○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。重徳和彦君。
○重徳委員 重徳和彦です。
児童福祉法改正、とりわけ児童虐待についての審議でございます。
とりわけ、児童相談所、子供の保護、一時保護をするに当たりまして、その親の事情をどうしても考慮してしまって支援がちゅうちょしてしまうというような場面もあって、ことし二月の相模原のような事例が出てきてしまったという認識に立っております。
きょうは、その意味で、やはり縦割りという問題があったり、あるいは、今、一つの児童相談所がやっていること、これを少し機能を分担するべきじゃないか、適切に役割分担をするべきじゃないか、こういった観点から幾つか質問させていただきたいと思います。
まず初めに、資料一をごらんいただきますと、今回の法改正の附則で、今後検討することがたくさんあるんですね。ちょっと線を引いてあるところだけを見ても、「裁判所の関与の在り方」、「児童相談所の業務の在り方」、「要保護児童の通告の在り方」、いろいろあるんです。
この中で、まず、通告についてなんですけれども、児童相談所、基本的には県の機関です、これと市区町村、これが大きく二つに分かれているというふうに見た場合に、やはり児童虐待の通告窓口を一元化するべきじゃないか。今、一八九、「いちはやく」という電話のダイヤルも全国統一でありますけれども、これも基本的には児童相談所への通告なんですけれども、これをやはり一元化して、児相に入った情報は地元の市町村にもちゃんと入る、こういう、窓口を一元化すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○三ッ林大臣政務官 お答えいたします。
虐待が疑われるケースの通告につきましては、現行法上、通告の抵抗感を取り除き、できる限り早期に連絡が行われるようにするという考え方に立ちまして、市町村、児童相談所等、なるべく身近な地方公共団体で受けることとされております。
このことにつきましては、通告する側に緊急度の判断を求め、通告先の選択を強いているとして、一八九、児童相談所全国共通ダイヤルを活用することを含め、都道府県ごとに、リスク評価を行うことができる機関に通告先を一元化し、そこで適切な担当機関に振り分ける仕組みとすべきとの指摘がございます。
他方、このような通告窓口を一元化するという考え方につきましては、なるべく早い段階で多くの情報を得るため通告窓口は多い方がよいのではないか、電話のみで適切な判断ができるか、新たな機関を創設するとその機関との間で連携の問題が生じ得るのではないかといった指摘もございます。
厚生労働省といたしましては、通告窓口のあり方に関するモデル事業を実施することを検討しておりまして、その評価等を踏まえつつ、虐待が疑われるケースの通告のあり方については、具体的な検討を今後進めてまいりたいと考えております。
○重徳委員 政務官が言われるように、両方考え方があるということでありますが、大事なことは、やはり、どこに情報が入ってもそれがちゃんと共有される、そして、単に自動的に共有されるというよりは、それをきちんとさばく役割が大事だと思うんですね。
そこで、質問ですが、資料二をごらんください。
今回の法改正によりまして、市町村の協議会、これは要保護児童対策地域協議会、この協議会における調整機関、窓口ですよね、事務局です、そこに、専門的な知識及び技術に基づき事務を適切に行うことができる者として厚生労働省令で定めるもの、これを調整担当者というんですが、調整担当者を置くものとするというふうに定められていますね。そして、調整担当者は、厚労大臣が定める基準に適合する研修を受けなければならないとあります。こういった条項が新しく入りました。
この調整担当者、極めて肝だと思うんですよ。これは大抵、市町村の一部局だと思うんですよね、児童福祉課あたりが担当だと思いますけれども。そこの調整担当者、これをどういう人材を置くかによって、大きく連携の状態が変わってくると思っています。
今も、努力義務ではありますが、厚生労働省令で定める調整担当者的なものを置くようになっていまして、それでどう定めているかというのがこの資料三なんですが、児童福祉法施行規則ですね。ここにありますように、「厚生労働省令で定めるものは、児童福祉司たる資格を有する者又はこれに準ずる者として次の各号のいずれかに該当する者とする。」、保健師、助産師、看護師、保育士、教職の普通免許状を有する者、そして児童指導員ですね。
これは単に資格を示しているだけなんですけれども、こういう資格を持ってさえいれば高度な調整ができるとは到底思えないんです。
したがって、今度必置となるわけですから、この厚生労働省令、もっと質的な担保もするような要件にするべきじゃないかと思いますし、この研修の中身も、「厚生労働大臣が定める基準」と法律上はなっていますが、どんな基準にするのか、このあたりを教えてください。
○三ッ林大臣政務官 お答えいたします。
要保護児童対策地域協議会、要対協ですけれども、これは、住民に身近な市町村レベルにおきまして、保護や支援が必要な子供や妊産婦について、市町村、児童相談所、警察、学校、医療機関といった関係機関等が連携し、適切に対応できるよう、情報の共有、連携して支援を行うための方針の策定、具体ケースの支援に関する連絡調整等を行う仕組みでございます。
その中で、調整機関は、関係機関間の調整、協力要請、責任を持って対応すべき支援機関の選定、支援の進行状況の管理、評価などの業務を担っているところであります。
この調整機関に配置される調整担当者には、個々のケースに応じて関係機関の対応を統括し、実効ある役割を果たすことができるよう、保護や支援が必要な子供、妊産婦の心身の状況を的確に把握し、適切な支援が受けられるよう、関係機関の調整を行う能力が求められております。
こうした調整担当者は、現行の省令上、児童福祉司たる資格を有する者、保健師、助産師、看護師、保育士、教員免許を有する者、児童指導員とされております。
今後の取り扱いについては、施行までの間に、地方公共団体の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。
また、受講を義務づける研修の主な内容といたしましては、関係法令に関する基礎知識、保護や支援が必要な子供、妊産婦の総合的なアセスメントとリスク管理の手法、関係機関をコーディネートする知識、技術、個別ケースの管理やカンファレンスの運営方法などを想定しておりまして、専門職の能力向上に資する内容となるよう、今後、協議の場を設置いたしまして、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
○重徳委員 研修の内容はもちろんしっかりやっていただくわけですけれども、どういう人がこの調整担当者となるのかというのは本当に肝ですから、今の規定のままでは、これは何か、質的なものは全く担保されていないと思います。
今、三ッ林政務官が言われたように、本当に多岐にわたる、そして高度な業務ですから、これを省令にきちんと位置づける必要があると思っております。省令がそういうものになっていくというふうに考えてよろしいですか。
○三ッ林大臣政務官 そのようにやってまいりたいと考えております。
○重徳委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、児童相談所のあり方としてよく言われることが、資料四、ことしの三月十日に出された専門委員会の「報告(提言)」の中でも、児童相談所の強化のための機能分化が必要だという提言がされております。アンダーラインを引いてあるところにあるように、「保護機能と支援機能を同一機関が担うことによって、保護後の保護者との関係を考慮するあまり必要な保護が躊躇され、場合によっては子どもを死に至らしめるといった事態が生じている」ということなどなどがありまして、機能を分化させるべきじゃないか、一時保護と、親、家族のその後の支援、これを機能分化させるべきじゃないか、こういう意見が出されております。
一方で、一番下のところには、「複数機関への分離により狭間に落ちるケースが生じる可能性があるといった意見」もあるという、これは非常に理解される、組織論としては、当然、こういう両方の指摘があるんだと思います。
しかし、ここまで提言でなされていますけれども、今回の法案には全くこの機能分化については触れられておりません。
したがって、大臣にお聞きしますけれども、まず、この報告書をどう受けとめておられるのかということと、それから、せめて、児童福祉司さんが、そういった子供の立場、親の立場、両方をおもんぱかって、なかなか、一時保護すらちゅうちょしてしまうというようなケースが認められる場合には、そこはやはり、例えば複数の児童福祉司さんで担当するとか、組織が機能分化というのは大きな、本当に大ごとだと思いますが、現場における改善としては、やはり担当職員を少し手厚くするとか、そういったことが解決策になってくると思うんですが、このあたりの考え方を御答弁願います。
○塩崎国務大臣 児童相談所は、児童虐待への対応に当たって、問題の程度とか緊急度に応じて、親子の分離というのを二十八条を含めていわゆる介入でやるというのと、一方で、再統合、これは支援になるわけですが、この両面の機能を担うところがありまして、これを同一組織でやっているものですから、これは児相の方に聞きますと、やはり、親から引き離さなきゃいけない時期に親との難しい関係を乗り越えながらやって、今度は再統合の時期を迎えたときに、そのときに、かつてのことをやはり記憶されていてなかなかうまくいかない、こういうことをよく聞くわけでありまして、この親子分離を行った場合、その後の保護者との関係が非常に難しいという懸念がございまして、児童の迅速な保護、支援に支障が生じるということが間々あるんだということを指摘されているわけであります。
一方で、これを是正するために児童相談所の機能や組織を分化するということについて、この専門委員会でも大分議論がありました。この考え方について、実施方法等にもよりますけれども、児童相談所の機能のみならず組織も分ける場合には、支援の流れが複数の組織に分断されてしまうということで、かえってエアポケットができて、そこにおっこってしまうケースが出てきちゃうんじゃないか、あるいは、一方で、独立をしておのおのの機能を実現する上で必要となる専門人材や標準的な業務内容等について整理が不十分かつ曖昧というようなことも指摘をされているわけであります。
だから、いずれにしても、やはりこれは児童相談所の体制そして専門性の強化が必要であることから、四月の二十五日に策定した児童相談所強化プランに基づいて、まず、児童心理司、医師、保健師、児童福祉司への指導、教育を行うスーパーバイザー等の専門職の配置を法律に規定して、そういった指導者をはっきりさせる。それから、職種ごとに配置基準を設定する。あるいは、平成三十一年度までに専門職を合計で千百二十人増員することになっておりますけれども、大幅な増員目標を定める。そして、児童福祉司などの研修義務化によって資質を確保していく。そういうようなことで、いずれにしても、児童相談所の強化を着実に進めつつ、一方で、モデル事業として機能分離をするといったケースをやってみるとか、そういうようなことを今、予算事業で考えているところでございまして、改正法附則の規定に基づいて、児童相談所の機能、組織を含めた業務のあり方について、今後、具体的なモデル事業を使った検討をやっていこうというふうに思っております。
○重徳委員 いろいろと現場における試行錯誤、苦悩というものもあると思いますので、それに即して現場の改善がなされるように取り組んでいただきたいと思います。
もう一つ、きょうは法務大臣政務官の田所政務官に来ていただいておりますが、家庭裁判所も家庭にある意味介入する一つの大きな役割を果たす機関だと思うんですけれども、ちょっと調べてみますと、間接的なかかわり方しか今はないと思うんですよ。
資料の五をごらんいただきますと、児童福祉法の二十八条に、家庭裁判所は、当該保護者に対し、これは保護者側の指導が必要な場合ですね、保護者に対し指導措置をとることが相当であると認めるときは、都道府県に勧告することができる、勧告までなんです。
これは今回の法改正とは関係ないところですが、もっと直接的に介入する、指導措置をとる、あるいは治療が必要であれば治療命令を出す、こういったことにまで踏み込んだ対応をして、児童相談所と適切に役割分担をするべきじゃないか、こういう考え方もあるんですが、法務省としてはいかがお考えでしょうか。
○田所大臣政務官 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、現行児童福祉法第二十八条五項は、家庭裁判所が、都道府県の措置に対する承認の審判をした場合に、児童の保護者に対し指導措置をとるべき旨を都道府県に勧告することができることとしており、家庭裁判所が、児童の保護者に対し、都道府県の指導に従うように直接勧告することができるという制度にはなっておりません。
現行法がこのような制度をとっているのは、保護者に対する指導措置は本来的に行政作用であるところ、裁判所がこれに従うように保護者に直接勧告することとすると、行政のチェックを行うべき立場にある司法が行政の側に立つということになりかねず、司法と行政との役割分担という観点から問題があると考えているところにあります。
委員御指摘のように、裁判所が直接保護者に対して都道府県の指導に従うように勧告する制度を設けるべきであるという議論があることは承知をいたしております。
しかしながら、平成二十三年に民法及び児童福祉法等の改正を行った際にも、社会保障審議会において、「司法と行政の役割分担の中で、裁判所が行政の処分を受けるよう保護者に対して勧告するのは、法制的に難しい面がある」と結論づけられているということを認識しております。
もっとも、実務におきましては、家庭裁判所が、都道府県の措置に対する承認の審判をし、都道府県に対し児童の保護者に対する指導措置をとるべき旨を勧告した場合に、家庭裁判所の意向を保護者に適切に伝え、家庭裁判所の勧告を実効性あるものにするという観点から、現在、家庭裁判所においては、勧告書の写しをその保護者にも送付するということもあるというふうに聞いております。
そのような状況のもとで、委員御指摘のような法改正をすることについて、その必要性の有無を考えて、法務省においても、これまでの検討の経緯や実務の運用状況等を踏まえて、さらに検討していきたいというふうに思っております。
○重徳委員 現時点ではそういうことなんでしょうけれども、やはり縦割りを超える話として、司法にも介入するべき場面というのはあると思います。
今、本当に、実質的にはいろいろなこと、言いたいことが山ほどあるのに、非常に間接的にやっている、こういう状況でありますから、建前ばかりじゃなくて、実際にそういう機能をもっと強化するということは大いにあり得る選択肢じゃないかなというふうに思っております。この点についてはまた議論させていただきたいと思います。
そして、次に、子供を一時保護するに当たりまして、親の声というのがやはりどうしても児相の現場におられる方にはどんどん入ってくると思うんですけれども、子供の立場をもっと代弁する、そういう機能もなければ適切な対応ができないんじゃないか。
こういう観点に立ちますと、今回の法改正の中で、同じ資料五にありますが、第八条六項、児童福祉審議会に権能を持たせていますね。児童福祉審議会は、児童に対し、その出席を求め、その意見を聞くことができる、こういう改正があるわけなんですけれども、これは実効性があるのかなと思うんです。
さっきから言っている、機能を分離するというようなことをもって一時保護とまた再統合ということを分ける、こういう考え方はわかるんですけれども、児童福祉審議会で意見を聞いて、一体どのように扱われるんでしょうか。
○塩崎国務大臣 これは、相模原の事件で、今、相模原が検証を行っておりますけれども、子供本人の思いをしっかりと受けとめることができなかったということが一つ、一時保護などで子供の安全確保を第一とした対応が実行できなかった、こういう問題があったのではないかと思っております。
こうした事態を繰り返さないようにするために、今回の改正案では、まず、子供の権利を法律上明確に位置づけて、子供の意見が尊重されて、最善の利益が優先されて考慮されるということを明確化しました。
また、子供の安全確保を最優先とした対応を行うために、まず、改正案では、子供の安全確保、心身等の状況把握といった一時保護の目的の明確化をするとともに、児童相談所における専門職の配置、さらには、児童福祉司の研修受講の義務づけでキャパシティービルディングをするということを盛り込み、それとあわせて、一時保護を行うべき具体的なケースや考え方を明確化して通知や研修等によって徹底するということで、迅速かつ確実に一時保護などの措置がなされるように取り組まなければならないと考えております。
今の児童福祉審議会でありますけれども、都道府県の審議会は、例えば、一時保護の延長などについて審議をするなどして、子供自身の権利を擁護していくために、子供や家庭の意見を聞く、つまり、子供本人からも意見を聞くということなどの手続を今回の改正案で新たに設けることにしておりまして、あわせて、子供や関係機関から、行政、つまり児童相談所などの処分等について児童福祉審議会が直接苦情を受け付けるということなども検討していきたいと思っております。
こうした施策を組み合わせ、子供の思いをしっかり受けとめられるように取り組んでいきたいというふうに考えております。
○重徳委員 子供の意見を直接聞くというのは一歩前進だと思いますけれども、結局、それを総合判断するところが今までどおり児童相談所であり、担当する児童福祉司さん一人でやっているということである以上、やはり、両方の仕事、分離と再統合、両方を一人であるいは一つの機関でやらなきゃいけないというのは同じことですから、児童福祉審議会の、機能の検証ということも必要じゃないかなというふうに思っておりますので、今後、施行された後もフォローアップが必要だと考えます。
さて、次に、午前中に阿部委員からも質問がありましたが、チャイルド・デス・レビューについてお尋ねいたしたいと思います。
チャイルド・デス・レビュー、厚生労働省が把握をしている虐待による死亡件数は、多く数えても九十件程度、少ないと五十から七十ぐらいの年間件数だというふうに把握をされているようですが、四自治体における調査に基づきますと、推計すると全国で三百五十人ぐらい毎年虐待で死亡している子供がいるんじゃないか、こんな推計があるわけですね。
また、厚生労働省の研究班の別の調査によりますと、虐待死じゃないかというふうに医療機関が判断したものを児相とか警察に伝えても、そのうちの九割はそのままほっておかれているというか、こういうような話も聞いております。
このチャイルド・デス・レビュー、死因の究明は、ロサンゼルスでは一九七八年からやっているわけですから、日本で今これだけ大きな問題になっている児童虐待に対する対応としては、今すぐやっても遅過ぎるぐらいのことだと思います。
先ほど、午前中の塩崎大臣の御答弁によりますと、目的は、もちろん死因の究明だけじゃなくて、予防対策もちゃんとやるんだと。これはごもっとも、そのとおりだと思います。
一方で、モデル事業をやられるんだ、こういうことを検討しているということなんですが、ただ、今の法律のままでモデル事業をやるというのは限界があると思うんですね。
なぜならば、これは単なる医療的な死因究明だけじゃなくて、やはり警察の捜査情報も、捜査真っ最中じゃだめかもしれないけれども、一定のめどがついた後にはそういった捜査情報だって提供してもらう必要があるし、あるいは、運ばれた死体を単にお医者さんが見るだけじゃなくて、どういう状況でその子供が死に至ったのかということは、その現場の検証なんかもやらなきゃいけない。こういうことを、果たして医師や保健師がそんなことをやれるんだろうか、能力的にも、あるいは権限としても、そんなことができるんだろうか。個人情報、警察情報、いろいろな壁が現行法上あるんですよね。
こういったことを乗り越えなきゃまともなモデル事業はできないと思いますが、どこまで本気のモデル事業をやられるんでしょうか。大臣、お願いします。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおり、新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会から報告書が出ておりまして、そこに、海外で行われているような子供の全ての死の検証を行うことができるようなモデル的取り組みから検討すべきだというふうに指摘がされているわけでございまして、全ての死の検証をするというのはなかなか大変でありまして、先ほど配付をされた資料からも、いろいろな形の、解剖などもあって、了解を得なければいけないということも多々あるわけでございます。
こういうことで、子供の死亡事例の検証について、例えば、海外でどういうふうなことをどういうふうにやっているのかというようなことをよく参考にしたモデル事業のパターンを考えて実施をしてみるというようなことをしながら、虐待死を含む予防可能な死亡から子供を守るために必要な取り組みについて検討しなければならないわけであります。
要は、虐待死かどうかがよくわからないものを、それをどうすくい上げて、解明できるようなモデル事業ができるのかということについて、さらに検討を深めていかないといけないなというふうに思っておりまして、何か、これでいくみたいな形で既に決まっているわけではないということでございます。
○重徳委員 まだ何かモデル事業のあり方を検討するぐらいの段階かなという印象を受けますね。
本当に法律上の根拠がなければできないことが山ほどあります。アメリカでも、項目でいうと千七百項目について調査をするというのがチャイルド・デス・レビューですから、生半可なことではありません。
そして、公表した死因、あるいは死因にまつわるいろいろなことを究明することが予防につながる。予防というのは、死体を見ただけでは予防なんかできないわけですから、したがって、そういう意味では、本気で、省庁横断で取り組まなきゃいけないことですから、この点についても、法的根拠も含めて、これはむしろ立法府側の役割かもしれないというふうに考えておりますので、政府と議会、国会の方で連携して取り組むことができればと考えております。
最後に、去年十月二十八日に通知が出されました協同面接、これについて、その実施状況をお尋ねします。
これは、虐待された児童に対しまして、これまでは児童相談所、警察、検察が別々に、縦割りで同じことを、虐待された、一番この世の中で苦しんでいるその子供に対して同じことを繰り返し聞くことで、二次的な精神的被害、これはもう一生引きずります、こういう状況を生み出してしまっているこの縦割り行政を改善するために、去年の五月に、私、法務委員でしたけれども、この厚生労働委員会で塩崎大臣にも御質問差し上げて、その後、その結果として、通知が出されたと思います。
その三機関を代表して一人の面接者が面接をするということで虐待児童の負担を軽減するというものでございますが、その実施状況、件数、そして、実際にどういうふうにやって、どういうふうな内容で行っているのかということをできるだけ詳しく教えていただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 例えば、性的虐待を受けた被害児童など、心に深い傷を負ってしまった、そういう子供さんから被害の状況等を複数のところが複数回聞くという際には、やはり、子供の心理的な苦痛、恐怖あるいは不安を理解して配慮することが必要だ、子供のペースを尊重しながら丁寧に話を聞いていくということも大事、話を聞くことが被害児童にとっては出来事の再体験ともなって二次被害にもなりかねないということでありますから、十分に配慮するということだと思います。
このため、子供の虐待に関する基本的な対応のあり方を示す「子ども虐待対応の手引き」において、例えば、必要な情報を一人の面接者が集中して話を聞くなどで、同じ内容の話を子供が繰り返ししなくてもいいようにする工夫についてお示しをしてきたところでございます。
昨年十月、今お話がありましたが、さらなる心理的負担の軽減と聴取内容の信用性を確保するために、都道府県等に対して通知を発出しました。協同面接の実施を含めて、調査や捜査の段階で、可能な限り、子供から同じ内容の話を繰り返し聴取することのないように、面接、聴取方法等について、児童相談所、警察、検察、この三機関で協議をして実施していただくことになりました。
昨年の十月から十二月にかけての実施状況を見ますと、児童相談所、警察、検察の三機関を代表した一人だけが面接を協同でやったというのが十一件、それから、児童相談所、警察の二機関を代表した一名によっての面接が十三件となっておりまして、今後とも、こうした取り組み事例を分析、評価して、いい事例を周知するということなどによって、虐待を受けた子供の一層の心理的負担の軽減に資するようにしていきたいと思います。
○重徳委員 時間が来ておりますので終わります。
まだまだ取り組みが入り口というものもたくさんあります。横断的な取り組みというのが極めてこの児童虐待の分野は大事ですので、これからも引き続き私自身もフォローアップしてまいります。よろしくお願いします。
ありがとうございました。