○渡辺委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 改革結集の会の重徳和彦です。
本日三月十一日、東日本大震災から五年がたちました。亡くなられた方々に心から御冥福を申し上げますとともに、御遺族の皆様方に改めてお悔やみを申し上げます。
いまだふるさとに戻ることのできない方々、復旧復興に御尽力されている皆様方に対しまして、国を挙げて支援をしていくということを改めてお誓い申し上げまして、質問に入らせていただきます。
きょうは、育児休業制度について質問をさせていただきます。
資料を配付しておりますが、新旧対照表、第五条があるんですね。これが改正されるという内容ですが、これは堀内委員の質問のときに、育児休業、その労働契約が満了することが明らかでない者は申し出をすることができるとありますが、この内容は、その書面上、契約上、更新しないとか更新回数の上限に達するということが明らかである場合じゃないということですね。
「明らかでない」というのはそういうことだと思うんですが、わかりにくいという批判、指摘を非常に受けておりますので、この点、香取局長、きちんとこの趣旨を周知徹底するようにしていただきたいものですから、こういうことを要望申し上げますが、一言お願いします。
○香取政府参考人 御答弁申し上げます。
条文の立て方は、法制局とも相談して条文をつくりますので、わかりにくいということは確かにあろうかと思いますし、その点は御容赦いただきたいと思います。
今お話ありましたように、この条文の趣旨は、育児休業期間中、一年六カ月の間にあなたはもう契約が終わります、つまり、育児休業が明けたときにもう雇用計画がないということが明らかでない場合はできますよということですので、例えば、一年半の間、一年二カ月で契約が終わる、その時点でもう雇いどめをします、あるいはもう更新はしませんということがあらかじめ明らかでない場合は、基本的にはとれるということです。
これは、条文の解釈上も、審議会の御議論もそういうものとしてこの条文はつくりましたので、その趣旨は、今後、成立した後、各企業さんあるいは経営団体を通じて、指針等でもお示しをしますし、指導もいたしますので、ここは、先生の御指摘のように、この趣旨をきちんと明らかにして、御理解いただいた上で運用ができますようにということで努力したいと思っております。
○重徳委員 よろしくお願いいたします。
それから、同じ資料の、十六条の二、これは看護休暇なんですよね。子供が病気になったときなんかに使う看護休暇。これが、新設された第二項によりますと、「厚生労働省令で定める一日未満の単位で取得することができる。」というふうにあります。
この省令ではどのような一日未満の単位を設けようとされているのでしょうか。
○香取政府参考人 看護休暇でございますが、現行法では一日単位ということになってございます。これについては、実際に休暇を使うときの使い方をできるだけ柔軟にという御議論がありまして、分割できないかということで、これは審議会でも御議論になりました。
一つは、柔軟な休暇が取得できるようにしたいという御要望と、他方、事業主側からしますと、非常に細かい労働時間管理をしなければならなくなるということで、これは、先ほどからも議論がありましたように、労働法規なので、最低基準法規ということになりますので、中小企業も含めて全て必ず適用されるということになりますので、実際に管理ができるかどうかで議論になりまして、最終的には、法律上の規定の仕方としては半日単位ということにしましょうということになりましたので、この省令では半日単位ということで規定をするということになります。
これは、申し上げたように、やはり業種ですとか業務内容によっては、なかなかそういう時間単位が難しくなるということで、こういう単位にしてございます。
ただ、これは、いわば最低法規ということで私どもお示しをすることになりますので、例えば、現場の労使のやりとりでありますとか、あるいは、事業主側がある程度そういう対応ができるということであれば、時間単位でもうちょっと細かくやるということはもちろん可能ですので、指針等で、その点については、現場の労働実態や労働者側の御要望を踏まえて柔軟に対応していただくようにということで、それはそれとして、最低基準を置いた上での各企業への働きかけ、指導というのはやってまいりたいと思っております。
○重徳委員 資料を二番目につけておりますが、現行の法律に基づく指針が今でもあるんですね。その2の(3)で既に、指針上、「時間単位又は半日単位での休暇の取得を認めること」と書いてあるんですよね。省令をわざわざ今回つくるがゆえに、省令で半日単位と書きながら、実は時間単位でもいいよというのは、すごく、これまた周知されにくい、誤解を招きやすい仕掛けになっていると思います。
今、現行で既に「時間単位又は半日単位」と書いてある以上、決してこれは誤解が生じないように、しっかりとこれも周知徹底を引き続きお願いします。
それから、この資料の7に記載があるんですが、現行の法律の第二十二条、これは雇用主が行うべき雇用管理等に関する措置、これは努力義務なんですけれども、育休をとった方が、もともとの、原職ですね、もとの職に、原職または原職相当職に復帰させるということがあるべき姿だと思うんですが、この指針では、これは今回の法律改正事項とは関係ないんですけれども、法律が二十二条でただでさえ努力義務である上に、このアンダーラインがしてあるところに、今の指針では、「原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮すること。」という、これまた何だか、法規範としてこんなルールの書き方があるのかという書き方になっているように思います。
「原則として」とか「配慮すること。」と、相当和らいでいる上に、「多く行われているものであることに配慮すること。」非常にこれはわかりにくいですね。書くならぴしっと書くべきだと思うんですよ。原職または原職相当職に復帰させるよう配慮することとか、それでも配慮ですし、原則としてですし、しかも、この指針は法律上の努力義務に基づくものですから、何ら法律上義務づけるものではないわけですね、努力義務ですから。何らと言うと言い過ぎですけれども。
もう少しこれはきちんとした書き方に直せないものでしょうか。局長。
○香取政府参考人 御答弁申し上げます。
先ほど申し上げましたように、労働法規の仕掛けというのは、法律上は最低基準でかなり厳しい基準を決めまして、違反しますと法違反ということになっております。
そうしますと、これは逆に、全ての企業に必ずひとしく適用されるということなので、厳しい規定を置き、かつ、いわばできるところはそれのプラスアルファでさまざまな施策をやってくださいということを指針で書いて、私どもは指導でお願いする。先ほどの例でいいますと、半日単位というのは、もう指針レベルではなくて、法律の最低基準に上げられるだろうということで今回も上げた、基本的にはそういう構成になってございます。
今お話しの原職復帰のところなんですが、これは、今回ではなくて、前々回、過去の制度改正の中で議論されたことですが、法律の二十二条は、実はもっとさらに、そこまで書いてございませんで、労働者が実際に育児休業する際に、事業所や事業活動に支障が及ぶおそれがあることや、育児休業を取得した労働者が職場復帰する際に不安を抱く場合が多いことを踏まえて、事業所における労働者の配置等の雇用管理や休業中の能力開発や向上等について必要な措置を講ずる努力義務、そういう規定になっています。
では具体的にどういう措置を講ずる努力義務があるのかということが実は指針に書かれておりまして、指針は、今先生が御指摘になったところですが、原則として原職または原職相当職に復帰させることが多く行われることについて配慮しなさい、こういう書き方になっています。
これは何でこういう書き方になっているかということなんですが、基本、原職復帰ということは私どもも申し上げているわけですけれども、いろいろな労働現場もありますし、サービス業もありますが、いろいろな現場で、例えば、休職をしますと、穴をあけておけないので、後任する者の手当てをして、それで仕事を動かしているというような場合もありますし、あとは、もっと短いローテーションで人事をしているケースなんかですと、通常の人事のローテーションでも同じところに帰らないケースというのはございますので、必ず一律に原職に戻せということを法律上できちんと明記するというのは、なかなか、やはり実際の雇用管理なり仕事には合っていないのではないかということで、現在こういうような書きぶりになっているということです。
他方、職場復帰するときに、通常の人事異動のルールでは説明できないような異動をする、あるいは、本人の希望しない、明らかに不合理な職場に動かすということになりますと、これは、こちらの法規ではなくて、むしろハラスメントの方の規定で、育休をとった場合の不利益取り扱いの禁止、これは法律上の禁止規定で規定が入っておりますので、そういう説明できない不合理な配転とか、原職復帰でない職場の異動がありますと、むしろ、こちらの禁止規定の方で、こちらは強制法規なので、取り締まるなりあるいは御指導申し上げるという形で対応するということになります。
○重徳委員 ちょっと時間が過ぎていますけれども、今の質問は、「多く行われているものであることに」という、そういうような回りくどい言い方は何とかならないかということなんです。その点をお答えください。
○渡辺委員長 簡潔にお願いします。
○香取政府参考人 申しわけありません。
この書きぶりは、今申し上げましたような経緯があって、労使と調整をして今はこの書きぶりになっているということでございます。
とりあえず今はこうなっていますが、今後、育児休業法も見直しをして新しく運用いたしますので、この中で、労使で議論させていただいて、ある程度、もうちょっと、実際の運用との関係でいい書きぶりができるということが労使で合意できれば、書きぶりについては考えたいというふうに思っております。
○重徳委員 こういう細かい指針に基づいて現場は動いていますので、ぜひきめ細かい配慮をきちんとして、ちゃんと世の中が前に進んでいくように、法律ももちろん大事ですけれども、省令、指針も極めて重要なところですので、きょうはあえて指摘をさせていただきました。これからもよくよく見ていきますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。