H25年3月22日 経済産業委員会
「電力自由化と新規参入を早期実現するには?」
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○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。
きょうは、経済産業委員会におきまして、時代の転換期であるということをテーマに議論をさせていただきたいと思います。
昨年末の総選挙におきまして、これは非常に複雑な選挙の構図でありましたけれども、私が一つだけ言えることは、やはり、今の日本が、あるいは今の地域社会が今のままずっと何となしに続いていけば、子の代、孫の代までみんなが幸せだね、ハッピーだねなどということは誰一人として思っていないということを、選挙期間中を通じまして皆さんから非常に感じることが多うございました。
その意味で、どこの政党が政権を担当しようとも、この時代を大きく転換させていかなければならない、こういう認識に立っております。先ほど三谷委員からの御質問の中で茂木大臣が、やわらかい支持層についての御解説をされましたけれども、そういうやわらかい支持層の方々が何を求めているか。これはやはり、日本を変えてくれ、こういうことだと思います。そして、今、自公政権が政権を担当されておりまして、今のところ非常に高い支持率を持って運営をされておりますので、こういう非常にいい状況のときにできるだけのことをやり遂げる必要があるのではないか、こう考えております。
そういう中におきまして、先週、大臣から所信表明演説がございました。今、岸本委員との質疑の中で、産業構造の転換、つまり産業の新陳代謝につきましては相当議論がございましたので、私からは、大臣の所信表明演説の、「我が国企業のグローバル競争の足かせとなっている国内の高コスト構造を是正し、世界で企業が一番活動しやすい国を目指していきます。」このくだりにつきまして、特に国内の高コスト構造の是正という点につきまして、具体的な御説明をいただければと思います。
○茂木国務大臣 国内の高コスト構造を是正して、そして世界で企業が一番活動しやすい国に、これは日本企業にとっても、それから海外から日本に投資をする企業にとっても、一番活動しやすい国にということになってくるかと思うんです。そこの中でよく、日本の企業の三重苦とか六重苦という話があるわけでありますけれども、恐らく四つぐらい大きなハードルというのがやはりあるような気がいたします。
その一つが、やはり円高がこれまで進んできた為替の問題。そして、二つ目には、関税を初めとする国境措置の問題。三つ目には、国内における法人税であったりとか、さまざまな制度、規制の問題。そして、四つ目には、どうしても日本の場合、資源が少ない、そんなことから資源エネルギー、電力コストが高くなってしまう。こういったハードルをどこまで除去できるかといったことが、極めて重要だと考えております。
一番目の為替につきましては、為替を目的としているわけではありませんが、今の長引くデフレからの脱却ということで、明確な物価目標二%を定めて、そしてそのもとで大胆な金融緩和を行っていく、そこの中で円高がかなり是正をされてきている、こんなふうに今考えております。
そして、二つ目の国境措置の問題でありますが、貿易立国としてさまざまな経済連携協定を進めていかなければならない。特に、安倍総理が先週決断をしたTPPへの参加、これは、関税だけではなくて投資のルールも含めて、これから成長するアジア太平洋地域の基本的なルールづくりの土台になっていく。このTPPを土台にしながら、さらにはRCEP、そしてFTAAPと広がっていく。こういった中から、さまざまな日本企業にとって障害になっているような制度であったりとか国境措置、こういったものを取り除いていくということが必要だと思っております。
そして、税の問題、法人税の問題も検討しなければなりませんが、規制緩和、これが極めて重要だ、こんなふうに考えておりまして、規制緩和の中でも、大きく三つぐらいのポイントがあると私は思います。
その一つは、新規参入、こういったものを促して健全な競争環境をつくっていく、これから我々として御提案申し上げたい電力システム改革、まさにこの典型的なものになってくるんじゃないかな、そんなふうに思っております。
そして、二つ目に、事業化までのスピード、これがどうしてもおくれてしまう。典型的な例は、iPS細胞の研究の事業化。せっかくいい研究、ノーベル賞をもらうような世界で最高の研究をしているんですけれども、では、それによってどこまで再生医療の製品が事業化されたか。日本は二つしかない。韓国は九つある。EUは二十五ある。アメリカは治験中のものだけでも八十八ある。こういった状況を、やはり変えていくということが必要だと思います。
そして、規制緩和の三番目としては、やはり日本の制度だけガラパゴスではいけない、こんなふうに思っています。日本の制度と諸外国の制度が違う、これに対しては、今後、国際先端テスト、こういったものを導入いたしまして、日本だけ制度が違っていいんだ、こういう合理的な説明ができない限り一定期間以内に世界水準に合わせる、こういったことも進めていきたい、そんなふうに思っております。
そして四つ目の、資源エネルギー、コストの問題でありますけれども、さまざまな取り組みをしていかなければいけない、こんなふうに思っております。今、シェールガスがアメリカで生産されるようになりまして、LNGの国際市場は大きく変わろうとしております。もっと安定的に、そして安価に海外から天然ガスを調達することが可能になってくる、そんなふうに私は思っております。
同時に、電力システム全体を変えていく中で、発電部門にも、そして小売の部門にも新規の参入を促す。さらには、多様な使用メニュー、多様な料金メニューを提供することによって、需要そのものもスマートにコントロールしていく、こういった取り組みも必要であると思っておりまして、そういった一連の活動を通じる中で、今申し上げた四つのハードルをできるだけ低くする。
同時に、やはり跳躍する力、こういったこともつけなきゃなりませんから、その一方で成長戦略をきちんとつくっていきたいと思っております。
○重徳委員 大変詳細な御説明を本当にありがとうございました。まさに、おっしゃる方向性は非常に共感をいたしております。
それから、今、特に、新規参入を促して健全な競争を進める、電力の改革をする、事業化までのスピードアップ、国際先端テスト、さまざまな、非常に前向きな取り組みの方向性についてお話をいただきました。
一方で、官が主導し、誘導し過ぎるということにより市場をゆがめる、そういう弊害にも注意をしながら、やはりこれまではむしろ官が支配していたような業界も多々ありますし、制度やルール、補助金、いろいろな形で、本来の競争力というものを阻んできた分野がたくさんあると思います。
そういう意味で、電力の話も後ほどさせていただきますけれども、これは必ずしも経産省の所管ではありませんけれども、農林水産業の問題だとか、それから交通インフラとしての高速道路の問題、あるいは空港の着陸料、そういったいろいろなところにハードルがあると思いますので、こういうあらゆるところをしっかりと改革していく必要があると思うんです。
今まで、私も予算委員会の中で、安倍総理の改革姿勢についていろいろと問いかけをしてまいりまして、先般の安倍総理の答弁の中では、TPPに取り組んでいる、それから大胆な規制緩和ということにも取り組んでおられる、それから、ちょっとこれはひっかかりましたけれども、公共事業を思い切って増発しているということで、これまでにない大胆な取り組みをされている、こういうお話は伺っておりました。
そういう中で、やはり今、アベノミクスが一定程度功を奏している、結果を出しているというふうに言われつつも、やや気になる点がございます。
それは、いろいろな言い方をされますけれども、きょうはリアル経済とマネー経済という言い方をしてみたいと思います。日本の高度成長期、これは世界的な経済情勢も、やはりリアルな、つまりものづくりだとか、最近でいうとサービス業も相当ふえておりますけれども、いわゆる人が汗水垂らして、日々、本当に寝る間も惜しんで一生懸命働く、これによって富を創出し、それによって所得が上がっていく、GDPが上がっていく、こういったものがリアル経済だと定義をいたしますと、これまで、戦後経済というのは、伸び行く国内市場とか、あるいは海外に向けての競争力、こういうものを通じて、日本は一流の経済大国にのし上がってまいりました。
ところが、一九八〇年代、プラザ合意をきっかけとして円高不況が起こりました。金融緩和策をとりました。そして、マネーというものが、実体のないと言うと語弊もあるかもしれませんが、いわゆるバブル経済を生み出して、岸本委員から先ほどありました、出口戦略というものが必ずしもうまくいかなくてバブル経済がぼんと破裂をして、そして長期にわたるデフレ経済が今に至る、こういう流れだったわけです。
こういう中で、国際経済が、それまでのリアルな経済、ものづくりとかサービスとか、そういったものから、マネーが世界を駆けめぐって、為替にしても株価にしても、非常に大きな投機マネーというものが過度な影響を与えるようになってきたという面があると思います。
一方で、日本国内は、リアルな部分の、いわゆる産業のイノベーションだとか、あるいは新商品がどんどん開発されていくという状況がなかなかなくて、ですから、あふれた、余ったマネーはどうしても国債を買うという、金融機関にとってみれば安心な投資先に流れ込む、これが皮肉なことに日本の財政をここまでずっと支え続けてきた、こういうようなことだと思うんです。
根本的な問題として、今申し上げましたような、リアル経済というものとマネー経済というものを比べますと、もう最近では圧倒的にマネー経済がばっこしているというふうに考えられるんですけれども、この点の功罪につきまして、大臣の所感をお聞かせいただければと思います。
○茂木国務大臣 重徳議員の定義によるリアル経済、これを重視していかなくちゃいけないというのは間違いないことだと思います。そして、その一方で、マネー経済と言われるもの、単純にレバレッジだけきかせて、それが自己増殖していく、こういったことについては制御をかけていかなくちゃならない。これは、リーマン・ショックから我々が学んだことではないかな、そんなふうに思っております。
ただ、リアル経済を支えるマネーの力、資金というのは重要だ、こんなふうに考えておりまして、さまざまな新しい活動を進める上で、適切な形で資金供給が行われる、こういった状況をつくっていくことは極めて重要だと思っております。
○重徳委員 そういう大臣の御認識のもとで、今、アベノミクスが一定の結果を出しているという段階まで評価していいのかどうかもありますが、しかし、これは安倍総理御自身が、結果を見てくださいよと、特に民主党の議員さん方からの質問に対しましては、民主党にはできなかった結果が今出ているじゃないかというようなことを非常に強調されるものですから、今ある結果というものが安倍政権の一つの既に結果だというふうに捉えたとした場合に、これは、やはり私は期待感といったもの、そしてそれに応じたマネー経済が、茂木大臣が今言われたような、レバレッジをきかせるとか、過度なところまでまだ至っていないとは思いますけれども、それにしても、やはり、これから頑張りそうだ、そういう期待感に非常に投資家が反応して、マネーの部分だけが非常に動いて、これが一つの株価という指標、あるいは為替相場という指標に影響を及ぼしているという気がいたしております。
そういう意味で、これが本当の意味で安倍政権の政治の力、あるいは政策の力だというふうにまだまだ評価すべきではないんじゃないか、こう私自身は考えております。
ですから、予算委員会で総理が結果だ、結果だというふうにおっしゃればおっしゃるほど、違和感もやはりありまして、一方で、では納税改革をどういう方向でやっていくのか、少子化対策によって国内需要をどうやって維持していくのか、あるいは、公共事業というものももちろんありますけれども、財政的な運営との兼ね合いで公共事業をどういうふうにしていくのか、原発政策をどうしていくのか、地方分権、道州制、交付税制度をどうしていくのか、あるいは社会保障をどうしていくのか。
こういった根本的な、政策的に行っていける、本来、リアルかマネーかでいうと、どちらかというとリアルな部分につながるような対策というものが、検討するというお言葉ぐらいはいただいているかもしれませんが、これを断固としてやっていくんだという御答弁がいまだ各閣僚の皆さんからもなかなかいただけない。そういう中で、ただ一つだけ、電力の自由化についてだけは、茂木大臣が並々ならぬ改革意欲を持ってどんどん進められているというふうに私は捉えております。
では、電力の自由化の話に進んでまいります。
これまで、電力業界というのは地域独占であり、総括原価方式といった、いわゆる政府の規制制度に守られてきた分野だと思います。しかし、報道によりますと、電力システム改革に関する基本方針を、まさにこれから閣議決定をしようという段階になったこの段階で、自民党の部会におきまして、電力業界の非常に慎重な声に押されて、改革に逆行する動きが出てきているということを伺っております。
具体的に言いますと、二〇一五年の通常国会では、二〇一八年から二〇二〇年にかけて発送電分離を行っていくという法案を提出する、二〇一五年の通常国会にそういう法案を提出しようということを本来明確な方針として打ち出すべきところを、そうじゃなければ改革なんて進まない、そういうところに対して、単なる努力目標におとしめよう、こういう動きがあるようなんです。
これについて、明確な方針として基本方針の中に明記すべきだと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○茂木国務大臣 先ほどアベノミクスについていろいろなお話、そしてこんなこともと、非常に意欲的な御提言もいただきましたが、重徳議員御案内のとおり、まだ政権交代して三カ月になっておりません。そこの中でさまざまな政策を打ち出していると思います。
そして、リアル経済が伴っていないという話でありますけれども、鉱工業生産は二カ月連続プラスなんですよ。実際にそういう動きが出てきているわけです。それは株価の方も、昨年の十一月十六日、ちょうど衆議院が解散した時点から比べれば四割株高、こういう水準になってきております。そして、所得の拡大、これからでありますけれども、例えばことしの春闘でも、主要自動車メーカー、全て満額回答です。それがやはり所得につながり、消費の拡大につながる。こういう流れが、一つ一つできつつある。
ただ、まだ、例えば民主導の本格的な設備投資になっているかどうかということになりますと、これからが勝負だ。そんな意味で、きちんとした成長戦略も打ち出していきたい、こんなふうに我々は考えております。先ほども若干申し上げましたけれども、ここの部分も明確なんです。新陳代謝をどう進めていくか、目標も持っています。
一つは、やはり今の開廃業率。廃業率が開業率より上だ、こういう状況を転換して、中期的にはアメリカ、イギリス並みの一〇%の開業率を目指していく。
そして、二つ目には、日本でグローバル企業をもっと育てていく。グローバルトップ企業もそうですけれども、ヨーロッパにあるような、部素材の分野を中心にしながら、本当に、マーケットそのものは一定規模だけれども、圧倒的なシェアを持っているようなグローバルニッチ企業をつくっていく、こういった問題もあります。
そして、さらには、日本企業の収益性、これを上げていかないと新しい投資につながらない。そのために、さまざまな形で過当競争の是正等々も進めていかなければならない、そんなふうに思っております。
そして、先ほども電力システム改革の話をさせていただきましたが、全体のパッケージとしての改革の絵姿をぜひお示ししたい、こんなふうに私は思っております。
これまで、電力は需要を所与のものとして供給を積み上げる、こういった構造で地域独占で行われてきました。六十年間その体制が変わっておりません。これを抜本的に変えよう、これが今回の電力システム改革であります。
ですから、一年、二年ではできません。これは、率直に申し上げて、電力の安定供給を保ちながら、さらに安価な電力供給を図っていく、大改革ですから。改革は大胆に、しかしスケジュールは現実的に、こういった思いで、確実にこの改革を進めていきたい、そんなふうに思っております。
一連の報道といいますか、ごくごく一部の報道でありますけれども、ためにするような、後退しているんではないか、こういう御議論もあるようでありますが、断じて後退いたしません、断じて改革は進めさせていただきます。
○重徳委員 もちろん、断固とした改革を進めていかれる、そういう改革意欲をもうどなたよりもお持ちなのが茂木大臣だ、それは私はわかっているんです。ただ、スケジュール的なものについて明確にしていかないと、これはいろいろなところに影響を及ぼしていく、こう考えるので、こういう質問をさせていただいているんです。
電力業界がいろいろ心配される、それはそれでもちろんです。電力業界、まさに電力を担ってこられたプロフェッショナルな方々ですから、何の不安もないなんてことはないと思います。しかしながら、一方で、そればかり言っていたら何も進んでいかないわけでございます。
やはり、今までの、いわゆる電力会社以外のいろいろな事業者が実際に参入してくる。どんどん飛び込んでくる。電力は、名前は自由化だけれども、参入しなければ安定してこないということになりますから、そこをきちんと、参入しようとしてくる事業者にとって、いわば安心して飛び込めるようなスケジュール感を示さなければならない。
そういう意味で、単なる努力目標、いついつというのは努力目標ですよということじゃなくて、断固として改革を行うんですが、いつやるということも非常に重要なところだと思うんですね。
そういうことで、私はその点につきまして、断固とした決意のもと、期日も明確にするんだということについての茂木大臣の御決意について、改めてお伺いしたいと思います。
○茂木国務大臣 電力システム改革について専門委員会で何度も御議論をいただきまして、実施の時期、三段階に分けて実施をする、では、それに必要な法案はどの国会にどう出す、明確なスケジュール感を出させていただきたいと思っております。
ただ、御理解をいただきたいのは、こういったもの、電力システム改革につきましても、では、一体、どれだけの新規参入が出てくるのか、そしてまた、それによって、電力会社の資金調達状況がどうなっていくのか、確認しながらやっていかなくちゃいけない大きな改革なんです。国民生活にも企業活動にも影響する。ステップごとにきちんと、検証を踏まえながら、しっかり進んでいるかを見ながら、進めていかなければいけない。
これは、余り頑強に、絶対何年ということより、確実に実施できる、ただ、確実に実施できるからにはその年限というものは入れさせてもらう。ただ、そこの年限を中心にしながら、大体常識の幅の中でやっていくということになるんではないか。何が何でも、決めちゃったからこの年にはどういう状況でもやるというのは、私は改革としては間違っていると思います。
方向性は大胆に出す、しかしスケジュールは現実的に。先延ばしはしませんけれども、現実的にやり得る最も速いスピードでやっていきたいと思っております。
○重徳委員 一定の幅を持っている。これは、結果として幅が出るというのは、何年何月何日にやると言っていたけれども、幾分おくれちゃったとか逆に早まった、これは当然あってしかるべきだと思うんです。では、実際に、いつを目指すのかということについては、とにかくはっきりとさせていただきたいというのが私からの強い要望でございます。
というのも、恐らく次は平政務官にお答えいただけると思うんですが、発電事業に実際に参入しようとする会社なり事業者がいたとします、実際、参入したいというふうに思い始めて、いろいろな準備に入って、手続があると思うんですけれども、それに、実際の参入に至るまでの期間、どのぐらいかかると想定されているのでしょうか。
○平大臣政務官 委員にお答えをいたします。
結論から申し上げると、各電源によってそのリードタイムが異なるということでございます。
まず、火力発電所を建設する場合は、建設地点の選定や開発計画の策定に半年から一年程度、さらには、環境影響評価に三年から四年程度、建設工事に三年から四年程度要し、計画から運転開始までに合計十年程度の期間を要するというのが一般的でございます。
再生可能エネルギーの場合には、風力は、風の状況の調査や環境影響評価などを行うため、四、五年程度でございます。地熱は、掘削調査や環境影響評価などを行うため、九年から十三年程度。そして、太陽光でございますが、太陽光は、委員御承知のとおり、環境影響評価がございませんので、計画から運転開始までに一、二年程度要するのが一般的でございます。
○重徳委員 今、非常に正確な、明確な御答弁をいただきました。ありがとうございます。
種類によっていろいろ違うということでございますけれども、結局、最長でいうと、調査に、地熱が九年から十三年かかる、それから火力は十年ぐらいかかる。かなり長期的な展望を持たなければ、参入しようと思ってもなかなかできない。
逆に言うと、参入しようと準備を始めました、設備投資を始めました、だけれども、その後、政府のスケジュールが思ったとおりにいかなかったものだから、結局、その設備投資は無駄になったり、いろいろ予定外のことが起こってしまう。
こういうことがやはり起こらないようにしなければ、そもそも今の政府の目標なりスケジュール感というのは怪しいぞというふうには絶対思われないようにしなければ、民間の投資というのがこの分野へ入ってこない。
そうなると、結局、せっかく自由化をして、幾らでも入ってきていいよといったって、そんなこと言われても、そんなことがあったら入る決断ができないじゃないかというようなことにつながっていくと思いますので、ぜひとも、そのあたりのスケジュール感というものは、そういう意味でも重ねて明確にしていただきたいというのがお願いでございます。
それから、これは予算委員会でも茂木大臣に何度か御質問させていただいておりますけれども、これからの、原子力発電にどのぐらい依存するのか、そういう依存度合い、このあたりもできるだけ早期に決めていかなければ、新しく火力発電事業に入るぞ、再生可能エネルギーの事業に入るぞというふうに決意を固めても、結局、そうはいっても、大量のロットを原発で相当部分これからも賄うよというような話になってしまうのであれば、話が違うということになりかねません。
どうか、この部分については、つまり、国におけるエネルギーのベストミックスについての検討期間、これまで十年以内ということを大臣はおっしゃっておられますけれども、その点について、これを短縮して、将来のエネルギーの構成割合の見通しというものをさらに短い期間でお示しになる、そんなお考えはございませんか。
〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕
○茂木国務大臣 仮置きをしろというなら、今この瞬間でもできます。ただ、それについて根拠が持てるかというと、責任を持った数字を出すというのは、実際問題、困難な部分があります。
例えば、原発の依存率がどうなっていくか。これは、新しい安全基準ができて、そのもとで、国会で決められた規制委員会が一つ一つの原発について安全性を確認するまでは再稼働はスタートしないわけであります。そうなりますと、この原発について、本当に安全な原発が何基動くか。数年のスパンはどうしてもかかってしまう部分があります。
それから、今後三年間、特に再生可能エネルギー、そして省エネを進めていく、固定価格買い取り制度、こういった制度のもとでも進めておりますけれども、ではそこの中で、太陽光が、風力が、そしてまた地熱がどれだけ伸びるか。恐らく、風力という話になったら、送電線網をどうしていくかという話がきちんとできないと、どこまで風力が使えるかという問題も出てきます。
そして、再生可能エネルギーの場合は電源としての安定性がないということを考えますと、では、それに対して蓄電池でやるのか、予備電源を持つのか、こういうオプションについても、蓄電池でやる、今のコストではなかなかこれができません。やはり、コストを半減ぐらいしていく必要がある。これは、あしたからコスト半減になりますか。ならないんですよ。何年間かけてコストを削減、半減していく、こういった目標をまずつくっていかなければいけない。恐らく、五年ぐらいでこれはやっていかなくちゃいけないと思います。
さらには、国際価格が大きく変わっていく中でのLNG、これをどれだけどこから調達していくか、こういった調達戦略も必要になってきます。さらには、高効率の火力、石炭火力も含めて、環境との調整もしながらこれをどう技術的にも進めていくか、こういう問題が調達側だけでもあるんです。この課題、これを一年以内に全て解決するということはできないと思います。真剣に検討を進めていきます。
そして、先ほど申し上げた電力システムの改革、これは、調達から流通、送配電網、さらには小売、需要にもかかわってくる。ディマンドレスポンスのやり方は、相当やはり私は需要に効果を上げてくるんじゃないかなと思っておりまして、これまで全国で四カ所の実証実験を行ったわけでありますけれども、北九州で行った実証では、夏のピーク時の価格帯を、料金をかなり高くしまして、その分ほかの時間帯の料金を安くしますと、結果的には電力の消費が二割落ちるんですよ。やはり、スマートに消費をしていく、こういったことをきちんと進めていかなきゃならない。
では、そうすると、ピークコントロールがどこまでうまくいくのか、全体のエネルギーの需要がどこまで落ちるのか、こういったことも考えた上でのスケジュール感でなければいけない。
そして、電力システムの完成、専門家委員会は二〇二〇年ということであります。大体そこら辺の全体の改革が見えてくる、そういった段階にならないと、責任を持って、エネルギーのベストミックスについて、数字も入れた段階でお示しするのは難しいのではないか。ただ、一定の方向性であったりとか、どこに力点を置く、できるだけ早い段階でそういったものをお示ししていきたいと思っております。
〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕
○重徳委員 確かに、数値まできちんと入れた精緻な形というものはそれ相応の年月も必要かもしれませんし、実態に照らしながらやっていかなくちゃいけないかもしれません。ですけれども、今、大臣、もちろん私もあしたどうしろなんということは申しておりませんけれども、それにしても十年は長いんじゃないかという中で、蓄電池に関して五年程度という言葉もいただきました。
それから、どこに力点を置くか、そういった大きな方向性については、それでもできるだけ早い時期にというふうに御答弁いただきました。ぜひ、そういう姿勢を政府として示していく必要がある、それが新規参入、そして電力の自由化の成果をより大きな実りの多いものにしていくためにも非常に必要なところだと思います。
ですので、まだいろいろと本当は御質問したい点もあったんですけれども、最初に申し上げましたように、私は、今、時代の大転換が国民的な要請だと思っております。日本維新の会というのは、保守だ革新だとか、そういう争いはありません。ですから、今の政府・与党がどれだけ前に前に進んでいくか。私たちは、決して後ろに足を引っ張ることはいたしません。前にむしろ引っ張っていく、そういう役割を果たしたいと思っております。
与野党それぞれいろいろな立場はございますけれども、電力エネルギーの問題、そして日本の産業構造の転換など、力を合わせていくことができればと思っておりますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。