○北村委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 民進党の重徳和彦です。
昨今、国際情勢が大変不安定化してきておりまして、いわゆる安全保障、軍事的な安全保障と同時に、食料の安全保障、自給率、こういったことに改めて私たちは思いをいたす必要があるんじゃないか、こう認識をいたしております。
そこで、まず最初に、食料自給率についてお尋ねしたいと思うんですが、食料自給率にはカロリーベースというのと生産額ベースという一応二種類あるわけですね。我々日本の主食といえば何といっても米であります。この食料自給率に対して米がどのぐらい今貢献しているのか、それをお尋ねしたいと思います。
○山口政府参考人 お答えいたします。
食料自給率は、国内生産でどの程度国内消費を賄えるかをあらわす指標でございまして、国内消費仕向けのうち国内生産の割合がどれだけあるかで計算しております。平成二十七年度の実績は、カロリーベースで三九%、生産額ベースで六六%となっております。
お尋ねのございましたのは、この計算のもとになりました国内生産において、国産米、米の占める割合がどれくらいかということかというふうに考えておりますが、この国産米の占める割合につきましては、カロリーベースで五五%、生産額ベースで一五%となっております。
○重徳委員 米の生産について、増産をして余ったら困るという議論もありますが、余ったらむしろ輸出をすることによって、いつでも、もし食料の輸入が困難な状態に陥ったら国内生産で十分に自給できる、こういう体制にするべきであるというような論もあるわけでありまして、この点については、ちょっと後ほど時間があればお尋ねしたいと思っております。
いずれにしても、米が占める割合というのはカロリーベースで五五%ということですから、これは大変高い比率だと思っておりまして、米の生産というのは、日本の農業において本当に鍵を握ると思っております。
ちょっとこれは、食料自給率というのか、いわゆる今御答弁のあった自給率というのは、あくまで、私たちの口に入る、いわば農業でいえば最終商品の自給率ということになるんですが、私たちがもう一つ考えておかなきゃならない食料安全保障における重要なポイントは、そもそも食料を生産するに当たって不可欠な要素は一体何かということです。
主立ったことを言えば、基本的なことからいえば、それは農業人口ですね、最近不足しているという後継者。それから農地、これも、荒れてしまって耕作放棄地となっているところもたくさんある。それから水も、水資源というのも一つ重要な国内的な資源であると思います。さらに、ほかにも燃料とか肥料とか飼料、餌ですね、それから種です。こういったものについては、日本では必ずしも自給できない、あるいは日本に最初から存在しないものを海外から輸入せざるを得ないという状況でもあります。
今言った幾つかの中で、燃料というのは要するに化石燃料ですから、これは農業に限った問題ではないので、きょうはちょっと別の議論とさせていただきます。
そこで、残る三つです。肥料、餌、種、この三つについて、きょうはお尋ねしたいと思います。
まず、肥料ですね。肥料の輸入の状況を含めて、輸入がもし閉ざされてしまった場合どのように対応していくのか、お尋ねいたします。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
我が国は、燐鉱石ですと全量、塩化カリですとほぼ全量というように、化学肥料の原料のほとんどを海外に依存してございます。仮にその輸入が長期にわたりまして途絶した場合には、農業経営、また、ひいては消費者への農産物の安定供給に大きな影響が生じるということが考えられます。
このため、肥料原料の安定確保を図るために、全農等、肥料原料の輸入商社におきまして、海外の山元との関係の強化、資本の提携、また新興国での鉱山の開発等を通じまして、輸入相手国の多元化に取り組んでございます。
一方、営農面では、土壌診断に基づきまして、燐酸、カリ成分を抑えた肥料の使用の推進、家畜排せつ物等の堆肥の利用、下水汚泥から回収した燐酸の肥料化の推進等に取り組んでいるところでございます。
これらの施策を通じまして、農家への肥料の安定供給に取り組んでまいりたいと存じます。
○重徳委員 肥料に必要な燐酸、カリというのは、特に国内での生産はゼロというふうに聞いております。これは輸入に一〇〇%依存しているという状況ですから、今局長が言われたような、やはり危機意識を持っていかないと、自前の肥料というのはなかなか考えづらいということでございました。
これはこれで一つの大きな論点ではあると思いますけれども、次に参ります。
餌ですね、飼料、これについて、食料の輸入あるいは餌の輸入、こういったものが閉ざされてしまったような場合にどのように対応するのでしょうか。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の畜産でございますけれども、トウモロコシ等の飼料原料の約九割、八六%を輸入に依存してございます。仮にその輸入が途絶した場合には、畜産の経営、ひいては消費者への畜産物の安定供給に重大な影響が出るだろうというふうに考えてございます。
このため、飼料原料の安定確保という観点から、輸入先の多角化等、飼料原料の調達力の強化に取り組むとともに、輸入への依存度を低減するために、飼料増産総合対策事業などの各般の施策を講じまして、飼料自給率の向上に努めているところでございます。
また、輸入途絶等、不測の事態に備えまして、飼料穀物備蓄対策事業として八十五万トンのトウモロコシ等を備蓄しているところでございます。
これらの施策を通じまして、畜産農家への飼料の安定供給に取り組んでまいりたいと存じます。
○重徳委員 飼料についても輸入に八六%依存ということですから、これも安全保障上、大変重要な要素であるということが確認できました。
そして、もう一つ、きょう少し改めて取り上げたいと思っているのが種であります。
種子法の廃止、これはもう衆参を通ってしまって、来年の四月には廃止されるということが決まってしまいました。私はちょっと、決まってしまったものの、我が党は反対をいたしましたが、改めていろいろと調べてみたり、また、皆さん方、地元の皆さんの声を聞きますと、この法案の審議もあっという間でありましたし、安全保障という意味では極めて重大な禍根を残すのではないかという思いを持って、改めて、きょうは一般質疑の時間でありますから、これについて大臣にお伺いいたしたいと思っております。
そもそも、種は今、飼料とか肥料と違って、とりわけ種子法は米、麦、大豆の話であります、その種は自国できちんと都道府県で生産をし、管理をし、供給をする、こういう体制になっているわけなんですけれども、この都道府県の種の生産の義務がなくなるわけですよね。そして、多くの関係者が懸念されているのは、民間企業、とりわけ多国籍企業がこの分野に参入するのではなかろうかということであります。
種というのは本当に全てのもとでありまして、種子を制する者は世界を制するとか、遺伝子を制する者は世界を制するとまで言われているものなんですね。それから、米なんかの主要穀物の種というのは増殖率が野菜などと比べて低い、それから時間もかかるんですね。ですから、この安定供給のためにはやはり公的機関がきちんとかかわる必要があるということで、これまで法律があったわけですね。JAのノウハウなんかも欠かせないものである。
だから、民間が参入するための障壁になっているんじゃないかという議論も、むしろこれはコストもかかるし、中小企業はなかなか参入できないということと同義であって、逆に、グローバルな大企業であればこの分野には参入できる余地が大いにあると見るべきではなかろうかと考えるわけであります。
実際に、国際的な統計を見ると、ここ十年ほどで、世界各国で公共品種、公的農業試験研究機関とか大学とかでつくられる、生産される公共品種は減少の傾向がありまして、そして、民間品種、とりわけ遺伝子組み換え、GM品種が急増しているという状況であります。野菜、トウモロコシ、大豆、綿花、菜種、こういった分野でとりわけふえているということであります。
少し、寡占という状況でありますので、具体的な企業名を申し上げますと、農薬企業からスタートしたモンサント、デュポン、これらはアメリカですね。ダウ・アグロサイエンス、これもアメリカ。シンジェンタ、スイス。バイエル・クロップサイエンス、これはドイツであります。それから、種子の専門企業は、リマグレンというフランスの会社、KWSというドイツの会社。こういった今挙げたぐらいの本当に一握りの企業が、世界の農薬市場の七割とか種子市場の六割を占めているというふうに言われております。
農薬企業が中心になって業界再編を行った、それに伴って種子の企業の再編も行われたということでありまして、農薬と種子はもうセットなわけですね。そして、やはり危惧されるのは、農薬耐性、要するに除草剤に負けない、そういう種を開発し、そしてそれを育てるとともに、その農薬を使う、セットなわけなんですよね。そういう意味で、民間企業、グローバル企業の飛躍的なこの分野における成長というものが、今、現実、進んでいるわけであります。
なので、今回の種子法の廃止というのは、民間企業のノウハウとか技術を活用するという意味で、その目的のために廃止されたということでありますが、その点について全面否定はしませんけれども、しかし、いきなり廃止、これはかなり、食料安全保障上、重大な過ちを犯しているんじゃないかと私は危惧をいたします。
そういう状況でありますので、ちょっと大臣に改めて問いますが、やはり政府部門がちゃんと主要農作物については種を生産、管理、供給するべきではないかと思うんですが、こういう重要なことを政府部門、都道府県が手を引いて、法律上ですよ、実際に手を引くかどうかは都道府県は任意なわけですから、法律上、制度上は手を引いて民間に委ねる、こういう仕組みをとっている国というのは海外にどのぐらいあるんですか。海外の状況をお示しいただきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 諸外国で主食となる作物の種子の管理、生産、これについてのお尋ねがございました。
アメリカにおける小麦の状況でございますが、種子の開発、生産は、州立大学または民間企業等により行われております。州立大学の開発した品種は四割から五割程度でございます。民間企業の開発した品種は二割から四割程度のシェアとなっております。
こうした中、原種、原原種の増殖、管理や、一般種子の増殖、販売につきまして、基本的に品種の開発者である州立大学または民間企業がそれぞれ担っていると聞いております。
なお、連邦政府の役割でございますが、連邦種子法、これに基づきまして、種子の表示基準等を定める役割を担っているというように、分野別にそれぞれ役割が決められているところでございます。
○重徳委員 アメリカ以外の状況はいかがでしょうか。
○柄澤政府参考人 お答えいたします。
ヨーロッパ等の状況、必ずしも詳細までなかなかわかりにくいところがございますが、一般論として申し上げますと、フランスなどを見ますと、やはり多くの企業が種子の分野で活躍をされているというふうに承知をしているところでございます。
○重徳委員 詳細はわからないどころか、資料が出てこないんですよ。
事前の役所のレクをいたしまして、海外の状況はどうなんですかと。これは食の安全保障にかかわる話でありますから、日本のことだけとして考えるべきではなくて、他国ではどうかということぐらい詳細に把握をし、検討した上で、今回の種子の管理、生産についてのあり方を決定していくべきではなかったかと思います。この点は、繰り返し言いますが、食料安全保障上、重大な過ちを犯しつつあるのではないかと私は思います。
民間企業がどこの国でもやっていますよ、だからいいんですよと。そうじゃなくて、実際に、法律上、日本は、都道府県という政府部門が責任を持って義務づけをすることによって、きちんと安心な、そして地域ごとの条件に合った種子を適切に供給していたわけですよ。これをいきなり廃止、そして、他国の状況はよくわかりませんけれども民間企業が結構やっていますよねと。この程度ですよ。
だから、この半年ぐらいの間に、この法案については急速に廃止する方向が定まって、そして国会での審議も印象としてはほとんどなされないままに、あっという間に廃止が決まってしまった。来年から廃止ですよ。こういうことについて、先々についてちゃんと責任を持てるのかと非常に強い疑念というか、本当に不安を覚えます。
この手の質問をしても、不安じゃないですかと言っても、大抵、大丈夫だとかしっかりやるという御答弁しかないので、とりあえず次の具体的な質問に入ります。
各都道府県は、現時点においては、種子法が廃止されたって都道府県には農業振興の責任があるからちゃんとやります、法律で義務づけられていなくても任意でやります、こういう状況で、大変立派な都道府県であります。しかし、国が責任を放棄している以上、これは必ずしも制度的に保障されているわけではないわけです。
そして、都道府県の自治体の仕事である以上、これは、法律上の義務づけがあれば、財政措置、いわゆる交付税の算定にきちんと算入されるわけですね。だから、都道府県、大変今も財政厳しいですけれども、それでも、この種子の生産、管理、供給という部分について、きちんと国が財政的な面倒を見て、そして都道府県はきちっとやる、こういうことになるわけですけれども、これからは法律上の義務が何もない、位置づけがないわけですから、総務省と農水省のやりとりになるんだと思いますが、それにしても、何かの拍子で、ちょっとこれからは都道府県の自前の財源で、ある限りでやってくれ、国としては、法律に位置づけられていないんだから責任を持ついわれはないということで、いつ財政措置が打ち切られるかわからない、こういう状況だと思います。
私が言いたいのは、この財政措置も含めて、先々に、これは子供たち、最近はよく言われるようにアレルギー持ちの子供がふえている、この原因も、はっきりわからない部分もあるけれども、最近、口にしているもの、食べているもの、お母さん方が、お父さん方が食べているもの、これも影響あるんじゃないか、こういうことも言われているわけです。食の安全管理というのは、きちんと国において責任を持つべきだ、先々まで含めて責任を持つべきだと思います。これは食文化にもかかわる話です。この財政措置含め、先々に対してどう責任を持つのか、お答えください。
○山本(有)国務大臣 種子法を廃止しましても、各都道府県は、これまでと同様に、生産、管理、供給、そうした主要農作物の種子に対してしっかり継続していただけるということでございますので、私ども、地方交付税をしっかり獲得していく所存でございます。
振り返ってみますと、平成九年まで措置されておりました補助金でございます。これは廃止されました。地方分権推進を図るという観点で一般財源化されてしまいました。ゆえに、補助金にはこれは対象になりませんので、地方交付税という位置づけでございます。
また、廃止したとしましても、種苗法に基づいて都道府県が種子の品質確保のために必要な措置を講じるというような話でございますし、そうした意味において、財政的な影響が生じないように、私どももしっかり応援していきたいと思っております。
特に、農業競争力強化支援法案を含め関連する法令の整備を行いつつ、先日、四月十三日でございますが、参議院農林水産委員会における附帯決議を踏まえまして、これらの事務に要する経費について、引き続き地方交付税措置がなされますように関係省庁と協議を始めたいというように思っております。
地方交付税において法律によらずとも交付されるという分野は数々ございますので、その意味において、この分野も法律が廃止されましても所要の予算が確保されますように努めたいというように思っております。
○重徳委員 大臣、それは全く筋違いな答弁ですよ。法律が廃止されてもしっかりやっていきます、だったら法律を廃止する必要はないわけであります。また、今、分権とか補助金廃止と絡めて御答弁されましたけれども、だったら都道府県に日本の食料安全保障の責務をきちっと法律で位置づけるべきですよ。だから、責任はどこにあるのか曖昧なままに、分権ですから、補助金も廃止されて、交付税措置になって、基本的に都道府県の役割になったんですからなんというのは、これは極めて責任を曖昧にする御答弁だと私は思います。やはり、ちょっといろいろな理屈を、まあ理屈がないからひねり出した理屈だと思います、今の答弁は。非常にこれは不満を覚えますね。
さらに言いますと、種が民間に委ねられることによりまして、実際には、遺伝子組み換え、GMの品種というのは、コストが、つまり種の費用が上がっているという数字も出ております。つまり、GMが普及している分野の種とそうじゃないものの種との費用の格差、これが大きくなっていると言われております。
ですから、今回、競争力法案でコストを全体に下げるんだ、こういう議論もあるんですけれども、というか、このためにやっている一連の改革のはずなんですけれども、逆に農家にとって負担が大きくなる懸念があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 農水省の各都道府県への聞き取り調査で、種子法廃止後も引き続き種子の生産、普及に関与するという回答をほとんど得ております。その意味で、都道府県の生産、普及する種子の価格自体が高くなるということは想定されておりません。
そして、種子法の廃止とかあるいは農業競争力強化支援法案の新規参入支援措置等を通じて、民間事業者の種子生産への新規参入、また大規模な種子生産体制の導入、都道府県が行う種子生産の民間事業者への業務委託、あるいは都道府県施設の民間事業者との共用、そういったものを図っていくことによりまして、種子生産に係るコスト削減も図られるというように予測しております。
そうなりますと、むしろ価格の引き下げにつながる要因もあるわけでございまして、民間事業者が種子生産を行っている品種につきましては、現状においても都道府県が生産に関与する種子と比較して価格が高いものがございますけれども、高いからといって農家に不利かどうかというと、収量性が逆に高くて、高い種であっても農家所得が上がるというものもございます。
いずれにしましても、種子法の廃止によりまして都道府県と民間事業者の連携による種子生産が促進されることによりまして、民間事業者が開発した品種も含めて、供給される品種が多様化して、農業者の選択の幅が広がり、農業所得が上がるということにつなげていきたいというように思っております。
○重徳委員 もう何か空想の世界のようにしか聞こえません。
冒頭の質問で、国際的な、海外の状況はどうですかと申し上げたときに、きちんと把握をされていなかったですよね。実際、民間企業が参入して、民間企業が売り出している種に遺伝子組み換えが非常にふえてきているという状況などについてどう捉えているのかもはっきりとしません。
大臣にちょっと更問いでお尋ねしたいんですが、今、収量がふえると。だから、多少高い種であっても量がふえるし、品質はどうか今お触れになりませんでしたのでどう捉えられているのかわかりませんけれども、だから、農家にとっても多少高い種であってもいいじゃないかという御答弁だったと思います。
実際、世界で起こっていることは、確かに、大規模な農家にとっては、一定のコストがかかってもたくさんとれるのはいいじゃないかということもあるのかもしれませんが、しかし、そこはGMでありますから、除草作業が楽であれば大規模農業だって幾らでもできるわけですから、こんなにいい種はないわけであります。そして、GMがふえているということによって、農家にとっての選択肢も、そもそも、GMのシェアがふえてくればくるほど従来品種の種を入手することが困難になるわけでありますから、こういった農家の選択肢が狭まっているという状況もこれから出てくるんじゃないかと思います。
ですから、今までは都道府県が責任を持ってきちんと安心できる種を供給する、ルートも含めて確保していたんですけれども、こういったルートが今後どうなっていくのか、これも空想のような御答弁になるのかもしれませんが、そこはきちっと責任を持った答弁をお願いしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 諸外国の例の中に、モンサントとラウンドアップという、そういう遺伝子組み換え種子等作付の問題、これは南米のエクアドル等で散見されるわけでございますが、そうした意味で危険性があるということは、私も否定するものではありません。
しかし、海外参入を種子法で阻止しているかといいますと、種子法はそうした状況ではありません。むしろ、国内の戦後の食糧不足に対応する種子法で、いわば量産体制を各県に担っていただいたということでございまして、各県に担っていただくということは、日本全国気候が違います、地形が違います、土質が違います。そんな意味において、それぞれの地域地域でしっかりやっていただきたい、こういう特殊性がこの国にはございます。
したがって、逆に言えば、広大な農地にヘリコプター、飛行機で種をまいて、そしてラウンドアップで除草剤をまいてという低コスト構造の大規模な生産というものに合っていないということが、この国の農業の極めて特徴的なものでございます。したがいまして、これまでそうしたF1の種子において我々が犠牲にならなかったという利点もあるわけでございます。
そうした意味において、今何が必要かといいますと、例えば新しい需要、輸出の需要あるいは業務用米の需要、そういったものに対して的確に対応するために、今のままの制度でいいのかということでございます。都道府県における奨励品種、この奨励品種がその県の試験場だけで区切られているのではないか。隣の県と一緒になって作付をすることによってより強い農業ができるという例もあるわけでございますし、民間の事業者との連携で新しいこともできるわけでございまして、多様な選択肢を農家の皆さんに提供するという意味において、今の制度で、全国で一律で、各都道府県それぞれ満遍なく全部やってくださいよ、そういう考え方がいいのかどうかというように反省していきますと、やはり種子法は改めて、そして、なおかつ新しい需要に対応するということは、廃止が適当だということに至ったわけでございます。
御心配の、海外からの種子生産、特に民間事業者の我が国への進出、そういったものについては、これからも注視してしっかりやっていきたいというように思っております。
○重徳委員 時間が来ました。
このテーマは非常に重要だと私は思っております。きょうから日米経済対話も始まっております。日本が、種を守る、農業を守るという体制が制度として弱まっているところへいろいろな圧力をかけられたら、ひとたまりもない。これは先々、将来を見通しても大きな禍根を残すことになるのではないかという重大な懸念を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。