○議長(大島理森君) 重徳和彦君。
〔重徳和彦君登壇〕
○重徳和彦君 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。(拍手)
会派を代表して、長期契約法に賛成の立場から討論いたしますが、何点か指摘しておきます。
まず、長期契約法による経費の縮減効果についてです。
岩屋大臣は、適切に算定をしたと答弁されていますが、野党各党から指摘があるとおり、積算根拠の曖昧さへの疑問が審議の中で十分拭い切れませんでした。
そもそも、防衛装備品の価格決定は原価計算方式になっており、その価格水準の適正化について、防衛省は、製造コストにおける一般管理販売費などの間接経費も含め、各企業に対し、不断に改善を求めていくべきです。
次に、FMSについてです。
FMS調達によるF35A戦闘機の導入は、民主党政権下で判断されたものですから、当時政権にあった野党議員も否定できないはずですが、その金額は現政権になってから急増し、平成三十一年度予算は七千億円を超える中で、支払い額、納期が不透明なFMS調達に十年先までの長期契約を適用することは、我が国の財政の見通しに支障を来すことになりかねないという不安感も否定できません。
また、長期契約法の趣旨の一つは、調達の安定化と効率化を通じて国内産業を育成することにもあるはずなのに、このFMS偏重の傾向が続けば、これまで歯を食いしばって防衛装備品の製造を続けてきた国内企業が撤退し、海外のライセンスや調達への依存度がますます高まってしまいかねません。
以上を指摘した上で、社会保障を立て直す国民会議としては、次の点を提案します。
まず、現行中期防における長期契約法の適用対象は、機種ベースで一三・二%、金額ベースで七・七%と限定的であると言えますが、今後も、対象となる装備品を適切に選択した上で、間接経費などの積算根拠を含め、その効果についても適切に評価するべきです。
次に、FMS調達における米国内と対日本の売り値の差について要因分析を徹底的に行い、米国から割高な買物を強いられないよう、最大限の努力をすべきです。
その上で、FMS調達への依存度を抑制するため、研究開発への投資をふやし、F2後継機などの開発を国内企業が主導できるよう、最新技術を育てていくべきです。
さらに、国内の防衛産業の再編、強化を進めるため、唯一の発注者である防衛省が、防衛産業のビジョンを示しながら、各企業との対話を積極的に行うべきです。
最後に、技術の国外流出を防ぎ、日本国内の技術を保持することをもって、経済上も安全保障上も国際的地位を高める技術安全保障を国家戦略として進めるべきです。
以上を申し上げ、賛成討論とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)