○谷委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。ありがとうございます。
きょうは、建設業、とりわけ大半を占めます中小企業の実情を踏まえた質問をさせていただきたいと思います。
昨年頻発しました災害を踏まえて、事前防災という考え方のもと、減災・防災、国土強靱化のための三カ年緊急対策というものが策定をされました。昨年中から始まっていますので、あと二年ということなんですけれども、総額七兆円、うち国交省の予算が三・六兆円と、大変大きな予算規模になっています。
平年の公共工事の規模と比べればかなり上乗せになるんじゃないかと思うんですが、一方で、受注、施工する側の建設業界、これは、大手のゼネコンもあれば本当に地域の中小零細まで、たくさん、規模はさまざまであります。
予算をちゃんと消化し切れるのか、円滑に執行できる見通しなのか、心配される課題がないのか、こういったあたりについて国交省の認識をお尋ねします。
○野村政府参考人 お答えをいたします。
受注者サイドの執行体制についてのお尋ねをいただきました。
まず、現場を支える担い手の現状について、建設技能労働者の過不足率や有効求人倍率を見ますと、とび工や鉄筋工など建設躯体工事の一部職種や、大規模な災害からの復旧復興工事が続いています中国、九州地方や、あるいは建設投資の旺盛な都市部などの一部地域において人手不足感は強くはなっておりますが、全国的に見れば、足元では工事の施工を担う人手はおおむね確保し得る状況にあると私どもとしては認識しております。
こうした中、国土交通省では、ただいま御指摘ありましたように、平成三十一年度当初予算においては、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に対応するための臨時特別の措置もあわせて、約六兆円弱の公共事業関係費を確保しておりますけれども、この緊急対策の着実な執行を図るためには、例えば、公共工事の発注にかかわる適正な予定価格の設定、あるいは工期の設定、そして施工時期の平準化といった取組を着実に推進していくことが重要になってまいります。
例えば、昨日衆議院において可決をいただきました建設業法等の一部改正法案においても、中央建設業審議会における工期に関する基準の策定や、著しく短い工期による請負契約の締結の禁止、あるいは公共発注者に対する施工時期の平準化のための方策を講ずることの努力義務化などの規定を設けることとしておりますけれども、これらの取組も含め推進することにより、円滑な施工確保に資するものと考えております。
国土交通省といたしましては、これらの施策を通じて建設業における人手の確保に向けた対策にしっかりと取り組んで、引き続き、国土強靱化対策などが着実に実施されるように、万全を期してまいりたいと考えております。
○重徳委員 今、野村局長から、さまざまな方策を、法改正も含めて、手だてを講じているという御答弁がございました。
その中で、適正な予定価格という御答弁がありましたけれども、この予定価格について少しお聞きしたいと思います。
公共工事の品確法で、予定価格を適切に定めるということになっているんですけれども、昨今、今おっしゃる人手不足とか資材高騰、こういったことで、入札参加者が集まらない不調、それから、入札額が予定価格を上回る不落がふえている、これは地域によるのかもしれません、ふえているという報道も多いですね。全般的には物価上昇局面と言い得るような場面もあると思います。
予定価格の設定が後手後手になっちゃうと、結局、不調、不落ということが生じやすいんじゃないかと思われるんですけれども、予定価格、これはどのように、適切に運用されているということであれば、実勢価格がきちんと反映されているのかどうかなども含めて、今の予定価格の運用状況について御説明を願います。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
公共工事品確法においては、発注者の責務として、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めることが規定されております。
このため、国土交通省の直轄工事におきましては、積算に用いる価格が実際の取引価格と乖離しないよう、毎年改定される設計労務単価、毎月更新される材料価格など、最新の実勢価格を用いた予定価格の設定に取り組んでいるところでございます。
また、契約後に賃金水準や物価水準が変動があった場合には、工事請負契約書のいわゆるスライド条項に基づき、請負代金の変更を行うこととしております。
また、地方公共団体に対しても、総務省と連名で通知を行うなど、取組の周知徹底を図っております。
国土交通省といたしましては、引き続き、関係機関とも連携し、予定価格の適正な設定に取り組んでまいります。
○重徳委員 原則論はお述べになったと思いますが、地域によって、不調、不落が多い、ふえているという地域もあるようなんですね。そうなった場合には、結局、入札参加者から見積書を徴するなどによって、要するに、やり直ししたり、その結果、工期がおくれる、こういうことになっていくわけですから、そういうことが多発するようでは、何のための予定価格なのか。予定価格があるがゆえに、そういう余計なコストといいましょうか、そういったロスが生じるということになってしまうと思うのですけれども、この辺の不調、不落についてどう認識されているのか。
特に、国直轄だけじゃなくて、地方もこれは同じ状況であるというふうに思っておりますので、できるだけ、後手後手の対応じゃなくて、予定価格が適切な運用となるように指導力を発揮すべきじゃないかと思うんですけれども、このあたりの認識をお願いします。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、市場の実勢を反映した設計労務単価や材料価格を活用した予定価格の設定を行っているほか、年間を通じた人材、資機材の有効活用を図るための施工時期の平準化、計画的な受注の検討を促すための各発注機関の発注見通しの統合、公表、確実な施工を図るための適切な工期設定など、多岐にわたる施策を講じてまいりました。
また、本年二月には、より一層の対応として、調達環境の厳しい工種や建設資材における見積りを積極的に活用した予定価格の設定、計画的な技術者の配置に資する余裕期間制度の活用の原則化などの対策を講じることとしたところでございます。
あわせて、地方公共団体に対しても、総務省と連名で通知を行うなど、取組の周知徹底を図っております。
国土交通省といたしましては、引き続き、関係機関とも連携し、公共工事の円滑な施工に取り組んでまいります。
○重徳委員 ぜひ今まで以上に取組を強化していただきたいと思います。
もう一つ、別の観点なんですけれども、中小企業の、建設業界の人手不足に関連して、先般の法改正で、例えば技士補というものの資格を設けて、それを補佐として配置する場合には、監理技術者を、本来専任で現場に当たらなきゃいけないところを、複数現場の兼任が可能だというようなルール改正、要件緩和というものが進められたと思います。
こうした人繰り、資金繰りも含めてですけれども、こういった余力を中小の企業においても適切に持たせられるような施策を講じるべきじゃないかという観点からしますと、建設業界はランキングがありますね、企業の格付がAランクからDランクまであって、これは、経営規模だとか、あるいは技術評価点というようなことを加味して格付があって、各等級別にいわゆる発注標準というものが設けられている。どのぐらいの規模の事業、工事を受けられるかということが決まっているというわけなんですが、企業数のベースでいうと、A、BよりもC、Dの方が当然非常に多いわけで、地域においては、地域の実情にも精通しているし、とりわけ災害のときの対応には欠かせない存在だ。そういうC、Dのランクの企業というものをどう維持、育てていくのかということが非常に重要なところじゃないかと思っております。
とりわけCランクの発注標準は、予定価格六千万円以上三億円を上限とする、こういうふうに決まっていると認識しているんですけれども、この三億円という上限自体、ちょっとお聞きしたところでは、平成三年に二億円、平成八年に二・五億円になって、平成十一年から三億円にされた、こういう経緯があるようであります。
もちろん、厳密には企業それぞれによりますけれども、Cランクの企業といっても、地元ではきちっと元請となり得る企業も結構多いですから、そういうところがある程度大きなロットの仕事を受けることによって人繰り、資金繰りが安定していくということで、その地域を守っていくという観点も含めて、企業を育成していくことができると思うんです。
これは三億円というふうに決まっているんですが、これも決めの問題かもしれませんが、これを少しでも上限を上げていくことによって中小企業も元請として参画しやすくなるだろう、当然こう考えられるわけです。
この三億円というラインについてもう少し見直しをして、積極的に能力のある企業を育てていく、こういう観点が必要なんじゃないかということなんですけれども、この辺、国交省としてどのように認識されていますか。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省の直轄工事においては、企業の経営規模等による経営事項審査点に、直轄工事の受注実績、総合評価の参加実績、地方公共団体の受注実績による技術評価点を加算した総合点数により、企業の等級区分、ランクづけを行っているところでございます。
その際には、適正な競争が行われるよう、企業の施工能力や登録される建設業者の分布などのバランスを見て、等級区分及び契約予定金額の基準、いわゆる発注標準、Cランクでございますが、先ほど委員御指摘のとおり、六千万から三億というものを定めているところでございます。
中小企業の受注機会を確保するためにも、分離分割発注の徹底、地理的条件の適切な設定に取り組むとともに、Bランク工事のうち予定価格が比較的小さく技術的難易度が比較的低いものにあっては、Cランクの建設業者の参加を可能とする取組も行っているところであり、Cランク業者の企業育成に資するものと考えております。
Cランクの発注標準につきましては、直轄工事における事業量や工事の内容、中小企業の受注機会の確保等の観点も考慮しつつ、関係者の意見も踏まえ、適切に定めてまいります。
○重徳委員 ぜひ検討していただきたいと思います。要望申し上げます。
最後にちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、来年の東京オリンピック、特需と言われておりますけれども、この時期が終わったら景気が悪化した、こんなことにならないようにしなきゃいけないと思いますし、我が国の元気玉というものをどんどんと打ち出していくということも必要なことではないかと思います。
オリンピックが終わったら、これまで首都圏でもちょっと後回しになっていたようなプロジェクトも投資が再開されることになると思いますし、全国的にも、二〇二五年には大阪万博がありますし、それから新幹線も北海道とか北陸で延伸していくということがあると思います。
私の地元の愛知県でもリニア中央新幹線が名古屋まで二〇二七年につながるわけなんですけれども、リニアは民間の事業でありますけれども、これを機に、愛知というか、東海、中部ですか、こういった若干広域的な観点から、日本の元気玉になるような構想というものを今お考えであれば、お答えいただきたいと思います。
○石井国務大臣 リニア中央新幹線につきましては、平成二十七年に閣議決定をされました国土形成計画におきまして、国土構造にも大きな変革をもたらす国家的見地に立ったプロジェクトであるとされております。
国土交通省では、リニア中央新幹線がもたらします移動時間の劇的な短縮によるインパクトを最大化し、全国に拡大すべく、スーパーメガリージョン構想の検討を行いまして、今月の二十日、最終取りまとめを公表いたしました。
この構想では、我が国の成長を牽引する三大都市圏のポテンシャルを一層高めるとともに、リニア駅を交通結節の核とした広域的な高速交通ネットワークを形成し、対流を活発化することが重要としております。
これらの推進に当たりましては、行政、経済界等、さまざまな主体が引き続きアイデアを出し合うことが重要であり、国土交通省といたしましても、連携協力しながら、都市づくり、地域づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○重徳委員 ちょっと抽象的な御答弁で、もうちょっと具体的に欲しかったなと思いますが。これは、私も地元の議員としての責任を果たしていきたいと思っておりますので、こうした国土ビジョンを時代に合わせて示していく、そして実行していくというのは、政治の大変重要な使命だと思っておりますので、皆で力を合わせて取り組んでまいりたいと思います。
どうもありがとうございます。
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