しげとく和彦の国会論戦の会議録
平成26年10月15日 地方創生に関する特別委員会
「50年後の地方創生ビジョンにも「道州制」はない??」
○鳩山委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 維新の党の重徳和彦です。
次期総理・総裁候補の石破大臣に胸をかりるつもりで質疑に当たりたいと思います。
まず初めに、私は野党の理事という立場を与えていただいております。今まで、まだ午前中数時間ですけれども、議論を聞いておりまして、やはり、何かちょっと締まりがないんですね。そもそも何の審議を今しているのか、焦点がぼけがちです。これはやはり、今回の特別委員会の設置そのものが極めてずさんで、強引な国会運営によるものだというふうに言わざるを得ません。
今回のメーンの法案でありますまち・ひと・しごと創生法案、これは、誰がどう見ても、これをもって地方創生が必ずなし遂げられるなどという期待感がまるでない。中身がないんですね。
石破大臣は、なぜ、何のためにこの特別委員会が設置されたんだと思われていますか。
○石破国務大臣 それは、委員会の設置は国会がお決めになることなので、何のためにできたとおまえは考えるかと言われても、お答えのしようがないということであります。
先ほど来の議論でもあるんですが、この創生法案で全部できたら誰も苦労しないので、それは民主党がどうだの、自民党がどうだのということを私は言っているわけじゃなくて、今までやってきた政策はそれなりに正しかったが、時代に合わなくなったものがたくさんあるんじゃないんですかと。
それは、委員が御専門の地方自治もそうでしょう、あるいは第一次産業についてもそうなんでしょう。いろいろなものを見直すという議論がここで行われずして、一体どこで行われるんだということではないんでしょうか。
私もいろいろな委員会の委員を務めてきましたが、では、観光のことは当時の運輸委員会、今でいえば国土交通委員会なんでしょう、地方財政のことは地方行政委員会、今でいえば総務委員会なんでしょうかね、あるいは農業のことは農林水産委員会といって、ばらばらばらといろいろなところでやる。それこそ、国会まで縦割りにしてどうするんですかという話じゃないんでしょうか。
だから、締まりがないということについて私が論評すべきお話ではありませんが、ここにおいて地方創生とは一体どういうことなのかということを集中的に議論するということでこういう委員会ができたのではないかというふうに私は思っております。
政府の側が申し上げることではございませんが、まさしく、縦割りを排すということは、国会がみずから範を示すというような御意図がおありではなかったのかというのは、これは推測でございます。
○重徳委員 今回の特別委員会の設置に当たっては、議運でかなりもめたという経緯がございます。野党の中には、最後まで設置そのものに反対をする党もございました。
維新の党としては、最後は設置に賛成をいたしましたが、これは、議運の中で、今回の特別委員会において審議すべきことは、法案にとどまらず、今大臣が言われたように、縦割りではない、さまざまな地方創生に向けた議論を横断的に、集中的に行うということだ、このような趣旨を承りまして、であればということで、あえて賛成に回ったということなんです。
しかし、その割には政府側に何の準備もできていないのではないかと思っております。だから、既に参議院においては、もう特別委員会なんか設置する必要はないじゃないか、内閣委員会で普通に、常任委員会でやればいいじゃないか、こんな話にもなっているわけでございます。
そこで、この特別委員会で審議すべき事項について確認をしてみたいと思うんです。資料をお配りしておりますが、その一枚目をごらんいただきたいと思います。
全体スケジュールが示されておりますが、これから、まず、十月には論点が提示されるということで、これはたしか十日の日に論点が提示されました。今後、長期ビジョン、総合戦略の骨子をつくり、そして長期ビジョンと総合戦略をつくっていくということなんです。
私、こういうものを見ると、法案は中身はすかすかなんと言われておりますが、やはりこういった長期ビジョンや総合戦略全体についてきちんと国会で審議すべき、この特別委員会の審議の対象事項としてこれらを全て含めるべきではないかと思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○石破国務大臣 それは、国会で何が議論されるかは国会がお決めになることだと思っております。
ですから、今国会が十一月末までということに相なっております。会期のことにつきましては、これまた国会がお決めになることでございますが、この会期内におきましても、長期ビジョンあるいは総合戦略、いろいろな御提言あるいは御提案というものは承るべきだと思っております。
これは必ずしもここで答弁するべきことかどうかは存じませんが、参議院のことは参議院でお決めになることなのですけれども、内閣委員会でやればいいというお話は、本当にこの地方創生というものをどう考えるかということについての各党の姿勢のあらわれなんだろうと思っております。
そういうことを念頭に置いて国会において御議論をいただくことを期待いたしております。
○重徳委員 自由にいろいろな提言をしてもらえばいいという大臣からの今の御答弁でしたけれども、そうはいっても、やはり国会というのは、政府が行う施策、方向性についていろいろな切り口でチェックをかけるというのが非常に重要な役割、主な役割だと思っております。
その意味では、その政府が、論点という形で、今配付しました資料の二枚目、三枚目のような、二枚物の論点という、一枚目は長期ビジョンの論点、二枚目は総合戦略、これから五年間のですね、長期ビジョンに対して五年間に絞ったものが総合戦略ですが、その論点がここに挙げられているわけです。ですが、論点は論点ですから、何の方向性も示されていないんですよ。課題はあるねということでありますが。
例えば、私なんかからすると、地方に若い人たちが魅力を感じ、そして暮らすためには、やはり仕事が必要である。仕事についてどんなようなことが書かれているのかなと、この論点の二枚目の総合戦略の中を見ますと、2の「政策分野ごとの取組の例」の中の二番、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」とあって、二つ箇条書きになっています。一つが「地域産業基盤の強化」、二つ目は「個別産業の基盤強化」とあるのみですよ。これをもって何を論ずることができるんでしょうか。
それは、幅広くいろいろな角度から議論することはできますけれども、しかし、政府が何を目指しているのか、今の段階では具体的に何も見えておりませんという状況ですから、本来であれば、仕事の担当は厚生労働大臣でもありますので、この場には多くの関係閣僚に出席をいただいて、きょうはほかの委員会と重なっているからという理由で出席いただいておりませんが、厚生労働大臣にも出席していただく必要があるのではないかということを考えております。
それから、論点は十月十日に示されたんですが、今後、ちょっとこれは石破大臣に確認したいんですが、この一枚目の紙によりますと、骨子は十一月、それから長期ビジョン、総合戦略は十二月というふうに書いてありますが、確認したいんですが、これはそれぞれいつ提示される予定でしょうか。
○石破国務大臣 長期ビジョンと総合戦略の骨子につきましては、第二回創生本部会合でお示しした論点に基づきまして、さらに、まち・ひと・しごと創生会議で議論をいただき、第三回のまち・ひと・しごと創生本部会合で決定したいと考えております。日時は未定でありますが、その後、さらなる議論を経ました上で、人口減少、超高齢化を克服するための長期ビジョン及び総合戦略を、創生本部におきまして、十二月中には取りまとめるということを考えております。
○重徳委員 骨子はいつかは日時未定、長期ビジョン、総合戦略は十二月中に取りまとめということなんですが、まず、はっきりしているのは、今回の国会は、会期は十一月いっぱいですから、この長期ビジョン、総合戦略が出てくるころにはもう閉幕しているわけですね。
それから、骨子はいつになるのか未定であるということですが、この事務方からいただいた資料によれば、十一月ごろだろう。これを前提にしますと、この衆議院の特別委員会がいつまで開かれるのかわかりませんけれども、常識的に考えれば、そんな、十一月の終わりごろまでやるということはないでしょう。もしこの臨時国会の今設定されている会期中に上げるということであれば、後半は参議院がありますので、そういう意味では、衆議院においてはこの骨子すら示されない状況の中で審議をすることになり、そして、それ自体も問題だと思いますが、参議院に行ったら今度は骨子というものができ上がっていて、参議院は骨子に基づいて審議ができる。
こういう、何か、その場その場で審議対象が変わっていくというか、よく言えば進化していくということなんですが、こんなようなあり方自体、全く政府の準備不足なんじゃないでしょうか。私は非常に大きな疑問を感じます。
改めて、この骨子、そして、会期延長も伴うことになると思いますが、長期ビジョン、総合戦略について、この特別委員会において審議する必要があると大臣はお考えになりませんか。
○石破国務大臣 それは私どもとしてかなり強い危機感を持っていまして、そういう、政府が、準備が十分できました、その上で国会で御審議を賜りますなんぞと言っている余裕はとてもないのではないだろうかと。走りながら考え、考えながら走るというのでしょうか、この場においていろいろな御議論をいただき、それがまた長期ビジョンとか総合戦略に生かされるということがあるべきだと思っております。
おまえ、論点だけ提示しただけじゃないかという御指摘が先ほどありましたが、例えば、サービス業、製造業、農林漁業、観光、医療福祉等の個別産業の基盤強化というのは、これは一体何をやるんだいということだと思います。
ですから、そうであれば、重徳議員のいろいろな御経験を通じて、農林漁業の基盤強化というのはこういうことではないのか、サービス業の基盤強化というのはこういうことではないのかという御指摘をいただき、それが生きてくるということだと思います。それが国権の最高機関の国会の役割でございまして、政府のみが全てを提示するわけではございません。
私は、例えて言えば、漁業というものを考えたときに、何で日本の漁業というのはこんなになっちゃったんだと。世界で第六位の排他的経済水域の面積を持ち、水ですから体積ではからなきゃいかぬので、体積でいえば世界第四位ということなんだそうです。何で日本の漁業だけがこんなになっちゃったんだ。木の切り過ぎで困っているのがほかの国だけれども、日本だけは木の切らな過ぎで困っている。では、何で日本の林業はこんなになっちゃったんだというような、そういうテーマについて、やはり国会で御議論をいただくというのは必要なことだろうと思います。
それぞれの委員会はそれぞれの法律を持っておりますので、それの審議がどうしても優先をすることになるんでしょう。この委員会も創生法案をお願いしているところでございますが、そういう各般にわたった、私どもが提示をしております論点に、それぞれの党、それぞれの議員のお考えをいただくというのは、日本国にとって絶対に必要なことだと認識をいたしております。
○重徳委員 石破大臣は、大変大きな心でそのように私なんぞの意見についても耳を傾けてくださるということをおっしゃいますが、この国会、めちゃくちゃなんですよ、はっきり言って。
あらゆる法案は、最後は時間切れ、審議終了、それで強行採決、こういうことが通常国会から何度も繰り返されているわけでありまして、そういう中で、今回は、中身はこれからだけれども、とりあえずこういう法案があるから審議した形にしてそのまま通すということを、これまでどおりのパターンで与党がどんどんと進めていくというような気配が既に、私も理事懇、理事会に参加させていただいて、新藤筆頭理事からいろいろと勉強させていただいて、そういう中で感じ取らせていただいているわけです。
そういう意味で、石破大臣、いろいろな意見をお聞きになっていただけるというのはまことにありがたい言葉ではございますが、そうはいっても、政府がこういうことをやるんだということに対しまして、私ども、与野党を含めていろいろな意見を申し上げる、これがやはり本来のベストなやり方だと私は思うんです。
今のこのやり方、走りながら考えるということも大臣はおっしゃいましたが、こんなやり方がベストだと思われますか、大臣。
○石破国務大臣 世の中にベストというものがあれば誰も苦労しないのであって、ですが、今までのやり方を批判的に検証するというのは大事なことだと思っています。今までどおりのやり方でいいんだったら誰も苦労しませんし、今までの事業の予算を延ばせばいいだけのお話でございますから。
批判的に検証するということを政府がやるというのは、結構難しい作業でございます。委員も実際政府の中におられましたから、そのことの難しさというのはよく御存じでしょう。批判をするというのは、先輩を冒涜するつもりかみたいなことで、そういうことができないのが何となく霞が関のカルチャーみたいなところがありました。そうこうしているうちに、人がかわっちゃって、何が何だかわけがわからないということがかなり積み重なっているのではないでしょうか。
ですから、私は、これがベストだということはございませんが、この政府のやり方はどうだったんだという批判的検証において野党が果たしていただく役割というのは非常に大きいんだというふうに思っております。
政府としても、準備不足ではないかというふうに言われないように、今お示ししました論点をちゃんと詰めるような努力は最大限いたしてまいりますが、どうか批判的検証に野党のお力をかしていただきますよう、お願いを申し上げるところでございます。
○重徳委員 石破大臣から、ベストというわけではないというお話もありました。
そういうことも踏まえて、これはむしろ委員長や与党の理事の皆さんにお願いすることですが、ベストなことではないんだ、ベストなあり方ではないんだという大臣のお言葉もありましたことを踏まえて、これからのこの委員会の進め方については、謙虚に、批判的な検証が行えるように進めていただきたいと思うんですが、委員長にこれはお願いを申し上げます。
○鳩山委員長 理事会を中心にそういう話し合いをしていきましょう。
○重徳委員 それでは、きょうは小渕大臣にも来ていただいております。
もう一つだけ、この特別委員会の審議対象についての議論をさせていただきたいんです。
実は、総理の本会議における所信におきまして、鳥取・大山の地ビール、島根県海士町のさざえカレーとか、けさ議論がありましたが、ベトナムで大人気の北海道根室のサンマのトマト煮、こういったさまざまな事例を取り上げた上で、総理の所信の中で、「地域ならではの資源を生かした新たなふるさと名物の商品化、販路開拓の努力を後押ししてまいります。」このように力強く総理が触れておられます。
この地方創生特別委員会におきまして、恐らくこのふるさと名物の商品化などに関する法案が出てくるんだろうなと思っていたら、どうもそうではなさそうだと。よく調べてみると、この法案は、経産省が提出している中小企業地域資源活用促進法の改正という部分、幾つかの改正法案が一つにドッキングしたようなもののようですけれども、これは経産委員会で行われるのみであって、この地方創生特別委員会では取り上げられないというようなことなんですが、こんなことでよろしいんでしょうか。小渕大臣、いかがでしょうか。
○小渕国務大臣 お答えを申し上げます。
国会に提出した法案につきまして、その付託委員会というものは国会の決定事項でありますが、ただ、一般論として申し上げますと、これまで、中小企業ですとか小規模事業者の事業活動の活性化に係る法案につきましては、経済産業委員会において審議されているということがあります。
○重徳委員 小渕大臣にもちょっと苦言を呈したいんですが、これもむしろ委員会、理事会の運営の問題もあるんですけれども、昨日、私はこの質問をするということを事務方に申し上げまして、大臣に出席いただけると確約をいただいていたにもかかわらず、きょうの朝になったら、大臣が出てこれるかどうかわからない、こんな話がありました。大臣、ぜひ、この地方創生特別委員会にもっと思いを持っていただきたいと思うんですよ。
それから、事務方が何か勝手に、大臣を出すとか出さないとか、出したり引っ込めたり、それを質問者の議員に対して勝手に、勝手にというか、いいんですよ、ちゃんと大臣の指示に基づいてならもちろんいいんですが、何か、言ったり言わなかったり、こういうようなことは本当に委員会の進め方に支障を来しますので、ぜひとも、小渕大臣には、経産省の事務方をしっかりとリードしていただきたいと思います。
今淡々と、経産委員会で先ほどおっしゃった法案は諮ることになろうかと思います、これは国会でお決めになる話ですと。それはそれで一つの模範解答ではあるとは思いますが。
ちなみに、ちょっと今、ふと思ったんですが、総理が所信の中で、今言った大山の地ビールとか海士のさざえカレーとかベトナムで人気のサンマとか、このあたりに経産省の施策もかかわっているんですね。例えば、ふるさと名物を人気商品に押し上げる支援が今回の経産省提出の法案なわけなんですが。これは経産省と関係なく盛り上がってきたものなのか、それは経産省がこれまでも後押しをされていたものなんですか。関連を持って総理は言われていたんでしょうか。
○小渕国務大臣 お答えを申し上げます。
経済産業省におきましては、中小企業や小規模事業者など、地域の中で活躍をしているそうした方々をしっかり応援していくということでこれまでもやってきたところであります。
今回は、地域資源法の改正案を提出させていただくんですが、これは、これまでより少し、点で支援をしていくというよりは、面で支援をしていくということを考えています。
市町村が主体となった取り組みを応援していくということで、先ほどもいろいろと例を挙げていただいたんですが、例えば甲州ワイン、これは甲州ワインという一つのワインの、点だけでこれを応援していくということではなくて、もうこれは、地域、甲州市全体として、観光も含めて大変なエネルギーを持って地域活性化に取り組んでおられます。
こうしたふるさと名物をしっかり支援していくとともに、販路開拓ですとか、あるいは国内外に売っていくための対策ですとかアドバイスですとか、そうしたことも含めてやってまいりたいと考えています。
○重徳委員 余り直接的なお答えではなかったですが、まあいいです。
総理が、何か我が党の幹部に言わせれば、全国の名産品展のような、そういう所信演説だったと言いますが、そうはいっても、けさ農林水産省は、サンマは農水省が応援して根室から外国に出しているんだということですし、海士町は、私の知っている範囲では、総務省が後押ししている地域おこし協力隊の方が何人か入られて頑張っておられる、こういうことも聞いております。
結局、地域創生というのは各省全部挙げてやることなので、だからこそ、これは理事会の、内輪での見えない世界ではありますが、再三、全閣僚出席していただきたいということを申し上げておるわけでありまして、そうでないと厚みが出ないですよ、この委員会。全く、何か机上の空論みたいなことばかり、同じ話ばかりずっとやっています。きのうの本会議ときょうのこの委員会、同じような話ばかりで、一向に進んでおりません。
このような状況を何とか変えていくためにも、委員会の運営について、関係の大臣、きょうは経産大臣にも来ていただきました、厚労大臣にも本来は来ていただく必要があると思います、そういった大臣にも出席をいただきますように、これまた委員長に強くお願いを申し上げたいと思います。
○鳩山委員長 御質問の、要求大臣についてはできるだけ来ていただけるようにお願いをしたいと思っておりますが、現実に所管の委員会とぶつかっているようなケースもありましょうから、筆頭間あるいは理事間の緊密な協議の中で、できるだけ御期待に応えるようにしていきたい、こう考えています。
○重徳委員 ですから、きょうは小渕大臣は所管委員会がないという前提でありましたのでお呼びしたんですが、何か、来れないとか来れるとか、そういう話だったものですから特に申し上げた次第でございます。よろしくお願いいたします。
それから、時間があと十五分程度ですので、中身のお話に入ってまいりたい、中身はないと言いながらも、中身の話に一応入りたいと思います。
安倍総理は、よく衆議院予算委員会などでも、従来の取り組みの延長線上にはない政策を考えるんだ、こういうことをおっしゃっております。
それから、石破大臣は、もっとハードルを上げられたと思います。具体的には、十月八日の参議院予算委員会、片山虎之助委員への答弁の中でこのようにおっしゃいました。総理から、ばらまきは断固排せと、縦割りも断固排せと、異次元の取り組みだということを御指示いただいております、でき上がった予算が、これはばらまきではないか、縦割りではないかということになれば、それは総理の御指示に反したことに相なりますと。
それから、補助金や縦割りについてこのようにおっしゃっています。それを変えていくというのは日本のあり方を根本的に変えることになるのだと。これも先ほどこの委員会でもおっしゃっていましたので、本当に信念を持って取り組まれているとは思いますが、しかし、これは相当ハードルを上げられたと思いますよ、私は。
今、恐らく、地方の皆さんは、今までさんざん国の支援を受けながらも、しかし、実際にはもう極端な財政難に陥って、本当に国に特段知恵があるわけではなく、あえて言えば、現場は自治体が知っているんだ、だから自由に使える財源があればそれをいただきたい、こう思っているぐらいだと思います。
ですから、これまでさんざん国がいろいろなメニューをつくって、これに当てはまるかはまらないかということを国が審査して、ばらまきまくって大規模プロジェクトを行わせていた、いわゆる上から目線の中央集権型の地方創生というか地域活性化、もうこれは懲り懲りなんですね。やはり、長期的視点に立たずに、その場しのぎの政策をこれまで打ってきたから、これは本当に批判的な検証、石破大臣が言われる批判的な検証をしっかりと重ねるべきだと思います。
そういう目で今回の論点を改めて拝見する中で、確かに、きょうも先ほどから議論があります東京一極集中、これの要因を取り除く必要はあると思いますが、これは、とりもなおさず、明治維新以来続いている中央集権、中央依存、この体制そのものを変えない限り、重要なことは全部東京で今決めているんですから、東京に来なきゃ何も決まらない、だから、人も物も金も情報も、全部東京に集まるのは当たり前なんです。ですから、若い人たちは、それは東京に憧れます。東京で働くのが一流だ、こういうことであります。実際、なかなか地方都市で東京以上に魅力的な都市というのは、もちろんあることはありますが、全般的に言うと、それは東京には見劣りしてしまう、こんな状況です。
私は、地方創生と地方分権は、裏腹、表裏一体の関係にあると思います。
つまり、明治維新以来続いているこの中央集権を、もう今度こそ根本的に、乱暴に言えば破壊して、分権型の国家に変えていくべきだと私は思うんです。
ところが、地方分権のチの字もないんですよ、この論点を見ると。分権のブの字もないというか。こんな論点なんですよ。論点にぐらい入れていただいたっていいと思いますよ、私。ないんですよ。
それで、問題意識はいろいろとありますけれども、東京一極集中をどう考えるか。それは中央集権だからだと私は思いますよ。少なくとも、それだけじゃないかもしれないけれども、それは重要なファクターだと思います。これが全然書いてないんですよ、今回の論点。
私どもは、道州制を含む抜本的な地方構造改革が必要だと思います。
具体的には、国の基幹税目を丸ごと地方に移譲する。例えば、偏在性が少ないと言われる消費税を丸ごと地方税源化する。それから、現在の中央依存体制の四十七都道府県を十程度の道州制に改める。そして、それぞれの規模が大きくなりますから、ヨーロッパとの比較がよくありますね、ヨーロッパの各国と引けをとらないような人口、経済規模を持っています。そういうところが、道州ごとにそれぞれが戦略的に通商、貿易を行える。このぐらいのダイナミックな政策こそ異次元と言うのに値するのではないかと思います。
私は、その意味で、このたび、石破大臣は、安倍総理の御指示もあって、随分ハードルを上げられたと思います。それだけに大変期待をしたいところなんですが、今出されているこの論点、二枚物を見ても、全くそれが読み取れません。
大臣、大いに期待をしたいところなんですが、期待を持ってよいのでしょうか。道州制、地方分権も含めて、御答弁願います。
○石破国務大臣 この地方創生については、物すごく期待は高いと思います。これを外すと内閣そのものに対する期待がなくなっちゃうということだと思っております。
明治維新というお話を委員が先ほどなさいました。常に、世の中を変えるのは中央ではなくて、地方からのうねりで世の中は変わるというのが歴史の証明するところでございます。ですから、地方地方でこのように変えなきゃいかぬよ、私がいつもお客様目線と言っているのは、地方にとって使いやすいか使いにくいか、それだけの話なんです。霞が関の論理でいろいろなことを考えても、地方が使いにくいと思ったら、だめな制度なんです。
ただ、地方においても、何でもやればいいという話じゃなくて、何をやらんとするのか、そして、それができたかできないかという検証も地方でやっていただくというシステムを入れないと、それは単なるばらまきに終わってしまうということであって、そういうような仕組みをビルトインして地方の方から提案をいただき、検証もいただく。国として、それを、例えば権限の調整がややこしいということであれば、それは総理大臣が調整をいたしましょうさ。人が必要であるということであれば、シティーマネジャーでもコンシェルジェでもつくりましょう。
ですから、地方が使いやすい制度とは何か、地方が責任を持てる制度は何かということが事の本質でありまして、地方の方は御期待だけでは困るんです。自分たちの方としてはこれをやる、こういう責任を持つということを言っていただいて、国は余計な邪魔をしない、必要な手助けをする、そういうことだと思っています。
○重徳委員 地方分権、道州制についてはいかがお考えでしょうか。
○石破国務大臣 失礼いたしました。
国として必要なことをやる、地方でできることは地方でやる、そういう地方分権は進めていくべきだと考えております。
地方分権というのは、本当に、三十年ぐらいずっとあるテーマでございまして、これは日々進化するものでございます。地方分権というのは基本的に進めていくべきものでありますが、それが国家としての形ときちんと整合するということは配意をしていかねばならないことであります。
道州制の議論というのは、それぞれの党においていろいろなお考えがございます。維新の党が道州制というのをメーンに据えてこられたということもよく承知をいたしておりますし、我が党におきましても、道州制というものを、法律というものを念頭に置きながら、今、党内で手続が進んでおるところでございます。
ただ、道州制は一つの手段なのであって、それができなければ地方創生ができないということだと私は考えておりません。道州制の議論が成熟をするまで地方創生は待ってちょうだいなというお話には全然なりませんので、道州制の御議論は御議論としてそれぞれの党においてお進めいただき、国会において御審議をいただくことになるんでしょう。しかしながら、どうやって地方を創生していくかということは、それとはまた、同時並行的に議論されるものでございまして、二者択一とか、そういうものだとは思っておりません。
○重徳委員 大臣、一つの手段だとか、道州制がなければ地方創生ができないものではないとおっしゃいますが、今回の地方創生は、長期ビジョン及びそれに向けたまず最初の五年の総合戦略の前提となる法案、そしてこの内容について審議をしているわけですから、少なくとも、与党各党、野党も多くの党が公約に掲げている道州制というものについて、五十年後のビジョンまで今回示すのに、その中に全く道州制のドの字も入らないというのは、これは私はおかしいと思います。
この後、論点の次には骨子が出て、そしてビジョン、戦略が出てくるわけですから、その中に道州制という言葉を入れていただけることをお約束いただけますか。
○石破国務大臣 今ここで、言葉を入れるかどうかということの確約はいたしかねます。
道州制というものが地方創生にとって一つの大きな鍵になるということは認識をいたしておりますが、道州制というのはこれから国会において御議論をいただくことでございまして、政府として、今政府としての公の文書に道州制というものを入れるということはお約束をいたしかねます。
○重徳委員 迫力不足だと思いますね。
今回、地方創生についてこれだけ、ハードルを上げてという言い方は余りいい言い方じゃないかもしれませんが、本当に、これまでの反省に立って、根本的な、異次元の取り組みをすると総理も担当大臣も口をそろえておっしゃっている。そして、繰り返しになりますが、五十年後までのビジョンをつくる、その中に各党とも公約に掲げている道州制も入らない。まして、地方分権のチの字も入っていない、論点の中に。こういうことでは、ここから先の議論、なかなか根本的な議論に立ち入ることはできないんじゃないかと私は思います。
これからの対応については、仲間、同僚議員ともしっかりと話してまいりたいと思いますが、特別委員会における大きな議論として、この統治機構改革、地方分権、道州制について議論を進めていきたいなと思っております。
それから、最後、あと五分ぐらいですので、きょうは高市総務大臣にお越しいただいておりますので、ちょっと資料もざっと用意しましたのでごらんいただきながらにしたいんですが、この資料でいうと四枚目ですね、平成元年度以降の地方債発行額の推移がグラフ化されております。これは、平成元年のころからの地方公共団体の地方債発行額総額ですね。
これを見ますと、物すごく極端な振れ方をしています。
平成七年が、見たとおりピークで、一番高い棒になっていますね。大宗を占める「その他」、これは地方単独事業を含む地方債であります。これだけで十八兆円。それから、下の方に、水色になっております四兆円弱、これが公共事業等債といいまして、いわゆる国の公共事業の補助金に対する裏負担ですね。地方の裏負担をとりあえず借金で賄う、こういう制度がありますが、この地方債を合わせまして、二十三兆円に上る額を平成七年に発行しておりました。
何でこんなことになったかというと、これは全部、地方が、自治体が借金をしますと、償還するときには交付税でしっかりとその償還財源を措置するから、こういう仕組みがあったわけです。交付税という総務省、国の財源措置を当てにして地方はばんばかばんばか借金を重ねた結果が今の自治体のひどい財政状況でございます。
同じグラフの平成二十六年、約二十年後ですね、今年度をごらんいただきますと、さっきトータル二十三兆円と言ったのが、トータルでいうと十三兆円。十兆円も減っておりますね。しかも、その半分ぐらいを占めているのは臨時財政対策債といいまして、交付税すらないから、しようがないから赤字地方債を発行するというわけで、実質、自分たちのやりたいことをやるための起債といったら大幅に、数分の一に激減をしているわけでありまして、これが、もう一枚めくっていただきますと、借金の借入残高も、二百兆円という巨額の借入金残高を抱えた状態がここ十年ぐらいずっと続いているわけであります。
こういう中で、何が言いたいかというと、その昔、地方債を発行しても、後で償還するときには国が面倒見てあげるよ、交付税でと言っていたのがバブル崩壊後の経済対策。それで、今は地方はもうすっかり、そんなことには懲り懲りだということで、求められているのは、何にでも使える、自由に使える交付金を国からぼんとまとめておくれ、そうしたら好き勝手に使えるからと。
好き勝手と今あえて言いましたが、もちろん、真面目にきちんとした事業に充てている団体も少なからずありますが、それが一体どのような使われ方をするかというのは、しょせんは人の金ですから、国から来る交付金、自由に使える交付金ですから、本当の本当に最後まで自分で責任を持って、先々まで考えてお金を使うとは限りません。
今回の地方創生で交付金制度がまた新たにできるということにおいても、ちょっと私はここに、地方財政の規律という点からすると、少しくぎも刺しておきたいと思うんです。自由な交付金、それはありがたい、ありがたさ半分。だけれども、もう半分は、やはりお金が来るんだから今使っちゃえと。ところが、それで何かまた箱物をつくったら、その後のランニングとか維持補修とか、いろいろかかってくるわけです。
ですから、人の金を使って何かをするときには、必ずその後、ツケが回ってくるときが来ます。ですので、自治体財政の規律、健全化のためにも、現状の地方財政、自治体財政の窮状に照らして、高市大臣から、今回の地方創生において、例えば地方も応分の負担をするとか、あるいは、そもそも税源を移譲する、そういうことも含めた財政規律の問題につきまして、御見解をお伺いしたいと思います。
○高市国務大臣 地方創生につきましては、これから石破大臣のもとで調整が進められていくものと思いますけれども、一つは、やはり地方がその地域の実情に応じて創意工夫されたことを生かしていく、このポイントは大変重要だと思いますし、あと、委員が今御指摘になった財政健全化、財政規律の問題ですね、ここも大変重要だと考えております。
今、随分、石破大臣のところでヒアリングもしていただき、各省の意見も聞いていただいておりますけれども、今後、やはり、地方と国のそれぞれの役割、責任、この分担に応じて、それぞれの責任、要は負担ですね、こういったものも変わっていくべきものであると思います。
しかしながら、今、とにかく大切なのは、ローカルアベノミクスをどう成功させるか。昨年来、第一の矢、金融緩和があり、そして第二の矢、大胆な財政政策があり、そして成長戦略。国全体としての動きというものはありましたけれども、やはり、地方に向けて本当に温かい風が流れていくように、今、もうやらなきゃいけない。
そのためには、地方は、場合によっては、先行投資、非常に財政状況が厳しい地方であっても、新たに税収を生み出すような、その地方の資源を使って、地方に合った投資もやっていかなきゃいけない。その分の応援はしっかりとさせていただける、そういった財源の確保にも取り組んでまいりたいと思っております。
規律の点は、大変重要だと認識いたしております。
○重徳委員 ありがとうございます。
引き続き充実した審議を求めまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。