと、いろいろございますので、調査時点でそういうものが十分に把握できるかというところについては、難しい面もあるわけでございます。
お尋ねの不服申し立てでございますけれども、これについては、要介護認定等の保険者の行った行政処分に不服がある場合には、都道府県に設置されております介護保険審査会に審査請求ができる、こういうふうな仕組みになっております。
その実績でございますが、平成二十四年度の都道府県からの報告によりますと、介護保険審査会のうち要介護認定関係では、年間で、審査請求件数が二百五十八件、取り下げ件数が七十五件、裁決件数は百八十一件でございます。
残念ながら、認知症というふうに特定して調べておりませんので、この中で認知症関係はどのくらいかというのはわかりませんが、いずれにしても、全体としては、百八十一件の裁決が行われています。この内訳としては、その結果、却下が十件、認容、不服申し立てを認めるというものが七十件、そして棄却が百一件という状況でございます。
また、要介護度認定の区分の変更申請でございますけれども、これは、そういう状態区分に該当しなくなったときには、市町村にその変更申請ができる、今、仕組みでございます。
この実績でございますが、平成二十四年度の保険者から報告を受けている要介護認定データをもとに集計をいたしますと、要介護認定に関する申請件数全体は約五百五十万件であり、このうち区分変更申請の件数は約三十八万件でございます。この三十八万件の内訳については、具体的な数字を今把握しておりませんけれども、このうち多くの者が変更申請を認められているのではないかというふうに考えております。
○重徳委員 件数は把握されているんですけれども、ただ、内訳として、今申し上げている認知症の方がそのうちどれほどかということは、全く把握されていないということでございます。
この問題は、やはり、もっともっときちんと把握することに努めていかなければ、現場の声というのがつかみ切れないんだと思います。今度、新たな医療介護の法案を機に、特養に入れる基準も原則要介護度三以上ということになるわけですし、そういう状況の中で、要介護度が一や二というふうにいわば不当に判定されてしまった方にとっては、非常につらい状況になると思います。
ですので、結局、特養なら割と安価ですけれども、グループホームなどはやはり費用としても余計にかかるということで、でも、費用のかかるところを選ばざるを得ないとか、いろいろなふぐあいが生じてくると思います。
このような結果、実際に必要な介護を受けられない状態、あるいは要介護者が、一言で言えば行き場がなくなる、こういう状況になりかねないと思うんですが、この点、大臣はどのように御認識されていますでしょうか。
○田村国務大臣 特別養護老人ホームでありますけれども、今般提出させていただいておる法律の中では、要介護度三以上というのが原則とさせていただきました。
これは、委員も御承知のとおり、重度で認知が入っておられる方が多くて、待機者も多い。ですから、やはりそういう意味では、そういう重い方々に対する機能に特化をしていく、こういう必要があろう。もちろん、軽い方々もおられるわけであります、要介護度が一、二の方々も。しかし、要介護度が一、二以上に、三、四、五というような形の中で、認知症も入られて大変だという方々もたくさんおられるわけでありまして、まずそちらに優先をするべきであろう。
もちろん、一、二であっても、必要な方、例えば、認知症が重くて見守りだとか介護が常時必要な方は、特例で入れるようになっておるわけでありますけれども、比較的軽い方々に関しては、例えば在宅で定期巡回・随時対応型訪問サービスでありますとか、それから、泊まりでありますとか、通いでありますとか、訪問、これを中心の小規模多機能居宅介護、こういうものを受けていただきながら、さらに申し上げれば、サ高住もありますし、そのような対応もあれば、軽費老人ホームや養護老人ホームという対応もあると思います。
あわせて、今進めておりますのが、空き家を利用した、これは比較的低所得者の方々に対しまして、そのような住宅を、集めるといいますか、そういうものをひとつ提供する中において、訪問介護でいろいろな対応をしていく、こういうことも考えておるわけであります。
特養をどんどんつくっていくというのも、確かに、ないとは言いませんけれども、しかし、それにはお金もかかるわけでございます。一定程度必要なものは整備してまいりますが、そこはいろいろとバランスを考えながら、今委員が御心配をいただいておる点、住まいの点に関しても、いろいろな対応を今進めておる、このような次第であります。
○重徳委員 ここは大臣にちょっとお願いしておきたいんですけれども、今私が申し上げておりますのは、要介護度が本来は三以上なのに、うまくそれが判定されずに一、二以下になってしまっているという方を適正化、改善しなくちゃいけない、判定の中身を改善しなきゃいけない、この努力がまだまだ不足しているのではないかということであります。
ですから、先ほど局長から、不服申し立てあるいは区分変更の申請の内訳がよくわからないとか、そういう状況があるのをやはりもっと改善して、内容もきちんと把握をして、だから、本当の意味で要介護度三以上なんだ、あるいは二以下なんだというそこのラインも、より適切な線引きをするための改善をしていただきたいということが一つ。
もう一つは、今のところの厚労省の資料を拝見する限り、確かに、大臣が言われるように、認知症高齢者であって、常時の見守り、介護が必要な場合は、要介護一、二であっても入所を認める場合があると書いてありますが、その例として並んでいるのが、家族等による虐待が深刻でありとか、そういうケースに類するぐらい、かなり例外的なケースだというふうにも見られるわけなんです。
ですから、今の二点目については、これからしっかりと検討していただければと思うんですが、一点目、先ほど局長から、内訳がよくわからないということについては、ぜひ、きちんと内訳についても把握をしていただきたいと思うんですけれども、大臣、お願いします。
○田村国務大臣 認定審査の質を上げるということは当然でありまして、全国一律でしっかりした審査ができるような、そんな研修は以前からやっておるというお話はさせていただいたというふうに思います。
あわせて、一、二、三、まあ、三以上は全員特養というわけじゃないんですよね。三以上であっても在宅で対応される方もおられるわけであります。その中において、仮に一、二であったとしても、先ほど言われたような虐待でだけではなくて、例えば見守りだとか、言うなれば介護を常時やらなきゃならない、どうしてもそういうような症状であるというような場合は、それは特例で特養等々に入れるわけでございますので、そこの基準もしっかりと我々お示しをさせていただかなきゃならぬというふうに思っております。
重ねて、どうしてもばらつきがありますから、特に認知症の場合はそのときそのときで状態が違うものでありますから、要介護認定が低く出るというような、そういうお声は以前から聞いておるわけでございまして、そこも含めてしっかりと認定が、審査ができるように、さらに精度を高めるような努力はしてまいりたい、このように考えております。
○重徳委員 区分変更申請の内訳についてもきちんと把握をしていくというふうに受けとめてよろしいですね、今おっしゃったのは。その内訳は厚労省として把握をしていない、区分変更の申請が三十八万件あるということなんですが、それがどういう内容か、認知症にかかわるものなのかどうかということまで把握されていないということだったんです、先ほど局長が言われたのは。
○原(勝)政府参考人 今、要介護認定を受けている方の八割が、認知症でいえば自立度が一以上の方、二以上で六割ということで、大部分の方が実は認知症を持っておられるというようなことでございます。
そういう中で、私ども、市町村の方から一定の仕組みの中でこういったデータをいただいていますので、どこまで認知症かどうかということでとれるのか、市町村の事務負担の問題もございますので、ちょっとそこは検討させていただいて、いずれにしましても、大事な御指摘だと思いますので、公正公平な認定制度になりますように努力をしていきたいと思います。
○重徳委員 ぜひお願いをいたします。
次に、特養入所は今五十二万人の方が待機状態だと言われているんですけれども、特養に入所する際の申し込みといいましょうか、それは役所が余りかかわっていないというのが現状でございます。
つまり、全く、その特養ごとに要介護者あるいはその家族の方々とやりとりをして、入所させてほしいんだけれども、それはできるよ、できないよ、ちょっと待ってということを個別にやっておられるということですから、非常に、まあ負担が大きいと言うと簡単なんですが、本来急いで入所していただくべき方が、必ずしも適正に入所できていない状況がやはり多い。何年も待っている方もいらっしゃる。それが、待たされても優先順位が低い方ならばしようがないのかもしれませんが、優先順位が客観的に見て高いと思われる方までそういう状態になっている。それはなぜなら、御家族とか御本人がなかなか努力が足りないというのか、努力が伝わらないというんですか、そういうことに委ねられてしまっているような状況、どのぐらい、多いのか少ないのか定量的にはわかりませんが、そういう声もございます。
行政として、この特養入所についてどうかかわるべきだとお考えでしょうか。
○原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。
特別養護老人ホームの入所に当たります選考基準というんでしょうか、これについては、私ども厚生労働省の省令で一定の考え方を示しておりまして、介護の必要の程度及び家族等の状況を勘案し、入所のサービスを受ける必要性が高いと認められる入所申込者を優先的に入所させるよう努めなければならない、これが基本的な考え方です。
これを実行するために、行政側も一定のかかわりをしなければいけないというのはそのとおりでございまして、具体的には、一つは、入所判定委員会における入所基準をつくる際に、透明かつ公平な運用を図る観点から、関係自治体と関係団体が協議をして、具体的な指針を共同で作成しなさいというのが一点ございます。
また、入所の判断主体である施設、これは御指摘のとおり施設が最終的には判断するわけでございますけれども、この入所指針に従いまして、要介護度や家族の状況などを勘案して入所を決定する際は、入所に関する検討のための委員会を設ける、入所判定委員会を設けるわけでございますけれども、入所の決定はその合議を経るということでございます。
この入所判定委員会の委員には、当該施設の職員等に加えまして、施設職員以外の者が参加することが望ましいというふうに私どもは指導しておりまして、例えば、行政の担当者が委員として参加しているような例もございます。
さらに、当該委員会の協議内容につきましては、施設は、記録した上で二年間保存をし、市町村または都道府県から必要に応じて求めがあった際には、提出をするというようなことにもしてございます。
○重徳委員 わかりました。この点については、私も現場の実情をもうちょっといろいろと声を聞いた上で、改めて、必要に応じて質疑をさせていただきたいと思います。
次に、これも前回議論させていただいたんですが、いわゆる老健ですね。老健が本来の復帰機能を果たしていないのではないか、この点につきましては大臣もお認めになられたと思います。
ただ、前回ちょっと議論がまだ十分できなかったのは、その原因についてどのようにお考えかということなんです。
つまり、実際、復帰機能というものが十分果たされていないので、介護報酬改定の中で少し評価を変えたら、在宅復帰率はちょっと上がった、在所日数はちょっと短くなった、こういう効果が少し出ている、それは改善だと思うんです。ただ、いきなり追い出すというわけにもなかなかいかないしという話があったり、あるいは、長期化したらみとりという場面も必要になるので、みとりについても認めていくというか、一定程度推進していくというような方向性があったりして、いずれにしても、前回は、審議会で今後あるべき役割を議論していきたいみたいな、そういう答弁で終わってしまったんです。
実際、やはり、やるべきリハビリテーション、これは法律上義務づけられているわけですから、これがきちんと適正に行われているのかいないのか、そういうあたりも含めて、この実態をどのように認識して、復帰率が低い原因をどのように捉えておられるか、これについて御答弁をお願いいたします。
○原(勝)政府参考人 介護老人保健施設でございますが、御案内のように、在宅復帰、在宅療養支援のための地域の拠点となる施設である、これが私どもの基本的な考え方でございます。そのとおりでございます。
結果的に、なかなか退所ができないというような方もふえてきているのも、また一方で事実でございます。
この理由でございますけれども、一つは、高齢者の状態というものが個々人によってやはりさまざまでございますので、当初はリハビリをして短期間で退所できると見込んでいたものが、場合によってはなかなか計画どおりいかないというケースもあろうかと思います。
それから、やはり背景には、高齢化の進展と入所者の平均要介護度が実際非常に上昇しているというようなこともあるのではないかと思います。
さらに言えば、私どもは、地域包括ケアシステムということを目指して、地域の中で、在宅サービスあるいは入所サービス、入所サービスも、老健施設あるいは特別養護老人ホーム、こういったようなものを計画的に整備していきたい、ニーズに応じて整備していきたいと考えておりますけれども、地域によっては、やはりなかなかそういうサービスが十分に整っていないところがあろうかと思います。
例えば、ある地域では、老健施設はあるけれども在宅サービスが十分でなかったり、あるいは特養もない、そういう中で、どうしても在宅では介護ができないようなケースが出たときに、やむを得ず老健施設に入所させるというようなことも実際にはやはりあるんだろう。それがいいという意味ではなくて、やはりあるし、それはやむを得ないことではないか。そういう状況の結果として、議員の御指摘のような状態が現実にはあるということでございます。
私どもとしては、老健施設の本来あるべき役割、こういうものを目指しながら、一方で、地域での要介護ニーズにどうきちんと応えていくか、そういうことも、やはり現実的な対応としてやむを得ないところがあるのかなと思っております。
○重徳委員 現実を見るとやむを得ないということを言っていたら話が進みませんので、やはり、これは今度の法案の中身でもありますので、これについてはまたさらに深めていきたいと思います。
とにかく原因をはっきり特定させていかなければ対策の打ちようもないし、あるいは法律上の位置づけを変えていくということをしていかなくちゃいけないかもしれないし、そういうことなしに、後追いで、現状追認みたいな形で、本当に現場も混乱している状況がありますので、この議論はさらにしていきたいと思っております。
次に、前回、胃瘻、経管栄養につきまして、介護職員がもっとできるようにするべきではないかということを申し上げました。そして、平成二十三年の法改正で、一応、法律上は、形上は風穴があいているということではございますが、やはり、教育研修をしっかり受けなきゃいけないとか、医療関係者との連携体制をきちっととらなきゃいけない、それはそうなんですけれども、ちょっと程度物かなというふうに思うんですよね。
この辺、ちょっと詳細を議論していきたいと思うんですが、まず、基本的なこととして、胃瘻を実施できる登録特定行為事業者というのがあるはずなんですが、その数は現時点で幾つあるんでしょうか。
○岡田政府参考人 御指摘の制度は、平成二十四年の四月一日から施行されているものでございますが、直近の数字は、実は平成二十五年四月一日、施行から一年後でございますが、胃瘻または腸瘻による経管栄養の特定行為を実施できます登録特定行為事業者数は、全国で八千三百五十三事業所でございます。
○重徳委員 事業所数だけを見ると、かなりあるように見えます。
これは、いろいろと要件をクリアした事業所が八千以上あるということなんですが、法律あるいはそれに基づく厚生労働省令で、かなり細かい、さまざまな文書をつくらなきゃいけない。組織内部規程、組織図をつくったり、医療機関との連携を文書化しなきゃいけない、計画書をつくらなきゃいけない、報告書もつくらなきゃいけない、業務方法書もつくらなきゃいけない。
ちょっと過度な、過度というか、ちょっと程度物だと私が申し上げたのはそういうことで、実際どのぐらいのものをつくらなきゃいけないのかにもよると思うんですけれども、この辺が現場に大きな負担になっているという感覚はおありではないですか。
○岡田政府参考人 胃瘻などは医行為であるために、安全確保の観点から、適切な医療的コントロールのもとに行われることが重要だと考えております。安全性を確保するための教育であるとか研修を受けた介護職員などが、医師、看護師などの医療関係者との十分な連携を図るための措置を講じた上で行っていただくことが求められているというふうに考えております。
このため、医療関係者との連携確保の視点から、各種の文書の作成を義務づけさせていただいています。これは、具体的には、事業所におきます、胃瘻などの業務に関する関係者の役割分担を明確化するとともに、具体的な業務内容を文書化して関係者が認識を共有することで、安全かつ適正な提供体制の確保を図るために必要だということでございます。
さらに具体的に申しますと、例えば、日々の胃瘻による経管栄養そのものは介護職員が行うにしても、やはり定期的に医師または看護師さんによる診察みたいなものを行ってもらうことが必要だと思いますので、どういう方がどういう形でやるのかということを業務計画として立てていただく、それから、実施の状況を医師に御報告いただくとか、あとは、病態が急変したときにどういうような対応をするのかというようなことをやはり文書として関係者、事業所として共有するというような体制が必要だということでございますので、そういう観点から、必要な文書の作成を義務づけさせていただいているところでございます。
○重徳委員 趣旨はもちろんわかるんですけれども、そこは現場でどの程度の負担感かという、ちょっと主観的、抽象的な質問だったので、何とも答えようがなかったのかもしれません。
それ以上に、事業所というよりは、医行為と位置づけられている胃瘻を実施する介護の職員さんが、実際に、研修を何人受けて、その研修を受けた方が、胃瘻の流動食を注入するというんですか、そういうことを実施した事例というのはどのぐらいあるのか、この点、把握をされていますでしょうか。
○岡田政府参考人 平成二十五年四月一日現在で、喀たん吸引と胃瘻などの研修を修了した認定特定行為業務従事者は、八千三百九十九人となっております。
このうち、実際に胃瘻などの医行為を行っている者の数については、把握をしてございません。
○重徳委員 実際に行われているかどうか把握されていないということですが、それをやっているという話を、私の地元だけかもしれませんが、余り聞かないんですけれども、これから広がっていくのかもしれません。
この研修というのも、五十時間研修を受けなきゃいけないということで、ぱっと聞いただけでも、かなりなものだなと思います。もちろん、必要な知識だとか実習はやらなきゃいけない、これは当たり前のことだとは思いますけれども、ただ、今の仕組みだと、胃瘻と喀たん吸引、いわゆるたんの吸引、それを、受講する人はみんなセットで、両方とも研修を受けなきゃいけない、両方とも演習をやらなきゃいけない。そういうことで、セットでやらなきゃいけないものだから、こういう五十時間という時間になるんです。
喀たん吸引だけを取り上げれば、そこが十九時間。それから経管栄養、いわゆる胃瘻の実施については十八時間。パーツ、パーツで見れば、そんな五十時間なんという膨大な時間をとらないのではないか。それから、演習の回数もかなりあります。そういったことも軽減できるのではないかと思われますし、さらに言いますと、胃瘻による経管栄養というのは、御家族であればできるというルールなんですね。
事前にいただいた資料によりますと、家族が経管栄養を行うというのは、本来、形式的に当てはめると医師法十七条違反になるところを、違法性が阻却されますというわけですね。
その理由は三つあって、家族である患者の治療を目的としたことであること。でも、これは介護職員だって、家族ではないけれども、患者の治療を目的としたものであるのは間違いないです。
二つ目は、医師が家族に対して十分な教育を行っていること。これも程度物で、御家族が五十時間も研修を受けているとは思えませんので、そういうことではなかろうということだと思います。
さらに三つ目は、家族が行うことによる危険の発生よりも、患者の負担軽減による利益が大きいこと。これも、リスクといえばリスクもあるのかもしれませんが、当然ながら必要な行為でありますので、どっちが優先されるかというと、これは言わずもがなであります。
こういった要件を満たしているから、家族は胃瘻による経管栄養ができるんだということなんですが、どうも、業としてやるからという理由で、物すごくハードルが上がっているように見えるんですけれども、このあたりも含めまして、どうお考えですか。五十時間ばっちり受けるということは適切なんでしょうか。
○岡田政府参考人 御指摘の研修の内容につきましては、医療・介護関係者から成ります検討会におきまして、どういう形の研修が適当なのかということのあり方について御議論をしていただいた後、試行的な事業を実施して定められたものでございます。
研修の内容は、たんの吸引であるとか経管栄養の安全な実施の方法、それから、消化器系器官の解剖学的な理解、感染予防や救急蘇生などを含んでおりまして、医療の予備知識のない介護職員が、初歩的な医学知識なども含めて学習するためには必要な時間であるというふうに考えているところでございます。
○重徳委員 御答弁はそうなるんだと思うんですが、大臣にちょっと伺いたいんですけれども、こういったことがなかなか進まない。どんどん進めているというふうには見えないからこういうことを言うわけなんですけれども、この胃瘻というものが一つのネックになって、なかなか、在宅で面倒を見ることができない御家庭においても、当然、介護施設に入所させたいと思っても、胃瘻ということで受け入れられないとか、そういう問題が実際にあって、ですから、結局、これまた行き場のない介護難民という形になってくることの要因の一つだと思うんです。
こういった胃瘻の取り扱いについて、介護職員の胃瘻という医行為、これの取り扱いについても含めて、大臣の御見解をいただきたいと思います。
○田村国務大臣 これは長い経緯がございまして、今言われたとおり、家族は違法性を阻却するということでやれていたわけであります。それに対して、なぜ介護職員ができないんだというような声がずっとありまして、ではというので、関係団体ともいろいろと調整をつけて、法律改正をさせていただいて、二十四年度からスタートをいたしておるわけであります。
五十時間というのが長いんじゃないかという御意見もありますが、一方では、家族が生活の中で対応しておる部分と、やはり業としてやるとなれば、これはそれなりの安全性をしっかり確保しないことには、いろいろと問題が起こってくるわけでありまして、そこでやはり一定程度の研修は必要であろうということになるのであろうと思います。
今、このような胃瘻や経管栄養、それから喀たん吸引等々の問題があって、施設が受け入れづらいというような声があるというのは、一定程度我々もそういう認識はあるわけであります。それはまさに、医療的ケアができる人がいないからでありますので、やはり研修等々、これは都道府県がやっておりますけれども、これに対して国からしっかり助成を出すでありますとか、それから、そもそも都道府県に、しっかりとこういうものを体制整備していただきたい、研修もやっていただきたい、こういうお願いもさせていただいております。
まだ八千四百人程度、これは二十四年度でありますけれども、とはいいますけれども、これをどんどん広げていって、やはり、やれる方がおられないと、それはどうしたって、施設側だって何かあったときのことがございますので心配だということでございますから、機会をふやして、ぜひともそういうことができる介護福祉士の方々を養成していく、これは我々はしっかりと対応してまいりたい、このように考えております。
○重徳委員 ありがとうございます。
非常に前向きな御答弁をいただきました。どんどん広げていくという大臣の決意もいただきました。
最後に、看護師に関連した質問をさせていただきたいんです。
看護職員、これは今、看護職員ですから保健師、助産師、正看、准看、合わせて百五十万人、これを二百万人に、今から二〇二五年に向けて五十万人ふやすという目標が掲げられているはずです。
ところが、現在、非常に看護師さんの数が不足しておりまして、政府も取り組んでいることは存じておりますが、やはり労働力の需要と供給の関係で、かなり高い給料を出さないと、特に民間病院は看護師さんが来てくれない、こういう厳しい現実に直面をしております。
やはり看護師さんも、公立病院の方が何となく、ブランドでしょうか何でしょうか、いろいろ福利厚生も含めて手厚いところも多いので、公立病院志向が高かったりなんかして、そういう意味で、同じ病院でも官と民との間で、かなり人の集まりやすさ、集まりにくさというのが、格差が出てきているというふうに私は受けとめております。
結局、それは看護師さんの配置基準、七対一とか十五対一とか、あれは、診療報酬をきちんともらうためには看護師の数をきちんと配置しなきゃいけない、ひとえにこれにかかっているわけなので、どれだけ給料が、相場が上がってきても、それを払わなきゃ病院自体が成り立たない、こういう非常に厳しい状況に今民間病院は置かれている、そういう病院が多いと私は受けとめております。
このような民間の病院の経営あるいは経営環境につきまして、看護師の確保という観点からも、ここはぜひ大臣にも、民間病院の意義、地域における民間病院の存在意義と看護師の確保、そういった面からコメントをいただければと思います。
○田村国務大臣 日本の場合、民間病院の方が数も病床数も圧倒的に多いので、民間病院がなければ日本の医療は成り立たぬわけであります。
看護師不足に関しては、絶対的な数というのもあるんですが、それ自体は海外と比べて余り遜色ないわけでありまして、病床数の多さというのが一つだと思いますが、七対一看護を進めてまいりました。思った以上にふえまして、今、三十六万床、こういう状況でございます。
やはりこれは、重症性でありますとか、あと、救急性というものが重い、こういうものに関して本来は対応するべきであったわけでありますが、我々が思った以上にふえてしまったということもございまして、ここの要件はしっかりと見直していかなきゃならぬということで、今般の診療報酬改定に入ったわけであります。
あわせて、受け皿も必要でございますから、これは、地域包括ケア病棟という形の中において、十三対一という中においてこれに評価をしっかりやっていくという中で、誘導もしていこうというふうに考えております。
あわせて、七十二時間の残業時間を超しますと、これは月の平均でありますけれども、減算になるんですが、なかなか今すぐにというわけにはいかないものでありますから、三カ月ぐらい猶予期間を見て対応しながら、誘導していこうということを考えております。
看護師の問題に関しては、いろいろな問題があります。
ただ、ここも、それこそ、医療の現場の勤務環境改善をこの法律の中に入れさせていただいておりますし、あと、ナースセンターで復職支援でありますとか、さらに届け出制度、これも法律の中に入れさせていただいております。
こういうことをやりながら、しっかりと看護師の確保ができるように、また、復職もしていただけるような環境を整えていく、離職の防止も進めていく、こういうことを総合的にやりながら、五十万人という数字をしっかりと確保してまいりたい、このように考えております。
○重徳委員 終わります。ありがとうございました。