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○議長(大島理森君) 重徳和彦君。
〔重徳和彦君登壇〕
○重徳和彦君 愛知県三河の国から参りました重徳和彦です。
私は、民進党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました農業競争力強化支援法案につきまして質問をいたします。(拍手)
農業の言葉が輝くとき。それは、家族が食卓を囲み、とれたての季節の食材を楽しみながら、子供たちが大人たちから、日本が誇る農作物の価値や豊かさを学びながら味わうとき。四季折々の、美しくかぐわしい花をめでるとき。最近の言葉で言えば、地産地消、食育、顔の見える農業が実践され、地元の農家が育てた農産物を安心して買い求めることができるときでありましょう。
農業という存在が将来にわたって輝き続けられる社会こそ、日本が次に到達すべき目標ではないでしょうか。
私が暮らす愛知県三河地方は製造業が盛んなことで知られますが、農業生産額も全国屈指であります。その基盤をなすのは、多くの地方選出の議員の皆様方と同様、広大な平野で古来より営まれてきた農業と、そこで育まれた農村文化、そして人と人の結びつきを大切にする共同体、日本人の心であります。
私たち政治家は、世界の政治経済が混乱する今こそ、日本の津々浦々に息づくこうした農村文化を守り支えることを通じて、世界がうらやむ成熟国家をつくり上げることに全力を注ぐべきではないでしょうか。
以上申し上げて、質問に入らせていただきます。
まず初めに、本法案における競争力という言葉についてお尋ねします。
市場原理において最も重要な要素は価格であり、農業分野でも価格競争力の向上は当然求められるものと考えます。しかしながら、日本の農産品は、工業製品と異なり、価格競争力で勝負するには制約が多過ぎます。作物の種類や気候、地形や地質などの条件の違いから、営農規模や地域の実情も多種多様であり、効率化、大規模化すればよいという市場原理の感覚は農業の現場から乖離しています。
そこでまず、今回の法案で言う競争力を考える上で、外国に比べて厳しい条件に置かれる日本農業の価格競争力についてどうお考えなのか、どの程度重きを置いているのか、農林水産大臣にお伺いいたします。
次に、日米を初めとした農業分野の国際交渉についてお尋ねします。
先日、アメリカの通商代表に指名されたライトハイザー氏が、農業分野の市場開放について、日本を第一の標的とする旨の発言をしました。TPPを離脱したアメリカが、来月から始まる日米経済対話などを通じて、日本の農業に強い圧力をかけてくる可能性があります。
これに対しては、日本の農家や消費者の立場に立ち、毅然とした国際交渉を行う覚悟や決意を持たなければ、日本の農業や食生活は劣化の一途をたどります。
しかし、昨年のTPP審議を見ても、例えば、大幅にふえる輸入牛肉について、複数の議員から、アメリカなどで肥育に使われる成長促進ホルモン剤などの実態への懸念が示されましたが、食品表示の義務づけの提案などに対しても、政府は極めて後ろ向きな答弁に終始しました。
日本はそんな国でよいのですか。安倍内閣が経済最優先を目指すなら、私たちは、安心最優先、幸福最優先という、一段質の高い国家を実現するための新しい政治の流れをつくりたい。国民が誇りを持って暮らせる尊厳ある国を目指したいと思います。
そこで、国際社会でどんなに厳しい要求を突きつけられても、事農業分野については、体を張って交渉に臨み、守るべきを守るのが政治の役割ではないかと考えますが、いかがですか。
次に、農業対策予算についてお尋ねします。
昨年からの予算審議で、政府から、TPP関連予算はTPPがなくても必要な予算であるとの見解が示されています。税金の使い方の説明として、納税者を小ばかにしていると言わざるを得ません。
しかし一方で、今後のアメリカとの農業交渉の行方は極めて不透明であります。今後の農業対策予算のあり方についてどう考えているのか、お答えください。
次に、農協の自主改革と本法案との関係についてお尋ねします。
まず、農協法との関係です。
農協法改正に当たっては、平成二十七年六月、当時の維新の党の村岡敏英議員らが提出した修正案により、組合の構成員と役職員との徹底した議論などを促すことにより、当該改革の趣旨に沿った自主的な取り組みを促進するものとする旨の規定が追加されました。
第二次安倍内閣で、内閣提出の法案に対し、野党が提出した修正案に与党が賛成し可決された例は三件しかなく、ふだんは野党の意見に全く耳を傾けない政府・与党も認めざるを得ない重要な修正だったことがわかります。この修正の意義についてどう考えるのか、お答えください。
ところで、農協の自主的な取り組みとはどんなものでしょうか。
例えば、私の地元のJAでは、組合員の声を農協の運営に反映させるため、毎年、運営方針などの説明会を各支店が手分けして、計百二十七会場できめ細かく行っています。
その中では、農薬や肥料の値段を下げてほしい、出荷する農産物の価格を高くしてほしいという農協への不満の声も当然上がります。こうした要望に対し、大手量販店の資材価格を調査し、農協でも同等の価格で提供する取り組みを進めたり、農産物の産直店舗等での直接販売を進めることで買い取り価格を引き上げ、それまで米屋に直接売った方が得だと考えていた生産者の選択肢がふえるなどの成果を上げています。
派手ではありませんが、こうして現場に根差し、組合員に真摯に向き合う改革姿勢こそが、協同組合の本来の姿だと考えます。
今後も、JAグループは、スピード感を持って改革の実効性を上げ、目に見える成果で組合員の負託に応えなければなりません。
他方、農水省は、現時点で、各地域の農業者団体などの改革への取り組みについて、果たしてどこまで個別具体的に把握しているのでしょうか。
私の地元の製造業、物づくり現場には現地現物という言葉がありますが、食べ物づくりたる農業こそ、現地現物なくして改革などあり得ません。
現場の取り組みを評価する前に、政府が介入できる法的根拠だけをつくって、上からの官製改革を押しつけようとする姿勢は、政府と農業現場との信頼関係を損ねるだけでなく、そもそも改革を進める手順として間違っていると思いませんか。
あわせて、農水省は、現場における農協の自主的な改革への取り組みをどれほど把握し、どう評価しているのか、農林水産大臣にお尋ねします。
次に、農業競争力強化プログラムとの関係についてお尋ねします。
本法案の背景となっている昨年十一月の農業競争力強化プログラムでは、農協に対し、組織体制や人事登用のあり方にまで口を出し、数値目標や計画の策定を半ば強制的に求め、政府・与党がそのフォローアップを行うことが決められました。
こうした経緯から、本法案の本当の目的は、農業競争力の強化というより農協をターゲットにした経営介入、すなわちフォローアップではないのかとの指摘があります。
農業者の農業所得の増大が思わしくないなどの何かしらの場合に、本法案五条の努力義務規定を根拠に、国が農業者や農業団体に対し何らかの行動を求めることがあり得るのか、もしそうでないのであれば、罰則もなく指導の根拠にもならないこの条文の存在意義は何なのか、農林水産大臣に見解を求めます。
また、過去に、このように一般に幅広く個人や団体の個別経営に努力義務を課している法律の例はあるのか、お尋ねいたします。
次に、規制改革推進会議との関係についてお尋ねします。
本法案十六条に基づき、国が例えば農業資材の価格の調査、公表などを行うことは、資材価格の合理化を後押しするには効果的な手法と考えます。
しかし、これは、本法案がなくても行政の持つ一般的な権限に基づき実行できることであります。異論の多い法案をつくる前に、やれることはしっかりやることが先決ではないでしょうか。
農協が自主的な改革に取り組む中、国による最初の調査、施策のあり方検討は、それぞれ一年以内、二年以内に行う規定が設けられていますが、これは、昨年十一月に現場から強い批判を浴びた規制改革推進会議の急進的な改革案を根拠づけるためのものではないかとの疑念が現場に広がっていますが、現時点での同会議としての考え方と本法案との関係について、規制改革担当大臣の答弁を求めます。
また、本法案があろうとなかろうと、一年を待つことなく、十六条にあるような調査、公表は早急に任意で実施すればよいと考えますが、その考えはないか、農林水産大臣にお尋ねします。
以下、本法案の各条文について質問いたします。
本法案五条三項には、農協などの農業者団体に対し、農業者の農業所得の増大に最大限の配慮をするよう努めることとされています。同様の規定は、既に農協法七条二項に置かれています。なぜ改めて法定化するのか、農林水産大臣にお尋ねします。
次に、本法案八条三号において、国は、農業資材であってその銘柄が著しく多数であるため銘柄ごとのその生産の規模が小さくその生産を行う事業者の生産性が低いものについて、銘柄の集約の取り組みを促進するとあります。
現在流通している生産資材は、韓国より数倍値段が高いという話もあります。全く同じ商品なら、単価が安い方がいいことは言うまでもありません。
しかし、肥料や農薬は、それぞれの作物や気候、土壌に合わせたきめ細かな品質へのニーズがあるからこそ、多くの銘柄が販売され、使用され、商品として成り立っているという農業固有の特性があることを忘れてはなりません。現場では、外国産の安い肥料は、粒の大きさがふぞろいで機械に合わなかったり、適当なロットで販売していないなど、作業効率上問題が生じているとの報告もあります。現場での使い勝手を考慮せず、単価だけ見て生産性を判断することはできません。
そこで、八条三号の、著しく多数、規模が小さく、生産が低いとは、どういうケースを想定し、どういう基準で判断するのか、農林水産大臣の見解をお尋ねします。
また、政府は、この規定に基づき、例えば細分化された施肥基準を見直すなどの取り組みを促進することを考えているようですが、この法案がなくてもこれを実行することはできるのではないでしょうか。このように、実行できる解決策は、法案をまつまでもなく、農水省として今すぐ対処すべきではないでしょうか。
次に、この法案では、農業生産関連事業における生産性などの事情を政府が判断し、事業再編や事業参入を主導する仕組みになっていますが、本法案二条の事業再編促進対象事業や事業参入促進事業に係る事業分野を主務省令にどう定めようとしているのか、また、この規定に基づき、どんな事業者がどの程度再編、参入することを見込んでいるのか、見解を求めます。
次に、農業者が個人で大手量販店等に直接出荷することとなった場合、不当な買いたたきに遭うことも懸念されますが、本法案六条、合議制の機関の協力規定に基づき、公正取引委員会が農産物の買いたたきの是正に取り組むことになると解釈してよいか、担当大臣の答弁を求めます。
最後に、本法案三条において、国の責務として、国内外における農業資材の供給及び農産物流通等の状況を踏まえ、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通の合理化を実現するとあります。ここで国内外とあるのは、国際的にビジネスを展開する欧米の多国籍企業に門戸を広げる意図があるのでしょうか。
種子法の廃止法案も既に提出されていますが、日本の食料生産のかなめである稲、麦、大豆の種子生産まで、競争の名のもとに、安易に外資を含めた民間参入の道を開いていいのでしょうか。農業関連産業において外国資本企業が一定のシェアを占めることも想定しているのか、その場合、どのような対応をとられるおつもりなのか、あわせて御答弁を願います。
以上で私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣山本有二君登壇〕
○国務大臣(山本有二君) 重徳議員の御質問にお答えをいたします。
本法案における競争力と日本農業の価格競争力についてのお尋ねがございました。
本法案における農業の競争力とは、農業の生産性を高め、高い収益力を確保することにより持続的な農業発展ができる力であると考えております。
したがいまして、競争力につきまして、価格競争力のみを指すものではありません。品質の高さや安全といった点も競争力の重要な要素であると考えておりまして、価格競争力のみに重きを置いているのではございません。
次に、農業分野の国際交渉への対応方針についてのお尋ねがございました。
農林水産省としましては、今後とも、国際交渉に当たりましては、我が国の農林水産業をしっかり守っていくため、農林水産品につきまして、貿易、生産、流通実態等を一つ一つ勘案して、そのセンシティビティーに十分配慮しながら、しっかりと交渉に取り組んでいく方針でございます。
なお、先日の日米首脳会談における一連の会談を含め、米国政府から二国間交渉について具体的な要請はなかったものと承知しております。
次に、今後の農業対策予算のあり方についてのお尋ねがございました。
総合的なTPP関連政策大綱において、農林水産分野につきましては、まず、TPP発効を見据え、それに備えることをきっかけとして、協定の発効を前提とせずとも取り組むべき農林水産業の体質強化を加速する対策と、次に、TPP協定発効後に必要となる関税削減等の影響に対応するための経営安定対策の充実等の二種類の対策を行うこととしたところでございます。
これまで、平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度補正予算におきまして、TPP大綱を実現するための予算として措置したものは、全て前者に該当するものでございまして、これらを着実に実施して、農林水産業の体質強化を進めていく必要があるものと考えております。
もとより、我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの状況にあります。農林水産業の体質強化に必要な施策につきましては、今後とも着実に講じてまいる所存でございます。
次に、平成二十七年の農協法改正法に対する修正の意義についてお尋ねがございました。
平成二十七年の農協法改正法に対しましては、維新の党提案による修正が加えられまして、組合の構成員と役職員との徹底した議論を促すことにより、これらの関係者の意識の啓発を図り、改革の趣旨に沿った自主的な取り組みを促進する旨の規定が追加されたと承知しております。
この規定が追加されたことの意義は、農協改革は自己改革が基本であり、その前提として、第一に組合員と役職員の徹底した話し合いと、第二にこれらの関係者の徹底した意識改革が重要であるということを明らかにしている点にあると考えております。
次に、農協の自主的な改革への取り組みについてのお尋ねがございました。
本法案は、農業生産資材価格の引き下げと農産物の流通、加工構造の改革の実現を目指すものであり、農協に対して改革を強制するものではございません。
また、農協改革は、農協が農業者の協同組織としての原点に立ち返って、農業者の所得向上に向けて、地域の農業者と力を合わせて農産物の有利販売などに取り組んでいただくものであります。JAグループには、この考え方に沿って自己改革を進めていただきたいと考えております。
各地の農協改革の進捗状況につきましては、都道府県に対して毎年実施していますヒアリングなどさまざまな機会を通じて、各農協の改革の取り組み状況を把握しているところでございます。
全体として見れば、まだ十分な改革効果が出ていると評価する段階には至っておりませんが、今後さらに改革を促してまいりたいというように考えております。
次に、第五条の農業者等の努力規定についてのお尋ねがございました。
本法案では、農業生産関連事業者に対して、良質で低廉な農業資材の供給や、農産物流通等の合理化の実現に資する取り組みを持続的に行うよう努めることを求めております。取引相手である農業者がこのような努力を行う事業者を利用しなければ、その実現につながりません。
このため、農業者の方々に対しても、このような努力を行う事業者との取引を通じて農業経営の改善に努めることを求める旨の規定を置くこととしたものでございます。
このように、本規定は、本法案の目的を実現するために必要と考えておりますけれども、国がこれを根拠として農業者等に何かを強制しようとするものではございません。
次に、他の法律における努力規定の例についてのお尋ねがございました。
本法案第五条は、農業者や農業者の組織する団体の個別の経営内容について努力義務を課しているものではありません。本法の目的の実現のため、一定の行為を行うことを求める旨の規定を置いたものでございます。
このような立法例といたしましては、食料・農業・農村基本法第九条があり、「農業者及び農業に関する団体は、農業及びこれに関連する活動を行うに当たっては、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。」と規定されているところでございます。
次に、政府が実施する調査についてのお尋ねがございました。
農業資材等の状況につきましては、国内の生産、流通や業界構造等の状況を、韓国との比較を含めて調査し、昨年九月に公表しました。
これらの調査結果を分析し、洗い出された農業資材等に係る課題に対処するため、今般、本法案を提出したところでございます。
本法第十六条に基づく調査につきましては、法律の施行後できる限り速やかに実施するとともに、その後も定期的に調査、公表を行い、農業資材等に係る施策のあり方の検討に結びつけてまいりたいと考えております。
次に、農業者団体に対する農業者の所得増大への配慮に係る規定についてのお尋ねがございました。
本法第五条三項は、農業生産関連事業を行う農業者団体に対して、農業者の農業所得の増大に最大限配慮するよう努めることを規定しております。この規定は、農業生産関連事業を行う農業者団体全体に対して努力を求めたものであります。農協に限定されるものではないため、本法案において規定したものでございます。
次に、本法案の第八条三号の規定についてお尋ねがございました。
同号による銘柄の集約の対象となる農業資材といたしましては、一律の基準はないものの、例えば、「銘柄が著しく多数」につきましては、肥料の銘柄数が、韓国の約五千七百銘柄に対して我が国では二万銘柄も存在すること、「銘柄ごとのその生産の規模が小さく」につきましては、代表的なメーカーにおける肥料の一銘柄当たりの年間生産量が、韓国の一万七千トンに対して我が国では約九百トンにすぎないこと、「事業者の生産性が低い」につきましては、飼料工場の稼働率が、韓国の二三七%に対して我が国では九三%にとどまること等が改善すべき状況であり、現状では、肥料、飼料が対象となると考えているところでございます。
次に、銘柄集約に関し、実行できる解決策の速やかな実施についてのお尋ねがございました。
我が国における肥料の登録銘柄数は、近年一貫して増加しておりまして、現在、二万銘柄となっております。また、飼料につきましても、製造現場の方から、銘柄数がコスト増の要因になっているとの意見もいただいております。
銘柄数が多くなっている背景には、都道府県による細分化された施肥基準や、ブランド化を図ろうとする農業者からの要望、メーカーの販売戦略等があると考えております。
こうした状況を踏まえ、銘柄の集約に向けて、都道府県や農業団体、メーカー等との意見交換を始めているところでございます。
また、今回、こうした取り組みを国の施策として法案に明示することにより、地方公共団体等の協力を得ながら、国が強力に推進していくことを明確にすることとしております。
次に、事業再編や事業参入の促進対象事業に係る事業分野についてのお尋ねがありました。
昨年秋に取りまとめました農業競争力強化プログラムを踏まえ、事業再編促進対象事業につきましては、農業資材では肥料、飼料等、農産物流通等では卸売市場関係業、米卸売業、食品小売業等を想定しているところでございます。
また、事業参入促進対象事業につきましては、同様に、プログラムを踏まえ、農業機械等を想定しているところでございます。
なお、事業再編や事業参入は個々の事業者の自主的な判断によるため、どのような事業者がどの程度再編、参入するかを見込むことは困難でございますけれども、本法案に基づく支援措置を講ずることで、これらの取り組みが進むよう、後押ししていきたいと考えております。
次に、第三条の国内外という文言についてのお尋ねがありました。
良質かつ低廉な農業資材の供給や農産物流通等の合理化を実現するためには、その状況について国際比較を行い、これに基づき施策を講ずることが重要でございます。
本法案の第三条では、こうした観点から、国内外の農業資材の供給や農産物物流等の状況を踏まえと規定したのでございまして、欧米の多国籍企業に門戸を広げるといったことを意図したものではございません。
次に、農業関連産業における外国資本企業についてのお尋ねがありました。
農業関連産業においては、農薬のように、既に外資企業が一定のシェアを占めている資材もあるところでございます。
本法案は、我が国農業の競争力強化のため、良質かつ低廉な農業資材の供給等に取り組む事業者に支援を行うものでございまして、外資企業のシェアの向上を支援するものではございません。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣山本幸三君登壇〕
○国務大臣(山本幸三君) 昨年秋に改革案を提案した規制改革推進会議の考え方と本法案との関係についてお尋ねがありました。
規制改革推進会議においては、昨年九月以降、農業の競争力を強化し、農業者の所得を向上させるため、生産資材の生産や調達をめぐる課題、農産物の流通や加工をめぐる課題、さらには、その中で重要な役割を果たす農協が自己改革により目指すべき方向性について検討を重ね、改革案が提言されました。
その後、規制改革推進会議の提言も踏まえつつ、昨年十一月二十九日に、総理を本部長とする農林水産業・地域の活力創造本部において、農業競争力強化プログラムが取りまとめられ、これに基づき、農業競争力強化支援法案が策定されたと承知しています。
したがいまして、本法案は、政府としての方針に即して策定されたものであり、議員が御指摘されるような、規制改革推進会議独自の改革を根拠づけるというようなものであるとは考えておりません。(拍手)
〔国務大臣松本純君登壇〕
○国務大臣(松本純君) 重徳議員より、農業者が大手量販店等に直接出荷する際に、当該大手量販店等から不当な買いたたきを受けた場合における公正取引委員会の対応について、御質問をいただきました。
公正取引委員会におきましては、農業者と大手量販店等との取引に関して、独占禁止法に違反する疑いがある事実に接した場合には、同法の規定に基づき厳正に対処するものと承知しております。(拍手)
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