○御法川委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 重徳和彦でございます。財務金融委員会で初めて質問させていただきます。
本日は、社会保障・税の一体改革法の改正ということで、消費税の引き上げ時期を再延期するということについての議論であります。
もとをたどれば、この消費税増税の議論は、四年以上前、いわゆる与野党の三党合意のあたりから議論が固まってきたものでありまして、当時は民主党政権でもありましたし、今と与野党の関係も違います。
また、私自身も含めてですが、二〇一二年初当選組の多くの二期生の皆さんは、与野党とも、まだ議員でもなかったというような時期でありますので、この三党合意から始まりましてこれまで四年間の経緯も含めて、きょうは、麻生大臣は普通の大臣と違いますので、本当に与野党を超えた大局的な見地からさまざま御見解をいただきたいと思っております。
質問の前提としましてちょっと確認したいんですが、三党合意の意義あるいは重みというものについて改めて私ども理解をしておきたいと思うんです。
麻生大臣、当時の三党合意、この意義、いまだにその意義というものがあるのか、つまり、三党合意というのはまだ破棄されたものではなく続いているものなのかどうかも含めて、ちょっとそのあたりについて御見解をいただいてよろしいでしょうか。
○麻生国務大臣 世界の先進国の中で、税金というような最も議論のなされるような話を、少なくとも与野党で合意ができたという上で実行せしめたということは、過去に他国にはない。少なくとも皆さんの国より俺のところの方がはるかに民主主義の成熟度合いは高いというのは、これ一事で証明している、そう思っていると言って、それに反論した他国の財務大臣は一人もいませんから、そういった意味では、誇れる、立派な結果だったと思っております。
○重徳委員 そして、その合意というものは、今なお生き続けているという認識でよろしいでしょうか。
○麻生国務大臣 それに基づいて今日までいろいろ、それは部分部分いろいろあるんだと思いますが、基本は、その合意があってこの消費税というのが成立したんだと理解しております。
○重徳委員 当時、三党合意、そしてそれに基づいて社会保障と税の一体改革の関連法が何本も成立をしたわけですが、当時の野田総理は、与野党の協力による決め切る政治、それまでは決められない政治というふうにやゆされてきたものに対して、決め切る政治なんだということをおっしゃっています。また、谷垣当時の総裁も、国の行く末を左右する政治案件で、与野党が合意を目指す舞台ができたというのは本当によかったというコメントも残されています。
この合意に基づきまして、あるいは法律に基づきまして、二十六年四月、消費税は五%から八%へと引き上げられ、関連する社会保障の充実あるいは後世代への負担の軽減というものが実現をされてきたところです。
その後の経緯をもう少したどってみたいと思うんですが、平成二十六年十一月十八日、安倍総理大臣が記者会見を行いまして、その三日後の衆議院解散を控えて、消費税の八%から一〇%への引き上げを延期するという話をされました。いわゆる七―九のGDP速報が残念ながら成長軌道に戻っていないというようなことも勘案して決定したということであります。
そこで、私は、今麻生大臣が言われた、世界に誇るべき与野党の合意に基づいた消費税増税、これに関しては、法律には景気判断条項があるというのはもちろん承知はしておりますが、しかしながら、三党合意の経緯からすれば、政府・与党のみで判断するのでなく、合意のときは与党だった、しかし、平成二十六年十一月時点では野党となっておりました、今は民進党ですけれども、その当時、民主党に対しましても、延期をするということについて改めて合意をする、こういうプロセスを経るべきではなかったのかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 それは法律でありまして、税制抜本改革法附則第十八条の三項というのがありまして、景気判断条項なんですけれども、経済状況の判断状況から、景気を万全にする観点から判断したものといろいろなことが書いてあるんですが、三党合意でこの附則第十八条については、消費税率の引き上げの実施等はその時の政権が判断することと完全にそっち側にしてありますので、まさにこれに沿った対応をさせていただいたものであって、民主党との協議を行う必要があったというわけではないというように、ルールからそういうようになっておると理解をいたしております。
○重徳委員 法律はもちろんそうなんですね。ですから、法律に沿っていないとは言えませんし、また、これは三党合意に基づいた法律附則十八条三項でありますので、合意にも基づいているんだという説明は一定程度理解できると思うんです。
しかしながら、これは総理の平成二十六年十一月二十一日の会見、つまり、十八日に消費税の増税を延期するとおっしゃいました。そして、その三日後の二十一日に解散の会見がありました。その中でこう総理は述べておられます。
「消費税の引上げ延期は野党がみんな同意している。だから、選挙の争点ではないといった声があります。しかし、それは違います。野党の人たちは、ではいつから一〇%へ引き上げるのでしょうか。その時期を明確にしているという話を、私は聞いたことがありません。」というように、選挙の争点にしているわけです。
ですから、もともと三党合意に基づいて、与野党ともに合意に沿って今回の判断をしているといいながら、その判断権はもちろん、判断を提起するのは政府・与党側であっていいと思うんです、時の政府であっていいと思うんです。しかしながら、野党となりました当時の民主党は、いつ一〇%に引き上げるのか言っていないじゃないか、これをもって争点にしようとしている、そういう会見だったんです。
ここがどうも、世界に誇るべき与野党合意に基づいて判断したにもかかわらず、少し挑発的といいましょうか、野党は無責任だということをここでおっしゃっているわけなんです。
ですから、私は、そういう意味も含めて、実際、安倍総理がこう述べておられるわけですから、こういったことは、まさに選挙の争点、いわば政争の具にしようとしている。このような姿勢をとるのであれば、そうじゃなくて、ちゃんと、いついつ、当時は一年半延ばすということであったわけですから、そういったことも含めて三党で改めて合意するべきではなかったかと思うんですが、麻生大臣、いかがお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 御意見はいろいろあろうと思いますが、あのとき、消費税を争点にするというよりは、基本的に我々は、政権はとったけれども、我々がヒットを打って点を入れたのかと。相手がエラーしただけで点が入った、三年間でエラーした分、三年半の間のエラーの分だけで点が入ったんじゃないのかと。俺たちがヒットを打ったかといったら、ヒットを打っておらぬのだから。したがって、この二年間の成果を問うて選挙をすべきというのが、当時の与党内の意見の圧倒的な理由はそれだったと記憶をします。
少なくともアベノミクスのこの二年間の成果を問うて、その上で、我々は世論の支持があるということを言わないと、安倍が三分の二とったって何ぼのものだ、人のエラーだけじゃないかというのは、与党内だけでもすごい御意見があった。反安倍の人たちは特にその御意見が強かったと思いますので。私どももその意見はわからぬわけではありませんし、事実ですから、私どもは、この二年間の成果でということをあのときは申し上げたと思いますので、消費税を主に争点にして何とかというよりは、そちらの方が当時の意識としては大きかったかなという記憶であります。
○重徳委員 実際に安倍総理も、今私が言及したところは確かに言及されたのは事実なんですが、つまり、消費税も争点だという言い方もされている一方で、今回は一言で言えばアベノミクス解散です、こういうこともおっしゃっているわけですから、まさにこれがヒットじゃないかと。それは、今、麻生大臣が言われたこととその点では一致すると思うんです。
しかし、今回の延期に当たっても、野党各党から指摘があるように、延期せざるを得ないのはアベノミクスが失敗しているからじゃないか、こういう声があるわけです。ここは政治の難しいところではあると思いますが、消費税増税について合意した、そして、延期するかどうかについても、合意に基づいて時の政府が判断することになっている、合意から全く離れていない判断をしているのだと政府・与党が言っても、野党側は、いや、それはアベノミクスの失敗によるものなんだというふうに、だんだん合意から遠ざかっていく方向にお互いが進んでいくように見えるわけであります。
そういう意味でも、この後も今回の延期判断についても申し上げますが、これは憲法改正についてもそうだと私は思うんですが、与野党がそういった大事なことについては合意をしながら、少しずつ軌道修正するときも合意をしながら進めて、そして増税の実施、引き上げの判断をする。こういった仕組み、慣行を、この小選挙区、特に二大政党を前提としたこの制度である以上、こういった慣行を、仕組みをもっと原則とするべきじゃないか、このように考えるんですが、麻生大臣、いかがお考えですか。
○麻生国務大臣 それは、基本的には、与野党国対委員長会談とか幹事長会談とか、二国二幹とか、そういったところで主に意見が調整されたり修正されたり、意見の交換がされるということになるのが通常なんだと思いますので、そこらのところの話を、ちょっと私、二幹二国の話をよく知らないんですが、そういったような形できちんと党と党の間でされていくということの段取りを踏まないかぬというのは通常よく行われるケースなんだと思いますので、そういったのがきちんと行われるというような人間関係を幹事長間同士で、国対委員長同士でつくり上げておかれないとなかなかそういったことが難しくなるんだと思って今伺っていました。
○重徳委員 政府と国会の役割分担、これは、議院内閣制でありながらも立場はちょっと使い分けなきゃいけないという意味で、答弁される側も質問する側もなかなかやりにくいんですけれども、あえて言えば、二幹二国を含めて国会における与野党の協議、あるいは駆け引きと言ってもいいかもしれません、こういったことに政府の政策が大きく左右されるわけですから、その意味で、もちろん麻生大臣も人任せというわけではない。
その観点から、財務大臣として、国会において与野党でしっかり協議を行って、がっちり手を握って進めていってもらいたい、そういう希望はありますか。
○麻生国務大臣 法案を出す側の立場に立った場合は、副大臣、大臣はもちろんのこと、そういう立場にいて、法案を抱えておりますいわゆる役所を含めまして、これは当然、与党国会対策委員会との連携は極めて密にせざるを得ない。法案を通す、審議していただく優先順位から、つるしからおろしてもらう段取りから、全部話をしないと国対というのは回りませんから、いわゆる初歩的な知識として誰でもやっているんだと思いますので、そういったところはきちんとやっていかないとなかなか国会というのは回っていかないんだと私どもはそう、三十年間ぐらいここにおりますけれども、法案が幾らよくても審議されなければ話になりませんから、そういった意味では、ちょっと間違えると審議未了、廃案とすぐなりかねませんから、そういったのは十分に国対と話をしてやってしかるべきものだ、私はそう理解しております。
○重徳委員 今のはあえて私の質問にお答えにならないという姿勢の御答弁なのかわかりませんが、私がお聞きしたのは、三党なら三党で合意をしてこの法案の審議を進めていってもらいたいと。
国対との密な連携はもちろんですが、主に与党の国対、議運との調整だと思いますが、それはもちろんのことでありますが、そういう密な連携を生かしながら、与野党三党で合意をしながら進めていくべき、あるいはいってもらいたいものだ、そういう希望はやはりありますか。
○麻生国務大臣 これは重徳先生、意見の合わないものは幾らやったって全然合わないんだと言う方はいっぱいいらっしゃいますよ、そういう方も。そういう方もいらっしゃいますけれども、基本的に、いろいろな意見というものは出される。これは議院内閣制ですから、多くの方々が意見を言われる。おまけに、ここは一党独裁でもなければ全体主義でもありませんので、民主主義ですから、多くの選ばれてきておられる方々がそれぞれの意見というのをお持ちで、それで、最終的には多数決というのがルールですから。
そういった意味では、なるべくいろいろな方々の合意というのが出されて、今、国会で見ても、全会一致というのもあれば、全くそうじゃないのもありますので、いろいろな形でああいったような話は国会対策なり議院運営委員会で議論がなされて、それまでの間、いろいろな意見の違い等々は個別に交渉されたり話をされた上で話がまとまっていくという形になっているんだと理解しております。
○重徳委員 なかなかストレートにお答えいただけないことなのかもしれませんけれども、ちょっと次のステージに入ります。
ことしの六月一日、先ほどから話題になっております安倍総理大臣の新しい判断というものが下されたところであります。その新しい判断とは何ぞやということについては、先ほどからの御答弁が一応あるんですが、ちょっと中身は余りよくわからない。そして、先ほど麻生大臣御自身が、新しい判断という言葉に尽きるといったような話もありましたので、理屈じゃないというようなことがあるんだと私は受けとめております。
そして、六月一日の安倍総理の記者会見の議事録を見ますと、こう総理は言っています。「率直に申し上げて、現時点でリーマンショック級の事態は発生していない。それが事実であります。 熊本地震を「大震災級」だとして、再延期の理由にするつもりも、もちろんありません。そうした政治利用は、ひたすら復興に向かって頑張っておられる被災者の皆さんに大変失礼なことであります。 ですから今回、「再延期する」という私の判断は、これまでのお約束とは異なる「新しい判断」であります。「公約違反ではないか」との御批判があることも真摯に受け止めています。」このようにおっしゃっています。そして、参議院の、連立与党で改選議席の過半数の獲得をもって国民の信を得ることになる、こうおっしゃっているわけなんです。
しかし、印象も含めてですけれども、公約違反じゃないかという御批判も真摯に受けとめるなんて言いますけれども、しかし、公約に反して増税するんだったら厳しいことになりますが、公約に反して増税を延期すると言うんですから、その後選挙に臨むというのは、これは楽な話なわけですよね。言葉をたがえたという意味では突っ込みは入るでしょう。しかし、国民から反対論が物すごい勢いで出て突き上げられる、こういう状況にはなり得ない。まして、そのとき野党各党も既に延期すべきだと言っているわけですから、先ほどの一回目の延期と同じように、選挙の争点にすらならない話じゃないか。ですから、少しこれは、言うは言うけれども、それほどの語弊は、誤解を恐れず言えば、それほどのことではないというようなことになるんじゃないかなと思います。
そして、改めて麻生大臣にお聞きしますが、ことし六月一日にこのような新しい判断であるということを安倍総理が言ったその時点においてもなお三党合意は生きているというふうに言えるんでしょうか。
○麻生国務大臣 別に、破棄するという話でもありませんが。繰り返しになりますが、先ほども申し上げましたように、消費増税というか、税率の引き上げを予定どおりに実施するかしないかということについては、これは時の政権が責任を持って判断すべきもの、いわゆる附則十八条、そういうことになっておりますので、その判断の内容につきましては、御党を含めまして各会派にあらかじめ協議を行うということは、必ずしも必要なものではないと私はそう思っております。
いずれにせよ、この消費税率引き上げの延期というのは、国会での御議論というものを得た上で法律改正によってこれは決定されるものですから、特段の御意見があるのであればその場で御意見を述べられる党もいっぱいあると思いますので、そういった意味では、私どもとしては、協議というものに関しましては先ほど申し上げたとおりであります。
○重徳委員 政策論じゃなく、少し政局的なお話をさせていただきますが、三党合意は、破棄されたとか崩壊したということはおっしゃらないわけですから、基本的に生きている、そういう認識でおられると思います。
ことし六月のころを思い出しますと、世の中あるいはマスコミは、伊勢志摩サミットにおいて各国の首脳との間で世界経済が思わしくないという話をした上で増税延期を決断して、そして衆参ダブル選挙を安倍総理は打つんじゃないか、こういうことを論調として言っていたわけですね。
そういうものを、やはり政治家のさがというものもあるんでしょうが、政府・与党がそれを打ち出す前に、野党は、経済の状況も踏まえつつ、やはり選挙において政府・与党に先手を打たれたくないという思いもあって、この増税延期というものを先に打ち出した。こういう状況の中で六月一日を迎えたということだと私は思うんです。
五月十八日に党首討論で岡田代表が、今回は消費税増税を延期すべきということを初めて明言されました。その後の六月一日に総理も同じ主張になったわけですから、これをもって、主な政党はみんな延期すべきだというふうにそろってしまったんですね。
残念ながら、日本の政局、日本のみならず政局というのはこういうものなのかもしれませんけれども、こういったことによって消費税増税が延期されることになってしまう、非常に大きな影響を受けるということについて麻生大臣はどのようにお考えですか。
○麻生国務大臣 税というのは、極めて、国民の暮らしを支えるという意味においては社会保障の根源ですから。そういったものでは、消費税についてはいたずらに政局化するべきものではないというのは、基本的な考え方として、国会議員としては持っておくべき矜持の一つだと、私はそう思いますけれどもね。そういった意味では、問題意識として私は共有いたしますけれども。
したがって、こういったものは三党の真摯な話し合いを経て、結果として、三党合意というのができた結果が今日のこの消費税の話なんだと思っておりますので、こういった問題をいろいろな意味で、長期的な話ですし、税金というのは一過性のものではありませんので、そういった意味では、きちんとした話をして、誰かが責任を持ってこれをやっていかないかぬということだと思っております。
いずれにしても、消費税率というものを引き上げるということを与野党合意でなされたというのは、これは極めて大きな、歴史的なことだった、多分、後世評価されてしかるべき判断だった、私はそう思っておりますので、私どもといたしましては、八%をやってさらにという意見と、今はそうではないという意見と分かれたという現実に合わせて、多くの方々の意見を聞かれた結果、今は延期をすべきだという結論に関しては、全党がほとんど合意をされたんだと思っております。
○重徳委員 私は、麻生大臣がおっしゃるように、消費税増税、政局化すべきではない、それはそのとおりだと思うんです。そして、三党合意は、そのためにも非常に後世からも評価される合意だったと思います。しかし、合意がされたことだけでその後延期延期では、後世から評価されることにはなりません。だから私たちは、ここで改めて議論をして、本当にこれでいいのかということを真摯に審議をしていかなくちゃいけないと思っているんです。
それで、その意味で、あえて我が党の前代表の会見を少し引用をしたいと思います。退任をされるときの九月八日の岡田克也代表のコメントです。「私としては消費税の引き上げ先送りは本当にしたくなかったですね。しかし、今の経済状況ではやむを得ない。もう一つは、安倍総理が引き上げ延期を選挙のテコとして使ってくる。総選挙もそうだし、今度の参議院選挙もそうですね。そのことはわかっていて、やはり我が党の議員を守るためにも、私としては先送りを言わざるを得なかった。しかし、そんなことがいつまでもできるはずはないわけで」云々とおっしゃっています。
これは、非常に正直なコメントだな、岡田さんらしいなということを言われるかもしれませんけれども、こういうふうに考えると、理屈は理屈になっていないような理屈で、新しい判断と言わざるを得なかった。その六月一日の会見においては、参議院選挙への影響を考えると安倍総理大臣の頭には引き上げという選択肢はもうなかったんじゃないか、選挙前であるがゆえになかったんじゃないかと振り返ってみても思うんですが、麻生大臣はいかがお考えですか。
○麻生国務大臣 社会保障と税の一体改革というのが一番の消費税引き上げの背景です。したがって、消費税で増税された分につきましては、その全額を社会保障、介護、医療保険等々社会保障に全額突っ込むということになっておるわけですから、少なくとも社会保障とかそういったことに、いわゆる社労族としてお詳しいと思われる安倍総理の中に、この消費税を上げなければ、それによって約束してあるいろいろなものができなくなるということは十分に頭の中に入っておられますから、少なくとも、そういったものを考えて引き上げることを考えていないというのは一方的な分析じゃないか、私にはそう見えます。
○重徳委員 基本的には想定内のお答えなんですけれども。私は、やはり、建前と言い切ってしまっては失礼なのかもしれませんが、おっしゃることを本当に実現するために、政策はもちろん正しいと信じることを進めなきゃなりませんが、政局も含めて考えて、与野党で知恵を出していかなければ、消費税増税というのはなかなか実現できないんじゃないかなというふうに思っています。そして、これで合わせて四年間引き上げ時期が延期されるわけですが、その分だけ将来にツケが回っていくわけであります。
その意味で、先ほどから、この場においては私の一方的な主張になっておりますけれども、しかし、恐らく、多くの委員の皆さんそして世の中は、やはり選挙、政局というものがあって今回の消費税増税の延期というものが進んできているということは、誰もが認めざるを得ないことだと思うんです。その意味で、そうした選挙の事情を乗り越えるための私どもの知恵というものが三党合意だったはずだし、これからもその精神にのっとって、これは国会の国対とか議運の場を含めてでありますが、しかし、テーマはこの財務金融委員会のテーマでありますので、これを我々はあらゆるレベルで政策推進に向けて邁進するべきではないか、このように思うわけであります。
今度の一〇%に引き上げるという時期は、三十一年の十月ということでございます。安倍総理大臣も三期目に入ることができれば、その判断をするのも安倍総理大臣ということになるのかもしれません。プライマリーバランスの黒字化の期限が三十二年でありますので、もうそれ以上の延期はできないはずでありますが、しかしながら、まださまざまな事情で、またさらなる新しい判断が出てくるのかもしれません。そういったことについて、もうこれ以上の先送り、延期はできない、できるはずがないと私は思いますが、麻生大臣、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 我々も、消費税というものをさらに先送りするということは、社会保障と税の一体改革がなかなか事は進まなくなる、今お約束していることももちろんのことですけれども、それを赤字公債を発行してやるつもりはありませんから、そういった意味では、延期ということは社会保障の実現がおくれる、まずそれが第一点。
また、プライマリーバランス、いわゆる基礎的財政収支というものを、我々は半減目標というのを掲げてここまで来て、一応、絶対達成しませんという予想を裏切って達成することができましたのは、我々としては大変よかったと思っておりますけれども、これをチャラにするところまで持っていかぬと日本の財政というものは健全化していく緒につきませんので、今、新規国債発行額を十兆円減らしたとはいえ、金利分がふえているわけですから、そういった意味では、我々としては、きちんとしたものをするためには、プライマリーバランスや基礎的財政収支をゼロにしていくというところまで含めまして、これはこの内閣に与えられた非常に大きな目的であります。
それを達成するために、やはり、消費増税、消費税率の引き上げというのはこれは避けて通れぬ。ほかのものがよほど景気がよくなるとか、何か極端なもので税収がふえるとかということでも起きない限りは、これはなかなか難しいという感じがいたしますし、人口構成が急激に変わるとも思えませんから。
したがいまして、今の状況では、やはり消費増税というものは避けて通れないと思っておりますので、今申し上げましたように、我々としてはきちんと、次回、二〇一九年には消費税の増税というものはやりたいと思っております。
○重徳委員 しかしながら、やりたいと大臣今おっしゃいましたが、今のような状況が続きますと、平成三十一年十月の引き上げですから、恐らく、判断するのは平成三十年の秋ごろだと思うんですが、その時点において今と同じ状況であれば、要するに、与党も野党も、自分らが引き上げると言って相手が延期だと言ったら選挙は戦えない、こういう心理が働くわけで、その意味で、与党も野党も一致して、この三十一年の十月は引き上げるということで合意を改めてするという知恵を働かせたらどうかと私は思うんです。
改めて、同じことばかり聞いているようでありますが、三党なのか何党なのかわかりませんけれども、与党、野党で、少し先のことでありますが、三十一年十月に引き上げるということについて、国会においてですけれども、ですから大臣が直接その責任者としてお答えになる立場ではないかもしれませんが、今お考えのことを最大限述べていただくことはできませんでしょうか。
○麻生国務大臣 国会に来られてしばらくたたれておられますので、役人とは違うので、ここのルールもおわかりだと思って、その上で聞いておられるんだという前提で答弁しますけれども。
少なくとも、役所が考えている、自治省が考えたから法案が通るなんというようなことではない、財務省が考えたから法案が通るわけでもないのです。与党が、野党がある程度合意を得るというその場が国会対策であり、議運であり、というものをきちんと手続を踏まないと事は前に進んでいきませんので、今のお話ですけれども、麻生が言ったからと一存で決まるような、そういった、帝国議会でもありませんし、議会が一応ありますので、きちんとした手続を踏まなければ事は進んでいかぬというのは現実ですから、ぜひその点も踏まえて、今後ともこういった話はいろいろ丁寧な議論というものを各党の間でしていかれるという必要があろうと存じます。
○重徳委員 時間も迫ってきておりますので、一つ、民進党の代表選挙のときに玉木雄一郎議員がこども国債というものを訴えておりました。こども国債について少し御見解をいただきたいと思います。
増税、今回も延期しました。本来、消費税を充てるべき子ども・子育て支援新制度の施策があるわけなんですけれども、これについては、何とかいろいろなところから財源を引っ張ってきて支障がないようにする、このような方針であると聞いておりますが、これもこれで、何だ、財源はあるんじゃないか、その分は引き上げる必要はそもそもなかったんじゃないかという議論も呼びかねません。
ですから、消費税を上げるのは延期しながら財源を何とかする、そういう論法で社会保障制度をこれから進めていくというのは、やはり論理として破綻していくものだと思っています。ですから、やはり、一言で言えば、安定財源を確保する必要があると思うんです。
とりわけ、社会保障といっても、子ども・子育て分野と年金、医療、介護分野があるわけでありますので、特に財源不足の部分、金に色はありませんので、建設国債以外は今全部赤字国債で賄っているわけでありますが、その中でも、子ども・子育て、あるいは教育、どこまで充てるかというのは制度設計もできていないので何とも言えませんが、いわゆるこれは一般国民感覚からして、将来投資に充てるべきであるという財源については、こども国債という枠組みの中で財源調達をして、そこは消費税増税が先送りされようと何であろうと国債をもって賄うことができる、このような仕組みをつくってはどうかと思うわけです。
そして、主に高齢者を対象とした財源については、それはまさにその年の税収をもってその年に使うという一般的には施策でありますので、その意味で、消費税といった税収確保の策がおくれれば、まあ少なくとも子供たちには影響を与えない、こういった新しい財政の枠組みを考えていくべきではないかと考えているんですが、麻生大臣のお考えをお聞かせください。
○麻生国務大臣 おっしゃっていることは、赤字公債をこども国債と名前を変えるというだけの話で、言っている内容は、裏づけのない借金をするという点においては、名前が違う以外は言っておられることは同じだと思います。
私どもは、やはり、その国債を返済されるのは将来の子供が返済することになっていますので、そういった意味では、いわゆる特定財源というものは建設公債のような裏づけがないというようなものだと、基本としては資産の形成に資することになりませんので、子供を資産だというようにお考えになってそう言っておられるのか、ちょっとそこのところは理解がよくできていませんけれども、いわゆる建設公債とこれは全然種類が違う話なものですから。
少なくとも、後の世代に費用負担を求めるということでは同じでありますので、そういった意味では通常の赤字国債と同じということだと思っておりますので、この種の名前を変えて新しい公債を発行することにつきましては、我々はより慎重であらねばならぬ、そう思っております。
○重徳委員 これで終わりますけれども、社会保障財源は本当に多くの人たちが心配しているところでありますので、それも一くくりで足らざる部分は今現に赤字国債で賄っているわけですから、そこを少しでも納得感のある、国民の理解を得られる財源構成にしていこう、こういう議論でありますので、引き続き党内でも議論させていただきますが、これからもよろしくお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。