政治資金規正法の一部を改正する法律案について 提案理由説明 H27.5.27
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○重徳議員 ただいま議題となりました維新の党から提出いたしました政治資金規正法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
国会では、昨年来、政治と金にまつわる問題が頻発し、閣僚が相次いで辞任に至る事態となっておりました。今国会でも、国から補助金等を受けた会社等から閣僚が支部長を務める政党の支部へ寄附が行われていたことが政治資金規正法の寄附の制限に抵触するのではないかなどの政治と金にまつわる問題が相次ぎ、衆参の本会議や委員会においても、企業・団体献金の是非について多くの議論が交わされました。
我が党は、既に党の規約で、党所属議員が企業、団体から献金を受け取ることを禁止することとしており、また、昨年十二月に行われた衆議院総選挙のマニフェストにおいても、政治と金に終止符を打つために、政治における企業・団体献金の全面禁止を掲げ、その身を切る改革の姿勢は多くの有権者の支持を得たところであります。
我が党は、政治に対する国民の信頼を取り戻すためには、政治と金についての疑惑を払拭することが喫緊の課題であり、まずは、マニフェストで掲げた企業・団体献金の全面禁止を実現する必要があると考え、政治資金規正法の改正を行うことといたしました。
その主な内容は、法人その他の団体は政治活動に関する寄附をしてはならないこととするとともに、何人も、法人その他の団体に対して、政治活動に関する寄附をすることを勧誘し、または要求してはならないこととし、これらの規定に違反した者は、一年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処することとするものであります。
なお、本改正案は、平成二十八年一月一日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げ、提案理由の説明を終わります。
○山本委員長 次に、穀田恵二君。
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政党助成法を廃止する法律案
政治資金規正法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○穀田議員 私は、日本共産党を代表して、政党助成法を廃止する法律案について、提案理由及びその内容について説明します。
政党助成制度は、一九九五年、政治改革の名のもとに、小選挙区比例代表並立制とともに導入、施行されました。この制度は、国民に一人当たり二百五十円を負担させ、毎年約三百二十億円もの税金を各党に配分する仕組みであり、この二十年間の政党助成金の総額は、約六千三百十一億円にも上ります。
そもそも、国民は、みずからの思想、政治信条に従い支持政党に寄附する自由と権利を持っており、政治資金の拠出は国民の政治参加の権利そのものです。ところが、税金を政党に配分する政党助成の仕組みによって、国民は、みずから支持しない政党に対しても強制的に寄附させられることになります。日本共産党は、このような制度は、思想、信条の自由や政党支持の自由を侵す憲法違反の制度であると指摘し、その創設に反対するとともに、一貫して政党助成金の受け取りを拒否してきました。
重大なことは、政党助成制度が極めて深刻な形で政党の堕落を招いていることです。
政党助成金を受け取っている各党の本部収入に占める割合は、自民党が約六割、民主党が約八割、当時の日本維新の会が約七割です。この制度の導入の際には、提案者から、税金に過度に依存しないことが必要との議論がありましたが、今や政党助成金を受け取っている多くの党が、その運営資金の大半を税金に依存しているのが実態です。また、五人以上の国会議員を集めれば政党助成金をもらえることから、理念も政策も抜きに、政党助成金目当てにおびただしい数の新党の設立と解散が繰り返されてきました。
政党は、何よりも、国民の中で活動し、国民の支持を得てその活動資金をつくるというのが基本です。政党が、国民、有権者から浄財を集める努力をしないで税金頼みになっていることから、金への感覚が麻痺し、腐敗政治をつくり出す一つの根源になっていることも重大です。
また、この制度は、もともと金権政治の一掃を求める国民の声を受け、企業・団体献金を禁止するからという口実で導入されました。しかし、実際には、政党本部、支部に対する企業・団体献金が温存され、政党助成金との二重取りが続けられています。
このように、政党助成金頼みの政党をつくり出す制度は、虚構の多数をつくり出す小選挙区制と相まって、政党の劣化や堕落を生み出しています。民主主義を壊す極めて有害な制度を続けていいのかが厳しく問われています。
以上の理由から、政党助成法を廃止するものであります。
続きまして、日本共産党が提出しております政治資金規正法の一部を改正する法律案、すなわち企業・団体献金全面禁止法案について、提案理由及びその内容について説明します。
この間、安倍政権のもとで、国の補助金を受けている企業から閣僚への献金を初め、政治と金が問題になりました。このような問題が浮上するたびに、国民に疑惑を持たれてはならないとの議論が起こりますが、今こそ、金権腐敗政治の根源である企業・団体献金の全面禁止に踏み出すべきであります。
二十数年前、リクルート事件、ゼネコン汚職など、自民党の金権腐敗政治に国民の厳しい批判が向けられました。当時、細川内閣のもとで提案された政治改革法案は、企業・団体献金については廃止の方向に踏み切ると言いながら、実際には、政党支部への献金は認める、政治資金パーティーは残すという二つの抜け道をつくり、企業・団体献金を温存してきました。
直近二〇一三年分の総務大臣届け出分と、都道府県選管届け出分の合計を見ると、政界全体への企業・団体献金総額は八十七億六千三百万円に上り、政治資金パーティー収入の総額は百七十六億四千三百万円となっています。パーティー券は、その大半を企業、団体が購入しているのが実態であり、形を変えた企業・団体献金にほかなりません。この巨額の政治資金パーティー収入が透明化されていないことも問題です。
そもそも、企業の政治献金は、本質的に賄賂性を持つものです。
国民一人一人が、みずから支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのものです。企業も社会的存在であるなどといって企業の献金を正当化しますが、参政権を持たない企業が政治献金をすることは、国民の参政権を侵害するものです。
営利を目的とする企業が、個人をはるかに超える強大な財力で政治的影響力を行使するなら、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかです。
こうした状況が、腐敗政治を生み出す温床となり、政治の劣化と政党の堕落をつくり出しています。政党は、何よりも、国民の中で活動し、国民の支持を得てその活動資金をつくるということが基本でなければなりません。
この際、企業・団体献金の全面禁止と政党助成制度の廃止を一体として行うことは、企業腐敗、金権腐敗政治を根絶する上で不可欠の道であります。
以上が、企業・団体献金の全面禁止を提案する理由です。
次に、法案の内容を御説明申し上げます。
第一に、企業、団体の政治活動に関する寄附の禁止及び企業、団体によるパーティー券購入の禁止であります。
政治団体を除く企業その他の団体は、政党であれ政治家個人に対してであれ、政治活動に関する寄附及び寄附のあっせんを一切してはならないものとします。また、何人も、政治団体を除く企業その他の団体に対して、政治活動に関する寄附をすること、または寄附のあっせんをすることを勧誘し、要求してはならないものとしております。
同時に、政治資金パーティーの対価の支払いは政治活動に関する寄附とみなすものとすることにより、企業その他の団体によるパーティー券購入を禁止するものです。これにより、パーティー収入の公開の対象は、五万円超となります。
第二に、政治団体の代表者に対して、当該政治団体及びその会計責任者が政治資金規正法の規定に違反することのないように、監督する責任を課すこととします。
第三に、収支報告書の公表についてです。
総務大臣または都道府県の選挙管理委員会による収支報告書の要旨の公表の期限を、報告書が提出された年の九月三十日までとすること、収支報告書要旨の公表を義務化すること、情報公開開示の迅速化を図ることなど、二〇〇六年法改正及び〇七年法改正によって後退させられた規定をもとに戻します。
第四に、政治活動に関する寄附の量的制限の強化です。
個人のする政党、政治資金団体への寄附総額の上限を一千万円とし、政党、政治資金団体以外の者に対してする寄附総額の上限は五百万円としています。
また、収支報告書への記載を免れる目的で分散寄附することを禁止します。
公職の候補者が政党から受けた政治活動に関する寄附をみずからの資金管理団体に対してする特定寄附の規定を削除します。
第五に、罰則の強化です。
政治資金規正法に定める法定刑を全体的に引き上げます。
政治資金規正法に違反の罪を犯し、刑に処せられた者は、裁判が確定した日から五年間の公民権停止とします。
以上、政治資金規正法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要を御説明いたしました。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○山本委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、明二十八日木曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十九分散会