H26年5月8日 消費者問題に関する特別委員会
「地域と連携したシステムを-消費者安全確保地域協議会」
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○山本委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。ありがとうございます。
ゴールデンウイークは、私の選挙区でいいますと西尾市というのがあるんですけれども、抹茶の名産地で、お茶っ葉を小中学生も摘むということで、初摘みの季節であります。それにちなんで、きょうも緑色のネクタイと、あと、まーちゃというゆるキャラがあるんですが、そういうものを身につけて質問させていただきます。
やはり抹茶にしても、それからアサリの名産地でもあります。それから、一色町のウナギというものもあります。そういった、地元がもう本当に子供のころから皆さん一生懸命取り組んで築き上げていくのが、いわゆる地域のブランドであります。
そういったものが、今回のメニューの偽装とか、大手レストランのいろいろなことによりまして傷ついていくようなことだってあるわけで、今回の景表法の改正が成立した暁には、ぜひとも、その運用につきまして、しっかりと、地域の熱意そして取り組み、こういったものを念頭に置いて、大切に大切にしていっていただきたいということを、まず冒頭、申し上げたいと思います。
それから、もう一つの消費者安全法改正ですが、私は、今回は、特にきょうは消費者安全確保地域協議会につきましてスポットを当てて質問させていただきたいと思います。
特に、昨年の四月十一日に私が質問をさせていただきましたときに、地方自治体におけるワンストップサービスといいましょうか、消費者問題というものは、例えば、多重債務の問題を抱えている方で消費者の相談窓口を訪れましたという方がいたとして、その場合に、問題はその多重債務だけではないということなんですね。
つまり、その方は、住宅、公営住宅であれアパートであれ住んでいると家賃は滞納しているとか、それから税金も滞納している、あるいは失業中で仕事がなかなか見つからないとか、あるいは御病気だったり障害があったりという問題も抱えているかもしれない、家庭の問題があるかもしれない。
行政的にいうと、これは完全に縦割りなんですね。これは、どこの自治体、あるいは国だって、全部、縦割りの課、局そして省庁に分かれている。
こういう問題は一番役所が苦手としている分野でありまして、うちの窓口の担当ではありません、よそに行ってくださいということがしょっちゅうあるわけで、それが、よりによって、一番困っている、借金を抱えてもうどうにもならない、病気でもうどうにもならない、そういう一番立場の弱い方が窓口に相談に行くと、うちの担当ではありません、よそに行ってくださいと。別にそこまで連れていってくれるわけではありません。よそに当たってくださいというようなことを強いられている方が、一番困窮しているわけであります。
そういう状況に対して、これをパーソナルサポートと言う方もあります、そちらにおみえになる山崎次長とも私は一緒になって取り組んでいたことがあるんですけれども、パーソナルサポートあるいはワンストップという形で、その一番困っている方、消費者問題なら消費者問題で困っている方をみんなで、その本人を中心としてサポートする体制が必要なのではないか、こういう問題提起をさせていただきました。
去年、森大臣に御答弁いただいたのは、私の具体的な質問としては、例えば多重債務で困っておられる消費者の方がいらっしゃったというときに、その方は同時に、税金を滞納している、滞納せざるを得ない状況に追い込まれているとか、公共料金、水道料金を払っていない、払えない、こういう状況だったりする。つまり、一つの切り口だけじゃなくて、複数の問題を抱えている、そういう状況を数値として消費者庁として把握するべきではなかろうかということを申し上げました。
具体的には、滋賀県に野洲市という市がありますが、そこのサンプルでありますと、消費者の窓口に訪れてくる方は年間数百人から千人ぐらいの間なんですけれども、そのうち、消費者窓口に直接飛び込んでこられる方ももちろんいるけれども、ほかの課を経由して来る方も、全体の三分の二ぐらいあるというわけですよ。今申し上げたような、税金を所管している部局とか、住宅を担当している部局、よそからそういう情報が集まってくるケースが相当ある。
そして、逆に言うと、相談者の側から見れば、問題の分野としては平均三つぐらい抱えている、そういう数字もあるわけなんです。
こういった一自治体で先進的に取り組んでいるところはこういう数字も明確になってくるわけなんですが、消費者庁として横断的な所管をしているわけでありますので、先ほど古屋先生からも、寄せ集めで、もっとプロパーの方が必要じゃないか、そういう御指摘もありました。
一方で、プロパーはプロパーでもちろん必要なんですけれども、寄せ集めという言葉は悪いですね、私に言わせれば、オールスターだということで、やはり各省庁は純粋培養過ぎるんですね。本当に、一つの省にずっといて、その省に対する忠誠心は培われるけれども、やはりもっと国民目線で、国民への忠誠を誓うべきなのであって。
そういう意味では、寄せ集めというよりはオールスターで消費者庁として取り組んでいただきたいという願いも込めまして、去年、大臣は、検討してみたいというようなことをおっしゃいましたが、その後、検討状況はいかがでしょうか。
○森国務大臣 消費者が抱える問題に包括的、総合的に対処するためには、消費生活相談を担う地方公共団体の内部において、情報共有を図って、十分な連携体制をつくっていくことが必要であります。
御指摘の例に挙げられました多重債務問題については、現在、金融庁、消費者庁、総務省で、地方公共団体向けアンケートによる多重債務相談に関する実態把握を行いまして、本年四月一日に公表した最新の調査結果によりますと、二十五年九月三十日の時点で、八百六十八の市町村から、多重債務問題に関する連携体制を構築していると回答していただいているところでございます。
多重債務については、私、金融庁におるときに課長補佐で担当でございましたけれども、その当時、野洲市においても大変先進的な取り組みをしておりましたし、鹿児島県の奄美市等もやはり、徴税課、福祉課、それから給食費なども滞納していたり、とにかくありとあらゆるところと連携して、手づくりのソフトもつくりまして、どこに飛び込んできてもワンストップで相談ができる、また、相談者をたらい回しに移動しないように、当庁の基金も使って、私も視察してまいりましたけれども、本当に小さい、三畳ぐらいの畳の部屋ではございますが、高齢者の方なんかはそこにいていただいて、移動せずに、職員の方が来て相談をするというようなことができるようにしております。
こういった先進的な取り組み事例については、現在、地方公共団体に向けて情報提供を行っております。
さらに、今般の法改正におきまして、地方公共団体において消費者安全確保のための取り組みを効果的かつ円滑に行うために、消費者安全確保地域協議会の設置に係る規定を設けました。これによって、ここのメンバーとなる方々の関係の部署が連携をする、地方公共団体内部の関係機関が連携して、協議会内で情報交換を行うということを可能とする枠組みを用意したところでございます。
今後とも、数値の把握を含めて、地方公共団体の連携体制が十分図られるように、引き続き最大限努力してまいりたいと思います。
○重徳委員 もちろん、各自治体で取り組みをしない限り、国で幾ら把握しようとしても把握するものがないという状況もあると思いますので、おっしゃるように、先進的なところの取り組みをどんどんと他の自治体にも伝えていって、各自治体の取り組みがしっかりと進むようにしていただきたいと思います。
今回の協議会なんですけれども、これは、役所だけではなくて、病院だとか教育機関、さらには消費生活協力団体、消費生活協力員、こういった民間の方々にも協議会には加わっていただくという形になっております。
先ほど、役所の中でも各セクションごとにセクショナリズムがあって、これを取っ払ってみんなで取り組む必要があると申し上げましたけれども、さらに言うと、例えば家賃の滞納と申し上げましたが、公営住宅の場合は当然役所が把握できますけれども、民間のアパートの場合は、民間の不動産屋さん、管理会社じゃないと把握できない。
そういう意味では、民間の方々がそういう横断的な立場でそれぞれ把握できる情報を共有するということが必要になってくると思うんですが、民間の方々、法律上は、消費生活協力団体とか消費生活協力員その他の関係者としか書かれていませんが、例えば不動産管理会社を含めて、具体的に民間のどのような方に構成員となっていただくことを想定されているのでしょうか。
○川口政府参考人 お答え申し上げます。
消費者安全確保地域協議会は、地域における消費者の消費生活における被害を防止し、その安全を確保するための取り組みを効果的かつ円滑に行うことを目的として組織するものでございます。
構成員といたしましては、国及び地方公共団体の機関、病院、教育機関、地方公共団体の長が委嘱する消費生活協力団体または消費生活協力員その他の関係者を想定しているところでございます。
御指摘のとおり、地域協議会が見守り等の活動を効果的に行うためには、さまざまな形で、消費者被害に遭いやすい消費者、法律の言葉で言いますと、消費生活上特に配慮を要する消費者を発見いたしまして、地域協議会の活動につなげていくことが重要であります。このため、幅広い関係者が地域協議会の構成員であることが望ましいと考えております。
この法案の準備のための意見交換会でございますが、消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会、この報告書では、見守りの地域ネットワークへの参加が期待される関係団体といたしまして、消費者団体、介護サービス事業者などの福祉や医療関係の事業者団体、町内会などの地縁団体、商店街やコンビニ、宅配業者、金融機関等の地域の事業者、団体、弁護士や司法書士等の専門家、民生委員、ボランティアなどを挙げているところでございます。
また、御指摘のように、消費者である住民が抱える問題には、消費者行政担当部署だけでは解決が困難な場合もございます。
消費者問題の背景には、生活困窮、社会的孤立、認知力の低下など、さまざまな問題が潜んでいる可能性があります。このため、他の行政分野の担当部署と連携することも必要でありまして、ネットワークへの参加が期待される関係機関として、意見交換会報告書では、医療、保健、福祉、教育、防災、消防、警察などを挙げているところでございます。
消費者庁としても、効果的な取り組み事例を提供するなどにより、地域協議会の設置及び効果的な運用がなされるよう、地方公共団体に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
○重徳委員 ぜひ、先進事例に鑑みて、例えば不動産管理会社なども含めるとか、そういったことも、自治体に対して情報提供をさらに推進していただきたいと要望を申し上げます。
最後に、秘密保持義務につきまして、これまでも質問してまいりましたけれども、今般、四月一日に災害対策基本法の改正が施行されまして、緊急時に備えて、あらかじめ要支援者というんでしょうかの名簿を作成して、いざというときには本人の同意抜きでも市町村から関係者に支援が必要な方々に関する情報、名簿を提供することができるといった法改正まで行われたところであります。
今般の秘密保持義務も、ともすると厳し過ぎる、今回は罰則までつきますので。だから、先ほどから申し上げております、横の連携を妨げるような秘密保持義務になりかねない。
このあたりを何とか打破して、打破と言うとちょっと言葉が悪いんですが、うまい運用をしていただきたいと思うんですけれども、そのあたりにつきましての大臣のお考え方を改めてお伺いいたします。
○森国務大臣 見守りを有効に行うために、今御指摘のような民間の方も含めまして、地域協議会を組織することができるようにいたしました。
その中で、協議会の内部では、構成員から構成員に必要な情報が提供できるようにしなければなりません。ここは萎縮効果が生じてはなりませんので、それについてはしっかりと規定をいたしまして、必要な情報は提供、共有できますよと。
そのほかに、外部に対しての秘密保持義務、これを課しております。
これは、やはり見守りのための情報というのは非常にセンシティブでございまして、今現在起こっている消費者被害も、逆に言えば、カモリストが犯罪集団から犯罪集団に渡っていくことによって二次被害等が生じているわけでございます。
そういった意味で、秘密の保持という要請と、それからもう一つ、見守りのための効果的な活用というものがしっかりと行われて、より強力な見守り効果が発揮できますように、適切なガイドラインの作成や説明の徹底をしっかり行ってまいりたいと思います。
○重徳委員 現場でうまく機能することが大事だと思いますので、私自身も、地元、現場、しっかりと見て、適時適切に消費者庁の方にも伝えてまいりたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。