○谷委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。
きょうは十五分間いただいております。三点、大きく質問をさせていただきます。
まず一つ目は、投資用不動産への融資審査の明確化についてなんですけれども、スルガ銀行のシェアハウス向け融資の問題というのがありました。この再発防止のために投資用不動産への融資審査の適正化というのが必要だと思うんですね。
適正化というと、適正化、いいことだというふうにしか聞こえませんけれども、実際の現場では、融資が要するに厳しくなったというふうに受けとめられるケースが多いと思うんです。どうすれば融資してもらえるのか、その基準もはっきりしなくて全然わからない、こういうケースもあると思います。
そういう意味で、本当にいい、良質な不動産投資まで萎縮することがないように、例えば、自己資金、預貯金残高などの最低限の外形的な基準については国が示すとか、あるいは、各金融機関が一応内部規定を持っていると思いますので、それを対外的に何らかの形で明らかにする、こういったことができないかと思うんですけれども、金融庁、いかがでしょうか。
○水口政府参考人 お答え申し上げます。
金融機関におきましては、融資の審査における基準やプロセスというものを内部規定で定めておりますが、例えば、物件の取得資金の一部を自己資金で賄うよう顧客に求めるケースも多いものというふうに理解してございます。
このような中で、金融機関における審査の基準を当局が示すかどうかにつきましては、金融機関によるいわゆる創意工夫若しくは自主的な判断を妨げるおそれがあること等に鑑みまして、金融庁としては、個々の具体的な基準というものを示していないところでございます。
また、金融機関が内部規定を対外的に明示するかどうかにつきましては、基本的に金融機関において判断すべき事項でございますけれども、その判断に当たりましては、例えば融資の審査では、物件の収支見込み若しくはリスク等も勘案して総合的な判断を行う必要がございますが、この中で、必要な自己資金若しくは預貯金の残高等の水準を一律に示すということは通常なかなか難しいと思われますこと、また、審査基準を明示いたしますと、審査を通りやすくするために実態と異なる情報が顧客等から提示されるおそれもあること等の事情が一般的に考慮されるものと考えてございます。
ただ、いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、金融機関において、適切なリスク管理、顧客保護を前提とするような融資が行われるということが重要であると考えてございまして、金融機関がみずからの顧客の財産、収入状況を把握するなど、適切な管理体制が構築されるように幅広く金融機関に対して促していきたい、働きかけていきたいというふうに考えてございます。
○重徳委員 一概に示すのは難しいというのが、一言で言えば今の答弁なのかなと思うんですけれども。
確かに、賃貸住宅、サブリース契約、本当にトラブルが相次いで報じられているので、何となくイメージは悪化している感じがします。だけれども、しかし、投資というのは、もちろん悪い投資もあるかもしれないけれども、良質な投資であれば、これは経済活性化のためにも社会の発展のためにも必要なことだと思うんですね。ですから、金融庁は、とりあえずきょうの時点では今のような御答弁でありますけれども、むしろ国交省側として、もっともっと現場の実態を把握したり、不動産業界の意見をヒアリングしたり、それから、それこそ金融庁ともっと連携して、こういう適切な投資環境というものをつくるために国交省も取り組まなきゃいけないと思うんです。
明確な基準がないとなかなか投資が、あるいは融資を受けられない、こういう状況を何とか、大臣として、いい方向に持っていけるように取り組んでいただけないでしょうか。
○石井国務大臣 サブリースに関しましては、サブリース業者と家主との間での家賃保証をめぐるトラブル等が多発していることを踏まえまして、国土交通省におきましては、平成二十九年の九月より検討会を開催をいたしまして、登録制度の法制化を含めまして、今後の賃貸住宅の管理業のあり方について検討を深めてまいりました。
この検討会におきまして、賃貸住宅管理業の枠組みについて、より実効性のある形で制度の構築、改善を図っていくことが必要とした上で、投資用不動産をめぐるトラブルが多発していることに鑑み、実態を詳細に把握した上で、法制化に向けた検討を進めるべきとの提言が昨年十月に取りまとめられたところであります。
国土交通省といたしましては、多様化しておりますトラブルの実態を正確に把握するために、今年度、調査を実施する予定でありまして、その結果を踏まえ、関係団体や関係省庁とも連携を深めつつ、引き続き、法制化も視野に入れて検討を進めていく考えでございます。
○重徳委員 今年度、実態の把握の調査ということなので、ちょっとこれからの取組かもしれませんが、今申し上げましたような、現場が必要以上に萎縮するとかいうことがないように、金融庁とも連携して、ぜひ、できるだけ明確な、わかりやすいガイドラインといいましょうか方針というものを示していただきたいということを要望申し上げたいと思います。
次に、二つ目ですけれども、自宅死、自宅でお亡くなりになった方がいる、そういう不動産に係る告知義務について質問します。
宅地建物取引業法四十七条で、宅建業者は相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項について告知することが義務づけられているんですけれども、まずこの告知義務、これはどういう事項を告知しなきゃいかぬのか、これを御答弁願います。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘の宅地建物取引業法第四十七条では、宅建業者は取引の当事者の判断に重要な影響を及ぼす事項について告知しなければならないこととされております。
取引の当事者の判断に重要な影響を及ぼすか否かは、個々具体的な契約の内容によって異なるものと認識しておりますけれども、例えば、日照阻害など環境に関する事項、あるいは鉄道の移設など交通の利便に関する事項、さらには建物内の事件の事実など心理的な瑕疵に関する事項などは、告知することが必要となる事項に該当し得るものとして想定しております。
○重徳委員 そこでなんですけれども、最近結構、これも現場の悩みというのがあるみたいなんですね。特に告知がなかったら、なかったことをもって買い主は訴訟を起こすこともありますし、それから、逆に、余り告知しなくてもいいようなことまでばんばん、要するに悪いことを言ってしまって売り値が下がってしまったら今度は売り主からも怒られるということで、仲介業者もその辺で迷っている、こういう実態があるんだと思います。
例えば孤独死ですね。最近はおひとり暮らしの高齢者がふえています。孤独死、亡くなって、もちろん何カ月もたって異臭が残っている状態のものを売るなんというのは、まさに今御答弁があったような、事件といいましょうか、それに近い事故物件と言われるようなものなのかもしれませんけれども、異臭が残っている家は取り壊して、一旦更地にして新しく建て直した、それでも告知しなきゃいけないのかとか、あるいは、孤独死をされた、けれども、すぐ数時間後には見つけて、別に異臭が残るなんということは全くないというようなケースまで、孤独死は孤独死だということで告知しなきゃいかぬのかとか。
更に言うと、これは時代が変わっていますね。自宅で普通に家族に囲まれてみとられた、そういうケースは昔では当たり前だと思うんですよね。自宅でお亡くなりになる。今でも、死ぬなら自宅で死にたいという人だって現にたくさんいる。だけれども、そういうケースが減ってきている。だから、誰かがこの部屋で死んだということを伝えなかったらこれは告知義務違反になるのかとか、いろいろ受けとめ方によって、今、心理的瑕疵とおっしゃいましたけれども、心理的な影響があるんだ、こういうことをどう捉えるのかというのは非常に難しい判断があると思うんです。
そういう中で、関係者が判断を迷わないように、過去の判例も随分あるようでありますので、判例なんかを踏まえて、国の考えを整理してガイドラインにして示す、こんなようなことができないんでしょうか。御答弁願います。
○野村政府参考人 委員御指摘のとおり、不動産というものはさまざまな、多様な事情を抱えるものであろうかと思います。
その中で、いわゆる心理的な瑕疵の有無につきまして、判例では、例えば、事件などの性質やあるいは事件からの経過年数、そして、当該事案の公知の程度、公に知られているかどうかというその程度、居住用あるいは事業用などの使用目的など、さまざまな個別事情を総合的に勘案して判断されているものと承知しております。したがって、判例からは、どのような事故などが心理的瑕疵に該当するものとして説明を要することになるのか、画一的な基準は得られておりません。
一方、既存住宅市場の活性化が我が国の重要な政策課題となっている中、また、空き家などの発生を抑制する観点から、こうした物件であっても、できる限りその円滑な流通や利活用が求められている状況となっていると承知しております。
このため、国土交通省におきましては、平成三十一年度予算として計上した調査費を活用しながら、宅建業者が告知の要否を容易に判断できるよう、過去の判例を整理するなど一定の考え方を整理することとしております。
このような取組を通じて、買い主、売り主双方の利益を確保しながら、既存住宅市場の活性化の実現に努めてまいりたいと考えております。
○重徳委員 これも重ねて要望しておきますが、考え方を今年度の調査を踏まえて示すということで、今局長さんから御答弁がありましたので、ぜひわかりやすい基準をお示しいただきたいと思います。
三点目ですが、ビニールハウスの農園ですね、これを、最近、観光農園にしていこう、これが国の農業プラス観光といったことで政府が推進している政策だというふうに認識しております。
このビニールハウスの果樹園、例えば、イチゴ園とかイチジクとかメロンとかあると思いますが、それを観光農園にする際に、ビニールハウスが建築基準法上の建築物に当たっちゃう、建築確認が必要になっちゃう、こんなことでは、政府が進めている政策の阻害要因になっちゃうんじゃないかと思うんですね。
ビニールハウスに建築確認が必要だなんというのは、常識的にはというか、私はそんなことあり得ないんじゃないかなと思うんですが、これは県によって判断も違うようですが、県によっては、ビニールはもちろん、ガラス張りのハウスでも建築確認が不要だという判断をしているところもありますよね。
国交省の御見解をお聞きしたいと思います。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。
建築物に当たるか否かなど、具体的な施設に対します建築基準法の適用につきましては、個々の構造や規模、形態、利用方法などが異なることから、法の目的や条文に照らしながら特定行政庁において判断をされることになります。
ただ、ビニールハウスなどにつきましては、従来から、屋根をビニールなどで覆い、それらの材料が容易に取り外せる場合には建築物としては取り扱わなくて差し支えない旨を国交省としてお示しをしているところでございます。
○重徳委員 確認ですが、ビニールハウスで取り外しが容易なものは建築物には当たらないということでよろしいですか。ちょっと今の点、もう一回お願いします。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
建築基準法の規定上、適用に関しては特定行政庁が判断権を持っております。なので、それを我々としては侵害することはできませんが、いわゆる技術的な助言として、先ほど申し上げたように、容易に取り外せるようなもの、これについては建築物に当たらないという扱いでいいんだということをお示しをしているところでございます。
○重徳委員 きのう打ち合わせた段階より少し前向きな御答弁というふうに感じております。現場も判断しやすくなると思いますので、今の御答弁は大変重要な御答弁だと思います。ありがとうございます。
ビニールハウスについては今のような話なんですけれども、観光農園というのはいろいろな形態がほかにもあると思います。
国交省側は、建築物の安全性とか利活用がきちんとできるようにという観点で法律の運用をされているわけですけれども、観光農園を推進するというのはむしろ農水省側が頑張らないといけないというふうに思いますので、これからも、今の観光農園に限らずかもしれませんが、いろいろと各省庁の持っている法令の適用関係というのは農水省がもっと主導して整理をして、調整をして、現場がもっと取り組みやすい環境をつくっていかなきゃいけないと思うんですけれども、農水省のお考え、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘のございました観光農園に関する各種法令の適用関係でございますけれども、この適用関係を明らかにすることにつきましては、第一義的にはまずは法令の所管省庁において対応すべきものと考えておりまして、農林水産省といたしましても、農地法その他当省が所管する農地の利用に関する制度上の取扱いにつきましてホームページ上に通知を掲載するなど、対応を行っているところでございます。
また、法令の適用に関する疑義等を把握いたしました場合には、関係省庁に情報提供する等によりまして、関係省庁と連携しながら、観光農園に取り組みやすい環境を整えてまいりたいと考えております。
○重徳委員 若干農水省の方が弱腰な御答弁だったような感じがしますが、情報提供にとどまらず、現場の要請はこれからも伝えてまいりたいと思いますので、ぜひ省庁連携の上で取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
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