○古本委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 社会保障を立て直す国民会議、衆議院議員の重徳和彦です。
昨日、5Gの周波数の割当てが総務省の方で行われました。二十八ギガヘルツ、毎秒二百八十億回揺れるという、一秒でですね。すごい速い、タイムラグもない、そして多数同時接続ができる。すごい時代に入ってまいりました。
いろんなサービスがこれからどんどんどんどん開発されて、世の中も随分変わるんだろうなということを期待される時代に入ってまいりましたけれども。ただ、これは、よい物とかよいサービスをつくれば、おのずと物が売れるから、それでいいんだという発想だけでいいのかという議論を、ちょっときょうはしてみたいと思うんです。
一瞬で、世の中、シェアが奪われたり奪ったり、こういう時代でありますので、社会に技術革新の恩恵をちゃんと普及させて、そして、恩恵を受ける、受益者はちゃんと受ける、消費者は受ける。こういう時代をつくっていくためには、誰かが適切にイノベーションのコストとかリスクを負担する、こういう仕組みも必要なんじゃないかという議論でございます。
今国会、総務省から電気通信事業法改正案が提出されていますね。これはスマホの話ですけれども、スマホを売るときに、最初の二年間通信料金を値引きするから、その分、スマホの端末を実質ゼロ円とか格安で売る、こういういわゆるセット割引というものを禁じよ、こういう法案だと理解しておるんですけれども。
これって、この後御答弁いただければと思うんですけれども、いろいろあるんですけれども、ただ、消費者は買いやすいかな、それから、業者から見ても、乗りかえてもらいやすくなるとか、そういう効果があり、また、そのコストを通信事業者が、通信料金を割引するわけですから、負担しているという関係性にあるんじゃないかな、こう見るんですね。つまり、端末を売っている事業者に対して通信事業者が補助金を出しているような形だと思うんですけれども。
ここで質問なんですけれども、そもそも、こういう端末購入と通信料金のセットの割引、これは、なぜこれまで行われてきたんでしょうか。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
まず、セット販売がなぜ行われているかにつきましては、委員から御紹介のございました、昨日割り当てた5G、第五世代移動通信システムであれば、その5Gの周波数に対応した端末が不可欠であり、現在のスマートフォンであれば、4G、第四世代移動通信システムの周波数に対応した端末が不可欠であるためであります。
また、セット販売に際しましてなぜ割引が行われているのかという点につきましては、利用者の方々による端末の買いかえのタイミングを新規利用者の獲得の有効な機会と携帯電話事業者が捉えていることから行われているものと認識しております。
○重徳委員 そうですよね。だから、事業者側からすれば、今こそというときにセットで割引にすると買いかえが起こりやすいということを狙っているということなんですが、逆に、今回、法案でそれはだめだというわけですから、何が問題で、逆に言うと、完全に分離するということですね、端末と通信サービスを完全分離するということですから、そのメリットというのは一体どこにあるのかということ。
それから、他の国で完全分離というルールを適用している国はどこかあるのか、お答えください。
○秋本政府参考人 まず、何が問題なのかという点についてお尋ねをいただきました。
端末の買いかえ需要に依存したビジネスモデルが続いております結果、端末を購入するかしないか、また、どの端末を購入するかによりまして、同じ通信事業者の同じ内容の通信サービスであるにもかかわらず、通信料金が異なるという実態がございます。
また、端末を買いかえない利用者の方々ほど、高い通信料金を負担しているという不公平がございます。
また、利用者の方々にとりましても、一体、御自身が通信料金に幾ら、端末代金に幾ら払っているのか、極めてわかりにくく、正確な理解、比較が困難でございまして、結果として、携帯電話市場における競争が阻害されているのが実態でございます。
このため、総務省におきましては、通信料金と端末代金の分離を徹底するための法案を本通常国会に提出しております。これによりまして、利用者の方々が通信料金のみに焦点を当てて事業者を比較しやすくすることによりまして、同じ端末を長期間使い続ける利用者の方々も含めまして、競争を通じた料金の低廉化を促す環境が整うものと考えております。
また、諸外国の、先進国、他の先進国における状況がどうかについてもお尋ねをいただきました。
まず、欧米におきましては、端末を購入した利用者の方々に対しまして、日本のような大幅な割引を広く行っている例は見当たりません。結果として、完全分離に取り組んでいる例も見当たらないところでございます。
韓国におきましては、通信サービスと端末のセット販売に際しまして大幅な割引などが行われていた実態がございました。このため、二〇一四年に、移動通信端末装置流通構造改善に関する法律が制定、施行されております。この法律の中に、通信事業者や販売代理店から利用者に対する端末購入補助金の上限額を政府が定めることとする規制を二〇一四年の十月に導入しております。ただ、この上限規制規定は三年間の時限の規定でございまして、二〇一七年に時限を迎えているものと承知をしております。
○重徳委員 一言で言えば、わかりにくいから不公平が生まれている、わかりやすくした方が競争が促せるんじゃないかということだと思うんですね。だけれども、それは、どっちをとるかというような話のような感じもします。
確認なんですけれども、今おっしゃった問題点はそれはそれで理解しますけれども、やはり、そうはいっても、今度完全分離することによって、端末をそれなりの値段で買わなきゃいけないわけですから、そういう意味では、消費者が、新しいものが出たからといって、余り安くないのでちょっと買うのを、買いかえるのをやめようかなというふうになっちゃうんじゃないか。逆に言うと、今回、逆というか、なっちゃうんじゃないか、そういうふうに思うんですけれども、要するに、負担感が増すんじゃないか。ここは否定できないところでしょうか。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
特定の端末を購入される利用者に対しまして大幅な割引が行われる場合におきましても、結局、つまるところ、その割引の原資は端末を買いかえない利用者の方々も含めた通信料金収入全体で賄われているのが実態でございますことから、今回の電気通信事業法の改正案では、通信料金と端末代金の分離を図ることによりまして通信料金と端末代金それぞれについての比較を容易にすることで、競争を通じて通信料金の低廉化を促していきたいと考えております。
委員御指摘の端末につきましては、特に高価格帯の端末につきましては、割引が今よりも減少する可能性はございます。他方で、手ごろな価格帯の端末の供給や中古端末の流通が拡大することが期待されるところでございます。
総務省といたしましては、利用者の方々が通信料金と端末代金のそれぞれを正確に理解できるようになることで、さまざまな通信サービスと端末の中から御自身のニーズに合った合理的な選択が可能となり、全体として利用者利益が向上するものと考えているところでございます。
○重徳委員 ちなみにこれは、公平な、公正な競争が行われるということによって、どのぐらい端末なり通信料金が下がると見込んでおられるのか、何か見込みがあったら。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
具体的な料金水準につきましては、個々の通信事業者の方々の経営戦略によって利用者の方々に提案していただくということが本筋だと思っております。
私ども行政といたしましては、競争環境を整えるということで今般の電気通信事業法の改正案を提出させていただいているものでございます。
○重徳委員 法案を提出している以上、それを否定するようなことも余り言えないという状況だと思いますし、官房長官肝いりですしね、ここは余りごちゃごちゃ総務省の方がおっしゃるということはそもそもできないのかもしれませんが。
私が言いたいのは、通信事業者が確かにちょっと余計にもうけているのかもしれませんが、しかし、その上がりをもって端末への補助金を出す、これによって買いかえが促進されれば、何が正義で何が正義じゃないかという、考え方はいろいろあるかもしれませんが、結果として、この大変速いスピードでイノベーションが進み、社会への波及を進めなきゃいけない時代にあって、一つの方策じゃないかなというふうに思うんですね。
各国では、ほかの国ではこんな極端なことはやっていないというお話でしたので、このやり方が世界的に見ても本当にいいのかどうかもよくわかりませんが、しかし、同じようなことは、これから携帯だけじゃなくて、例えば、もうIoTですから、家に帰りながら、その道すがら、あと三十分で家に着くから風呂を沸かしておけよ、こういうことを指令を出したりできる時代になるわけですよね。
平井大臣、ちょっとお聞きしたいんですけれども、このお風呂を沸かす端末を、やはり我が国は大変高齢社会ですし、だから、なかなか買うのも、わざわざお金を出して買うほどのことでもないやというふうに、新しいものに飛びつくタイプの人は別として、一般に高齢者の方は、ちょっとやめておこうかなというようなことになりがちなような気もします。
そういう意味では、せっかくの5G、あるいはIoT、世の中、経済波及効果は二〇三〇年に七十三兆円という試算もある、こういう時代にあって、今の、端末への補助金を通信事業者が出すでも何でもいいから、何かしらそういった促進する策があっていいんじゃないかなと思うんですけれども、そういった考え方について、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○平井国務大臣 この5Gの問題は、各国、今、まさにこれから社会実装するということで、アメリカとか韓国とか中国の方が実際インプリは早いかもわかりませんが、日本もちゃんと、地方も含めて基盤を整備していこうということだと思います。
5Gは、確かに、自動運転とか遠隔医療とか、いろいろなものに役には立つということはもう明らかです。いろいろなデバイスに情報をとって、それを国民の生活にフィードバックしていくことも想像はできるんですが、誰がその費用を負担をしていくのかというビジネスモデルはまだまだ私から見ても曖昧なところがあって、通信料というのは社会基盤のところだと思いますので、我々は、これはセキュリティーの問題も非常に高いと思いますから、安価で、セキュリティーレベルが高くて、地方もカバーするインフラをつくるために事業者の皆さんにはまずは頑張ってもらいたいし、その上で、そこを使ったいろいろなビジネスモデルというのはこれから世の中に紹介されていくのではないだろうか、そのように想像しております。
○重徳委員 今の御答弁は、必ずしも否定しないような言いぶりだったかなというふうに一応受けとめさせていただきます。
ちょっと答えはまだまだわかりませんので、こういったことについてもみんなで注目していければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。